30年待たされた異世界転移

明之 想

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第11章 陰謀編

偶然?


<ヴァーンベック視点>



 黒都カーンゴルムで会った大男。
 コーキと夕連亭の店員と一緒に旅をしていた男だ。

「おまえ、いや、君はカーンゴルムで会った?」

「ええ、そうですが……」

 なぜこいつがキュベルリアにいる?
 しかも、この骨董品店に?

 コーキの敵とは思えないが。
 だとすると……。

 偶然?
 骨董品収集が趣味で、たまたまこの店に姿を現したとか?

 この店に似合わない筋肉隆々の大男とはいえ、年齢は40歳前後。
 骨董好きの可能性も……。

 いや、違うな。
 どう見ても、骨董品に興味ある挙動じゃない。
 俺と同じく門外漢にしか見えねえわ。

「君がどうしてこの店に?」

 と言いながら向けてくるのは不審者を見るような視線。
 そっちも俺を疑ってるんだな。

「もちろん、骨董品を買うためです」

「ほう、君が骨董品を?」

 俺の挙動はもちろん、何もかもが骨董品店には似つかわしくない。
 そんなことは自分でもよーく分かってる。
 とはいえ、ここには店員の目もあるんだ。
 押し切るしかねえだろ。

「骨董品が目当てでなければ来ませんよ。そう言うあなたも?」

「……そうだ」

「……」

「……」

 言葉は出てこないが、内心は違う。
 相手の思惑を読むように、頭が動きまくってる。
 そっちも同じだよな。

「あの……」

 さっきまで距離を置いていた店員。
 彼が再び近づいて来た。
 これは、まずいか?

「お客様?」

 さっきのやり取り。
 どうみても不自然だったよな。
 ただでさえ、店に相応しくない2人組だというのに。
 店員があやしく思うのも当然だ。

 となると、ひとまず。

「外に出ましょうか」

「ああ」

 店を出る俺の背に店員の視線が突き刺さってくる。

 はあ~。
 やりにくくなっちまったな。



「で、どういうことなんです?」

 骨董品店を出て数歩進んだところで、こっちから話を振ってやる。

「……どういうこととは?」

「ここに来た理由ですよ」

「……」

「ここに邪魔者はいない。腹を割って話しませんか?」

 相手は明らかな凄腕。
 とはいえ、敵である可能性は薄い。
 なら、積極的に話を進めるべきだろう。

「あなたは骨董品なんて興味ありませんよね」

「君も同じだろ」

「その通り。ここに来たのは他の理由があるからです」

「それは?」

「こっちが先に質問したんですけど」

「……」

 話す気はないってか。
 なら、仕方ねえ。
 先に話してやるよ。

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