307 / 1,578
第4章 異能編
幽霊
しおりを挟む幸奈と別れた俺は、無駄だと思いつつも確認のため駅周辺に足を向け。
とりあえず、小走りで駅の周りを一周する。
やはり、武志の姿は見当たらない。
結局、今日も成果はなし。
香澄から目撃情報を得たにもかかわらず、成果はなしだ。
「……」
簡単に見つかるわけがないのは分かってる。
分かってるが、連日の無駄足に精神的疲労が溜まってしまう。
また、足が重くなってしまう。
幸奈とお茶をして少し軽くなっていたというのに。
そんな重い足を引きずるようにして駅を離れた俺が向かうのは一人暮らしの自室。
ただ、今日は少しばかり遠回りして例の公園を確認してから帰ろうと思っている。
足も身体も重いけれど歩いていけない距離じゃないのだから、思い立った時に確認しておきたい。
まあ、今この時間に武志が公園にいるとも思えないか。
「……」
諦念の中の僅かな希望にすがる思いで公園に到着。
入口から公園の中に入る。
公園の中をひとり歩いてたどり着いたのは、古野白さんと俺が閉じ込められていた場所。
何の変哲もない公園の一角だ。
当然、今は何もない。
人影もほとんど見られない。
それは、そうなのだが……。
やっぱり、勘違いじゃないよな。
「……」
後ろに感じていた奇妙な気配。
時折気配が消えたりもしていたので偶然かとも思ったこの気配。
もう間違いない。
尾行に違いないだろう。
しかも、尾行者は。
「そこにいるのは、あの屋上にいた……君かな?」
20メートル以上離れた木陰に向かって声をかけてみる。
木陰に半身以上を隠しているが、そこにいるのはベースボールキャップを目深に被った少年。
「隠れていないで、近くまで来たらどうだ」
「……」
まだ少し距離がある。
前回もしっかりと顔を確認することができなかったし、今もそう。
だから、断定はできない。
が、こいつはあの透けた幽霊少年のはず。
「用があるんだろ?」
この距離で木陰に隠れている状況では鑑定もできない。
姿を現してもらおうか。
「……」
返事がない。
というか、この少年の声を聞いたことがない。
そうだ。
少年はまだ一度も口を開いていないんだ。
いつもただ微笑むだけ。
喋っていない!
「君……」
本当に人間なんだよな?
「……」
木陰の後ろに感じる気配。
一般的な人のそれじゃない。、
何とも奇妙な気配だ。
まさか本物の幽霊?
幽霊の気配?
いや、いや、さすがにそれは。
「……」
前回はできなかった鑑定。
今回こそ鑑定で、正体を暴いてやる。
結果、幽霊だったら……。
それは、その時のことだ
「出て来ないのか?」
「……」
何度尋ねても返答がない。
口を開こうとしない。
「……」
いいだろう。
そっちが来ないというなら、こちらから行くだけ。
警戒しながら、慎重に足を進める。
木陰に向かって一歩、また一歩。
よし、着いたぞ。
この木の後ろに少年が……!
「なっ!?」
いない!
少年がいない!
「……」
少年は木陰にいたはず。
今の今まで、確かに気配があった。
それなのに。
「……」
異能を使って、この僅かな間に姿を消したのか?
それとも、本当に……。
いったい何者なんだ?
「何だか、落ち着かないね」
「……そうだな」
里村の声に、頷いてしまう。
「ボクも同じだよ。あの人たちも、まだ捕まっていないみたいだし」
その通り。
橘は捕まっていないし、武志の消息も掴めていない。
つまり、武志の問題は未解決のまま。
あの不思議な少年のことも……。
そんな状況で、今日これから鷹郷さんに会うんだ。
気が重くなるのも当然だろ。
「やっぱり、ボクも行きたくないかも。うん、行きたくないや」
「里村は、興味あるんじゃないのか?」
「それはさあ、異能には興味あるよ。この前も古野白さんから色々話を聞いて、もうワクワクが止まらなかったし。でも、政府関係の機関なんでしょ。だったら、ボクだってあまり関係持ちたくないよぉ。そこは有馬くんと一緒だから」
さすがの里村も、鷹郷さんとの面談には気後れするんだな。
「でもさ、もう逃げられないんだよね?」
「……ああ」
「だよねぇ」
今さら今回の呼び出しを無視することなんてできない。
仮に今日キャンセルできたところで、問題を先送りするだけだ。
なら。
ここは腹を据えてかかるしかない。
44
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕だけ別な場所に飛ばされた先は異世界の不思議な無人島だった。
アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚…
スマホのネット小説や漫画が好きな少年、洲河 愽(すが だん)。
いつもの様に幼馴染達と学校帰りの公園でくっちゃべっていると地面に突然魔法陣が現れて…
気付くと愽は1人だけ見渡す限り草原の中に突っ立っていた。
愽は幼馴染達を探す為に周囲を捜索してみたが、一緒に飛ばされていた筈の幼馴染達は居なかった。
生きていればいつかは幼馴染達とまた会える!
愽は希望を持って、この不思議な無人島でサバイバル生活を始めるのだった。
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く‼︎」
幼馴染達と一緒に異世界召喚の第四弾。
愽は幼馴染達と離れた場所でサバイバル生活を送るというパラレルストーリー。
はたして愽は、無事に幼馴染達と再会を果たせるのだろうか?
Gランク冒険者のレベル無双〜好き勝手に生きていたら各方面から敵認定されました〜
2nd kanta
ファンタジー
愛する可愛い奥様達の為、俺は理不尽と戦います。
人違いで刺された俺は死ぬ間際に、得体の知れない何者かに異世界に飛ばされた。
そこは、テンプレの勇者召喚の場だった。
しかし召喚された俺の腹にはドスが刺さったままだった。
どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-
すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン]
何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?…
たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。
※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける
縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は……
ゆっくりしていってね!!!
※ 現在書き直し慣行中!!!
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~
専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。
ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。
間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜
舞桜
ファンタジー
「初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎」
突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、
手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、
だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎
神々から貰った加護とスキルで“転生チート無双“
瞳は希少なオッドアイで顔は超絶美人、でも性格は・・・
転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?
だが、死亡する原因には不可解な点が…
数々の事件が巻き起こる中、神様に貰った加護と前世での知識で乗り越えて、
神々と家族からの溺愛され前世での心の傷を癒していくハートフルなストーリー?
様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、
目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“
そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪
*神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのか?のんびりできるといいね!(希望的観測っw)
*投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい
*この作品は“小説家になろう“にも掲載しています
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる