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第八章~遥かな扉~
四百九十四話【SIDE:宏章】
城山の言葉に、胸に沸き上がったのは怒りだった。
「成のため? よくもそんな事が言えますね」
思わず足を止め、厚顔な男を射殺すつもりで睨み据えた。
「あんたの息子が、俺の妻に何をしたのか知らないようだ。いいですか? 彼は、よそに婚約者のいるオメガに傾倒し、伴侶である成をないがしろにした。あまつさえ、何も悪くないあの子を貶めて、二十歳を目前に婚約破棄したんですよ!そんな男のもとに帰ることが、成己にとって幸福だと……!?」
怒鳴りながら、あまりの怒りに息が上がっていた。だが、許せない。先の発言は、あまりに成の苦しみを軽視している。きつく握りしめた拳に、青筋が浮かんだ。
……成は、辛かったことを話したがらない。だから、俺が知るのは僅かな事実だけで、あの子の苦しみの全てじゃない。
それでも、俺は知ってる。あの子の体が、アルファに拒絶された痛みで、どれほどボロボロになっていたか……。
『ぼく、もう一回陽平と話し合ってみる!』
成は入院に追い込まれてさえ、城山陽平から連絡があったと知れば、すぐにあいつの家に帰ると言った。
あの時の希望に輝く瞳を……その後、あの子の身に起きたことを思うと、胸が裂けそうになる。
――どうして、成を止めなかったんだろう。俺は、どうして……
いくら後悔しても足りない。
「俺は、成を離さない。あんたの息子になぞ、くれてやるか!」
ありたけの怒りを込め、叫んだ。伸びた牙が唇を傷つけ、赤い血が溢れだす。
「……ガッ……」
城山の後ろに控えていた秘書が、目を向いて倒れる。城山は額に汗を滲ませ、無抵抗を示すように手を挙げた。
「落ち着いてください。先ほどの発言の、配慮の足りなさをお詫びします」
「……」
まだ怒りをおさまらなかったが、八つ当たりをしたいわけじゃない。すうと息を吐き、気を落ち着けると――城山は幾分安堵したように、「ありがとう」と言った。
「申し訳ない。私の息子が、成己さんにしたことは許されることでないと、承知しています。ですが、苦しみを軽視しているなどとんでもない。むしろ……成己さんを苦しめてしまったからこそ、彼には本当に幸せになって頂きたいと、思っているんですよ」
城山は誠実に話そうと努めているようだ。俺は、ますます鼻白む気がした。
「なら、関わらないでもらいたいですね」
「構いません。それが、本当に成己さんの為になるなら――私は喜んで、契約書をつくりましょう」
「……なんですって?」
城山は秘書の側に落ちたバッグを拾い、書類を取り出した。
「お掛けください。成己さんの幸福のため……もう一度、私の話を聞いていただきたい」
俺は聞きながら、ばかげていると思った。何を聞いても、納得などしようがないからだ。
――なら……ここで、書類を書かせることが出来る、か?
城山を、成から遠ざけることが出来るなら……無駄な時間を過ごす価値はある。俺は決意し、もう一度席に着いた。
「手短にどうぞ」
城山は「ありがとう」と笑った。
「あなたと成己さんが番になったと、先ほど伺いました。失礼ですが……それは、お互いに納得ずくのことなんですよね」
「当然です。僕と妻は愛し合っています」
間髪入れずに答えると、城山は苦笑した。それから、手元のファイルから書類を抜き出した。
「愛も大切な理由ですが……アルファとオメガが番になるには、もう一つ大切な要素があります。こちらをどうぞ」
と、厚い冊子を渡される。訝しく思いながら、表題を読み上げて、はっとする。
「これは……成のデータじゃないですか! なぜ」
「成己さんとうちの息子が婚約する際に、センターから受け取ったものです。成己さんが息子の妻として相応しいかどうか、精査するために……ああ、野江さんは、ひょっとして貰っていませんか?」
城山は、試すような目で俺を見た。
「野江さんは、成己さんを引き受けるときに、手続きを急いだでしょう。遺伝子のマッチング検査など、省いた手続きがありましたよね。たとえば……成己さんの家系図、病歴……彼の体質などをきちんと調べなかったのではないですか?」
きた、と思った。――城山が成を取り戻そうとするなら、向こうの婚約破棄の不当さと、俺と成の婚姻関係の無効を言い立ててくると予想していた。俺は城山の言う通り、成と早く結婚するために、いくつか手続きを省いている。そうでなければ、急いでも一か月はかかる手続きを、一日で終わらせることはできなかった。
――だが、それが何だって言うんだ。
俺は口端をつり上げた。
「それが、いけませんか? 成の身元を引き受けるのに必要な手続きは、全て抜かりなくすませました。あの時は、一刻を争いましたので……それに、そんな情報、俺には必要ありません。俺は、成が成であればいいんです」
マッチング検査などは、アルファ側に文句を言わせないための措置だ。しなくても、国に損害はない――したがって、この件で俺を揺さぶることはできない。
睨み返すと、城山は苦笑した。
「心配しなくとも、そこを攻撃材料にするつもりはありません。――それよりも重要なことがありますから」
「……何です」
「これを見てください」
城山は冊子を開き、成の家系図を出した。成の情報を勝手に覗き見ることに罪悪感を覚えながら、俺はやつの手元を見る。
「ご覧の通り、成己さんの父親はベータ家系。母親もベータの血が混じったオメガですから……成己さんは、オメガとしての級はあまり高くない。野江一族なら、まず婚約者の候補にすら上がらないでしょうね」
淡々と言われた言葉に、カッとなる。
「妻を侮辱するんですか? 級など……ばかげた物差しで、成を計らないでもらいたい!」
バン、とテーブルに手のひらを叩きつける。しかし、城山は落ち着き払っていた。
「侮辱したつもりはありません。ただ、私が言いたいのは……身分差の恋は不幸だということだけです。あなたはいつか思い知る。成己さんを幸せには出来ないと――」
俺は、ハッと息を吐いた。
「残念ですが……僕は家柄で恋などしないので、おっしゃる意味が分かりませんね。俺は成を愛していますし、あの子の為なら何でもできる」
ぐっと握った拳で、胸を叩いた。
「この心だけあれば、俺達の結婚は上手くいくと信じています」
きっぱり言い切ると、城山は呆気にとられた顔をした。それから、思わずと言うように笑いだす。
「……なんですか?」
憮然としていると、城山は笑いを治めた。息子が継がなかっただろう黒い瞳がこちらを見た。
「ああ、失敬。あまりに若々しくて……少し羨ましくなりましたよ。でもね、野江さん。結婚は想いだけじゃない。一緒に人生を作っていく相手を選ぶわけですからね」
城山は真顔になった。
「断言しますよ。貴方は良くとも、成己さんは後悔するかもしれない」
知らず、握った拳が震えた。城山は傍らのファイルから、新たな書類を取り出し、テーブルに伏せて置いた。
「その答えは、ここにあります。差し上げましょう」
「こんなもの……」
読む必要はない、と言いかけたのに城山は被せてくる。
「貴方は読む。気になるはずだ――成己さんを、愛しているから」
俺は唇を噛みしめる。
――この狸親父め……俺と一緒にいて、成が後悔するだと?
落ち着き払った態度に、魂胆が見えた。こんなものは、俺を動揺させるハッタリに決まってる。いらないと突っぱねてやればいい。そう、理性は囁く。しかし……
『宏ちゃん』
成の笑顔が、この先に曇る可能性があるってのか?
病気? それとも……何か、成の家のことだろうか。俺の知らない事情で、あの子が苦しむことがあるのなら……知っておかなければならない。
今度こそ、俺があの子の危険に先回りして、立ちふさがってやらないと。
俺は深く息を吐き、顎を撫でる。
――見るだけだ。俺は、成を守ると決めるために、見るんだ。
あいつの策に嵌らない。
俺はついに、書類に手を伸ばした。目が痛くなるような小さい文字で記された内容に目を走らせ……やがて、その意味を理解する。
「――!」
その事実に、息を飲む。
――そんな、まさか……嘘だろう?
書類を持つ手が震える。動揺する俺に、城山が静かに言う。
「野江さん。成己さんの幸福のため……貴方が正しい決断をすることを願っています」
黒い瞳を見返し、俺は悟る。
これは、やはり罠だった。この男の口車に乗り、知ってしまった時点で俺は相手の思惑に乗ってしまったのだと。
知らなければ、あの子の幸せをずっと信じていられる。
でも、俺は知ってしまった。
――成。俺は……
書類を握りつぶす手に、結婚指輪が鈍く光った。
「成のため? よくもそんな事が言えますね」
思わず足を止め、厚顔な男を射殺すつもりで睨み据えた。
「あんたの息子が、俺の妻に何をしたのか知らないようだ。いいですか? 彼は、よそに婚約者のいるオメガに傾倒し、伴侶である成をないがしろにした。あまつさえ、何も悪くないあの子を貶めて、二十歳を目前に婚約破棄したんですよ!そんな男のもとに帰ることが、成己にとって幸福だと……!?」
怒鳴りながら、あまりの怒りに息が上がっていた。だが、許せない。先の発言は、あまりに成の苦しみを軽視している。きつく握りしめた拳に、青筋が浮かんだ。
……成は、辛かったことを話したがらない。だから、俺が知るのは僅かな事実だけで、あの子の苦しみの全てじゃない。
それでも、俺は知ってる。あの子の体が、アルファに拒絶された痛みで、どれほどボロボロになっていたか……。
『ぼく、もう一回陽平と話し合ってみる!』
成は入院に追い込まれてさえ、城山陽平から連絡があったと知れば、すぐにあいつの家に帰ると言った。
あの時の希望に輝く瞳を……その後、あの子の身に起きたことを思うと、胸が裂けそうになる。
――どうして、成を止めなかったんだろう。俺は、どうして……
いくら後悔しても足りない。
「俺は、成を離さない。あんたの息子になぞ、くれてやるか!」
ありたけの怒りを込め、叫んだ。伸びた牙が唇を傷つけ、赤い血が溢れだす。
「……ガッ……」
城山の後ろに控えていた秘書が、目を向いて倒れる。城山は額に汗を滲ませ、無抵抗を示すように手を挙げた。
「落ち着いてください。先ほどの発言の、配慮の足りなさをお詫びします」
「……」
まだ怒りをおさまらなかったが、八つ当たりをしたいわけじゃない。すうと息を吐き、気を落ち着けると――城山は幾分安堵したように、「ありがとう」と言った。
「申し訳ない。私の息子が、成己さんにしたことは許されることでないと、承知しています。ですが、苦しみを軽視しているなどとんでもない。むしろ……成己さんを苦しめてしまったからこそ、彼には本当に幸せになって頂きたいと、思っているんですよ」
城山は誠実に話そうと努めているようだ。俺は、ますます鼻白む気がした。
「なら、関わらないでもらいたいですね」
「構いません。それが、本当に成己さんの為になるなら――私は喜んで、契約書をつくりましょう」
「……なんですって?」
城山は秘書の側に落ちたバッグを拾い、書類を取り出した。
「お掛けください。成己さんの幸福のため……もう一度、私の話を聞いていただきたい」
俺は聞きながら、ばかげていると思った。何を聞いても、納得などしようがないからだ。
――なら……ここで、書類を書かせることが出来る、か?
城山を、成から遠ざけることが出来るなら……無駄な時間を過ごす価値はある。俺は決意し、もう一度席に着いた。
「手短にどうぞ」
城山は「ありがとう」と笑った。
「あなたと成己さんが番になったと、先ほど伺いました。失礼ですが……それは、お互いに納得ずくのことなんですよね」
「当然です。僕と妻は愛し合っています」
間髪入れずに答えると、城山は苦笑した。それから、手元のファイルから書類を抜き出した。
「愛も大切な理由ですが……アルファとオメガが番になるには、もう一つ大切な要素があります。こちらをどうぞ」
と、厚い冊子を渡される。訝しく思いながら、表題を読み上げて、はっとする。
「これは……成のデータじゃないですか! なぜ」
「成己さんとうちの息子が婚約する際に、センターから受け取ったものです。成己さんが息子の妻として相応しいかどうか、精査するために……ああ、野江さんは、ひょっとして貰っていませんか?」
城山は、試すような目で俺を見た。
「野江さんは、成己さんを引き受けるときに、手続きを急いだでしょう。遺伝子のマッチング検査など、省いた手続きがありましたよね。たとえば……成己さんの家系図、病歴……彼の体質などをきちんと調べなかったのではないですか?」
きた、と思った。――城山が成を取り戻そうとするなら、向こうの婚約破棄の不当さと、俺と成の婚姻関係の無効を言い立ててくると予想していた。俺は城山の言う通り、成と早く結婚するために、いくつか手続きを省いている。そうでなければ、急いでも一か月はかかる手続きを、一日で終わらせることはできなかった。
――だが、それが何だって言うんだ。
俺は口端をつり上げた。
「それが、いけませんか? 成の身元を引き受けるのに必要な手続きは、全て抜かりなくすませました。あの時は、一刻を争いましたので……それに、そんな情報、俺には必要ありません。俺は、成が成であればいいんです」
マッチング検査などは、アルファ側に文句を言わせないための措置だ。しなくても、国に損害はない――したがって、この件で俺を揺さぶることはできない。
睨み返すと、城山は苦笑した。
「心配しなくとも、そこを攻撃材料にするつもりはありません。――それよりも重要なことがありますから」
「……何です」
「これを見てください」
城山は冊子を開き、成の家系図を出した。成の情報を勝手に覗き見ることに罪悪感を覚えながら、俺はやつの手元を見る。
「ご覧の通り、成己さんの父親はベータ家系。母親もベータの血が混じったオメガですから……成己さんは、オメガとしての級はあまり高くない。野江一族なら、まず婚約者の候補にすら上がらないでしょうね」
淡々と言われた言葉に、カッとなる。
「妻を侮辱するんですか? 級など……ばかげた物差しで、成を計らないでもらいたい!」
バン、とテーブルに手のひらを叩きつける。しかし、城山は落ち着き払っていた。
「侮辱したつもりはありません。ただ、私が言いたいのは……身分差の恋は不幸だということだけです。あなたはいつか思い知る。成己さんを幸せには出来ないと――」
俺は、ハッと息を吐いた。
「残念ですが……僕は家柄で恋などしないので、おっしゃる意味が分かりませんね。俺は成を愛していますし、あの子の為なら何でもできる」
ぐっと握った拳で、胸を叩いた。
「この心だけあれば、俺達の結婚は上手くいくと信じています」
きっぱり言い切ると、城山は呆気にとられた顔をした。それから、思わずと言うように笑いだす。
「……なんですか?」
憮然としていると、城山は笑いを治めた。息子が継がなかっただろう黒い瞳がこちらを見た。
「ああ、失敬。あまりに若々しくて……少し羨ましくなりましたよ。でもね、野江さん。結婚は想いだけじゃない。一緒に人生を作っていく相手を選ぶわけですからね」
城山は真顔になった。
「断言しますよ。貴方は良くとも、成己さんは後悔するかもしれない」
知らず、握った拳が震えた。城山は傍らのファイルから、新たな書類を取り出し、テーブルに伏せて置いた。
「その答えは、ここにあります。差し上げましょう」
「こんなもの……」
読む必要はない、と言いかけたのに城山は被せてくる。
「貴方は読む。気になるはずだ――成己さんを、愛しているから」
俺は唇を噛みしめる。
――この狸親父め……俺と一緒にいて、成が後悔するだと?
落ち着き払った態度に、魂胆が見えた。こんなものは、俺を動揺させるハッタリに決まってる。いらないと突っぱねてやればいい。そう、理性は囁く。しかし……
『宏ちゃん』
成の笑顔が、この先に曇る可能性があるってのか?
病気? それとも……何か、成の家のことだろうか。俺の知らない事情で、あの子が苦しむことがあるのなら……知っておかなければならない。
今度こそ、俺があの子の危険に先回りして、立ちふさがってやらないと。
俺は深く息を吐き、顎を撫でる。
――見るだけだ。俺は、成を守ると決めるために、見るんだ。
あいつの策に嵌らない。
俺はついに、書類に手を伸ばした。目が痛くなるような小さい文字で記された内容に目を走らせ……やがて、その意味を理解する。
「――!」
その事実に、息を飲む。
――そんな、まさか……嘘だろう?
書類を持つ手が震える。動揺する俺に、城山が静かに言う。
「野江さん。成己さんの幸福のため……貴方が正しい決断をすることを願っています」
黒い瞳を見返し、俺は悟る。
これは、やはり罠だった。この男の口車に乗り、知ってしまった時点で俺は相手の思惑に乗ってしまったのだと。
知らなければ、あの子の幸せをずっと信じていられる。
でも、俺は知ってしまった。
――成。俺は……
書類を握りつぶす手に、結婚指輪が鈍く光った。
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