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第8章 南部動乱編
監禁
<リヒャルド・イゾリンデ視点>
「ぅ……」
遠くから聞こえてくる歓声に耳が反応する。
「うぅ……」
浅い眠りが去り、意識が戻って来る。
「……」
ここは?
ああ、ワディンの……。
「リヒャルド様?」
傍らから届くのは既に耳慣れたもの。
トゥオヴィの声だ。
「お怪我は?」
「……問題ない」
意識を失う前。
尋問時に受けた打擲などあってないようなものだった。
そんな私より。
「トゥオヴィこそ大丈夫なのか?」
「少し痛みが残っている程度で、まったく問題ないです」
尋問時と異なり明かりが消えた室内ではトゥオヴィの体を確認することはできない。が、彼女の言葉と声音から、大きな怪我を負っていないことだけは分かる。
とりあえず、一安心といったところか。
「ワディンの尋問も簡単なものでしたし」
「……」
本当にあっさりした取り調べだった。
ワディン騎士たちの怨嗟のこもった眼を見て、尋常でない扱いを覚悟していたというのに。
「しかし、彼らは何を考えているのでしょう?」
我らに恨みがあることだけは間違いない。
ただ、何を考えているかまでは……。
「ここまでは強い言葉と裏腹に簡易な調べばかり。とても拷問と呼べるようなものじゃありませんでした。いったい狙いは何なのか?」
「……分からない。だが、奇妙ではある」
「私もそう思います」
予想とはかなり異なるワディンの対応に、トゥオヴィも違和感を覚えているようだな。とはいえ、今の我らにできることなど……。
そうだ。
「魔法は使えるようになったか?」
「申し訳ありません。まだ使えないようです」
「本来なら、もう発動できるのであろう?」
「そのはずなのですが……」
トゥオヴィが操るのは幻影の魔法。回数制限や効果の規模など使い所は難しいものの、捕らわれの身にとっては唯一の武器と言ってもよい。それが、どういうわけか使えぬと言うのだから、これも奇妙極まりない。
「部屋に仕掛けがあるのかもしれません」
「魔法を使えぬようにする仕掛けがこの部屋に?」
「はい」
特段変わったところがあるようには見えない監禁空間。
明かりが消された室内に仕掛けが存在する?
「不思議なことに、ここいると絶えず眠気を覚えてしまいますし」
確かに、ずっと眠気が消えてくれない。
さっきもつい眠ってしまった。
疲労のためだと思っていたこの眠気。そう言われればおかしい気もする。
とはいえ。
「眠気と魔法阻害に関係があるのか?」
「場合によっては、あり得ることかと」
「……」
あっさりとした尋問に、いつまでも魔法が使えない空間。さらには絶えることのない眠気。
「不気味だな」
「本当に……」
「……」
「……」
トゥオヴィと私が口を閉ざすと否応なく耳に入ってくるワディンの歓声。
閉鎖された監禁空間にいても、大騒ぎしている様子が伝わってくる。
「勝利の宴でも開いているのか?」
「そのようですね」
先の戦いで敗れたものの、我らには有り余るほどの戦力が存在する。
そんな状況で浮かれるとは、愚かなことだ。
「この隙に脱出できれば良いのですが……」
窓ひとつない部屋から出るには、固く閉ざされた扉をこじ開けるしかない。
手足を拘束され魔法も使えぬ状態では不可能に近いだろう。
「申し訳ございません」
「いや、トゥオヴィが謝ることではない」
そもそも虜囚になったのは私の責任なのだから。
「ぅ……」
遠くから聞こえてくる歓声に耳が反応する。
「うぅ……」
浅い眠りが去り、意識が戻って来る。
「……」
ここは?
ああ、ワディンの……。
「リヒャルド様?」
傍らから届くのは既に耳慣れたもの。
トゥオヴィの声だ。
「お怪我は?」
「……問題ない」
意識を失う前。
尋問時に受けた打擲などあってないようなものだった。
そんな私より。
「トゥオヴィこそ大丈夫なのか?」
「少し痛みが残っている程度で、まったく問題ないです」
尋問時と異なり明かりが消えた室内ではトゥオヴィの体を確認することはできない。が、彼女の言葉と声音から、大きな怪我を負っていないことだけは分かる。
とりあえず、一安心といったところか。
「ワディンの尋問も簡単なものでしたし」
「……」
本当にあっさりした取り調べだった。
ワディン騎士たちの怨嗟のこもった眼を見て、尋常でない扱いを覚悟していたというのに。
「しかし、彼らは何を考えているのでしょう?」
我らに恨みがあることだけは間違いない。
ただ、何を考えているかまでは……。
「ここまでは強い言葉と裏腹に簡易な調べばかり。とても拷問と呼べるようなものじゃありませんでした。いったい狙いは何なのか?」
「……分からない。だが、奇妙ではある」
「私もそう思います」
予想とはかなり異なるワディンの対応に、トゥオヴィも違和感を覚えているようだな。とはいえ、今の我らにできることなど……。
そうだ。
「魔法は使えるようになったか?」
「申し訳ありません。まだ使えないようです」
「本来なら、もう発動できるのであろう?」
「そのはずなのですが……」
トゥオヴィが操るのは幻影の魔法。回数制限や効果の規模など使い所は難しいものの、捕らわれの身にとっては唯一の武器と言ってもよい。それが、どういうわけか使えぬと言うのだから、これも奇妙極まりない。
「部屋に仕掛けがあるのかもしれません」
「魔法を使えぬようにする仕掛けがこの部屋に?」
「はい」
特段変わったところがあるようには見えない監禁空間。
明かりが消された室内に仕掛けが存在する?
「不思議なことに、ここいると絶えず眠気を覚えてしまいますし」
確かに、ずっと眠気が消えてくれない。
さっきもつい眠ってしまった。
疲労のためだと思っていたこの眠気。そう言われればおかしい気もする。
とはいえ。
「眠気と魔法阻害に関係があるのか?」
「場合によっては、あり得ることかと」
「……」
あっさりとした尋問に、いつまでも魔法が使えない空間。さらには絶えることのない眠気。
「不気味だな」
「本当に……」
「……」
「……」
トゥオヴィと私が口を閉ざすと否応なく耳に入ってくるワディンの歓声。
閉鎖された監禁空間にいても、大騒ぎしている様子が伝わってくる。
「勝利の宴でも開いているのか?」
「そのようですね」
先の戦いで敗れたものの、我らには有り余るほどの戦力が存在する。
そんな状況で浮かれるとは、愚かなことだ。
「この隙に脱出できれば良いのですが……」
窓ひとつない部屋から出るには、固く閉ざされた扉をこじ開けるしかない。
手足を拘束され魔法も使えぬ状態では不可能に近いだろう。
「申し訳ございません」
「いや、トゥオヴィが謝ることではない」
そもそも虜囚になったのは私の責任なのだから。
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