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第3章 救出編
智と時と魔法を司るもの 2
異世界での活動で、安全が担保されないという不安。
夕連亭での失敗や、エンノアでの失敗から立ち直れたのはリセットのおかげなのに。
今後はもうその助けを得られない。
不安で胸が痛くなる。
が、それでも。
『不満か』
「いえ……。こちらでの活動を許されただけでも、ありがたいことですから」
そういうことだ。
それだけでも、ありがたいことなんだ。
そもそも、セーブ&リセットなんて、最初は期待していなかった。
トトメリウス様の言う通り、過ぎたる力なんだ。
確かに、不安はある。
あの息苦しさが、戻ってきそうだ……。
情けない。
でも、異世界に来れなくなることを考えれば……。
そうだ。
これくらい、問題じゃない!
「異世界!? 異世界の者って……」
隣でセレスさんが、うわごとのように何かつぶやいている。
『ならば好し。他のことは大目に見てやろう』
「……はい。ありがとうございます」
とにかく、今後もこの地で活動できるのだから、幸運と思わなければいけない。
神様からのお墨付きを得ることができたのだから。
「……」
けれど、こうなると。
地下大空洞からの脱出に失敗は許されない。
そういう状況なってしまった。
『そうじゃ。彼のものから過度の肩入れがないか、そちらの監察は必要じゃな』
「そうなのですか?」
『心配は無用じゃ。問題がないか、たまに見るだけじゃ』
「……分かりました」
たまに見られるだけなら。
『あとは、基本的に自由にして良い。今のそなたには問題を起こす力はないからの。ただ、彼のものから過度な力を得た場合は問題も生じ得る』
「……」
『それゆえ、監察が必要なのじゃ』
それは分かりますが、神様同士で話し合いとかされないのでしょうか?
とは聞けないか。
「了解いたしました」
『それと、テポレン山では足下に注意するように』
「それは、どういう意味でしょう?」
『吾の気とそなたに加護を与えたものの気が反応して、吾が領域の周辺が緩むのじゃ。其方がテポレン山で崩落に巻き込まれやすいのもそのためじゃからな』
そうだったのか。
それで、何度も地中に落ちる羽目に。
セレス様の足下も、そういうことか。
全部、俺の責任じゃないか!
『吾も地盤強化はしておくので、そう心配はないと思うのじゃが、一応用心はしておくように』
「分かりました」
そろそろ、この場を去りたいところだ。
そして、はやく脱出への手掛かりを探さないと。
いや、待てよ。
神さまに聞けば、あの地下大空洞からの脱出の仕方も教えてもらえるんじゃないのか。
そうだ、神様なら当然知っているはず。
そこまで甘えていいのかは別の話であるけれど。
……とりあえず。
「それで、私たちはこの場から、どうやって立ち去れば良いのでしょうか?」
『ふむ、吾が送ってやろう。どこに行きたいのじゃ?』
送ってくれると。
それはそれで、ありがたいのだけど。
「あのテポレン地中の大空洞の中では?」
『そうか、そうじゃった。其方らは、彼の地で彷徨っておったんじゃの。ふむ、そこに戻ってまた彷徨いたいのかの?』
これは、またとない機会。
「彷徨いたくはありません。トトメリウス様、あの地下大空洞からの出口を教えていただけないでしょうか」
『出口など不要じゃ。そなたらが彷徨っていた地は、この場ほどではないが吾の占有する領域の1つじゃぞ。その中で吾にできぬことなど存在せぬわ。そもそも、テポレン山の全てが吾の領域のようなものじゃしな』
「と言いますと」
『テポレンなら、何処なりと其方らを瞬時に転送してやろう』
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