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虚空に呻く者
“リュウジン”研究ラボ《生体隔離筺室》:ナギ、回収
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そのころ、、、
救難艇《カラステング》が帰還し、“ツクモ”より回収されたナギが生体観測ラボの最奥に存在する事を隔離研究室に運び込まれた。
厳重に封印された強化ガラスが上部を覆う半円柱型の生命維持装置に入れられており、探索スーツを着用したままだ。
遠隔マニピュレーターで生命維持装置に入れられ、さらに隔離コンテナに封入後、“カラステング”の格納庫に収容され、そのままの状態でここまで輸送されてきたのだ。
その間に、生命維持装置に搭載された簡易測定された生体データは送られてきている。
バイタルデータは正常。
いや、身体的活動能力を示す数値は、探索以前よりも上昇しているほどだった。
意識を失っている状態を目視して、始めて異常と察知できるような数値。
生命維持装置ごと搬入されたナギは、さらに汚染隔離のために二重に封印されたコンテナに入れられ、リュウジン基地の最奥部、、、厚い障壁で守られた生体隔離筺室の中に入る。
強化ガラスで覆われた隔離筺室の周囲にはユイチ、シンを始めとした研究員達が並び、部屋を覗き込む。
筺室の外壁に、深紅の警告文字が浮かぶ。
《生体隔離筺室:完全遮断》
その瞬間、ナギは世界から切り離され、この小さな透明の“檻”だけが、彼の世界となった。
ナギの入れられた二重構造のコンテナは、外殻は黒光りする計算金属、内殻は透明度の低い強化複合ガラスで覆われている。
近づくだけで、空気がひんやりと閉じるような気配があった。
カシャン
ギギギ
外殻の重いロックが解ける音がマイクを通し、スピーカーきら聞こえる。
まずコンテナが開き、半円形の生命維持装置が現れる。
ガラス越し、探索スーツを着けたナギの姿が現れる。
白目を剥き、意識を失っている。
時折、ビクンビクンと身体が痙攣する。
その姿は、まさしく、悪夢に苛まされるスリーピング・ビューティーだった。
内部の灯がゆっくり点灯し、青白い光が、半円柱の装置に入ったままのナギの身体を照らす。
筺室の内部は“部屋”という概念から外れ、実験のために完璧に隔離された一つの空間でしかなかった。
床は白銀色の生体反応吸収材で覆われ、踏みしめるたびに微かに沈む柔らかさがある一方で、
ナノスキャン粒子が常に舞い、すべての菌類・寄生因子を焼却する。
四方の壁は透明な強化ガラス。
ガラスは微細な解析パネルでもあり、ナギの姿・心拍・神経活動を立体映像で読み取れる。
天井には筒状のマニピュレーターアームが六本待機し、その根元からは治療機器、検体採取器、洗浄ノズルまでが蜘蛛の巣のように折り畳まれていた。
ナギが横たわる生命維持装置の下には、寄生因子対策用の高熱処理プレートが常時稼働し、低く唸る音が筺室に満ちている。
遠隔操作でロックが外れ、ナギが入った半円柱装置の蓋が静かに持ち上がる。
ナギの姿が剥き出しとなる。
その身体は強張り、おそらく寄生による痙攣が断続的に走っている。
装置内部の微細な霧が照明に照らされ、ナギの逞しくも繊細な輪郭を浮かび上がらせる。
呼吸が乱れているせいでスーツの胸部補助パーツが微振動し、白目を剥く整った顔は痙攣と共に歪む。
“生命維持装置、筺室内に固定。スーツ外殻を保持しつつ、生体スキャンに移行します”
落ち着いた装置の音声報告。
装置の下部が筺室の床に密着し、重力固定の音が低く鳴る。
次の瞬間、筺室内部の空気が「息を吸った」ように揺れた。
ゆっくり、ゆっくりと、筺室の照明がナギに向かい収束する。
部屋全体が彼ひとりを観測する装置と化している。
マニピュレーターアームが一本降り、スーツの外殻に触れ、無数のセンサー光がナギの全身を走査する。
探索スーツがその逞しい体躯の起伏にわずかな皺を刻み、光がその上を滑る。
強靭で、しなやかで美しい肉体。
今は、採集された異星原生物“ツクモ”が寄生する採集容器でしかない。
救難艇《カラステング》が帰還し、“ツクモ”より回収されたナギが生体観測ラボの最奥に存在する事を隔離研究室に運び込まれた。
厳重に封印された強化ガラスが上部を覆う半円柱型の生命維持装置に入れられており、探索スーツを着用したままだ。
遠隔マニピュレーターで生命維持装置に入れられ、さらに隔離コンテナに封入後、“カラステング”の格納庫に収容され、そのままの状態でここまで輸送されてきたのだ。
その間に、生命維持装置に搭載された簡易測定された生体データは送られてきている。
バイタルデータは正常。
いや、身体的活動能力を示す数値は、探索以前よりも上昇しているほどだった。
意識を失っている状態を目視して、始めて異常と察知できるような数値。
生命維持装置ごと搬入されたナギは、さらに汚染隔離のために二重に封印されたコンテナに入れられ、リュウジン基地の最奥部、、、厚い障壁で守られた生体隔離筺室の中に入る。
強化ガラスで覆われた隔離筺室の周囲にはユイチ、シンを始めとした研究員達が並び、部屋を覗き込む。
筺室の外壁に、深紅の警告文字が浮かぶ。
《生体隔離筺室:完全遮断》
その瞬間、ナギは世界から切り離され、この小さな透明の“檻”だけが、彼の世界となった。
ナギの入れられた二重構造のコンテナは、外殻は黒光りする計算金属、内殻は透明度の低い強化複合ガラスで覆われている。
近づくだけで、空気がひんやりと閉じるような気配があった。
カシャン
ギギギ
外殻の重いロックが解ける音がマイクを通し、スピーカーきら聞こえる。
まずコンテナが開き、半円形の生命維持装置が現れる。
ガラス越し、探索スーツを着けたナギの姿が現れる。
白目を剥き、意識を失っている。
時折、ビクンビクンと身体が痙攣する。
その姿は、まさしく、悪夢に苛まされるスリーピング・ビューティーだった。
内部の灯がゆっくり点灯し、青白い光が、半円柱の装置に入ったままのナギの身体を照らす。
筺室の内部は“部屋”という概念から外れ、実験のために完璧に隔離された一つの空間でしかなかった。
床は白銀色の生体反応吸収材で覆われ、踏みしめるたびに微かに沈む柔らかさがある一方で、
ナノスキャン粒子が常に舞い、すべての菌類・寄生因子を焼却する。
四方の壁は透明な強化ガラス。
ガラスは微細な解析パネルでもあり、ナギの姿・心拍・神経活動を立体映像で読み取れる。
天井には筒状のマニピュレーターアームが六本待機し、その根元からは治療機器、検体採取器、洗浄ノズルまでが蜘蛛の巣のように折り畳まれていた。
ナギが横たわる生命維持装置の下には、寄生因子対策用の高熱処理プレートが常時稼働し、低く唸る音が筺室に満ちている。
遠隔操作でロックが外れ、ナギが入った半円柱装置の蓋が静かに持ち上がる。
ナギの姿が剥き出しとなる。
その身体は強張り、おそらく寄生による痙攣が断続的に走っている。
装置内部の微細な霧が照明に照らされ、ナギの逞しくも繊細な輪郭を浮かび上がらせる。
呼吸が乱れているせいでスーツの胸部補助パーツが微振動し、白目を剥く整った顔は痙攣と共に歪む。
“生命維持装置、筺室内に固定。スーツ外殻を保持しつつ、生体スキャンに移行します”
落ち着いた装置の音声報告。
装置の下部が筺室の床に密着し、重力固定の音が低く鳴る。
次の瞬間、筺室内部の空気が「息を吸った」ように揺れた。
ゆっくり、ゆっくりと、筺室の照明がナギに向かい収束する。
部屋全体が彼ひとりを観測する装置と化している。
マニピュレーターアームが一本降り、スーツの外殻に触れ、無数のセンサー光がナギの全身を走査する。
探索スーツがその逞しい体躯の起伏にわずかな皺を刻み、光がその上を滑る。
強靭で、しなやかで美しい肉体。
今は、採集された異星原生物“ツクモ”が寄生する採集容器でしかない。
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