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第2章 エンノア編
山に棲む者 5
「申し訳ありませぬ」
「いや、充分じゃ。大したものじゃぞ。皆もそう思うじゃろ」
「はい、私もそう思います」
「スペリス様だからこそ、できる業かと」
「素晴らしき操作術かと」
ほれ、皆もそう思うておるぞ。
まあ、スペリスの自己評価が低いのは昔からじゃな。
「……ありがとうございます」
「感謝するのは、わしの方じゃ」
「ありがたきお言葉です。ですが、私などはゼミア様をはじめとした偉大なる先達の皆様の足元にも及んでおりませぬので」
「ふふ、謙遜は要らぬぞ」
「いえ、決して」
「今のわしの身体では力を使えぬからの」
「……」
「まあ、わしのことはどうでも良いかのう。それで、強度はいかほどじゃ」
「かなり弱いです。さらにはコーキ殿には複数回の操作は難しいかと思われます」
「脆い上に操作回数も1度きりということじゃな」
「そうなるかと」
「ふむ……」
まあ、問題はあるまい。
コーキ殿に対しては、使う気などないからの。
とはいえじゃ。
「それでも1度は使えるのじゃ。安心したか、ミレンよ」
「はっ、要らぬ心配を。申し訳ございませんでした」
「村を心配してのこと、謝罪は不要じゃぞ」
「……はい」
「それで、ゼミア様は処置を考えておられるのでしょうか?」
「ふむ。コーキ殿に我らを害する意図はないようじゃから、現状使う必要はなかろう。ただし、我らの力を知られた場合は……考えるしかあるまい」
我らに害意の無いコーキ殿に、エンノアに入り込んだ不埒者と同じような扱いなどできるはずもない。ましてや、コーキ殿は我らエンノアの救世主たりうる方かもしれぬというのに。
とはいえ、救世主と確定しているわけではないからのう。
今はまだ力を知られるわけにはいかぬじゃろ。
「承知いたしました」
ふむ。
とりあえず、みなも納得したようじゃ。
「ところで、ゼミア様はコーキ殿があの……あの御方になるとお考えですか?」
ゲオ、ミレン、サキュロスは予言については表面的なことを知っているだけじゃが、スペリスはわしと同等の知識を持っておる。じゃから、その考えに至るというのも当然じゃな。
「ふむ、気持ちは分かるが、急いてはいかんのう」
可能性は低くはない、当然否定もできないのじゃが、断定もできまい。
「はっ、申し訳ありません」
今の村の状況を鑑みると、スペリスの気持ちも理解できる。
それどころか、わしも本心ではそう願っておる。
気が急いておるのも同じじゃ。
「今回の訪問の状況、黒髪黒目の容貌、その可能性は今までの中で最も高い……じゃが」
「あの方が共にいませんか」
「そういうことじゃ。現状がいかなるものであろうと、我らが500年守ってきた預言を軽々に断ずることもできまい」
「とすると、確定的判断が下せるまではしばらくは様子を見るということで」
「そうするしかないのう。お主、思う所はあるかの?」
「いえ、ゼミア様のお考えに賛同いたします」
そうは言っても、焦っておるのじゃろう。
スペリスは責任感の強い男じゃから。
「まずは、客人として遇し交流を持ち、今後の様子を見るのがよろしいかと。ただ、どちらにしても御決断はそう遠くない内にと、そう願っております」
「そうじゃの」
このまま放置できる状況でないのは確かじゃ。
あの御方が現れなくとも決断の時は迫っておったのじゃから。
迎陽の時はもうそこまで迫っておる。
我らに繁栄をもたらすか、それとも我らを滅亡へと誘うか。
責任は限りなく重いようじゃな。
……。
「他に意見のある者はおらぬか」
「ゼミア様、よろしいでしょうか」
「サキュルス、何かあるかの?」
思いつめた顔をしておるの。
「はい」
「申してみよ」
「コーキ殿が予言の御方なら、いえ、その可能性がある御方というだけでも……」
ふむ。
「あの病について、意見を伺うことはできませぬか」
「いや、充分じゃ。大したものじゃぞ。皆もそう思うじゃろ」
「はい、私もそう思います」
「スペリス様だからこそ、できる業かと」
「素晴らしき操作術かと」
ほれ、皆もそう思うておるぞ。
まあ、スペリスの自己評価が低いのは昔からじゃな。
「……ありがとうございます」
「感謝するのは、わしの方じゃ」
「ありがたきお言葉です。ですが、私などはゼミア様をはじめとした偉大なる先達の皆様の足元にも及んでおりませぬので」
「ふふ、謙遜は要らぬぞ」
「いえ、決して」
「今のわしの身体では力を使えぬからの」
「……」
「まあ、わしのことはどうでも良いかのう。それで、強度はいかほどじゃ」
「かなり弱いです。さらにはコーキ殿には複数回の操作は難しいかと思われます」
「脆い上に操作回数も1度きりということじゃな」
「そうなるかと」
「ふむ……」
まあ、問題はあるまい。
コーキ殿に対しては、使う気などないからの。
とはいえじゃ。
「それでも1度は使えるのじゃ。安心したか、ミレンよ」
「はっ、要らぬ心配を。申し訳ございませんでした」
「村を心配してのこと、謝罪は不要じゃぞ」
「……はい」
「それで、ゼミア様は処置を考えておられるのでしょうか?」
「ふむ。コーキ殿に我らを害する意図はないようじゃから、現状使う必要はなかろう。ただし、我らの力を知られた場合は……考えるしかあるまい」
我らに害意の無いコーキ殿に、エンノアに入り込んだ不埒者と同じような扱いなどできるはずもない。ましてや、コーキ殿は我らエンノアの救世主たりうる方かもしれぬというのに。
とはいえ、救世主と確定しているわけではないからのう。
今はまだ力を知られるわけにはいかぬじゃろ。
「承知いたしました」
ふむ。
とりあえず、みなも納得したようじゃ。
「ところで、ゼミア様はコーキ殿があの……あの御方になるとお考えですか?」
ゲオ、ミレン、サキュロスは予言については表面的なことを知っているだけじゃが、スペリスはわしと同等の知識を持っておる。じゃから、その考えに至るというのも当然じゃな。
「ふむ、気持ちは分かるが、急いてはいかんのう」
可能性は低くはない、当然否定もできないのじゃが、断定もできまい。
「はっ、申し訳ありません」
今の村の状況を鑑みると、スペリスの気持ちも理解できる。
それどころか、わしも本心ではそう願っておる。
気が急いておるのも同じじゃ。
「今回の訪問の状況、黒髪黒目の容貌、その可能性は今までの中で最も高い……じゃが」
「あの方が共にいませんか」
「そういうことじゃ。現状がいかなるものであろうと、我らが500年守ってきた預言を軽々に断ずることもできまい」
「とすると、確定的判断が下せるまではしばらくは様子を見るということで」
「そうするしかないのう。お主、思う所はあるかの?」
「いえ、ゼミア様のお考えに賛同いたします」
そうは言っても、焦っておるのじゃろう。
スペリスは責任感の強い男じゃから。
「まずは、客人として遇し交流を持ち、今後の様子を見るのがよろしいかと。ただ、どちらにしても御決断はそう遠くない内にと、そう願っております」
「そうじゃの」
このまま放置できる状況でないのは確かじゃ。
あの御方が現れなくとも決断の時は迫っておったのじゃから。
迎陽の時はもうそこまで迫っておる。
我らに繁栄をもたらすか、それとも我らを滅亡へと誘うか。
責任は限りなく重いようじゃな。
……。
「他に意見のある者はおらぬか」
「ゼミア様、よろしいでしょうか」
「サキュルス、何かあるかの?」
思いつめた顔をしておるの。
「はい」
「申してみよ」
「コーキ殿が予言の御方なら、いえ、その可能性がある御方というだけでも……」
ふむ。
「あの病について、意見を伺うことはできませぬか」
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