11 / 19
第11話 絶命
しおりを挟む俺は目を凝らして、茂みの方を見た。
そして、茂みから出てきた、そいつを見つけてしまった。
「ス、スライム!?」
茂みから出てしたのは、なんとスライムだった!
しかも、そのスライムは俺が木の棒で倒した筈のスライムだと、何となくわかった!
俺は、剣を構えた。
「こんにゃろ~、生きてやがったのか!?」
しぶとい奴だな!
つまり、また俺に勝負を挑もうって、そういうことなんだな!?
「スライム、今の俺は前の俺とは違うぞ!今度は木の棒なんかじゃなくて、剣があるんだからな!」
そう、何といっても今の俺にはエルフ族より授かった、このアルティメットソードがあるんだ。
木の棒で倒せなかったにしても、剣で真っ二つにしてしまえば、倒せない事ない筈♪
「※※※※※※※※※※※…」
スライムが、何か言ってる。
でも、俺はスライムの言葉なんて分からないから、無視した。
「覚悟しろよ~、悪いスライムめっ!どうせ、お前もエルフの里を襲おうって、そういう魂胆なんだろ?」
「※※※※※※※※※※※!!」
「はぁ?何て言ってるか分からねーし、てかどうでもいいし!俺は、剣道の有段者だから、お前なんて余裕で倒せるんだからな!?いくぞ!」
そして、俺は剣を振り上げた。
また勢いよく振り降りして、スライムを斬りつけてやった!
グニャッて、スライムは真っ二つになった。
動かなくなった、つまり、スライムを倒したんだ!
やった!俺の勝ち!
「どうだ!?俺は、強いだろ?」
やべえ、俺、強すぎる!
強すぎるから、少し手加減してやった方が良かったのかもな?
なんてな。悪い魔物は皆んな、俺がまとめて成敗してやる!
この、異世界転生者スバル様がな!
「さぁーて、無事スライムも倒しただし、エルフの里に戻るか♪」
俺はエルフの里に向け歩き出した。
その時だった。
「えっ?」
足が、動かなかった。
「え、えっ?」
見ると、両足にスライムの体が、絡みついていた。
真っ二つにしたから、ちょうど二つ。両足にしっかりに絡みついて、全く動かない。
しかも、スライムのついた足が、異様に熱い。
何だこれ、え?何だこれ…
何だ、これ?
「うわぁあああああああ!!熱い熱い熱い!!」
足を見て、驚いた。足が真っ赤になってる。
足が、溶けてる…
「何、で…」
俺はそのまま、体制を崩して、地面に倒れてしまった。
足が、なくなっていた。スライムに、食べられてしまった。
スライムの真っ二つになった体が、一つに戻った。
俺の足を食べてせいか、さっきよりも少しでかい。
少しずつ、俺の方へ近づいてきている。
やばい、やばいやばいやばい…
「お前、まさか!?」
俺を丸ごと、その体に包みこんで、溶かすつもりじゃないだろうな!?
「待て、やめろ!来るなッ!!」
俺は剣をブンブン振り回した。ただ力なく、剣は見事に空ぶっただけ。
スライムが、ドシン、ドシンと、音を鳴らして近づいてくる。
やばい、これ…
死んだわ。
「うわぁあああああああああああああああああ!!」
「※※※※※※※※※※※※※!!!」
そして、俺はスライムの体にずっぽりと、埋まってしまった。
息ができない。スライムの体の中は、水中の中にいる時のようには、息ができない。何故なら、酸素がないから。
体が熱い。痛い。苦しい。
俺が、溶けてなくなっちゃう。
「頰!?」
俺はこのまま、死んでしまうのだろうか?
ああ…せっかく異世界転生したってのに、スライムにやられるって、それ何の罰ゲーム?
「…………」
視界がボヤけていく。俺が、消えてなくなっていく…
俺が、死ぬ。
最後に俺が見た光景とは、スライムの体内で。
そして、そんなスライムの体内に於いて、キラリと光る、ペンダントを見た。
星型の、ペンダントだった。
それは俺とタケヒコと、ヒナコの三人で買った、お揃いのペンダントだった。
また、声を聞いた。
それはかつての、幼馴染の声で、俺はその声を、よく知っていた。
「※※※※バル…あんたが※※※※※※※…悪いんだか※※※…」
ヒナコの、声だった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
152
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる