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第6章 移ろう魂編
カーンゴルムへ 12
<ヴァーンベック視点>
「では、宿を探しに行きましょうか」
「「「はい」」」
馬車を預けた後、俺たち6人は揃ってフードを被り大通りを歩いて宿が集まる区画に向かうことになった。
「ヴァーン、何だか威圧感のある街並みね」
「そうだな」
「ヴァーンは来たことあるんでしょ」
「ああ」
黒都カーンゴルム。
俺は何度か訪れているが、シアは初めてらしい。
とはいえ、俺も久しぶりだ。
黒都のこの重い雰囲気は……。
華やかで明るいキュベルリアとは大違いだぜ。
好きにはなれねえな。
しっかし、この衛兵の多さは……。
かなりの数の衛兵が街を巡回しているようだが、何かあるのか?
「セレスさん、俺たちの中から出ないでくださいよ」
「はい」
尋問でもされたら、面倒なことになるのは間違いねえ。
「セレス様、こちらに」
「ありがとう、ディアナ」
セレスさんの容姿は特徴的だからな。
フードの下を覗かれただけで、それと気づかれる可能性は高い。
あいつらに目をつけられないようにしねえと。
「セレス様、御櫛をしっかりとフードの中にお入れくださいね。とても美しくて目立ってしまいますから」
「分かっているわ、シア」
特に、その髪と肌は隠す必要がある。
「早く宿を探そうぜ、ヴァーンさん」
「ああ」
セレスさんを真ん中におき皆で囲んだ状態で足早に歩を進める。
こちらの狙い通り巡礼者の一団に見えているのか、道行く人に奇異の目で見られることもほとんどない。
フードを被っていると暑いが、この作戦は成功のようだな。
そうして歩き続け、そろそろ宿屋が連なる区画に入ってきたところ。
急に突風が吹きつけてきた。
「あっ!」
フードが風にあおられ、セレスさんの顔が露わに!
その瞬間、6人の足が止まってしまう。
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
沈黙のまま、瞬間的に周囲を見渡す5人。
慌ててフードを被りなおすセレスさん。
が……。
問題はなさそうだ。
「セレス様、大丈夫です。誰もこちらを見ていませんから」
「そうですよ、セレス様」
「そうね……」
「とりあえず、急ぎましょうか」
問題はなさそうだが、今は早く宿に入った方がいい。
セレスさんには宿で休んでもらって、俺は情報収集だな。
「それではやはり、お父様は捕らわれているのですね」
「そのようです」
「……」
オルドウを出発して以降、旅の途中でも情報を集めてきたが、そのどれもがワディン領主は既にカーンゴルムに移送されているというものだった。
今日こちらに到着したばかりの俺たちが集めた情報もそれと変わりのないもの……。
「セレス様」
ここまではずっと明るく振る舞っていたセレスさんだが……。
覚悟していたこととはいえ、父親が幽閉されているという事実を現地で告げられるのが辛くないはずはない。
「セレス様、辺境伯様を救い出しましょう!」
「おれたちが付いています」
「シア、アル……」
「セレス様のためでしたら、わたしは何でもする覚悟がありますから」
「おれもだ! セレス様」
「ふたりとも……。本当にありがとう。でも……」
何の迷いもなく答えるシアとアルと違い、ディアナとユーフィリアは思案顔。
いや、ユーフィリアはいつも通りの表情か。
で、それに気づいているセレスさんは。
「ディアナ、ユーフィリア?」
「……」
「……」
彼女たちもこの事については想定の範囲内だろうが、実際に辺境伯救出を計画するとなると即答できないのも頷ける。
というか、当然だな。
危険すぎる話だから。
「……セレス様、その危険は理解しておられますか?」
「ええ、理解しています」
「辺境伯様をお救いしたい気持ちは我らふたりも当然抱いております。ですが、まず優先すべきはセレス様の身の安全です」
「ありがとう、ディアナ。でも、ここまで一緒に来てくれたあなたなら、私の考えも分かっているでしょ。ユーフィリアも」
「……」
「……」
「黒都カーンゴルムまで来て、お父様の状況の確認だけして、このまま見過ごすなんて……」
そうだろうな。
「ここで何もしないのなら、何のために黒都まで来たのでしょう」
「……」
「……」
「私は……この命を懸けてお父様をお助けしたいと思っております」
「それは、辺境伯様のお考えと異なるものではありませんか? セレスティーヌ様をオルドウに逃したのは、万が一を考えてのこと!」
「ディアナさん」
「シア殿、あなたも分かっているはずだ。もちろん、セレス様も」
「では、宿を探しに行きましょうか」
「「「はい」」」
馬車を預けた後、俺たち6人は揃ってフードを被り大通りを歩いて宿が集まる区画に向かうことになった。
「ヴァーン、何だか威圧感のある街並みね」
「そうだな」
「ヴァーンは来たことあるんでしょ」
「ああ」
黒都カーンゴルム。
俺は何度か訪れているが、シアは初めてらしい。
とはいえ、俺も久しぶりだ。
黒都のこの重い雰囲気は……。
華やかで明るいキュベルリアとは大違いだぜ。
好きにはなれねえな。
しっかし、この衛兵の多さは……。
かなりの数の衛兵が街を巡回しているようだが、何かあるのか?
「セレスさん、俺たちの中から出ないでくださいよ」
「はい」
尋問でもされたら、面倒なことになるのは間違いねえ。
「セレス様、こちらに」
「ありがとう、ディアナ」
セレスさんの容姿は特徴的だからな。
フードの下を覗かれただけで、それと気づかれる可能性は高い。
あいつらに目をつけられないようにしねえと。
「セレス様、御櫛をしっかりとフードの中にお入れくださいね。とても美しくて目立ってしまいますから」
「分かっているわ、シア」
特に、その髪と肌は隠す必要がある。
「早く宿を探そうぜ、ヴァーンさん」
「ああ」
セレスさんを真ん中におき皆で囲んだ状態で足早に歩を進める。
こちらの狙い通り巡礼者の一団に見えているのか、道行く人に奇異の目で見られることもほとんどない。
フードを被っていると暑いが、この作戦は成功のようだな。
そうして歩き続け、そろそろ宿屋が連なる区画に入ってきたところ。
急に突風が吹きつけてきた。
「あっ!」
フードが風にあおられ、セレスさんの顔が露わに!
その瞬間、6人の足が止まってしまう。
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
沈黙のまま、瞬間的に周囲を見渡す5人。
慌ててフードを被りなおすセレスさん。
が……。
問題はなさそうだ。
「セレス様、大丈夫です。誰もこちらを見ていませんから」
「そうですよ、セレス様」
「そうね……」
「とりあえず、急ぎましょうか」
問題はなさそうだが、今は早く宿に入った方がいい。
セレスさんには宿で休んでもらって、俺は情報収集だな。
「それではやはり、お父様は捕らわれているのですね」
「そのようです」
「……」
オルドウを出発して以降、旅の途中でも情報を集めてきたが、そのどれもがワディン領主は既にカーンゴルムに移送されているというものだった。
今日こちらに到着したばかりの俺たちが集めた情報もそれと変わりのないもの……。
「セレス様」
ここまではずっと明るく振る舞っていたセレスさんだが……。
覚悟していたこととはいえ、父親が幽閉されているという事実を現地で告げられるのが辛くないはずはない。
「セレス様、辺境伯様を救い出しましょう!」
「おれたちが付いています」
「シア、アル……」
「セレス様のためでしたら、わたしは何でもする覚悟がありますから」
「おれもだ! セレス様」
「ふたりとも……。本当にありがとう。でも……」
何の迷いもなく答えるシアとアルと違い、ディアナとユーフィリアは思案顔。
いや、ユーフィリアはいつも通りの表情か。
で、それに気づいているセレスさんは。
「ディアナ、ユーフィリア?」
「……」
「……」
彼女たちもこの事については想定の範囲内だろうが、実際に辺境伯救出を計画するとなると即答できないのも頷ける。
というか、当然だな。
危険すぎる話だから。
「……セレス様、その危険は理解しておられますか?」
「ええ、理解しています」
「辺境伯様をお救いしたい気持ちは我らふたりも当然抱いております。ですが、まず優先すべきはセレス様の身の安全です」
「ありがとう、ディアナ。でも、ここまで一緒に来てくれたあなたなら、私の考えも分かっているでしょ。ユーフィリアも」
「……」
「……」
「黒都カーンゴルムまで来て、お父様の状況の確認だけして、このまま見過ごすなんて……」
そうだろうな。
「ここで何もしないのなら、何のために黒都まで来たのでしょう」
「……」
「……」
「私は……この命を懸けてお父様をお助けしたいと思っております」
「それは、辺境伯様のお考えと異なるものではありませんか? セレスティーヌ様をオルドウに逃したのは、万が一を考えてのこと!」
「ディアナさん」
「シア殿、あなたも分かっているはずだ。もちろん、セレス様も」
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