30年待たされた異世界転移

明之 想

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第12章 激闘編

安全確保


「ァァァァ……」

 最後の1頭。
 エビルズマリスの分体らしき竜種の眼から光が消えていく。
 これで、全魔物の討伐完了だ。

「コーキさん!」

 倒れた魔物を避けながら近づいて来るセレス様。上着は若干汚れているものの外傷は見当たらない。

「「「「「コーキ殿!」」」」」

 一方、セレス様を護るべく奮戦していた騎士たちは結構な傷を負っている。それでも、即命に関わるほどじゃない。とりあえず、一安心といったところか。

「コーキさん……ありがとうございました」

「いえ、遅くなってすみません」

「そんな、また助けてもらったのに」

「助けるのは当然ですよ。そう約束したのですから」

「コーキさん……」

 言葉を飲み込んだセレス様の顔には申し訳なさが滲み出ている。が、驚きは皆無。数日前まで白都にいた俺が突然山中に現れるなんて想像もできないはずなのに。

 これは、あれか?
 あれなのか?

 と、それはともかく。

「お怪我はありませんか、セレス様?」

 今はできるだけ早くギリオンとシアのもとへ向かいたい。そのためには、すべきことを急ぐ必要がある。

「あっ、はい。大丈夫です」

 返答通り、外から見えない箇所を痛めていることも無さそうだし、我慢している感もない。

「私より皆が……」

「では、そちらを治療しましょう」

 完璧に治す時間はないので簡易治療になるが。



 魔法による治療を終え、皆からの過度とも思える感謝を受けた後。

 さて、どうするか?
 セレス様たちとはここで別れ目的地まで急行したいところだが、このまま何の対処もせず去るわけにもいかない。かといって、同行は時間的に厳しいものがある。

「……」

 現時点で周囲に脅威となる魔物の気配はなし。
 エンノア地下までの経路にも問題はなさそうだ。
 とはいえ、ここはテポレン山。
 いつどこから魔物が現れるか分かったもんじゃない。

 なら、今できる対策、安全確保策は……。

 ノワール。
 あいつを出すしかないか。

 可能ならもう少し休ませたい。
 走力、戦闘力ともに通常時の半分も出せない状態のノワールに頼るのは、正直気が引ける。それでも、背に腹は代えられぬというもの。

「あの、コーキさんはこれから?」

「この先に不穏な気配がありますので、そちらを確かめに行くつもりです。なので、セレス様の護衛に……ノワール!」

 俺の呼びかけに答えるように出現した闇色の空間から。

「オオーーン!」

 相棒の登場だ。

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