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第11章 陰謀編
薄暮の剣戟
「きゃあぁぁぁ!!」
この先にある広場から聞こえてきた絶叫。
明らかに普通じゃない。
「……」
今回の王都滞在中はやるべきことに専念して、それ以外には関わらない。
時間がないのだから、優先順位をしっかり見極める。
そう心に決めていたのに。
響き渡る悲鳴、騒然とした気配に、気付けば足が反応していた。
意志に反するように身体が動いていた。
こうなると……。
今日はもう宿に戻るだけ。
時間を使っても問題ない、よな?
そうだ、問題なんてない。
言い訳に近い自己弁護を頭の中に浮かべながら、大通りを駆け、広場に足を踏み入れる。ここは剣姫と出会った広場、屋台の娘ファミノと一緒に踊ったあの広場だ。
「きゃあぁ!」
「うわぁぁ!」
「危ない!」
と、騒動は広場の中央。
人だかりができている、あそこか。
どよめく市民に悲鳴を上げる女性。
その先に見えてきたのは、2人の剣士。
血に濡れた剣を片手に笑みを浮かべる長身の男と、背中から血を流し地面に片膝をついている骨太の男だ。
って、あれは!?
背中しか見えない、顔は確認できない。
が、あの筋肉に覆われた背中。
短い赤髪。
「ちっ、やりやがったな」
「……」
「てめえ、何者だ」
「……」
「だんまりかよ」
「……」
2人の男を中心に、円形にできあがった人だかり。
その円を回るように移動し、とらえた男の顔は……。
やっぱり、お前かよ。
「黙ってても、どこの手の者かは分かってんだぜ」
「……うるさいやつだ。その上、しぶとい」
「はっ、こんなもんじゃあな、オレはやられねえんだよ」
立ち上がる赤髪。
そこに近づく長身。
ともに剣を抜き、殺気を放ちながら対峙している2人。
お互いの剣は冷たく熱く、周りの気をその剣身に集めたかのように冴えた光をたたえている。その清冽な剣身。精妙な佇まいには、おのずと畏敬の念を覚えてしまう。
「なら、次の一撃で倒してやろう」
「できるわけねえだろ」
「ふっ」
「さっきの不意打ちでも、オレを倒せなかったんだぜ」
背中から血を流しながらも、余裕があるように見える。
まだ、やれるってことだよな?
「おめえにオレは倒せねえ」
「それは、どうかな」
「どうでもねえ!」
「では、味わうがいい」
その言葉とともに地面をけり、滑るように接近。
上段から剣を叩きつける長身。
速い!
「誰が味わうかよぉ」
振り上げる剛剣で迎え撃つ赤髪。
こっちは強く重い。
ガキーン!
火花を散らす剣の激突。
「どりゃあ!」
激しい剣戟が始まった!
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