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第8章 南部動乱編
資格
<セレスティーヌ視点(姿は和見幸奈)>
日本とは異なる世界で、コーキさんは頑張ってくれています。
今もきっと必死で。
それが分かっているのに……。
口に出せない。
「……」
「しっかし、あいつ幼馴染をほったらかしにしてよぉ」
「有馬君にも事情があるの。分かってるでしょ」
「……まあな」
「なら、もう黙りなさい」
私が困った顔をしたから、古野白さんが。
「あの、私は平気なので……」
「いいのよ、武上君がしつこいだけだから」
「違うだろ、有馬がおかしいんだって。普通はよ、こんな可愛い恋人をいつまでも人任せにしねえぞ」
「えっ!?」
可愛い恋人!
私がコーキさんの恋人!?
そんな!
顔が熱い!
「ほんと……あなた粗忽者ね」
「……粗忽じゃねえ」
「そうかしら」
「ああ、オレは慎重で気の利くヒーローなんだぜ」
「……」
ふたりとも、私の赤面した顔を見ないようにしてくれる。
……優しいな。
この世界でこんな人たちに護ってもらって、私は幸せだ。
「……和見さん、携帯電話に着信じゃない?」
えっ?
私の携帯、振動している?
「気にせず、出ていいわよ」
「すみません」
電話を取り出し、耳に当てると。
「……コーキさ、功己!」
またふたりと一緒にいる状況で、コーキさんから電話が。
「……はい。今は珈紅茶館にいます。古野白さんと武上君も一緒に。……はい、はい、分かりました」
「有馬君なのね?」
「はい。こちらに戻って来たそうです」
********************
「申し訳ありません。私の責任です」
「コーキさん……」
「私がもっと警戒していれば、あんなことには……」
俺の目の前にいるのはセレス様。
涙を堪えるように俯いている。
ずっと話すことができなかったトゥレイズ防衛戦の結末。
辺境伯の最期を、今伝えたからだ。
「……」
「……」
これまで話すタイミングがなかったというのは、言い訳に過ぎない。
全てはこちらの事情。
勝手な都合で黙っていた。
申し訳ない。
辺境伯を救えなかったことも、セレス様に伝えていなかったことも。
本当に申し訳ない。
「……」
「……」
つい数時間前。
エンノアで異世界間移動を使い日本に戻ると、時刻は朝の5時だった。
まだセレス様に会える時間ではなく、連絡を取れる時間でもなかったため、ひとまずシャワーを浴び仮眠を取ることに。その後、珈紅茶館でセレス様と待ち合わせ、俺の部屋にふたりで戻り、そしてこれまで話せなかったことを伝えて、今。
「父のことは、コーキさんのせいではありません」
「ですが……」
「仕方のないことだと思っています」
「……」
「厳しい状況は理解してましたし、それに、覚悟もできてましたから」
覚悟を?
そんな素振りは微塵も見せていなかったのに?
「本当です。でも、ごめんなさい。今は抑えることができなくて……」
「セレス様……」
感情を抑えられない。
そんなの当然のことだ。
いきなり父親の訃報を知らされたのだから。
大切な父を亡くし、最期に立ち会うこともできなかった。
そんな思いを、俺は彼女に。
「少しだけ……。少しだけ待ってください」
「……はい」
「……」
「……」
ただ涙を堪えるセレス様を前にして。
言葉なんて1つも浮かんでこない。
言い訳、慰め、励まし。
今この場で口にできるわけがない。
そんな資格もない。
日本とは異なる世界で、コーキさんは頑張ってくれています。
今もきっと必死で。
それが分かっているのに……。
口に出せない。
「……」
「しっかし、あいつ幼馴染をほったらかしにしてよぉ」
「有馬君にも事情があるの。分かってるでしょ」
「……まあな」
「なら、もう黙りなさい」
私が困った顔をしたから、古野白さんが。
「あの、私は平気なので……」
「いいのよ、武上君がしつこいだけだから」
「違うだろ、有馬がおかしいんだって。普通はよ、こんな可愛い恋人をいつまでも人任せにしねえぞ」
「えっ!?」
可愛い恋人!
私がコーキさんの恋人!?
そんな!
顔が熱い!
「ほんと……あなた粗忽者ね」
「……粗忽じゃねえ」
「そうかしら」
「ああ、オレは慎重で気の利くヒーローなんだぜ」
「……」
ふたりとも、私の赤面した顔を見ないようにしてくれる。
……優しいな。
この世界でこんな人たちに護ってもらって、私は幸せだ。
「……和見さん、携帯電話に着信じゃない?」
えっ?
私の携帯、振動している?
「気にせず、出ていいわよ」
「すみません」
電話を取り出し、耳に当てると。
「……コーキさ、功己!」
またふたりと一緒にいる状況で、コーキさんから電話が。
「……はい。今は珈紅茶館にいます。古野白さんと武上君も一緒に。……はい、はい、分かりました」
「有馬君なのね?」
「はい。こちらに戻って来たそうです」
********************
「申し訳ありません。私の責任です」
「コーキさん……」
「私がもっと警戒していれば、あんなことには……」
俺の目の前にいるのはセレス様。
涙を堪えるように俯いている。
ずっと話すことができなかったトゥレイズ防衛戦の結末。
辺境伯の最期を、今伝えたからだ。
「……」
「……」
これまで話すタイミングがなかったというのは、言い訳に過ぎない。
全てはこちらの事情。
勝手な都合で黙っていた。
申し訳ない。
辺境伯を救えなかったことも、セレス様に伝えていなかったことも。
本当に申し訳ない。
「……」
「……」
つい数時間前。
エンノアで異世界間移動を使い日本に戻ると、時刻は朝の5時だった。
まだセレス様に会える時間ではなく、連絡を取れる時間でもなかったため、ひとまずシャワーを浴び仮眠を取ることに。その後、珈紅茶館でセレス様と待ち合わせ、俺の部屋にふたりで戻り、そしてこれまで話せなかったことを伝えて、今。
「父のことは、コーキさんのせいではありません」
「ですが……」
「仕方のないことだと思っています」
「……」
「厳しい状況は理解してましたし、それに、覚悟もできてましたから」
覚悟を?
そんな素振りは微塵も見せていなかったのに?
「本当です。でも、ごめんなさい。今は抑えることができなくて……」
「セレス様……」
感情を抑えられない。
そんなの当然のことだ。
いきなり父親の訃報を知らされたのだから。
大切な父を亡くし、最期に立ち会うこともできなかった。
そんな思いを、俺は彼女に。
「少しだけ……。少しだけ待ってください」
「……はい」
「……」
「……」
ただ涙を堪えるセレス様を前にして。
言葉なんて1つも浮かんでこない。
言い訳、慰め、励まし。
今この場で口にできるわけがない。
そんな資格もない。
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