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第八章
第3話 冥界の花
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寄生木が灯す赤い光に導かれ、エレインは駆ける。
暗い道の先に、二本の若木がぼんやりと浮き上がって見えた。しなやかな細い腕を広げ、今まさに、柔らかな葉を芽吹かせたばかりのようだ。
その間を通り抜けると、そこで道が終わった。
目の前には乾いた荒れ野が広がっている。振り返ると、もう背後に道は無かった。
赤茶けた大地。
夜の帳に覆われようとする寸前の残照に似た、黄昏色の光。
黒々と枯れて、痩せた腕を伸ばす木々。
ゆるゆると動く灰色の影。
心浮き立つ風景にはほど遠い。
エレインはごくっと唾を飲み込んだ。
(進むしかないんだ)
ぼんやりと霞む空に、城館らしきシルエットが見える。
(あそこに行けば……)
震える足を励まして一歩を踏み出す。細かい土埃が、膝の高さまで舞い上がった。次の一歩を踏み出しかねて立ち止まる。
ためらうエレインの耳に、犬の声が聞こえた。
二匹の獣が跳ねるようにして、こちらに向かって走ってくる。獣たちの後ろに金色の光が揺れている。その光がエレインの心を温かく照らした。
エレインは大きく手を振った。
「オルフェンさま!」
* * *
突如として響いた雷鳴が、延々と惰眠を貪るがごとき冥界に異変を告げた。
「あり得ない」
ドウンの顔色が変わる。
この国の王となって幾星霜。未曾有の事態に、冥界の王は珍客の相手をするどころではなくなった。
「お待ちになって、わたしも一緒に」
後を追おうとしたオルフェンの目の前で黒いマントが翻り、視界から消えた。
(どうしよう)
くいっ、とドレスの裾を引っ張られて視線を下に向けると、黒い犬と目が合った。赤い犬がとことこ歩いて回廊の前で振り返る。何か言いたげな獣たちに、オルフェンは問いかけた。
「案内してくれる?」
キャン、と一声鳴いて二匹の獣は城から外へと走り出た。
犬たちに導かれて、オルフェンは荒れ野を行く。もう見慣れた風景だ。
靄の中に、ぽつんとひとつ、鮮やかな緑が見える。
「オルフェンさま!」
澄んだ、よく通る声が自分の名を呼ぶ。
「エレイン!」
オルフェンは勢いよく駆けて、その勢いのままぎゅうっとエレインを抱きしめた。
「無事だったのね、良かった!」
「はい、オルフェンさまも」
別れてから数刻。それほど時は経っていないはずなのに、もう幾夜も経たような気がする。
冥界の犬たちが嬉しそうに尾を振って、抱き合う二人の少女の回りをぐるぐると巡った。
「父君には会えたかしら?」
頬をバラ色に上気させ、目を輝かせてオルフェンが尋ねる。
「父君、ですか?」
エレインは大きく目を見開き、ぱちぱちと瞬きをした。
「ええ、あなたの父君よ。ずうっとここを彷徨っていらしたの。あなたに申し訳ない、って言ってたから、さっさと会いに行くよう助言をしたのだけれど」
エレインの反応に、オルフェンが眉を曇らせる。
「もしかして、会っていないの? まさか、あのまま逃げ出したのかしら。そこまで臆病だなんて――」
「あ、あの。会いました! 森の庵で」
エレインは咳き込むように言った。
「お話しすることもできました!」
「なら、よかった」
オルフェンが笑みを浮かべた。
ぱあっと大輪の花が開くような、晴れやかな笑顔がエレインの心を照らす。
光が奥底まで届く。固く閉ざされた記憶の小箱が開きかける。
―――あともう少し。
「あの方は、あたしの父だったのですね」
エレインはそっと呟き、胸の前で指を組み合わせて目を伏せた。
その言葉をオルフェンが聞きとがめた。
「もしかして、名乗らなかったの?」
こくんとエレインは頷く。そう、尋ねようとはしたのだが間に合わなかった。
「何てこと」
オルフェンは絶句した。その頬がみるみる赤く染まってゆく。
「……千載一遇のチャンスだったのに、何なの。おバカさんなの?」
「い、いえ。あの」
あと少し、ほんの数秒の猶予さえあれば―――。
エレインは弁護を試みようとした。
「呆れ果てて言葉もないけれど。これだけは言ってやらなきゃ気が済まないわ」
力強く足を踏ん張り腰に手を当てると、オルフェンは、すうっと大きく息を吸い込んだ。そうして茫洋とした空に向かい、次の世にまで届けとばかり、思いっきり叫んだ。
「この、すっとこ統一王!」
おおう―――。
オルフェンの声が長く尾を引いてこだまする。それに合わせて二匹の獣が遠吠えをした。
再会を喜び合う少女たちをよそに、ドウンは呆然と立ち尽くしていた。
「これは、一体どういうことだ」
いつの間に芽吹いたものか。
この地の王もあずかり知らぬところで、健やかなナナカマドの若木が二本、荒野のただ中にすっくと立っていた。すでにドウンの背丈の倍ほどにまで成長している。
そっと幹に手を当てる。灰色の樹皮はつややかで傷一つない。見上げると、二本の木は上方でアーチを作るようにくるりと絡み合っている。
「まるで、〈門〉だな」
若木の枝に白い蝶が止まっている。その羽をドウンは指で捕まえた。
「イレーネ、あなたなら何か知っているのではないか」
そう問いかけて、空に蝶を放り投げる。
尼僧の姿に戻るかと思ったが、蝶は蝶のまま。ふわりふわりと羽ばたいている。
「この木のことですね」
ドウンの問いに、蝶が答える。
「もとは、オルフェンさまのお考えです」
影たちのために『安らぎの野』への道しるべをつけよう、と。
魔法使いから渡された魔除けのお守り、十字に組み合わされたナナカマドの小枝を地に挿した。
「もちろんそれは、かりそめの印」
イレーネが選んだ場所に、オルフェンがさくっと差し込んだだけだ。
「なるほど。マクドゥーンが作り、金の王女が身につけていた魔除け、ね」
梢を見上げ、ドウンが呟く。
「申し訳ありません。軽率でした」
「いや、謝らなくていい」
難しい顔をして高い梢を見上げていたドウンは、ふと表情を和らげ、はしゃぐ乙女たちに声をかけた。
「エレイン、あなたを探して客が来ていますよ」
「あたしに、ですか?」
「そう。城の中庭で待っていますから、急いで行ってあげてください。イレーネ、案内を頼めますか?」
(……)
返事はない。白い蝶はナナカマドの枝に止まり、ゆっくりと羽を開閉させている。
「案内ならわたしが」
オルフェンの申し出を、ドウンがきっぱりと却下した。
「それはご遠慮願いましょう。殿下には、私にお付き合いいただかねばなりません」
コンコンと、軽くノックするように木の幹を小突きながらドウンが言う。
「この木の件で、あなたには少々お尋ねしたいことがあります」
不服そうなオルフェンをちらっと見て、エレインは元気よく答えた。
「大丈夫です。あたし一人で行けますから」
「本当に?」
オルフェンは首をかしげてエレインの顔を覗き込んだ。
「はい。あちらに見えるお城でしょう。平らな場所ですし、迷うことはないと思います」
「では、すみませんがそうしていただけますか」
「はい。お気遣いをありがとうございます。ではお先に失礼しますね」
スカートをつまみ、深々と頭を下げてから、エレインはひとりで城へと向かった。
「あの子、どことなく変わったような気がするわ」
後ろ姿が靄に包まれて見えなくなるまで見送ってから、オルフェンがぽつりと呟いた。
「陛下もそう思いません?」
オルフェンの問いに、ドウンは素っ気なく
「そうですね」
とだけ返した。
「気のないお返事ですこと。もう、関心がおありでないの?」
不満げな顔でオルフェンが振り返る。
「そういう訳ではありませんが。私もこの地を預かるものとして、個人的関心より優先すべきことがありますので」
ドウンは口ではそう言いつつ、
(いや、違うな)
心の内で否定した。
個人的に惹かれるものと、冥界の神として関心を寄せるもの。二つが異なるものであったためしはない。
ドウンを動かすものは、この単調な死者の国にたまさかにおとずれる微細な『変化』であり、心をとらえるのは『変化をもたらすもの』であった。
今回のこれは、微細どころではない。
「王女殿下、こちらへ来ていただけますか。そう、この木のそばに」
オルフェンは素直に従った。そして、なめらかなその幹に手を触れた。
「この木は?」
「あなたが植えたナナカマドです」
「どういうこと? 私が挿したのは小枝よ」
こぼれおちそうなほど目を見開いて梢を仰ぐオルフェンの前で、枝は伸び、さやさやと緑の腕を広げてゆく。
「これも『若草のエレイン』の力なの?」
オルフェンは、こつんと額を幹に押し当ててうつむいた。
「すごいのね。お友だち、なんて気安く呼んではいけないわね」
「何の話をしているのですか。あちらの姫君は関係ないでしょう」
その寂しげな表情を見て、ふう、とドウンは大げさに溜め息をついた。
「元はあなたが身につけていた魔除け守り。あなたの光を宿した小枝なのですよ。ご覧なさい」
促されて顔を上げると、蝶のイレーネが視線を導くように上へ上へと舞い上がってゆく。
それを追っていたオルフェンの目が大きく見開かれた。
「あっ……」
すくすくと育ったナナカマドが、無数の蕾をつけている。
さやさやと、枝の先に白い花が開いてゆく。
ドウンとオルフェン。
ふたりが見守る前で、二本の若木は満開の花盛りを迎えた。
しなやかな枝が夢のように揺れている。
「空が、晴れて―――」
木の上のわずかな部分だけ、空を隠す靄がぽっかりと無くなっている。
どこまでも高い空が見える。
夕陽の名残のオレンジ色、珊瑚色、たなびく藤紫。
淡く優しく、ときに鮮やかに。
刻々と色を変えながら、透明な天が広がってゆく。
「なんて、綺麗」
柔らかな光がオルフェンを包み込む。
「あなた方は同じ木の枝から作られた魔除けを身につけていましたからね。それらがお互いに呼び合い、『不死の乙女』をこの地へと導いたのかも知れません」
ドウンはオルフェンの傍らに立ち、眩しそうに空を見上げて歌うように言葉を紡いだ。
金のオルフェン。
大いなる女神、ダヌの娘よ。
その健やかなる魂。
昏き地にありて、なお輝きを失わず。
その光もて死の国を照らす。
ほろほろと、花が散り始める。
小さな花弁が、雪のように冥界の王とダヌの娘の上に降りかかる。キアランとフランが、仔犬のように花の下をはしゃぎ回った。
「あなたが菓子の中から引き当てた二つの王冠。そのうちの一つはここにあったのですね」
「何ですって! 王冠?」
血相を変えるオルフェンに、ドウンはくっと笑いをこらえた。
「あなたの頭上に、ほら」
恐る恐るオルフェンが自分の頭に手をやると、積もった花びらがひらひらと舞った。
「ナナカマドからの贈り物、花の冠ですよ。これからこの木は、たくさんの亡者を救うことでしょう。いずれあなたは、『魂の導き手』と呼ばれるようになるのでしょうね。おや、これは『不死の乙女』と同等か、それ以上の題材になりそうだ。詩人たちが競ってあなたの歌を歌うでしょう」
金のオルフェン。
亡者の救い手。
魂を導く者。
ナナカマドの女王。
それから――。
可笑しそうに指を折って数えるドウンに、オルフェンが食ってかかる。
「からかっているのね、ひどい!」
「おっと。乱暴な女王さまですね」
オルフェンのこぶしを受け止めて、ドウンは笑った。
ついぞ聞いたことのない冥王の屈託のない笑い声に、ワタリガラスたちは鳴りを潜め、影たちは動きを止めて何事かと様子を窺った。
ナナカマドの花が散る。
枝がしなるほど、たわわに実をつける。
やがてその赤い実は、懐かしい家路を照らす灯火となり、さまよえる亡者たちを魂の帰るべき場所へと導くだろう。
* * *
長靴がくちゃくちゃと音を立てる。中に水が入っているせいだ。
「くそっ、なんでこんなに脱ぎにくいんだ」
騎士の長靴は武防具だ。着脱に手間がかかるのは当たり前。さらに革が水をたっぷり吸って膨張しているものだから、足から引き抜くだけでもひと仕事だ。
「あいつら、どこまで行ったんだか。帰ってきやしねえ」
片足でバランスを取りながら長靴をひっくり返す。さあっと水がこぼれ出た。
魔法を使えば手っ取り早いが、ここは冥王の領域だ。どんな小さな術であれ、了承を得なければ後々面倒なことになる。
「ああ、もう……!」
諦めてどっかりとクローバーの絨毯に腰を下ろす。乾いたとしても、どうせまた帰るときには泉に飛び込まなくてはならないのだ。
あたりが静かなうちに、ここに来た目的を果たしておく方が良さそうだ。
―――白い薔薇。
聖堂にあっては、聖女エレインを象徴する花である。
一輪の薔薇にそっと手を伸ばす。
泉の傍らで、芳しい香気を放っている。エリウが教えてくれたのは、この花で間違いあるまい。
他の薔薇との違いは棘を持たないこと。そして花の奥に金色の光を秘めていること。
「これをエレインの中に戻せばいいんだが、さて」
花だけを手折ればよいのか、根っこの先まで必要なのか。彼女の許に還るまで、枯れずにいてくれるだろうか。
「ここに来さえすれば何とかなると思ったが、甘かったか」
花が教えてくれればいいのに、と勝手なことを考えながら白い薔薇を撫でる。
かつて嵐の夜、森の庵に運び込まれた瀕死の子猫を介抱したときのように、いや、それよりもずっと優しい手つきで。
「うん?」
空が明るくなった気がして振り仰ぐ。どんよりとした靄の色が変わってゆくのが見えた。
それが珍しいことなのか、よくある現象なのかは分からない。ただ、
(冥界にも光は射すのだな)
漠然とそう思った。
空の色は刻々と変わる。
待っても待っても、誰も帰ってこない。
「仕方ねえな」
不案内なこの世で動き回るのは気が進まないが、そうも言っていられない。時間制限もある。夜が明ける前に戻らないと、道が閉ざされる。
「よっこら、せーの」
年寄じみた掛け声とともに重い腰を上げ、片膝をつく。とりあえず、あの光が見える方に向かえばいいだろう、と。
薔薇が強く香った。はっと振り返ると、白い花の光が強く淡く明滅している。まるで呼吸をしているかのように。
「何の前触れだ」
上げかけた腰を再び下ろし、固唾をのんで薔薇を見守る。
中庭に面した回廊の方から彼を呼ぶ声がした。
(いた!)
探し人の姿を見つけ、エレインの胸は高鳴った。
冥界の王の城。その中庭にある泉のほとりで、薔薇の花を見つめている。
聖騎士の出で立ち。赤い髪は、陽だまりの野いちごの色。
(あたしが失くしたものは、きっと彼のそばにある)
胸の内で、確信が強まってゆく。
エリウの丘で出会ったのは偶然ではない。いや、自分が忘れているだけで、すでにどこかで会っていたのかもしれない。
湖の島、ニムのもとで。あるいはもっと昔に。
彼と共に過ごしたこのひと月ほどの間に、自分は変わった。さまざまな人に出会い、とんでもない目にも遭った。
声をかけようとして、彼女は迷った。
(何と呼べばいいのかしら)
聖騎士さま、フラン、それとも―――。
軽く頷いて、エレインは彼の方に向けて駆け出した。
「――――!」
自分でもびっくりするほど大きな声が出た。
男が振り返る。驚いたような顔をして、こちらを見ている。
(楽しい!)
駆けて、駆けて、最後につまずいて、慌てて手を差し伸べた男の胸にぶつかってしまった。
「うおっ。何てことをするんだ」
頭の上で声がした。
バランスを崩し、二人して倒れ込む。倒れ込んだその下には泉があった。
水面がゆっくりゆっくり近づいてくる。
―――わたしは、ここ。
泉の岸辺から、白い腕がエレインに差し伸べられた。
夢中でその手を掴む。
柔らかな手応えが握った手のひらの中でくしゃりと潰れて、淡雪のように溶けた。
暗い道の先に、二本の若木がぼんやりと浮き上がって見えた。しなやかな細い腕を広げ、今まさに、柔らかな葉を芽吹かせたばかりのようだ。
その間を通り抜けると、そこで道が終わった。
目の前には乾いた荒れ野が広がっている。振り返ると、もう背後に道は無かった。
赤茶けた大地。
夜の帳に覆われようとする寸前の残照に似た、黄昏色の光。
黒々と枯れて、痩せた腕を伸ばす木々。
ゆるゆると動く灰色の影。
心浮き立つ風景にはほど遠い。
エレインはごくっと唾を飲み込んだ。
(進むしかないんだ)
ぼんやりと霞む空に、城館らしきシルエットが見える。
(あそこに行けば……)
震える足を励まして一歩を踏み出す。細かい土埃が、膝の高さまで舞い上がった。次の一歩を踏み出しかねて立ち止まる。
ためらうエレインの耳に、犬の声が聞こえた。
二匹の獣が跳ねるようにして、こちらに向かって走ってくる。獣たちの後ろに金色の光が揺れている。その光がエレインの心を温かく照らした。
エレインは大きく手を振った。
「オルフェンさま!」
* * *
突如として響いた雷鳴が、延々と惰眠を貪るがごとき冥界に異変を告げた。
「あり得ない」
ドウンの顔色が変わる。
この国の王となって幾星霜。未曾有の事態に、冥界の王は珍客の相手をするどころではなくなった。
「お待ちになって、わたしも一緒に」
後を追おうとしたオルフェンの目の前で黒いマントが翻り、視界から消えた。
(どうしよう)
くいっ、とドレスの裾を引っ張られて視線を下に向けると、黒い犬と目が合った。赤い犬がとことこ歩いて回廊の前で振り返る。何か言いたげな獣たちに、オルフェンは問いかけた。
「案内してくれる?」
キャン、と一声鳴いて二匹の獣は城から外へと走り出た。
犬たちに導かれて、オルフェンは荒れ野を行く。もう見慣れた風景だ。
靄の中に、ぽつんとひとつ、鮮やかな緑が見える。
「オルフェンさま!」
澄んだ、よく通る声が自分の名を呼ぶ。
「エレイン!」
オルフェンは勢いよく駆けて、その勢いのままぎゅうっとエレインを抱きしめた。
「無事だったのね、良かった!」
「はい、オルフェンさまも」
別れてから数刻。それほど時は経っていないはずなのに、もう幾夜も経たような気がする。
冥界の犬たちが嬉しそうに尾を振って、抱き合う二人の少女の回りをぐるぐると巡った。
「父君には会えたかしら?」
頬をバラ色に上気させ、目を輝かせてオルフェンが尋ねる。
「父君、ですか?」
エレインは大きく目を見開き、ぱちぱちと瞬きをした。
「ええ、あなたの父君よ。ずうっとここを彷徨っていらしたの。あなたに申し訳ない、って言ってたから、さっさと会いに行くよう助言をしたのだけれど」
エレインの反応に、オルフェンが眉を曇らせる。
「もしかして、会っていないの? まさか、あのまま逃げ出したのかしら。そこまで臆病だなんて――」
「あ、あの。会いました! 森の庵で」
エレインは咳き込むように言った。
「お話しすることもできました!」
「なら、よかった」
オルフェンが笑みを浮かべた。
ぱあっと大輪の花が開くような、晴れやかな笑顔がエレインの心を照らす。
光が奥底まで届く。固く閉ざされた記憶の小箱が開きかける。
―――あともう少し。
「あの方は、あたしの父だったのですね」
エレインはそっと呟き、胸の前で指を組み合わせて目を伏せた。
その言葉をオルフェンが聞きとがめた。
「もしかして、名乗らなかったの?」
こくんとエレインは頷く。そう、尋ねようとはしたのだが間に合わなかった。
「何てこと」
オルフェンは絶句した。その頬がみるみる赤く染まってゆく。
「……千載一遇のチャンスだったのに、何なの。おバカさんなの?」
「い、いえ。あの」
あと少し、ほんの数秒の猶予さえあれば―――。
エレインは弁護を試みようとした。
「呆れ果てて言葉もないけれど。これだけは言ってやらなきゃ気が済まないわ」
力強く足を踏ん張り腰に手を当てると、オルフェンは、すうっと大きく息を吸い込んだ。そうして茫洋とした空に向かい、次の世にまで届けとばかり、思いっきり叫んだ。
「この、すっとこ統一王!」
おおう―――。
オルフェンの声が長く尾を引いてこだまする。それに合わせて二匹の獣が遠吠えをした。
再会を喜び合う少女たちをよそに、ドウンは呆然と立ち尽くしていた。
「これは、一体どういうことだ」
いつの間に芽吹いたものか。
この地の王もあずかり知らぬところで、健やかなナナカマドの若木が二本、荒野のただ中にすっくと立っていた。すでにドウンの背丈の倍ほどにまで成長している。
そっと幹に手を当てる。灰色の樹皮はつややかで傷一つない。見上げると、二本の木は上方でアーチを作るようにくるりと絡み合っている。
「まるで、〈門〉だな」
若木の枝に白い蝶が止まっている。その羽をドウンは指で捕まえた。
「イレーネ、あなたなら何か知っているのではないか」
そう問いかけて、空に蝶を放り投げる。
尼僧の姿に戻るかと思ったが、蝶は蝶のまま。ふわりふわりと羽ばたいている。
「この木のことですね」
ドウンの問いに、蝶が答える。
「もとは、オルフェンさまのお考えです」
影たちのために『安らぎの野』への道しるべをつけよう、と。
魔法使いから渡された魔除けのお守り、十字に組み合わされたナナカマドの小枝を地に挿した。
「もちろんそれは、かりそめの印」
イレーネが選んだ場所に、オルフェンがさくっと差し込んだだけだ。
「なるほど。マクドゥーンが作り、金の王女が身につけていた魔除け、ね」
梢を見上げ、ドウンが呟く。
「申し訳ありません。軽率でした」
「いや、謝らなくていい」
難しい顔をして高い梢を見上げていたドウンは、ふと表情を和らげ、はしゃぐ乙女たちに声をかけた。
「エレイン、あなたを探して客が来ていますよ」
「あたしに、ですか?」
「そう。城の中庭で待っていますから、急いで行ってあげてください。イレーネ、案内を頼めますか?」
(……)
返事はない。白い蝶はナナカマドの枝に止まり、ゆっくりと羽を開閉させている。
「案内ならわたしが」
オルフェンの申し出を、ドウンがきっぱりと却下した。
「それはご遠慮願いましょう。殿下には、私にお付き合いいただかねばなりません」
コンコンと、軽くノックするように木の幹を小突きながらドウンが言う。
「この木の件で、あなたには少々お尋ねしたいことがあります」
不服そうなオルフェンをちらっと見て、エレインは元気よく答えた。
「大丈夫です。あたし一人で行けますから」
「本当に?」
オルフェンは首をかしげてエレインの顔を覗き込んだ。
「はい。あちらに見えるお城でしょう。平らな場所ですし、迷うことはないと思います」
「では、すみませんがそうしていただけますか」
「はい。お気遣いをありがとうございます。ではお先に失礼しますね」
スカートをつまみ、深々と頭を下げてから、エレインはひとりで城へと向かった。
「あの子、どことなく変わったような気がするわ」
後ろ姿が靄に包まれて見えなくなるまで見送ってから、オルフェンがぽつりと呟いた。
「陛下もそう思いません?」
オルフェンの問いに、ドウンは素っ気なく
「そうですね」
とだけ返した。
「気のないお返事ですこと。もう、関心がおありでないの?」
不満げな顔でオルフェンが振り返る。
「そういう訳ではありませんが。私もこの地を預かるものとして、個人的関心より優先すべきことがありますので」
ドウンは口ではそう言いつつ、
(いや、違うな)
心の内で否定した。
個人的に惹かれるものと、冥界の神として関心を寄せるもの。二つが異なるものであったためしはない。
ドウンを動かすものは、この単調な死者の国にたまさかにおとずれる微細な『変化』であり、心をとらえるのは『変化をもたらすもの』であった。
今回のこれは、微細どころではない。
「王女殿下、こちらへ来ていただけますか。そう、この木のそばに」
オルフェンは素直に従った。そして、なめらかなその幹に手を触れた。
「この木は?」
「あなたが植えたナナカマドです」
「どういうこと? 私が挿したのは小枝よ」
こぼれおちそうなほど目を見開いて梢を仰ぐオルフェンの前で、枝は伸び、さやさやと緑の腕を広げてゆく。
「これも『若草のエレイン』の力なの?」
オルフェンは、こつんと額を幹に押し当ててうつむいた。
「すごいのね。お友だち、なんて気安く呼んではいけないわね」
「何の話をしているのですか。あちらの姫君は関係ないでしょう」
その寂しげな表情を見て、ふう、とドウンは大げさに溜め息をついた。
「元はあなたが身につけていた魔除け守り。あなたの光を宿した小枝なのですよ。ご覧なさい」
促されて顔を上げると、蝶のイレーネが視線を導くように上へ上へと舞い上がってゆく。
それを追っていたオルフェンの目が大きく見開かれた。
「あっ……」
すくすくと育ったナナカマドが、無数の蕾をつけている。
さやさやと、枝の先に白い花が開いてゆく。
ドウンとオルフェン。
ふたりが見守る前で、二本の若木は満開の花盛りを迎えた。
しなやかな枝が夢のように揺れている。
「空が、晴れて―――」
木の上のわずかな部分だけ、空を隠す靄がぽっかりと無くなっている。
どこまでも高い空が見える。
夕陽の名残のオレンジ色、珊瑚色、たなびく藤紫。
淡く優しく、ときに鮮やかに。
刻々と色を変えながら、透明な天が広がってゆく。
「なんて、綺麗」
柔らかな光がオルフェンを包み込む。
「あなた方は同じ木の枝から作られた魔除けを身につけていましたからね。それらがお互いに呼び合い、『不死の乙女』をこの地へと導いたのかも知れません」
ドウンはオルフェンの傍らに立ち、眩しそうに空を見上げて歌うように言葉を紡いだ。
金のオルフェン。
大いなる女神、ダヌの娘よ。
その健やかなる魂。
昏き地にありて、なお輝きを失わず。
その光もて死の国を照らす。
ほろほろと、花が散り始める。
小さな花弁が、雪のように冥界の王とダヌの娘の上に降りかかる。キアランとフランが、仔犬のように花の下をはしゃぎ回った。
「あなたが菓子の中から引き当てた二つの王冠。そのうちの一つはここにあったのですね」
「何ですって! 王冠?」
血相を変えるオルフェンに、ドウンはくっと笑いをこらえた。
「あなたの頭上に、ほら」
恐る恐るオルフェンが自分の頭に手をやると、積もった花びらがひらひらと舞った。
「ナナカマドからの贈り物、花の冠ですよ。これからこの木は、たくさんの亡者を救うことでしょう。いずれあなたは、『魂の導き手』と呼ばれるようになるのでしょうね。おや、これは『不死の乙女』と同等か、それ以上の題材になりそうだ。詩人たちが競ってあなたの歌を歌うでしょう」
金のオルフェン。
亡者の救い手。
魂を導く者。
ナナカマドの女王。
それから――。
可笑しそうに指を折って数えるドウンに、オルフェンが食ってかかる。
「からかっているのね、ひどい!」
「おっと。乱暴な女王さまですね」
オルフェンのこぶしを受け止めて、ドウンは笑った。
ついぞ聞いたことのない冥王の屈託のない笑い声に、ワタリガラスたちは鳴りを潜め、影たちは動きを止めて何事かと様子を窺った。
ナナカマドの花が散る。
枝がしなるほど、たわわに実をつける。
やがてその赤い実は、懐かしい家路を照らす灯火となり、さまよえる亡者たちを魂の帰るべき場所へと導くだろう。
* * *
長靴がくちゃくちゃと音を立てる。中に水が入っているせいだ。
「くそっ、なんでこんなに脱ぎにくいんだ」
騎士の長靴は武防具だ。着脱に手間がかかるのは当たり前。さらに革が水をたっぷり吸って膨張しているものだから、足から引き抜くだけでもひと仕事だ。
「あいつら、どこまで行ったんだか。帰ってきやしねえ」
片足でバランスを取りながら長靴をひっくり返す。さあっと水がこぼれ出た。
魔法を使えば手っ取り早いが、ここは冥王の領域だ。どんな小さな術であれ、了承を得なければ後々面倒なことになる。
「ああ、もう……!」
諦めてどっかりとクローバーの絨毯に腰を下ろす。乾いたとしても、どうせまた帰るときには泉に飛び込まなくてはならないのだ。
あたりが静かなうちに、ここに来た目的を果たしておく方が良さそうだ。
―――白い薔薇。
聖堂にあっては、聖女エレインを象徴する花である。
一輪の薔薇にそっと手を伸ばす。
泉の傍らで、芳しい香気を放っている。エリウが教えてくれたのは、この花で間違いあるまい。
他の薔薇との違いは棘を持たないこと。そして花の奥に金色の光を秘めていること。
「これをエレインの中に戻せばいいんだが、さて」
花だけを手折ればよいのか、根っこの先まで必要なのか。彼女の許に還るまで、枯れずにいてくれるだろうか。
「ここに来さえすれば何とかなると思ったが、甘かったか」
花が教えてくれればいいのに、と勝手なことを考えながら白い薔薇を撫でる。
かつて嵐の夜、森の庵に運び込まれた瀕死の子猫を介抱したときのように、いや、それよりもずっと優しい手つきで。
「うん?」
空が明るくなった気がして振り仰ぐ。どんよりとした靄の色が変わってゆくのが見えた。
それが珍しいことなのか、よくある現象なのかは分からない。ただ、
(冥界にも光は射すのだな)
漠然とそう思った。
空の色は刻々と変わる。
待っても待っても、誰も帰ってこない。
「仕方ねえな」
不案内なこの世で動き回るのは気が進まないが、そうも言っていられない。時間制限もある。夜が明ける前に戻らないと、道が閉ざされる。
「よっこら、せーの」
年寄じみた掛け声とともに重い腰を上げ、片膝をつく。とりあえず、あの光が見える方に向かえばいいだろう、と。
薔薇が強く香った。はっと振り返ると、白い花の光が強く淡く明滅している。まるで呼吸をしているかのように。
「何の前触れだ」
上げかけた腰を再び下ろし、固唾をのんで薔薇を見守る。
中庭に面した回廊の方から彼を呼ぶ声がした。
(いた!)
探し人の姿を見つけ、エレインの胸は高鳴った。
冥界の王の城。その中庭にある泉のほとりで、薔薇の花を見つめている。
聖騎士の出で立ち。赤い髪は、陽だまりの野いちごの色。
(あたしが失くしたものは、きっと彼のそばにある)
胸の内で、確信が強まってゆく。
エリウの丘で出会ったのは偶然ではない。いや、自分が忘れているだけで、すでにどこかで会っていたのかもしれない。
湖の島、ニムのもとで。あるいはもっと昔に。
彼と共に過ごしたこのひと月ほどの間に、自分は変わった。さまざまな人に出会い、とんでもない目にも遭った。
声をかけようとして、彼女は迷った。
(何と呼べばいいのかしら)
聖騎士さま、フラン、それとも―――。
軽く頷いて、エレインは彼の方に向けて駆け出した。
「――――!」
自分でもびっくりするほど大きな声が出た。
男が振り返る。驚いたような顔をして、こちらを見ている。
(楽しい!)
駆けて、駆けて、最後につまずいて、慌てて手を差し伸べた男の胸にぶつかってしまった。
「うおっ。何てことをするんだ」
頭の上で声がした。
バランスを崩し、二人して倒れ込む。倒れ込んだその下には泉があった。
水面がゆっくりゆっくり近づいてくる。
―――わたしは、ここ。
泉の岸辺から、白い腕がエレインに差し伸べられた。
夢中でその手を掴む。
柔らかな手応えが握った手のひらの中でくしゃりと潰れて、淡雪のように溶けた。
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