30年待たされた異世界転移

明之 想

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第8章 南部動乱編

信頼

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 結局、犯人を見つけることができないまま、何も分からないまま、4時間が過ぎ去ってしまった。



 12刻(24時)を過ぎたところで、幸奈とシア、ディアナ、ユーフィリアといった女性陣が部屋に戻るということで、俺とヴァーン、アルもついていくことに。

「セレス様、お身体の方は大丈夫ですか?」

「えっ、はい。ちょっと眠いですけど、平気ですよ」

「それなら良いのですが……」

 前回の時間軸では、この時間に既にセレス様は倒れていた。
 が、今はこうして俺の前で元気な姿を見せてくれている。
 前回とは明らかに違う。

「……」

 魔落脱出後のセレス様は、何度も同時刻の悲劇を繰り返してしまった。
 まるで未来が決まっているように、過程など関係なく事実が収束するかのように。

 けど、今は違う。
 過去が変わり、未来も変わったんだ。
 今夜は、セレス様の身を護ることができたんだ。

「……」

 もちろん、あの惨劇の原因も犯人も分からぬまま。
 解決からは程遠い。
 喜んでいい状況じゃない。
 厄介な状況ではある。

 それでも、最悪の事態を回避することができたのだから、最善でなくとも今はこれで好しと考えるしかないだろう。

 ただ……。

 今後はどうする?

 解決するまでずっと幸奈の傍についているなんて不可能に近い。
 日中はまだしも、就寝時に神娘の傍にいることが許されるとは思えない。
 残念ながら、俺1人の力では……。

 宴で犯人を捕まえることができなかった以上、独力での解決は諦めるしかないのか?
 なら、この6人に事情を話すべき?


「あの、先生?」

「コーキ殿?」

「……」

「部屋に着いたのだが?」

「もう休もうかと……」

 そうだよな。
 男連中がいると休めないよな。

「コーキさん、俺たちも部屋に戻ろうぜ」

 本来なら、今夜は皆にゆっくり休んでもらいたい。
 疲れを取ってもらいたい。
 が、今は……。

「少し話があるんだ。みんな、聞いてもらえるか?」

「こんな夜中にどうした?」

「急ぎですか?」

「ああ」



 その後。
 幸奈、ヴァーン、シア、アル、ディアナ、ユーフィリアの6人に、今も存在するであろう危険について話したところ。

 皆、半信半疑ながらも、俺の話を受け入れてくれた。これ以降はセレス様の身を守りながら襲撃者特定に力を注いでくれると約束もしてくれた。護衛対象の幸奈本人も軽率な行動は控え用心すると。

 時間遡行には触れず、根拠は俺の気配感知と勘による推理だけだと伝えたのに……。
 ここまで信頼してもらえるなんて、本当にありがたいことだよ。

 そうそう。
 魂替についてはもちろん中止になった。
 明日以降、幸奈と話し合う予定だ。


 ということで、今夜はシア、ディアナ、ユーフィリア、それにノワールが幸奈の護衛として同室で休むことに決定。

 俺も同室で護衛したいところだが……。
 頼りになる女性3人とノワールがついているんだ。問題などないはず。
 念のため朝まで俺が気配を探って警戒を怠らなければ、もう万全だろう。

 そんな自信を持って自室に戻り、迎えた翌早朝。

「先生、先生っ!!」

 シアの焦った気配を部屋の外に感じ、扉を開け放つと。
 目の前に立っていたシアの顔色が……蒼白どころじゃない。
 その様子に、嫌な汗が溢れ出てくる。

「先生……」




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