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第12章 激闘編
選択 2
<ヴァーンベック視点>
「クビダ!」
鱗が薄れた今の首元なら剣も通る。
一撃で決着をつけることも可能かもしれない。
できるかもしれない、が……俺にやれるのか?
ずっと一緒にやってきたこいつを?
「キレ!」
「駄目よ、ヴァーン!」
「……」
斬れない。
斬りたくない。
冒険者として、戦士として、俺はこれまで多くの血を浴びてきた。
もちろん、その全てが正義だったわけじゃないが、そこに後悔は微塵も残してない。
必要だったから。
剣を血で濡らすことに迷いはなかったんだ。
けど、今回は違う。
「っ!」
バカげてる。
狂ってる。
正気の沙汰じゃねえ!
「キレ!」
「駄目!」
「ハヤ、ク!」
ギリオンの剣が大きく揺れてる。
「やめて!!」
俺の腕を掴むシアの手が熱い。
2人の思いが……。
いったい、どうすりゃいいんだ!
「マヨウナ!」
「ギリオン……」
失いたくねえ。
無二の友なんだ。
名誉、力、夢、どんなもんだろうと、おまえの命の方が上なんだぞ!
ただ今は……。
「シアヲ、マモレ!」
そう。
シアがいる。
何よりも大切なシアが。
「……」
なら、心を決めるしかねえ。
腹をくくって選ぶしか。
剣を握り直す。
腕に力を込めてシアの手を振り払う。
「ヴァーン!?」
そのままギリオンの前へ。
「覚悟はいいか?」
「……オウ」
「いくぞ!」
「ハヤク、シロ!」
これで最後なのに、何だよ、それ。
くそっ!
「ギリオン……お別れだ」
「アア」
「……悪くなかった」
「……」
「おめえとの時間、悪くなかったぜ」
「……ソウ、ダナ」
っ!
「あばよ!」
**************************
遡行後の急行はほぼ予定通り。
セレス様を助けるという不測の出来事はあったものの、それ以外は大きな問題もなく進めている。
「……」
今の俺は足下が見えないほどに木々が茂った獣道を抜け、開けた坂道を疾走中。
目指す場所も近い。
このペースで走れば、前回より四半刻から半刻は早く到着できるだろう。
これだけ時間を稼いだんだ、対処も容易なはず。
ギリオンとシアの2人を助けることができる。
と思うのだが……。
感知異状が続いているからか、嫌な予感が消えてくれない。
前回との違いも、どうしても気になってしまう。
「……」
もちろん、すべてが杞憂である可能性は高い。
遡行前に比べ多少の違いはあるものの、この先の惨事に関わるようなことは何もしていないのだから。
と自分を納得させながら駆けること数分。
「もうすぐだ」
目的地はこの坂道の先。
そこに無事なギリオンとシアがいる。
皆がいる。
「クビダ!」
鱗が薄れた今の首元なら剣も通る。
一撃で決着をつけることも可能かもしれない。
できるかもしれない、が……俺にやれるのか?
ずっと一緒にやってきたこいつを?
「キレ!」
「駄目よ、ヴァーン!」
「……」
斬れない。
斬りたくない。
冒険者として、戦士として、俺はこれまで多くの血を浴びてきた。
もちろん、その全てが正義だったわけじゃないが、そこに後悔は微塵も残してない。
必要だったから。
剣を血で濡らすことに迷いはなかったんだ。
けど、今回は違う。
「っ!」
バカげてる。
狂ってる。
正気の沙汰じゃねえ!
「キレ!」
「駄目!」
「ハヤ、ク!」
ギリオンの剣が大きく揺れてる。
「やめて!!」
俺の腕を掴むシアの手が熱い。
2人の思いが……。
いったい、どうすりゃいいんだ!
「マヨウナ!」
「ギリオン……」
失いたくねえ。
無二の友なんだ。
名誉、力、夢、どんなもんだろうと、おまえの命の方が上なんだぞ!
ただ今は……。
「シアヲ、マモレ!」
そう。
シアがいる。
何よりも大切なシアが。
「……」
なら、心を決めるしかねえ。
腹をくくって選ぶしか。
剣を握り直す。
腕に力を込めてシアの手を振り払う。
「ヴァーン!?」
そのままギリオンの前へ。
「覚悟はいいか?」
「……オウ」
「いくぞ!」
「ハヤク、シロ!」
これで最後なのに、何だよ、それ。
くそっ!
「ギリオン……お別れだ」
「アア」
「……悪くなかった」
「……」
「おめえとの時間、悪くなかったぜ」
「……ソウ、ダナ」
っ!
「あばよ!」
**************************
遡行後の急行はほぼ予定通り。
セレス様を助けるという不測の出来事はあったものの、それ以外は大きな問題もなく進めている。
「……」
今の俺は足下が見えないほどに木々が茂った獣道を抜け、開けた坂道を疾走中。
目指す場所も近い。
このペースで走れば、前回より四半刻から半刻は早く到着できるだろう。
これだけ時間を稼いだんだ、対処も容易なはず。
ギリオンとシアの2人を助けることができる。
と思うのだが……。
感知異状が続いているからか、嫌な予感が消えてくれない。
前回との違いも、どうしても気になってしまう。
「……」
もちろん、すべてが杞憂である可能性は高い。
遡行前に比べ多少の違いはあるものの、この先の惨事に関わるようなことは何もしていないのだから。
と自分を納得させながら駆けること数分。
「もうすぐだ」
目的地はこの坂道の先。
そこに無事なギリオンとシアがいる。
皆がいる。
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