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第7章 南部編
ヒーロー 1
<セレスティーヌ視点(姿は和見幸奈)>
「久しぶりだな」
「……」
ああ、やっぱり。
予知だったのね。
ワディンから遠く離れたこの地で、祝福だけでなく予知まで使えるのは不思議だけど。少し疑っていたけど。
私は間違いなく予知を使ったんだ。
「また、そんな表情を。せっかく婚約者である私が会いに来てやったというのに」
「……頼んでません」
「ふふ、相変わらずか」
「……」
予知の通り、壬生兄と他に2人の男。
3人の異能者が道を遮るようにして立っている。
「が、今日は伊織もいない。私の言うことを聞いてもらうぞ」
「……」
「心配しなくてもいい。悪いようにはしないからな」
「……」
「嫌なのか?」
「当たり前です!」
「ふふ、威勢がいいことだ」
嫌なものを嫌と言っただけ。
貴方の提案なんか受け入れるわけがない。
私も幸奈さんも!
「だが、今の君にはどうしようもないだろ」
「……」
「伊織もいない。他に助けてくれる味方もいない。この状況ではな」
自分の邪魔をする者がいないから思い通りになる。
下劣極まりない考え。
そんなことを恥ずかしげもなく口にするなんて。
この人……。
「もちろん、君の父親の了承も得ている」
和見の父が許した?
家の外なのに?
「多少手荒なことをしてもいいそうだ」
「……お父様が直接そう言ったの?」
「ああ」
「……」
やっぱり、あの父親は幸奈さんのことをモノとしか見ていないのね。
分かっていたことだけど。
心が痛い。
これは、幸奈さんの心。
父親を信じたい気持ちがまだ残っている?
幸奈さん……。
哀しく切ない。
泣きたくなる感情。
私まで……。
「まっ、こっちも君を傷つけたいとは思っていない。だから、分かるな?」
「……嫌です」
「ここまで言っても歯向かうのか。強情な娘だ」
「……」
「はあ~」
呆れたような溜め息をつく壬生兄。
呆れているのは私なのに。
「いったい、どこに不満がある? 壬生家の跡継ぎと婚約できるんだぞ」
異能を使える権門の長男。
あちらの世界で言えば、魔法を使える貴族家の後嗣みたいなもの。
多くの人が自分の前に膝を屈し、世界が思い通りに動くと考えているような人物。
「答えてみろ」
でも、この人は何も分かっていない。
あなたのような人になびくのは、あなた自身になびいているからじゃないのよ。
その力に魅力を感じているから。
権力になびいているだけ。
こんな男性と幸奈さんが婚約、結婚?
考えられない。
許せるわけがない。
「私の身には余りますので、遠慮させていただきます」
「父親が認めているというのに、壬生家の申し出を断るつもりか?」
「ええ! あなたとは婚約したくありません!」
「……」
何、その気味の悪い表情は?
「ふふ……、ははは」
「……」
「君には壬生家の嫁として教育が必要みたいだな」
その言葉とともに、壬生兄の後ろからふたりの男性が姿を現した。
でも、これは予知通り。
会話以外の展開はほぼ予知通りだ。
会話が違ってしまったのは、私が言いたいことを言ったから。
許してね、幸奈さん。
「このまま拘束してもいいんだが、趣向を変えよう」
「……」
最初からそのつもりでしょ。
「久しぶりだな」
「……」
ああ、やっぱり。
予知だったのね。
ワディンから遠く離れたこの地で、祝福だけでなく予知まで使えるのは不思議だけど。少し疑っていたけど。
私は間違いなく予知を使ったんだ。
「また、そんな表情を。せっかく婚約者である私が会いに来てやったというのに」
「……頼んでません」
「ふふ、相変わらずか」
「……」
予知の通り、壬生兄と他に2人の男。
3人の異能者が道を遮るようにして立っている。
「が、今日は伊織もいない。私の言うことを聞いてもらうぞ」
「……」
「心配しなくてもいい。悪いようにはしないからな」
「……」
「嫌なのか?」
「当たり前です!」
「ふふ、威勢がいいことだ」
嫌なものを嫌と言っただけ。
貴方の提案なんか受け入れるわけがない。
私も幸奈さんも!
「だが、今の君にはどうしようもないだろ」
「……」
「伊織もいない。他に助けてくれる味方もいない。この状況ではな」
自分の邪魔をする者がいないから思い通りになる。
下劣極まりない考え。
そんなことを恥ずかしげもなく口にするなんて。
この人……。
「もちろん、君の父親の了承も得ている」
和見の父が許した?
家の外なのに?
「多少手荒なことをしてもいいそうだ」
「……お父様が直接そう言ったの?」
「ああ」
「……」
やっぱり、あの父親は幸奈さんのことをモノとしか見ていないのね。
分かっていたことだけど。
心が痛い。
これは、幸奈さんの心。
父親を信じたい気持ちがまだ残っている?
幸奈さん……。
哀しく切ない。
泣きたくなる感情。
私まで……。
「まっ、こっちも君を傷つけたいとは思っていない。だから、分かるな?」
「……嫌です」
「ここまで言っても歯向かうのか。強情な娘だ」
「……」
「はあ~」
呆れたような溜め息をつく壬生兄。
呆れているのは私なのに。
「いったい、どこに不満がある? 壬生家の跡継ぎと婚約できるんだぞ」
異能を使える権門の長男。
あちらの世界で言えば、魔法を使える貴族家の後嗣みたいなもの。
多くの人が自分の前に膝を屈し、世界が思い通りに動くと考えているような人物。
「答えてみろ」
でも、この人は何も分かっていない。
あなたのような人になびくのは、あなた自身になびいているからじゃないのよ。
その力に魅力を感じているから。
権力になびいているだけ。
こんな男性と幸奈さんが婚約、結婚?
考えられない。
許せるわけがない。
「私の身には余りますので、遠慮させていただきます」
「父親が認めているというのに、壬生家の申し出を断るつもりか?」
「ええ! あなたとは婚約したくありません!」
「……」
何、その気味の悪い表情は?
「ふふ……、ははは」
「……」
「君には壬生家の嫁として教育が必要みたいだな」
その言葉とともに、壬生兄の後ろからふたりの男性が姿を現した。
でも、これは予知通り。
会話以外の展開はほぼ予知通りだ。
会話が違ってしまったのは、私が言いたいことを言ったから。
許してね、幸奈さん。
「このまま拘束してもいいんだが、趣向を変えよう」
「……」
最初からそのつもりでしょ。
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