「愛されたかっただけ…」1番目の父と8番目の母・私と最後の弟

フミヤ

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中学1年生になって

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私の行く中学校は、元々通っていた小学校の生徒のほとんどが通う事となる為、私は入学前から特に何も期待していなかった。
一応別の小学校からも来るのだが、どう接したら良いのかも分からなかった。
ただ静かに3年間終わればそれで良いと思っていたから…

中学校の入学式は何の感動も無く終わり、やはり両親は来なかった為保護者説明会も私が聞く事になった。
帰ってからその内容を一応お母さんに伝えた時、お母さんはある内容にとても露骨に嫌な顔をした。
それは入学後1週間後辺りから始まる「弁当」だ。
そんな露骨に嫌な顔をした理由は、実は私に作るのが嫌だから…だけではなかった。
それは父の怠け癖がどんどんエスカレートしていたからで、この頃の父はほとんど仕事に行っていなかった。
自営業なので確かに自由なのだが、たこ焼きや焼き鳥を売ってきてナンボなのに、そもそも売りに行かない。
そして毎日朝から飲みながらテレビゲームの三国志をピッピコピッピコやっているだけ。
これでは収入等無いのは、その頃の私でも理解出来る。
私の記憶では週に1回仕事に行ったかどうか程度だと思う。
元々サラリーマン時代から学も無くしがない運送会社で働いてたから貧乏なのに更に貧乏度数が加速していくのを、お母さんは色々切り崩しながら遣り繰りしていた。
その結果私の弁当のおかずは、前の日の父のツマミの残りでもう食前には出せなさそうな物・傷んできて売り物にならなくなった焼き鳥を適当に焼いた物etc…が主流となったが、食べられるだけで私は良かった。
中学校は小学校よりも遠い場所にあった。
徒歩20分はかかっただろう。
だから小学時代よりも自由な時間を多く作れた。
弁当では物足りない腹を膨らませる為に、近くの山で木の実を食べたり海で貝や蟹を取って食べたりした。
小学校の頃より正直「食生活」は満たされていた。

もう1つ中学生活で嬉しかったのは制服での登下校だ。
相変わらず私服は増えないが、制服で毎日通えば良いので見た目汚かったりしない。
その結果小学時代に私をイジメてたイジメっ子達が、他の小学校から来た子達に「アイツ汚ない」とか「アイツの家貧乏」だとか触れ回っても、あまり効果が無かったそうだ。
そこに追い討ちをかける様に、ある日イジメっ子達の主立った数人が3年生に呼び出された。
実はこの中学校の卒業生が、私の小学校の卒業式を祝ってくれたお兄ちゃん達なのだ。
そして3年生はそのお兄ちゃん達のいる暴走族の予備軍だったのだ。
後から聞いた話では、少し小突かれ脅された程度らしいが、所詮弱いと思う相手だけをイジめる様なヤツらには効果てきめんだったようだ。
この日を境に私へのイジメが無くなった。
また3年生の女子達からも可愛がって貰ったのも同級生達から羨ましく見られる事となった。
理由は3年生の中で人気のある女子がお兄ちゃん達の中の1人の妹だったからだ。
こうなってくると今までとは真逆で、先輩方に好かれたいと思ってる同級生達が私に間に入って貰えたらと寄ってくる様にまでなる。
そして数人だが初めて友達も出来た。
ただ下校後は外に出れる事は無かった…

中学になると「部活」がある。
私の通う中学では必ずどこかの部活に所属すると言うルールがあったが、私は入学当初から部活に入る事は父に禁止されていた。
「部活なんかやってる暇あったら勉強しろ!」と言う。
学校ではその内それぞれが部活を見学したり仮入部したりして選び、個々にやりたい部活へ所属する。
私は担任の先生から催促されるも暫くはどうにかのらりくらりと躱していた。
しかし1ヶ月も過ぎてくるともうほとんどの生徒が部活へ所属していた為、段々躱すのが難しくなっていった。
その数日後…とうとう私以外の生徒は皆部活に所属していた。
私は職員室に呼び出され問いただされる。
仕方なく「家の事情で父が反対しています。」と伝え、親と話して下さいとお願いした。
正直言うと私は野球部に入りたかった。
ここで先生に話して貰う事でもしかしたら…と淡い期待をしていたのも事実だ。
その淡い期待を胸に下校した私は、家に入るなり殴られた。
そして父は「部活なんか入れさせないとはっきり言っといたからな!」と怒鳴りまた飲みだした。

こうして中学初の帰宅部が誕生する。
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