407 / 1,640
第5章 王都編
迎撃 9
逃亡を許しただって?
ヴァルターさんが、そんなミスを?
「オルセーの持っていたロシュノワの瞬宝だ」
「っ!?」
「宝具を使われた」
そういうことか。
「時を止めて、バシモスが逃げたのですね?」
「ああ」
「……」
「申し訳ない。オレの責任だ」
「いえ」
違う。
これは俺の失態だ。
「私がオルセーの宝具を奪っておくべきでした」
オルセーを倒した直後に、あいつの宝具を、ロシュノワの瞬宝とマリスダリスの刻宝を手に入れておくべきだったのに!
あの時。
後続のレンヌ兵の相手をして、その後目眩に襲われてしまったから……。
完全に失念していた。
「私の責任です」
「いや、俺の責任だ」
「……」
「……」
「師匠、コーキさん! とりあえず、倒れているレンヌ兵たちを片付けましょう」
何とも言えない沈黙を破ってくれたのは、御者のレントさん。
「時間をかけると、再び追手がやって来る可能性もありますので」
尤もな意見だ。
「……そうだな。まずは、生きてる者を拘束するぞ」
「はい、では狭隘地の方から」
ということで、皆で狭隘地に戻ったのだが……。
「ヴァルターさん、オルセーの亡骸がどうなったか知りませんか?」
俺がオルセーを倒した場所から遺骸が消えている。
「オルセーの遺骸?」
「消えたんですよ」
「遺骸が勝手に消えるわけがない。ということは、バシモスが運んだのかもしれん」
「逃亡するのに、わざわざ遺骸を?」
何か意味があるのか?
「分からん。が、他には考えられんだろ」
「……そうですね」
状況的には、その通り。
ただ、理由が分からない。
オルセーの亡骸に何らかの価値があるとでも?
「……」
と?
またか!
また目眩が襲ってきた。
さっきより少しましだが、それでも立っているのが辛い。
「どうした?」
「コーキさん?」
「クゥーン」
すぐ横にいたヴァルターさんとウィルさんが支えてくれる。
ノワールも。
「すみません。また目眩が」
「それはいけません。コーキさんは馬車で休んでください」
「いえ……」
「駄目です。病人なのに無理して戦ってくれたのですから、あとは任せてください」
「休んでくれ、コーキさん」
「あとは私たちがやりますから」
カロリナさんもレントさんも頷いている。
「……では、少し甘えさせてもらいます」
ヴァルターさんの肩を借り馬車の中へ。
すぐに横になり治癒魔法をかけていると……。
いつの間にか意識を手放していた。
**************
<ヴァルター視点>
「よし、これで終了だ」
かなりの数のレンヌ兵が倒れていたが、無事に拘束することができた。
「師匠、この後はどうしましょう?」
「こいつらをどうにかせにゃならんが、数が多すぎる。それに、こっちはレザンジュに早く入りたいからな」
「それでは?」
「最寄りの街まで戻って、家門の者を連れて来てくれるか?」
「数が足りない場合は、ギルドで集めても?」
「ああ、そこはお前に任せる」
レントに任せておけば、問題はないだろう。
「了解しました。では、あの馬を使います」
オルセーの乗っていた馬に跨り、すぐさま駆け出すレント。
あっという間に視界から消えてしまった。
さすがだな。
あいつは仕事が早い。
さてと……。
しばらくはここで待機というわけか。
「お嬢、半刻から1刻は待機になりそうです」
「ええ、分かってる。でも、今日中にはレザンジュに入れるでしょ?」
「間違いないですな」
「だったら問題ないわ」
レザンジュでは、レンヌの者も簡単には手を出せないはず。
問題発生の確率も大幅に低下するはず。
レザンジュに入国さえすれば。
「それに、もう急ぐ必要もないわね。レンヌの追手を撃退したのだから」
再び追手がかからなければ、その通り。
「あまり早くカーンゴルムに着いても……。父はまだ王都にいないだろうし」
「確かに、御父上は王都カーンゴルムには戻っていませんな」
「ワディンに出征中だものね」
「ええ」
近々王都に戻るという噂は聞いているが、それがいつになるかは分かっていない。
「……会えるかしら?」
「もちろんです」
「出征から戻られたら、会えるのね」
「はい、必ずや」
「そう……」
ワディン紛争も、そろそろ決着がつくと思われる。
いや、既に領都ワディナートが陥落している可能性すらある。
「父が戻ったら会える。やっと会える」
その時も遠くはないだろう。
「……」
お嬢の実の父。
レザンジュ現国王の凱旋の日は近いのだから。
ヴァルターさんが、そんなミスを?
「オルセーの持っていたロシュノワの瞬宝だ」
「っ!?」
「宝具を使われた」
そういうことか。
「時を止めて、バシモスが逃げたのですね?」
「ああ」
「……」
「申し訳ない。オレの責任だ」
「いえ」
違う。
これは俺の失態だ。
「私がオルセーの宝具を奪っておくべきでした」
オルセーを倒した直後に、あいつの宝具を、ロシュノワの瞬宝とマリスダリスの刻宝を手に入れておくべきだったのに!
あの時。
後続のレンヌ兵の相手をして、その後目眩に襲われてしまったから……。
完全に失念していた。
「私の責任です」
「いや、俺の責任だ」
「……」
「……」
「師匠、コーキさん! とりあえず、倒れているレンヌ兵たちを片付けましょう」
何とも言えない沈黙を破ってくれたのは、御者のレントさん。
「時間をかけると、再び追手がやって来る可能性もありますので」
尤もな意見だ。
「……そうだな。まずは、生きてる者を拘束するぞ」
「はい、では狭隘地の方から」
ということで、皆で狭隘地に戻ったのだが……。
「ヴァルターさん、オルセーの亡骸がどうなったか知りませんか?」
俺がオルセーを倒した場所から遺骸が消えている。
「オルセーの遺骸?」
「消えたんですよ」
「遺骸が勝手に消えるわけがない。ということは、バシモスが運んだのかもしれん」
「逃亡するのに、わざわざ遺骸を?」
何か意味があるのか?
「分からん。が、他には考えられんだろ」
「……そうですね」
状況的には、その通り。
ただ、理由が分からない。
オルセーの亡骸に何らかの価値があるとでも?
「……」
と?
またか!
また目眩が襲ってきた。
さっきより少しましだが、それでも立っているのが辛い。
「どうした?」
「コーキさん?」
「クゥーン」
すぐ横にいたヴァルターさんとウィルさんが支えてくれる。
ノワールも。
「すみません。また目眩が」
「それはいけません。コーキさんは馬車で休んでください」
「いえ……」
「駄目です。病人なのに無理して戦ってくれたのですから、あとは任せてください」
「休んでくれ、コーキさん」
「あとは私たちがやりますから」
カロリナさんもレントさんも頷いている。
「……では、少し甘えさせてもらいます」
ヴァルターさんの肩を借り馬車の中へ。
すぐに横になり治癒魔法をかけていると……。
いつの間にか意識を手放していた。
**************
<ヴァルター視点>
「よし、これで終了だ」
かなりの数のレンヌ兵が倒れていたが、無事に拘束することができた。
「師匠、この後はどうしましょう?」
「こいつらをどうにかせにゃならんが、数が多すぎる。それに、こっちはレザンジュに早く入りたいからな」
「それでは?」
「最寄りの街まで戻って、家門の者を連れて来てくれるか?」
「数が足りない場合は、ギルドで集めても?」
「ああ、そこはお前に任せる」
レントに任せておけば、問題はないだろう。
「了解しました。では、あの馬を使います」
オルセーの乗っていた馬に跨り、すぐさま駆け出すレント。
あっという間に視界から消えてしまった。
さすがだな。
あいつは仕事が早い。
さてと……。
しばらくはここで待機というわけか。
「お嬢、半刻から1刻は待機になりそうです」
「ええ、分かってる。でも、今日中にはレザンジュに入れるでしょ?」
「間違いないですな」
「だったら問題ないわ」
レザンジュでは、レンヌの者も簡単には手を出せないはず。
問題発生の確率も大幅に低下するはず。
レザンジュに入国さえすれば。
「それに、もう急ぐ必要もないわね。レンヌの追手を撃退したのだから」
再び追手がかからなければ、その通り。
「あまり早くカーンゴルムに着いても……。父はまだ王都にいないだろうし」
「確かに、御父上は王都カーンゴルムには戻っていませんな」
「ワディンに出征中だものね」
「ええ」
近々王都に戻るという噂は聞いているが、それがいつになるかは分かっていない。
「……会えるかしら?」
「もちろんです」
「出征から戻られたら、会えるのね」
「はい、必ずや」
「そう……」
ワディン紛争も、そろそろ決着がつくと思われる。
いや、既に領都ワディナートが陥落している可能性すらある。
「父が戻ったら会える。やっと会える」
その時も遠くはないだろう。
「……」
お嬢の実の父。
レザンジュ現国王の凱旋の日は近いのだから。
あなたにおすすめの小説
ひだまりのFランク冒険者
みなと劉
ファンタジー
ここは異世界。
そこの冒険者ギルドでは毎日仕事がてんこ盛り。
そんな中
冒険者ギルドには万年Fランクの冒険者が一人いる。
その名は、リルド。
彼は、特に何もない感じに毎日
「薬草採取」「石集め」Fランク向け「討伐」場合によっては「ポーション生成」をする。
この話はこの万年Fランク冒険者リルドの物語である。
ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
WIN5で六億円馬券当てちゃった俺がいろいろ巻き込まれた結果現代社会で無双する!
TB
ファンタジー
小栗東〈おぐりあずま〉 二十九歳 趣味競馬 派遣社員。
その日、負け組な感じの人生を歩んできた俺に神が舞い降りた。
競馬のWIN5を的中させその配当は的中者一名だけの六億円だったのだ。
俺は仕事を辞め、豪華客船での世界一周旅行に旅立った。
その航海中に太平洋上で嵐に巻き込まれ豪華客船は沈没してしまう。
意識を失った俺がつぎに気付いたのは穏やかな海上。
相変わらずの豪華客船の中だった。
しかし、そこは地球では無かった。
魔法の存在する世界、そしてギャンブルが支配をする世界だった。
船の乗客二千名、クルー二百名とともにこの異世界の大陸国家カージノで様々な出来事はあったが、無事に地球に戻る事が出来た。
ただし……人口一億人を超えるカージノ大陸と地球には生存しない魔獣たちも一緒に太平洋のど真ん中へ……
果たして、地球と東の運命はどうなるの?
14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク
普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。
だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。
洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。
------
この子のおかげで作家デビューできました
ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
[完]異世界銭湯
三園 七詩
ファンタジー
下町で昔ながらの薪で沸かす銭湯を経営する一家が住んでいた。
しかし近くにスーパー銭湯が出来てから客足が激減…このままでは店を畳むしかない、そう思っていた。
暗い気持ちで目覚め、いつもの習慣のように準備をしようと外に出ると…そこは見慣れた下町ではなく見たことも無い場所に銭湯は建っていた…
人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。