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第2章 エンノア編
異能 1
しおりを挟む「予知……」
誰ともなく呟く声が聞こえてくる。
「厳密に言うと少し違うのですが、予知に近い能力を使い、この地に私が癒すべき方々がいると知ったのです」
リセットを使っているわけだから、嘘とまでは言えないだろう。
「それは……」
「もちろん、信じるかどうかは皆さんの自由です」
「……信じます」
「私も」
「私もです」
「私も」
ゼミアさんの声に続き、全員が信じると口にする。
こうも簡単に信用されると、拍子抜けするような申し訳ないような複雑な心境になるが、ここからが本題だからな。
「信じていただき、ありがとうございます。それで、もうひとつ私に見えたモノがありまして、それは……」
「……」
「……」
「……」
「……」
再び場が静まってしまう。
「あなた方、エンノアの皆さんには一般人が持ちえぬ力、異能がある」
皆黙ったまま。
「それが見えたのです」
異能が見えるというのは、どう考えても予知ではないだろうが。
ここは押し切らせてもらおう。
「……」
緊張から解き放たれたように息を吐く4人。
ん?
この反応は何だ。
「それは、どのような異能なのでしょう」
「……記憶を操作する異能です」
「なんと!」
「そこまで見えるとは!」
「……」
「……」
「ということは、事実なのですね」
「……はい」
「そうですか」
やはり持っていたんだな。
人の記憶を操るなんて容易には信じ難い能力だが、それを言うなら、俺のセーブ&リセットも充分異常な力だ。
それに、ここは異世界。
なら、その存在自体は信じることができる。
「となりますと、私としても正直警戒せざるを得ません」
今この時点で既に記憶操作されている可能性もある。
そう考えただけでも、落ち着かない気分になるな。
「それは誤解です」
「そうです、我らはコーキ殿にそのようなこと決していたしません」
「コーキさん、約束します」
「皆の言う通りです。大恩ある方に、決してそのような失礼はいたしません」
そうは言っても、前回の時間の流れの中では多分使われているからな。
ただもし、今回使われていないのならば、前回のことを責めるわけにはいかないんだよ。
そこを詳しく話せないのが何とももどかしい。
「では、どのような時に使われるのですか」
「エンノアが危機に陥る可能性がある時です」
「フォルディ様、よろしいのですか?」
「サキュルス、ここは正直に話すべきだと思う」
「ゼミア様もそのように?」
「コーキ殿に隠すわけにはいくまい」
「……分かりました。出過ぎたことを、申し訳ございません」
「コーキ殿、サキュルスの発言はエンノアを心配してのこと、どうかお許しください」
ゼミアさんが謝罪をしてくれる。
サキュルスさんも頭を下げている。
「もちろんです、サキュルスさんの心配も分かりますので」
「ありがとうございます。……フォルディ、続きを」
「はい。コーキさん、まずエンノアがなぜ地下に住んでいるかを簡単に説明します」
「お願いします」
「エンノアの者にとってテポレン山は聖地ともいえる場所です。太古の昔、我らの祖先がこの地でトトメリウス神から加護を与えられて以来、変わることなく聖地であり続けてきました」
トトメリウス神というのは広場にある石像、鳥頭人身の神様のことだな。
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