30年待たされた異世界転移

明之 想

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第12章 激闘編

拘束


<ヴァーンベック視点>



「だったら、もう少し様子を見ようぜ。ヴァーンもさっきそう言ってたじゃねえか」

「……」

「治療が上手くいくかもしんねえんだ。邪魔しねえ方がいいって」

「さっきとは状況が違う。ここはもう傍観していい場面じゃない」

「いや、おめえ……前回のこともあんだからよ」

「サージ、前回のことは切り離して考えろ」

 そもそもの前提が違うんだ。
 こっからは切り替えて動くべき。

「本当は分かってるよな、サージも」

「そりゃあ……」

 まだ認めたくない、か。
 なら、それでいい。
 けど、こっからは動いてもらうぞ。

「今は時間がもったいない。すぐに……」

「うぐっ!」

 ギリオン!?

「ぐがガッ!」

 眼から光が消えてる!

「急げ、サージ!」

「お、おう」

「ががガガ!」

 奇声を上げ震え出したギリオンの両肩をサージが抑えつけ。
 後ろに回った俺が縄で縛っていく。

 が。

「ギリオン、この野郎!」

 上手く進まない。

「大人しくしやがれ!」

 暴れっぷりが予想をはるかに超えている。
 四肢の力もとんでもないぞ。
 明らかに前回以上だ。

「ががガガガ!」

 サージも俺も振り払われないようにするので精いっぱい。
 手も痺れる一方。

「くっ! こいつ縛れんのか、ヴァーン?」

「やるしかないだろ」

 ここで解き放つと、今以上に厄介なことになってしまう。
 それだけは回避したい。

「まあ……そうだな」

「何とか耐えてくれ」

「ヴァーンもな」

「もちろんだ」

 腕力と握力を出し尽くしてでも縛ってやる。
 拘束してやる。

 そう力を入れなおした瞬間。

「ガががあァア!」

 また力が上がった?

「おわっ!」

 まずい!
 サージの両手が振り払われてる。
 俺の右手も持ってかれた。
 残る左も!
 駄目だ!

 もう抑えきれない。

「ぐガアアァ!!」

「っ!」

 サージと俺から逃れ、目の前で仁王立ちするギリオン。
 鱗化し狂化を遂げたギリオンが天に向かって喚声を放っている。

「ああぁあアアア!!」

 ただし、衝撃波は生まれていない。
 こっちを威圧する力も含まれてない。
 これなら、再び拘束に向かえるはず。


「ギリオン、さん!?」

 シアの声?
 そうだ!
 シアとブリギッテはどうしてる?

「危ない、出ちゃだめ!」

「けど、ギリオンさんが!」

「それでもだめ!」

「ブリギッテさん」

「ヴァーンとサージに任せましょ、ねっ」

「……」

「大丈夫、こっちも魔法で援護するから」

「だったら、私も。私がもっと近くで治療すれば」

「いいえ、シアさんはここを動かいで」

「……」

「私たちを信じて、お願い」

「……」

「お願いよ、シアさん」

「……はい」

 上手く宥めてくれたんだな、ブリギッテ。
 よかった。

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