30年待たされた異世界転移

明之 想

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第11章 陰謀編

薄暮の剣戟


「きゃあぁぁぁ!!」

 この先にある広場から聞こえてきた絶叫。
 明らかに普通じゃない。

「……」

 今回の王都滞在中はやるべきことに専念して、それ以外には関わらない。
 時間がないのだから、優先順位をしっかり見極める。

 そう心に決めていたのに。

 響き渡る悲鳴、騒然とした気配に、気付けば足が反応していた。
 意志に反するように身体が動いていた。

 こうなると……。

 今日はもう宿に戻るだけ。
 時間を使っても問題ない、よな?
 そうだ、問題なんてない。

 言い訳に近い自己弁護を頭の中に浮かべながら、大通りを駆け、広場に足を踏み入れる。ここは剣姫と出会った広場、屋台の娘ファミノと一緒に踊ったあの広場だ。

「きゃあぁ!」

「うわぁぁ!」

「危ない!」

 と、騒動は広場の中央。
 人だかりができている、あそこか。

 どよめく市民に悲鳴を上げる女性。
 その先に見えてきたのは、2人の剣士。
 血に濡れた剣を片手に笑みを浮かべる長身の男と、背中から血を流し地面に片膝をついている骨太の男だ。

 って、あれは!?

 背中しか見えない、顔は確認できない。
 が、あの筋肉に覆われた背中。
 短い赤髪。

「ちっ、やりやがったな」

「……」

「てめえ、何者だ」

「……」

「だんまりかよ」

「……」

 2人の男を中心に、円形にできあがった人だかり。
 その円を回るように移動し、とらえた男の顔は……。

 やっぱり、お前かよ。

「黙ってても、どこの手の者かは分かってんだぜ」

「……うるさいやつだ。その上、しぶとい」

「はっ、こんなもんじゃあな、オレはやられねえんだよ」

 立ち上がる赤髪。
 そこに近づく長身。

 ともに剣を抜き、殺気を放ちながら対峙している2人。

 お互いの剣は冷たく熱く、周りの気をその剣身に集めたかのように冴えた光をたたえている。その清冽な剣身。精妙な佇まいには、おのずと畏敬の念を覚えてしまう。

「なら、次の一撃で倒してやろう」

「できるわけねえだろ」

「ふっ」

「さっきの不意打ちでも、オレを倒せなかったんだぜ」

 背中から血を流しながらも、余裕があるように見える。
 まだ、やれるってことだよな?

「おめえにオレは倒せねえ」

「それは、どうかな」

「どうでもねえ!」

「では、味わうがいい」

 その言葉とともに地面をけり、滑るように接近。
 上段から剣を叩きつける長身。
 速い!

「誰が味わうかよぉ」

 振り上げる剛剣で迎え撃つ赤髪。
 こっちは強く重い。

 ガキーン!

 火花を散らす剣の激突。

「どりゃあ!」

 激しい剣戟が始まった!

感想 11

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