30年待たされた異世界転移

明之 想

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第1章 オルドウ編

序2



「ここが神さまの言っていた世界かな」

 大きな家のような建物と建物の間にある小さな道。その砂でできた道の上にぼくは立っているのだけど、ここって本当にちがう世界なのかな。普通の建物と道にしか見えないや。

 考えていてもしかたないので、小さな道を進んでみる。少し歩くと小さな道は終わり、さきには大きな道が広がっていた。

「この道はうちの近くの道とはちがうぞ」

 四角形の石がきれいに並ぶようにして道が作られている。

 すごい!
 こんな道は見たことがない。
 ちがう世界って感じが少しするかも。

 それに大きな道にいるたくさんの人たちも日本人じゃない。
 外人さんのような人ばかりだ。

 うん、うん、ちがう世界だ。
 なんだか、冒険している気分。
 ちょっとワクワクしてきたぞ。

 大きな道を歩いてみる。ひとりで知らないところを歩くのはこわい気もするけど、楽しい気持ちの方が大きい。

 あっちを見たり、こっちを見たり、めずらしいものがいっぱいで本当に楽しいな。

 あっ、あそこに果物と野菜が売っているぞ。
 道の端に広げるようにして果物と野菜が並んでいる。
 みかんっぽいのや、リンゴっぽいのもあるけど。
 見たこともないような果物がたくさんある。

 おいしそうだなぁ……。

「ん、ぼうず、お使いか?」

 少しの間ながめていると、果物を売っているおじさんが声をかけてくれた。

「えっ! ちがいます。でも、これおいしそうだなって…」

 みかんのようなレモンのような果物が2つに切られて並んでいるんだけど、すごくおいしそうなんだ。

「ヴィーツか、それは美味いぞ。オルドウの名産だからな」

「そうなんですか」

「ぼうず、金は持ってないのか」

「……はい」

「ん~~~、仕方ねえなぁ。これ持ってけ」

「え?」

「今日は特別な日だからな。それに、そいつは客寄せのための展示物だ。そろそろ表面が乾いてきたから別の果物を置こうと思ってたんでな。だもんで、そのヴィーツは廃棄物だ。ぼうずにやるよ」

「本当にいいんですか?」

「ああ、持ってけ。というか、食ってくれ」

「ありがとうございます」

「おお、食べろ食べろ」

「はい」

 もらった果物の皮を少しだけむいて……このまま食べていいのかな?
 ちょっと迷ったけど、思いきってかぶりついてみる。

「……おいしい」

 みかんともレモンともちがう。
 でも、あまくて、あまいだけじゃなくて……。
 うまく言えないけど、ほんとにおいしい。

「そうだろ」

「おいしいです。ありがとうございます」

「おう、良い食べっぷりだな。今度は買いに来てくれよ」

「はい!」

 おじさんにもらった果物は、ホントにホントにおいしかった。
 いつか、またここに来た時にはたくさん買いたいな。
 心からそう思った。


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