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第7章 南部編
中州 1
<和見幸奈視点(姿はセレスティーヌ)>
ローンドルヌ河下流にある中洲。
そこにいるわたしたちの目の前には、レザンジュ王軍の兵士2名の姿。
激しい雨の中、ひとりの兵士が意識を取り戻さない仲間を肩に担ぎ不敵な笑みを浮かべている。
「大丈夫です。私が護りますから」
ユーフィリアさんがわたしを庇うようにして1歩前に。
「問題ありませんからね」
普段は口数の少ないユーフィリアさんが、今はたくさん語りかけてくれる。
わたしのことを気遣って。
「……」
ただ、この状況。
彼がわたしたちを襲うことはないのでは?
嵐がやむのを待って、ここから脱出するのが先決。
あちらもそう思っているはず。
さっきの言葉からも、そう感じたのだけど。
「では、始末してきます」
「えっ?」
ユーフィリアさん、いきなり?
ちょっと待って!
その言葉が口から出る、その前に。
「ひとりが意識を失っている今が好機です」
「……」
確かに……。
敵対するなら、今が好機だと思う。
「お嬢様のお顔も見られていますので」
あっ!
フードを外したわたしの姿を!
ワディンの神娘だと知られてしまった!
「ここでお待ちください」
そう言ったユーフィリアさんが敵兵のもとに1歩近づき。
戦闘体勢に。
「仲良くしようつってんだろ」
「黙れ!」
「ほんと、おっかない騎士さんだぜ」
「……」
「けどよ、ちょっと周りを見てみろ。ほろ、そこを」
男が指を差した先。
そこには……。
多くの魔物!
大きな顎と硬そうな皮膚で覆われた体を持つそれは、コーキさんの手紙に書かれていた水中の魔物に他ならない。
四足のその魔物が、こちらを眺めて!
「マッドアリゲーター!?」
「ああ、そうだ」
「……」
「この激流で流されたのか避難してきたのか分からないが、上陸する数は増える一方だぞ」
「……」
「ここで人間同士争う前に、まずはあいつらを始末した方がいいんじゃねえのか」
「……セレス様?」
ユーフィリアさんがこちらを振り返り、わたしに問いかけてくる。
魔物に対する知識なんてほとんど持っていないわたしに判断なんてできないのに。
でも、この数は……。
「その方の言う通り、先に魔物を倒しましょう」
「……」
「ユーフィリアさん!」
「……承知しました。おまえ!」
「ああ、共闘しよう。その前にこいつをっと」
意識を失ったままの仲間をこちらに運んでくる。
「何をする気だ?」
「何もしねえよ。こいつを運ぶだけだ」
「……」
「よっと。嬢ちゃん、ちょっと見ててくれ」
わたしの傍らに仲間を寝かせ、ユーフィリアさんの横へ。
「さてと、やるか」
「……」
「あいつらはさっきから全く動いてねえ。アリゲーターの性質上、考えられないことだろ」
「何が起こってる?」
「ん? 激流に流されて混乱でもしてるんじゃねえか」
「アリゲーターが混乱?」
「分かんねえけどな」
「おまえ……」
「とにかく、そう、あんたが言うところの今が好機ってもんだぜ」
「……」
あの魔物が上手く動けないのなら、まさに好機。
「ってことで、さっさと始末するぞ!」
「……分かった」
ローンドルヌ河下流にある中洲。
そこにいるわたしたちの目の前には、レザンジュ王軍の兵士2名の姿。
激しい雨の中、ひとりの兵士が意識を取り戻さない仲間を肩に担ぎ不敵な笑みを浮かべている。
「大丈夫です。私が護りますから」
ユーフィリアさんがわたしを庇うようにして1歩前に。
「問題ありませんからね」
普段は口数の少ないユーフィリアさんが、今はたくさん語りかけてくれる。
わたしのことを気遣って。
「……」
ただ、この状況。
彼がわたしたちを襲うことはないのでは?
嵐がやむのを待って、ここから脱出するのが先決。
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さっきの言葉からも、そう感じたのだけど。
「では、始末してきます」
「えっ?」
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ちょっと待って!
その言葉が口から出る、その前に。
「ひとりが意識を失っている今が好機です」
「……」
確かに……。
敵対するなら、今が好機だと思う。
「お嬢様のお顔も見られていますので」
あっ!
フードを外したわたしの姿を!
ワディンの神娘だと知られてしまった!
「ここでお待ちください」
そう言ったユーフィリアさんが敵兵のもとに1歩近づき。
戦闘体勢に。
「仲良くしようつってんだろ」
「黙れ!」
「ほんと、おっかない騎士さんだぜ」
「……」
「けどよ、ちょっと周りを見てみろ。ほろ、そこを」
男が指を差した先。
そこには……。
多くの魔物!
大きな顎と硬そうな皮膚で覆われた体を持つそれは、コーキさんの手紙に書かれていた水中の魔物に他ならない。
四足のその魔物が、こちらを眺めて!
「マッドアリゲーター!?」
「ああ、そうだ」
「……」
「この激流で流されたのか避難してきたのか分からないが、上陸する数は増える一方だぞ」
「……」
「ここで人間同士争う前に、まずはあいつらを始末した方がいいんじゃねえのか」
「……セレス様?」
ユーフィリアさんがこちらを振り返り、わたしに問いかけてくる。
魔物に対する知識なんてほとんど持っていないわたしに判断なんてできないのに。
でも、この数は……。
「その方の言う通り、先に魔物を倒しましょう」
「……」
「ユーフィリアさん!」
「……承知しました。おまえ!」
「ああ、共闘しよう。その前にこいつをっと」
意識を失ったままの仲間をこちらに運んでくる。
「何をする気だ?」
「何もしねえよ。こいつを運ぶだけだ」
「……」
「よっと。嬢ちゃん、ちょっと見ててくれ」
わたしの傍らに仲間を寝かせ、ユーフィリアさんの横へ。
「さてと、やるか」
「……」
「あいつらはさっきから全く動いてねえ。アリゲーターの性質上、考えられないことだろ」
「何が起こってる?」
「ん? 激流に流されて混乱でもしてるんじゃねえか」
「アリゲーターが混乱?」
「分かんねえけどな」
「おまえ……」
「とにかく、そう、あんたが言うところの今が好機ってもんだぜ」
「……」
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「ってことで、さっさと始末するぞ!」
「……分かった」
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