30年待たされた異世界転移

明之 想

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第7章 南部編

激流の先 1

<和見幸奈視点(姿はセレスティーヌ)>




 生きてる?
 ユーフィリアさんも?
 わたしも?

「……」

 いったい、どうなったの?

「セレス様、大丈夫ですか? もう呼吸はできますか?」

「……はい」

「身体に痛いところは?」

「……今のところ痛みは感じません」

「よかったぁ」

 目に見えて、ユーフィリアさんの顔から悲壮感が消えていく。

「ユーフィリアさんは怪我などしてませんか?」

「私は問題ありません」

 ユーフィリアさんもわたしも体に支障はない。
 嵐のローンドルヌ河に落ちたのに、命が助かっただけでなく怪我ひとつないなんて……。
 神様、感謝いたします。

 でも。

「わたしたちはどうなったのでしょう?」

「ローンドルヌ河から何とか逃れることができました」

「あの激流からですよね?」

「はい。運よく陸地がありましたので。それに、少し魔法を……」

 ユーフィリアさんは魔法使い。
 水魔法も得意な魔法使いだ。
 その水魔法でわたしを護ってくれたの?

 大橋の中央付近から落下したのに?
 あの恐ろしい激流の中、岸までわたしを泳ぎ運んで?

「ありがとう、ユーフィリアさん。あなたのおかげで助かりました」

「いえ……」

「ユーフィリアさんは命の恩人です。あなたがいなければ、わたしはローンドルヌ河に沈んでいたと思います」

 わたし1人では生き残ることなんてできなかった。
 絶対に!

「……私の失態が原因ですから。セレス様を危険な目に遭わせてしまい、本当に申し訳ございませんでした」

「違います。ユーフィリアさんの失態なんかじゃないです。だから謝らないでください」

 ユーフィリアさんが謝る必要なんてない。

「セレス様……」

「心から感謝していますから」

「……」

 本を正せば、原因は渡河を決断したわたし。
 わたしの失態だ。

「そもそも、今回の件はわたしにこそ責任があるんです」

「それこそ、違います」

「でも」

「レザンジュの伏兵を見抜けなかったのは我らの責任。偵察隊を含む騎士の責任に他ありません」

 あれは!
 偵察隊が調査しても、渡河直前にまた調べ直しても、レザンジュ兵の姿なんて全く見えなかったのだから、仕方ないことだと思う。

「今回はレザンジュが一枚上手だっただけです」

「だとしても、責任は我らにこそあれ、セレス様にはございません」

「……」

 そう考えてくれるなら。
 今は。

「分かりました。わたしに責任はない。ユーフィリアさんにもない。そういうことでいいですね」

「……」

「責任や失態の話はこれで終わりにして、今後の話をしませんか」

「……はい」

「では、ここはどこなんでしょう?」

 河の北岸なのか南岸なのか?
 大橋からどれくらい流されたのか?

「大橋の下流にある中洲です」

 中洲?

「岸ではないのですね?」


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