エンドロール〜BLゲームの悪役モブに設定された俺の好きな子の話〜

高穂もか

文字の大きさ
46 / 112
第一章 おけつの危機を回避したい

四十六話

しおりを挟む
 竹っちは、授業の半ばも過ぎた頃に来た。
 しかも、様子がなんか変。汗かいとるんは、急いできたんやろなて思うんやけど、ぶかぶかのシャツ着とるんは、何でなん?
 気になったことを放っとく仲でもないんで、チャイム鳴ったら早速聞きに行ったんよ。
 
「竹っちー、さっきの授業どうしたん?」
「お、おお。……実は、S・Yに会いに行ってたんだよ」
 
 竹っちは、顔を寄せてひそひそと言う。つんとした匂いが鼻を刺して、おれは目を瞠る。竹っち、なんか薬っぽい匂いがする。おれの様子に気づいたんか、説明してくれた。
 
「手伝いしてたら、棚のオキシドールがこけて来て。俺、かぶっちゃってさ。そんで、濡れた服とか着替えてたから遅くなったんだわ」
「ええっ。竹っち、大丈夫? 痛くないの?」
 
 ぎょっとして肩を揺さぶると、竹っちは「洗ったし平気だぜ」ってけろっとしとる。たしかに、見た感じは肌も赤くなったりしてへんみたい。
 おれは、ホッと息を吐いた。
 
「そんならええけど。えらい大変やってんなあ」
「いや、大変なのはこっからなんだ。――S・Yが「今日のお詫び」って言って、部屋で晩飯ご馳走してくれるってさ……」
「うわー! それ、やばない!?」
「なあ、やべーよな! 俺どうしようっ」
 
 真っ赤な顔を喜びいっぱいにして、竹っちが笑う。
 でもわかる、それは嬉しいよな! 好きな人のお部屋にお呼ばれかつ、ごはんやもん。それは絶対、脈ありやって。
 おれは、竹っちの肩を肘でうりうりと突いた。
 
「やったねえ。善行はつむもんですなぁ、竹っちー」
「ふへへ。悪いな今井、俺、一足先に大人の階段上っちまうかも……!」
「いやー! 竹っちのすけべ!」
 
 きゃあきゃあ騒いどったら、「なんだなんだ」と上杉たちが寄ってくる。
 
「ちょっとお前ら、楽しそうに何の話? スケベとかなんとかよー」
「あっ、何もねえ何もねえ。えーと、今井に貸したエロ本返せって、言ってたとこ!」
「んなっ!」
 
 いきなりの濡れ衣に、おれは口をあんぐりと開ける。
 納得したらしい上杉と山田に「返してやれよ~」って笑われる。
 な、なんでっ。そもそも、竹っちのエロ本って年上の眼鏡美女ばっかで、おれの趣味とちがうから!
 とはいえ――竹っちの恋がバレるわけにいかんので、共犯のおれは口を噤むほかない。竹っちめ、見えへん角度でウインクすな。
 
「つーかさあ、有村的にはどうなん。彼女がエロ本で抜くのって浮気じゃねえの」
「すす鈴木っ、何聞いてんねんっ!」
 
 鈴木が、でっかい爆弾を落としてきて、度肝を抜かれた。なんでそんな際どいこと聞くのっ!?

「うん?」

 きょとんと目を丸くする晴海に、おれは焦る。――ち、ちゃうねん! おれ、最近はフラグ回避で忙しくて、ほんまにオナニーもしてないんやで……! 
 どうにか弁解しようと口を開いた途端、晴海が「ははは」と大笑いした。
 
「そんなん、別にええがな。シゲルは男の子なんやから、パイも気になるお年頃やろ」
「へーっ。そういうもんかあ」
 
 納得したらしく、鈴木はポテチの袋を開けて皆に振舞いだした。話題は上杉の秘蔵の本にうつり、みんなワイワイ話しとる。
 おれは、思いっきり吸うた息のやり場がなくなって、ひゅおぉ……と空しく吐き出す。
 
――そんなん、別にええがな。
 
 そりゃ、そうか。
 実際、おれら付き合ってもないし。おれが何でシコろうが、晴海に関係ないんやし……
 何を焦ってたんやろって思ったら、ちょっと恥ずかしくなった。
 と、当の晴海がのんきな顔で寄ってきて、言うたんよ。
 
「シゲル、借りたもんは返すんやで。竹っちもいざ使うとき、ないと困るやろ……どうした?」
「知らんっ。おれ、最近はちんちん触ってませんから!」
「ぶうっ!」
 
 流石にムッとして、そう言ったったら、なぜか皆がポテチを噴き出した。
 晴海まで、真っ赤な顔で「何を言うてんねん!」てチョップしてきてん。謎や!
 
 
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。   ※(2025/4/20)第一章終わりました。少しお休みして、プロットが出来上がりましたらまた再開しますね。お付き合い頂き、本当にありがとうございました! えちち話(セルフ二次創作)も反応ありがとうございます。少しお休みするのもあるので、このまま読めるようにしておきますね。   ※♡、ブクマ、エールありがとうございます!すごく嬉しいです! ※表紙作りました!絵は描いた。ロゴをスコシプラス様に作って頂きました。可愛すぎてにこにこです♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

転生したが陰から推し同士の絡みを「バレず」に見たい

むいあ
BL
俺、神崎瑠衣はごく普通の社会人だ。 ただ一つ違うことがあるとすれば、腐男子だということだ。 しかし、周りに腐男子と言うことがバレないように日々隠しながら暮らしている。 今日も一日会社に行こうとした時に横からきたトラックにはねられてしまった! 目が覚めるとそこは俺が好きなゲームの中で!? 俺は推し同士の絡みを眺めていたいのに、なぜか美形に迫られていて!? 「俺は壁になりたいのにーーーー!!!!」

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~

無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。 自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

処理中です...