【完結】幸せしかないオメガバース

回路メグル

文字の大きさ
15 / 58

第15話 準備2

しおりを挟む
 リビングについて、先週と同じコーヒーを俺はブラック、アキヤさんはミルクと砂糖たっぷりで飲む。
 おいしそうな顔で飲んでいるの、かわいいなぁ……。
 顔も体もかっこいいけど、かわいい……あ、そうだ!

「あの、忘れないうちに体のサイズ測っていいですか?」
「いいよ。でも、うちにメジャーとかあったかな……?」
「大丈夫です。いつも持ち歩いているので」
「……メジャー、いつも持ち歩いてるの?」
「はい!」

 さすがにちょっと呆れられたみたいだけど、アキヤさんは大人しく体のサイズを測らせてくれた。

「そこ立ってください、こっち向いて……手、上げて……」

 測ることに集中してはいたけど、シャツ越しではあるけど、体の色々な部分に触れて……後ろから抱き着くみたいなこともすれば、流石にアキヤさんの体を意識してしまう。
 この前抱き着いた時にも思ったけど、体の厚み、硬さ、全然違う。アルファらしくてかっこいいなぁ……。
 ……って、だめだめ!
 折角作らせてもらうんだから、集中しないと。

「ミチくん、もういい?」
「あ、はい! 全部測れました」

 メジャーをテーブルに置いて、スマホのメモ機能に数字を打ち込んでいると……アキヤさんに後ろから抱きしめられた。
 わ! ハグだ、嬉しい……と思ったけど、あれ?

「ア、アキヤさん……?」

 なんか、このハグ……

「ミチくん、他の人に作る時もこんな測り方するの?」
「え? ……はい」

 アキヤさんの腕の力が強くなる。

「嫌だな」
「……えっと……?」

 怒って……いや、拗ねている?

「俺以外に抱き着くの……嫌だ」
「……!?」
「……ごめん。俺、大人げないこと言ってるね。でも……ミチくんに測られている間、すごくドキドキした」

 俺の体を抱きしめる腕が……何だろう。抱きしめているだけなのに、なんかちょっと……体を撫でるみたいな……?

「他の奴を、こんな気持ちにさせたくない」
「ひっ……!?」

 あ、う、項……唇当たってる……!

「あの、俺……」
「情けないけど許して。番を見つけてからきちんと番契約するまでのアルファって、すごく独占欲が強くて情緒不安定だから……なんて言い訳すると更に情けないか……」
「アキヤさん」

 強く抱きしめられた腕の中で、俺が後ろを振り向こうとすればアキヤさんはきちんと力を緩めてくれた。

「アキヤさん、俺、確かに友達や家族のために編むのが趣味だけど、家族にはアルファもいるけど、ずっとオメガ学校だったから友達はオメガしかいないんです」
「え? ……じゃあ……」

 向かい合ったアキヤさんは、ちょっと情けない顔で……あ、かわいい。

「家族を除けば、オメガ相手にしか、こんなことしていません」
「……心配いらなかったんだ」
「そうです。でも、心配させてごめんなさい」
「心配……いや、嫉妬してごめん」
「……嫉妬されたの、ちょっと嬉しかったからいいですよ」

 俺がアキヤさんの両頬を撫でるとアキヤさんはやっと笑顔になった。
 今日までよく見せてくれたアルファらしい余裕のある幸せそうな笑顔ではなくて、ちょっと情けない笑顔だ。

「ミチくんの前ではもっとかっこつけたいのに……今日は最初からダメだな」
「ダメじゃないですよ」

 アキヤさんの頬を撫でていた手を、アキヤさんの首筋に回す。
 伝わるかな……俺のこの、たまらないって気持ち。

「アキヤさんのこと、もっと好きになりました」
「ミチくん……」

 アキヤさんが情けない笑顔から、幸せそうな笑みになった。
 良かった。こっちの顔の方がいい。

「俺も。ミチくんのこと、もっと好きになった」
「んっ。嬉しい……」

 笑顔で見つめあって、幸せな時間を噛みしめていると……アキヤさんに唇を啄まれた。

「ん……ん、っ……」

 何度も、角度を変えて……。

「ん、あ、アキヤ……さん?」

 キスの合間に名前を呼ぶと、アキヤさんは幸せそうな……でも、真剣なまなざしで俺を見ていた。

「ミチくん」

 また唇を啄まれて……その唇が、耳元に近づく。

「いい?」

 経験の無い俺だけど、何が「いい?」なのかは流石にわかる。
 これ……セックスのお誘いだ。

「あ……は……はぃ」

 語尾が消えそうになりながらしっかり頷いた。
 緊張する、怖い、不安。
 でも……俺だって今、アキヤさんのことがすごく好きで……すごく……。

 したい。

「……ゆっくりしよう。俺、シャワー浴びてくる。寝室で待ってて」

 俺が初めてだから、心の準備をする時間をくれているんだと思う。

「はい」

 一緒にリビングを出て、アキヤさんは右にあるバスルームへ。
 俺は左にある寝室へと向かった。


しおりを挟む
感想 46

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

αが離してくれない

雪兎
BL
運命の番じゃないのに、αの彼は僕を離さない――。 Ωとして生まれた僕は、発情期を抑える薬を使いながら、普通の生活を目指していた。 でもある日、隣の席の無口なαが、僕の香りに気づいてしまって……。 これは、番じゃないふたりの、近すぎる距離で始まる、運命から少しはずれた恋の話。

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

【運命】に捨てられ捨てたΩ

あまやどり
BL
「拓海さん、ごめんなさい」 秀也は白磁の肌を青く染め、瞼に陰影をつけている。 「お前が決めたことだろう、こっちはそれに従うさ」 秀也の安堵する声を聞きたくなく、逃げるように拓海は音を立ててカップを置いた。 【運命】に翻弄された両親を持ち、【運命】なんて言葉を信じなくなった医大生の拓海。大学で入学式が行われた日、「一目惚れしました」と眉目秀麗、頭脳明晰なインテリ眼鏡風な新入生、秀也に突然告白された。 なんと、彼は有名な大病院の院長の一人息子でαだった。 右往左往ありながらも番を前提に恋人となった二人。卒業後、二人の前に、秀也の幼馴染で元婚約者であるαの女が突然現れて……。 前から拓海を狙っていた先輩は傷ついた拓海を慰め、ここぞとばかりに自分と同居することを提案する。 ※オメガバース独自解釈です。合わない人は危険です。 縦読みを推奨します。

【完結】この契約に愛なんてないはずだった

なの
BL
劣勢オメガの翔太は、入院中の母を支えるため、昼夜問わず働き詰めの生活を送っていた。 そんなある日、母親の入院費用が払えず、困っていた翔太を救ったのは、冷静沈着で感情を見せない、大企業副社長・鷹城怜司……優勢アルファだった。 数日後、怜司は翔太に「1年間、仮の番になってほしい」と持ちかける。 身体の関係はなし、報酬あり。感情も、未来もいらない。ただの契約。 生活のために翔太はその条件を受け入れるが、理性的で無表情なはずの怜司が、ふとした瞬間に見せる優しさに、次第に心が揺らいでいく。 これはただの契約のはずだった。 愛なんて、最初からあるわけがなかった。 けれど……二人の距離が近づくたびに、仮であるはずの関係は、静かに熱を帯びていく。 ツンデレなオメガと、理性を装うアルファ。 これは、仮のはずだった番契約から始まる、運命以上の恋の物語。

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。 2026/02/14 累計30万P突破御礼バレンタインSS追加しました 2026/02/15 累計いいね♡7777突破御礼SS 19時に公開します。 様々な形での応援ありがとうございます!

陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。

陽七 葵
BL
 主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。  しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。  蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。  だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。  そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。  そこから物語は始まるのだが——。  実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。  素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪

処理中です...