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第8章 南部動乱編
テポレン山の戦い 6
<和見幸奈視点(姿はセレスティーヌ)>
「……そうですね。今回の作戦は素晴らしいものですが、本当に上手くいくかどうかは分かりませんし」
「そう、そうなんです」
「……戦争とは相手があるもの。つまり、敵の対応次第で作戦の成否も変わってきます」
「はい」
「戦の真実とはそんなものですから、心配されるのもおかしいことじゃありませんよ」
「……」
「今回は王軍も対策を講じてきたようで、魔法矢の効果も前回ほどではありませんしね」
まったくその通り。
今も多くの魔法矢が防がれている。
「ですが、心配は無用です。セレスティーヌ様はここでゆっくりお待ちいただければと」
「はい! わたしは皆さんを信じてここで待ちます」
上手くいくと信じたい。
この作戦もコーキさんのことも、みんなのことも。
「ディアナ、準備した方がいい」
ディアナさんとふたりで話をしているところに、ユーフィリアさんが声をかけてきた。
「そろそろ出番だと思う」
「……分かった」
*******************
魔法矢による初撃の効果は前回のそれに遠く及ばなかった。
王軍の新編成、5人1組の盾防御で防がれたからだ。
「効いていないぞ」
「ああ、上手く防げたな」
「これで戦える!」
「間違いない!」
実際に与えた損害も少ないが、それ以上に王軍に動揺がまったく見えないことが問題だな。
とはいえ、こっちとしてもある程度は想定内。
まだ動揺する段階じゃない。
「コーキ殿?」
ゼミアさんが指示を求めるように、見つめてくる。
「……もう一撃、今度は半数の25人で撃ってみましょう」
「了解しました。皆、半斉射だ。撃てぇ!」
半数の魔道具隊から放たれた矢が、再び敵先陣で炸裂。
が……。
当然のことながら、初撃と同じように防がれてしまった。
「……」
王軍が魔法矢対策を立ててくることは分かっていたこと。
想定通りではあるが、思った以上に上手く防いでくれたものだ。
通常の盾ならここまで防御することもできなかっただろうに。
特製の盾を用意したってことか。
たった数日。
その時間でここまで対応するとは、数だけじゃなく質においても侮れないな。
とはいえ、こっちもこの数日を無駄に過ごしたわけじゃない。
「どうするよ、コーキ?」
「コーキ殿?」
「魔法矢には余裕がありますが、少し控えましょう」
「ってことは」
「ああ、次はB地点だな」
ここからA地点までは約100歩。
B地点までは50歩。
王軍の方もB地点まで来れば、魔法や弓を使っての通常攻撃が可能になる。
こっちは事前に用意した防壁で守られているとはいえ、それでも用心した方がいいだろう。
ただ、敵先陣を見るに。
完全に防御に徹している感がある。
先陣は防御特化、特製の盾を持った重装歩兵隊ってところか。
そうするとだ。
まずは、重装部隊でこちらに攻め込み飛び道具の優位性を奪う。
次いで、後続の軽装隊が攻め寄せてくるという算段だろう。
まあ、こっちとしては敵を防壁内に入れた時点で負けが確定したようなもの。
一度敵を防壁内に入れてしまうと、その後は大軍が雪崩を打って攻め込んでくるはずだからな。
つまり、何としてもこの重装歩兵の進軍を防ぐ必要があるってことだ。
「……」
感知と目で見積もったところ、重装歩兵隊は500程度。
特製盾の準備がその数ってことか。
なら、この500を叩けばいい。
「……そうですね。今回の作戦は素晴らしいものですが、本当に上手くいくかどうかは分かりませんし」
「そう、そうなんです」
「……戦争とは相手があるもの。つまり、敵の対応次第で作戦の成否も変わってきます」
「はい」
「戦の真実とはそんなものですから、心配されるのもおかしいことじゃありませんよ」
「……」
「今回は王軍も対策を講じてきたようで、魔法矢の効果も前回ほどではありませんしね」
まったくその通り。
今も多くの魔法矢が防がれている。
「ですが、心配は無用です。セレスティーヌ様はここでゆっくりお待ちいただければと」
「はい! わたしは皆さんを信じてここで待ちます」
上手くいくと信じたい。
この作戦もコーキさんのことも、みんなのことも。
「ディアナ、準備した方がいい」
ディアナさんとふたりで話をしているところに、ユーフィリアさんが声をかけてきた。
「そろそろ出番だと思う」
「……分かった」
*******************
魔法矢による初撃の効果は前回のそれに遠く及ばなかった。
王軍の新編成、5人1組の盾防御で防がれたからだ。
「効いていないぞ」
「ああ、上手く防げたな」
「これで戦える!」
「間違いない!」
実際に与えた損害も少ないが、それ以上に王軍に動揺がまったく見えないことが問題だな。
とはいえ、こっちとしてもある程度は想定内。
まだ動揺する段階じゃない。
「コーキ殿?」
ゼミアさんが指示を求めるように、見つめてくる。
「……もう一撃、今度は半数の25人で撃ってみましょう」
「了解しました。皆、半斉射だ。撃てぇ!」
半数の魔道具隊から放たれた矢が、再び敵先陣で炸裂。
が……。
当然のことながら、初撃と同じように防がれてしまった。
「……」
王軍が魔法矢対策を立ててくることは分かっていたこと。
想定通りではあるが、思った以上に上手く防いでくれたものだ。
通常の盾ならここまで防御することもできなかっただろうに。
特製の盾を用意したってことか。
たった数日。
その時間でここまで対応するとは、数だけじゃなく質においても侮れないな。
とはいえ、こっちもこの数日を無駄に過ごしたわけじゃない。
「どうするよ、コーキ?」
「コーキ殿?」
「魔法矢には余裕がありますが、少し控えましょう」
「ってことは」
「ああ、次はB地点だな」
ここからA地点までは約100歩。
B地点までは50歩。
王軍の方もB地点まで来れば、魔法や弓を使っての通常攻撃が可能になる。
こっちは事前に用意した防壁で守られているとはいえ、それでも用心した方がいいだろう。
ただ、敵先陣を見るに。
完全に防御に徹している感がある。
先陣は防御特化、特製の盾を持った重装歩兵隊ってところか。
そうするとだ。
まずは、重装部隊でこちらに攻め込み飛び道具の優位性を奪う。
次いで、後続の軽装隊が攻め寄せてくるという算段だろう。
まあ、こっちとしては敵を防壁内に入れた時点で負けが確定したようなもの。
一度敵を防壁内に入れてしまうと、その後は大軍が雪崩を打って攻め込んでくるはずだからな。
つまり、何としてもこの重装歩兵の進軍を防ぐ必要があるってことだ。
「……」
感知と目で見積もったところ、重装歩兵隊は500程度。
特製盾の準備がその数ってことか。
なら、この500を叩けばいい。
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