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第5章 王都編
襲撃 3
馬車を背にした守備側の奮闘には目を見張るものがある.
ただ、そうはいっても多勢に無勢。
この数の野盗を相手に、どこまで耐えることができるのか?
魔法を駆使することで今は何とかなっているが……。
「あいつら……妙だと思わないか、兄さん?」
「ええ、野盗の動きとは思えませんね」
襲撃者たちは野盗のような身なりをしているものの、その動きは外見に反して訓練された兵士のように見える。
魔法を受けても崩れない統制。
統率の取れた動き。
黙々粛々とした連係と攻撃。
とても、野盗の動きとは思えない。
「ああ、野盗には見えねえなぁ」
こっちの事情に疎い俺だけでなく、ジンクも同じ意見。
となると、ただの野盗じゃない可能性も。
厄介なことだな。
「で、そろそろ撃てそうかい?」
「……もう少しです」
もちろん、ここからでも魔法を放つことは可能だ。
ただし、精度を考えるともう少し近づきたいところ。
「りょーかいだ」
前方で展開される戦闘を確認しながら、慎重に距離を詰めていく。
現状、野盗側は魔法を警戒して慎重な攻めに終始している。
勝利を確信しているからこそ、無駄に被害を出したくないのだろう。
おっ。
馬車から新たに2人が出てきたぞ。
その内の1人は女性。
身に着けている物から、身分の高さが窺える。
「姫様、馬車で待っていてください」
「戯言を申すな。もはや、そんな状況ではなかろう」
「ですが……」
「よい、私も参戦する」
「……」
「あいつだぁ!」
ここまで黙然と攻撃を続けてきた野盗側から大きな叫び声が上がった。
「あいつだけは逃がすな!」
「「「「「「「「おう!」」」」」」」」
「姫様?」
「……野盗風情が私のことを知っておるのか?」
「……」
「ふん、なるほど」
あの野盗の動きの上に、このやり取り。
ほんと、穏やかじゃないぞ。
「いけるか、兄さん?」
「ええ、あの岩陰から撃ちますよ。ジンクさんも撃てますか?」
「この距離かぁ……まっ、やってみるわ」
「お願いします。それで、詠唱時間は?」
「そうはかからねぇ。けど、少し待ってくれよ」
「分かりました」
ほぼ準備は整った。
こっちが魔法を放てば、状況も変わるだろう。
しかし、目の前に広がるこの惨状は……。
そこら中に血にまみれた人たちが倒れ伏している。
かなりの死傷者が出ているようだ。
「魔力が尽きてきたか、ここまでみたいだな」
襲撃側のリーダー格が嘲笑うように言い放つ。
「くっ」
「……」
迎撃側で魔法を使っていた2人の足元がおぼつかない。
顔色も良くない。
が、その後ろには馬車から出てきた2人が。
「お前たちは少し休め、私が魔法を使う」
「姫様!」
「エリシティア様?」
「問題ない。下がっておれ」
「……」
「……」
「此は我が願い、其は……」
詠唱が始まった。
「顕現せよ、炎撃!!」
ゴオオォォォ!!
姫様と呼ばれた女性の詠唱が終わり、放たれた魔法。
強烈な炎の一撃が襲撃者たちに炸裂。
「ぎゃあ!」
「あぁ!」
「うぎゃ!」
「ううぅぅぅ」
苦悶の声をあげ3名がその場に崩れ落ちる。
他にも数名が負傷したようだ。
「くっ!?」
リーダー格も驚きの表情。
他の野盗たちも浮足立っている。
すごいな、姫様。
さっきの2人が使っていた魔法とは威力が違うぞ。
「落ち着け、落ち着くんだ!」
「ですが、あの魔法は?」
「あんな魔法など、そう撃てるはずがない。一撃、二撃の大砲など恐れるな」
「「「「「「「「……」」」」」」」」
リーダーの言葉に、規律が戻ってくる。
早いな。
規律を取り戻せば、この多勢。
野盗側の有利は揺るがないか。
一方、守備側は。
「姫様、大丈夫ですか?」
「……うむ」
姫様の息が荒い。
「エリシティア様、一度お退きくだされ」
「平気だと言っておろう!」
「ですが……」
「問題ない。すぐに次の魔法を放ってやる」
「姫様……」
問題ないとは思えないくらいの顔色。
息も肩でしている。
今の一撃で結構な魔力を使ったようだな。
「面白くなってきたぜ」
「ジンクさん、不謹慎ですよ」
「カタイこと言うなって。こいつぁ、面白い状況だろ」
面白いというか……。
確かに、今の姫様の魔法は素晴らしかった。
状況も少し変化した。
が、野盗側も既に落ち着きを取り戻している。
「面白がる前に、魔法の準備はどうなってるんです?」
「もう撃てるぞ」
「なら、言ってくださいよ」
「わるい、わるい」
「……では、私から撃ちますよ」
襲撃者の背中までの距離は約20メートル。
いつでも魔法を放てる状況だ。
「少し様子を見ていたいんだけどなぁ」
何を楽しんでいる。
さっきまでは、急いていたのに。
「私が撃った後にジンクさんにも続いてもらいますから、そのつもりで準備してください」
「分かったよ、りょーかいだ」
「やはり連続では撃てないようだな。よし、今が勝機だぞ、かかれ!!」
わずかばかりの膠着状態が終わり、攻勢にかかる野盗。
姫様はまだ魔法を撃てそうにない。
だが、ここで。
「撃ちますよ。……雷波!」
俺の言葉と共に現れたのは、横幅10メートルはある帯電した波。
それがうねる様に前に進み。
襲撃者を背後から。
飲み込んだ!
「ぎゃあぁ!?」
「ああぁぁぁ!」
「あばばば!」
「ううぅぅぅ!」
「……!」
上がる絶叫。
街道に様々な叫声がこだました。
ただ、そうはいっても多勢に無勢。
この数の野盗を相手に、どこまで耐えることができるのか?
魔法を駆使することで今は何とかなっているが……。
「あいつら……妙だと思わないか、兄さん?」
「ええ、野盗の動きとは思えませんね」
襲撃者たちは野盗のような身なりをしているものの、その動きは外見に反して訓練された兵士のように見える。
魔法を受けても崩れない統制。
統率の取れた動き。
黙々粛々とした連係と攻撃。
とても、野盗の動きとは思えない。
「ああ、野盗には見えねえなぁ」
こっちの事情に疎い俺だけでなく、ジンクも同じ意見。
となると、ただの野盗じゃない可能性も。
厄介なことだな。
「で、そろそろ撃てそうかい?」
「……もう少しです」
もちろん、ここからでも魔法を放つことは可能だ。
ただし、精度を考えるともう少し近づきたいところ。
「りょーかいだ」
前方で展開される戦闘を確認しながら、慎重に距離を詰めていく。
現状、野盗側は魔法を警戒して慎重な攻めに終始している。
勝利を確信しているからこそ、無駄に被害を出したくないのだろう。
おっ。
馬車から新たに2人が出てきたぞ。
その内の1人は女性。
身に着けている物から、身分の高さが窺える。
「姫様、馬車で待っていてください」
「戯言を申すな。もはや、そんな状況ではなかろう」
「ですが……」
「よい、私も参戦する」
「……」
「あいつだぁ!」
ここまで黙然と攻撃を続けてきた野盗側から大きな叫び声が上がった。
「あいつだけは逃がすな!」
「「「「「「「「おう!」」」」」」」」
「姫様?」
「……野盗風情が私のことを知っておるのか?」
「……」
「ふん、なるほど」
あの野盗の動きの上に、このやり取り。
ほんと、穏やかじゃないぞ。
「いけるか、兄さん?」
「ええ、あの岩陰から撃ちますよ。ジンクさんも撃てますか?」
「この距離かぁ……まっ、やってみるわ」
「お願いします。それで、詠唱時間は?」
「そうはかからねぇ。けど、少し待ってくれよ」
「分かりました」
ほぼ準備は整った。
こっちが魔法を放てば、状況も変わるだろう。
しかし、目の前に広がるこの惨状は……。
そこら中に血にまみれた人たちが倒れ伏している。
かなりの死傷者が出ているようだ。
「魔力が尽きてきたか、ここまでみたいだな」
襲撃側のリーダー格が嘲笑うように言い放つ。
「くっ」
「……」
迎撃側で魔法を使っていた2人の足元がおぼつかない。
顔色も良くない。
が、その後ろには馬車から出てきた2人が。
「お前たちは少し休め、私が魔法を使う」
「姫様!」
「エリシティア様?」
「問題ない。下がっておれ」
「……」
「……」
「此は我が願い、其は……」
詠唱が始まった。
「顕現せよ、炎撃!!」
ゴオオォォォ!!
姫様と呼ばれた女性の詠唱が終わり、放たれた魔法。
強烈な炎の一撃が襲撃者たちに炸裂。
「ぎゃあ!」
「あぁ!」
「うぎゃ!」
「ううぅぅぅ」
苦悶の声をあげ3名がその場に崩れ落ちる。
他にも数名が負傷したようだ。
「くっ!?」
リーダー格も驚きの表情。
他の野盗たちも浮足立っている。
すごいな、姫様。
さっきの2人が使っていた魔法とは威力が違うぞ。
「落ち着け、落ち着くんだ!」
「ですが、あの魔法は?」
「あんな魔法など、そう撃てるはずがない。一撃、二撃の大砲など恐れるな」
「「「「「「「「……」」」」」」」」
リーダーの言葉に、規律が戻ってくる。
早いな。
規律を取り戻せば、この多勢。
野盗側の有利は揺るがないか。
一方、守備側は。
「姫様、大丈夫ですか?」
「……うむ」
姫様の息が荒い。
「エリシティア様、一度お退きくだされ」
「平気だと言っておろう!」
「ですが……」
「問題ない。すぐに次の魔法を放ってやる」
「姫様……」
問題ないとは思えないくらいの顔色。
息も肩でしている。
今の一撃で結構な魔力を使ったようだな。
「面白くなってきたぜ」
「ジンクさん、不謹慎ですよ」
「カタイこと言うなって。こいつぁ、面白い状況だろ」
面白いというか……。
確かに、今の姫様の魔法は素晴らしかった。
状況も少し変化した。
が、野盗側も既に落ち着きを取り戻している。
「面白がる前に、魔法の準備はどうなってるんです?」
「もう撃てるぞ」
「なら、言ってくださいよ」
「わるい、わるい」
「……では、私から撃ちますよ」
襲撃者の背中までの距離は約20メートル。
いつでも魔法を放てる状況だ。
「少し様子を見ていたいんだけどなぁ」
何を楽しんでいる。
さっきまでは、急いていたのに。
「私が撃った後にジンクさんにも続いてもらいますから、そのつもりで準備してください」
「分かったよ、りょーかいだ」
「やはり連続では撃てないようだな。よし、今が勝機だぞ、かかれ!!」
わずかばかりの膠着状態が終わり、攻勢にかかる野盗。
姫様はまだ魔法を撃てそうにない。
だが、ここで。
「撃ちますよ。……雷波!」
俺の言葉と共に現れたのは、横幅10メートルはある帯電した波。
それがうねる様に前に進み。
襲撃者を背後から。
飲み込んだ!
「ぎゃあぁ!?」
「ああぁぁぁ!」
「あばばば!」
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「……!」
上がる絶叫。
街道に様々な叫声がこだました。
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