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第1章 『俺この異世界ベルハイムで、第二の人生を送る!』-始まりの異世界とジョーカー
15話 略奪の果てに
しおりを挟むスキルドレイン後の状況について、いくら小屋の中を見まわせど、アルテマの姿はどこにもなかった。代わりと言って、アルテマの所持していた銀色の剣だけがポツンとは置き去りにされていた。
無我夢中だったからに、いまいち状況が理解出来ねぇ…
『スキルドレインが…成功した?』
分からない。とりあえずステータスを確認してみる。
ステータス展開中…
----------------------------
class : joker
【たけし】
LV : 10
HP : 856 / 856
MP : 348
ATK : 1047
DEF : 532
MAT : 261
MAE : 182
【装備】
・アルテマの剣 ランク[AA+] レア度[★★★★★]
【称号スキル】
・アルテマ・スコットスミス LV:1
【魔法スキル】
・スモールフレイム LV:1
【固有スキル】
・スキルドレイン LV :xxx (一対象につき一回のみ使用可能)
・スキルブレイク LV :xxx (一対象につき一回のみ使用可能)
※一対象に対してスキルドレインとスキルブレイクの併用は不可とする
・罪の在り方 LV:xxx (使用可能時期に制限があります)
【通常スキル】
・見切り LV:5
・流水の型 LV:3
・鉄壁の構え LV:4
・闇足 LV:4
・火剣 LV:2
・氷剣 LV:2
・雷の剣鳴 LV:3
・先陣の先駆け LV:3
・水狐の寵愛 LV:xxx (ただいま使用できません)
※水狐との契約が解除されました。
※スキル発動には再度契約する必要があります。
・剣鬼形態 LV:1
・リバースマジック LV:2
・熱血心 LV:2
・リバウンドリアクション LV:3
・エリアドロップ LV:3
・エリアスリーパー LV:5
・隼の舞 LV:4
・影分身 LV:1
【メソッド】
・ LV :11まで残り経験値367
----------------------------
率直に言って、驚いた。
まさか一度にこんなにもスキルを奪えるなんて思ってもいなかった。
しかもスキルってのは、どうもただの技能技に限った話ではないらしい。
今回ステータス欄に新たに追加された項目は【装備】【魔法スキル】【通常スキル】【称号スキル】の全部で4項目。ただ上3つは大体想像つくけど、【称号スキル】だけはどうも異質なように感じる。
【称号スキル】アルテマ・スコットスミス LV:1
何度見ても【称号スキル】の欄に刻まれた[アルテマ・スコットスミス]という名は嘘偽りもなくステータスに表示されていた。そのことはまるで、俺がアルテマ・スコットスミスという存在そのものを奪った事実を物語っているようで、つまりはそういうことなのだろうか…
「にしても…身体が熱い…何だよこれ…自分の身体じゃないみたいだ」
スキルドレインの反動か?
俺の体を猛烈な虚脱感と熱が襲いかかる。
少しでも気を抜いてしまえば次の瞬間にも意識がブッ飛んでしまいそうだった。
『とにかく…一旦家へ帰ろう。1日ぐらいゆっくり休んで、今後のことはその後に考えよう』
朦朧とする意識の中、覚束ない足取りでは小屋を出た。
小屋を出て、アルテマから奪った剣を杖代わりには来た道を辿るように家路を目指す。
森を歩く最中、空から降り注ぐ西日を浴びて、全身からじっとりとした汗が溢れ出していた。日の回り具合から見てお昼前ぐらいだろうか?
とにかく暑かった。照りつける日射しが堪らなく感じ、俺は逃げるように木の幹の日陰へと身を寄せる。
尋常じゃない汗が滝のようには額から零れ落ちる。
気候的に暑いならまだ我慢できる。が、これはそうじゃないだろう。
スキルドレインの反動だと見るのが妥当な線、いやそれ以外に原因が思いつかない。
苦しい、まじで倒れそう…そのままお陀仏してしまいそうだ。
こういう状態の場合、ゲームとかならステータス画面に何かしらの表示がされてるはずだが…とりあえずステータスでも見てみるか。
ステータス展開中…
----------------------------
class : joker
【たけし】
※状態異常[???]
・HP▼MP▼ステータス▼
LV : 10
HP : 679 / 856 ▼
MP : 130/348▼
ATK : 610▼
DEF : 125▼
MAT : 82▼
MAE : 27▼
----------------------------
やばい、やっぱりバッドステータスだ。いつ間にか状態異常がついてやがる…
しかも何だよ状態異常[???]って、それって今俺ってどういう状態なわけ?
え、もしかして本当にヤバイ感じ?
もしかして、俺はこのまま…
『本当に、死ぬんじゃないんだろうか?』
嫌だ、それだけは絶対に嫌だ!
死にたくない、死にたくない死にたくない死にたくない…
せっかく異世界転生したってのにそんなのあんまりだろ…
しかも生きる為に行った[スキルドレイン]の反動で死ぬとか元も子ねぇじゃん。だったら俺は何の為にアルテマの力を奪ったってんだ?
アルテマの剣技が欲しかった、アルテマのスキルが欲しかった、アルテマの才能が欲しかった、アルテマの優しさが欲しかった、アルテマのような強かさが欲しかった、総じてーー俺は過去現在未来を生きるアルテマ・スコットスミスという剣士の全てをを求め、欲して…それを奪った。
アルテマがこれまで築いてきた努力も、そしてこれから辿るはずだった無限の可能性に満ちた未来も、何もかも、全部俺のものにしてしまった。
『それは人として、絶対に許される行為ではない』
でも俺はそれを分かっておいて、アルテマの全てを奪った。
もしかしたら、ここまでする必要はなかったのかもしれない。もしかしたら、俺の気持ち次第では奪えるスキルを加減できていたのかもしれない。
でも、俺は自分に命令を下したのだ。
『アルテマの全てが欲しい』と。
それは生きる為に。第二の人生、異世界での生活を謳歌する為に、デスゲームで死なない為に。
人の屍を積み重ねてもいい、その屍の上で生きていられるなら俺はそれでいい。俺が幸せになれるのなら、俺は他人の不幸を願う。
そんな俺、最低な俺、生きる価値のない俺、外道な俺、死ねばいい俺、誰からも必要とされていない俺…知ってるよ、そんなこと。
『…でも、俺だって、ずっとずっと我慢してきたんだよ…本当は真っ当な人間としと生きたかったさ。才能なんてものは望まねぇし、金持ちの家に生まれたかったとかさ、そんなんまじどうでも良くて…』
『俺は、ただ普通で良かったんだよ。普通に友達作って、友達と馬鹿やったり、笑ったり、部活したり、彼女作ったり、飯くって、風呂入って、寝る前にさ「明日はどんな1日になるだろうか?」なんてワクワクしたりなんかしてさ…』
『そうして明日はやってきて、また1日が始まる。そんなありふれた普通が…俺は欲しかったのに…それなのに…俺はそんな普通すら掴めなかった、そして終いには死にやがった…』
『やりたいこと、これからやってみたいこと、たくさんあった。本当に本当に、たくさん…しかもだ、そんな望みはどれも大した望みじゃねぇ。俺にはない、皆の当たり前の日常にありふれているような望み…』
『俺には何が足りなかったのだろうか?俺はどうすれば良かったのだろうか?分からない、考えても考えても、いくら考えても答えが見つからない。見つからないのなら、それまでだ。だから俺は決めたんだ。見つかるまで探せばいいって、この世界でーーーこの異世界でいくらでも探せばいいって、決めたんだよ…』
『だから、許してくれよなアルテマ。俺はずっとずっと我慢してきたんだよ。なりたくてこんな奴になったわけじゃねーんだよ。お前とだって友達になりたかった…初めて俺の事を友達だって呼んでくれたお前をーーアルテマをこんな形で裏切りたくはなかった。嬉しかったよ…感情はなくなったはずなのに…何故か嬉しかったんだよ…』
生きねば。
「俺は…まだこんなとこじゃ死ねない…」
絶対に、生き残らねば。
薄れゆく意識、そうして崩れゆく体、そのまま地に伏して動けなるまでの間、『生きねば』と強く願った。
が、願ったところで何かが変わることもなく、俺の体は自由を失った。最早体を動かすことさえ叶わない。全身を高熱に犯されていく…
俺はこの感覚をよく知っていた。
それは生前、死ぬ瞬間に感じた「死の感覚」によく似ていたから。だから俺は嫌となる程に、その「死の感覚」を知っていたのだ。
「嫌だ…死にだぐない…」
俺の口からはそんな涙声。
気づいた時には既に目頭が熱くなっていて、俺の目から自然と涙がこぼれ落ちていた。
おい、何泣いてんだ俺。みっともねぇ…糞みっともねぇ…
「ぅぅ…ああああああああ!!」
どうしようなく、俺の無力だった。
生前の頃から何一つ変わっちゃいない。あの頃の1人じゃ何もできない無力な俺のままだった。
いくら異世界転生を果たしたところで、結局は俺は俺。
こんな時、アルテマならどうするだろうか?
今の俺はアルテマの全てを奪った超越者なんだ、何かしら手はあるはずだ。あるはずなんだが…でも、どうしていい分からねぇ…
こんな時の為のスキルじゃないのか?こんな時こそに生き抜けるよう俺はスキルを会得したんじゃないのか?なのに何だ、使い方が分からないって、それじゃあただの宝の持ち腐れじゃねーか。
アルテマ、お前ならこんな時どうするんだ?
「誰がぁ…助げて…」
お前ならこんな風に叫ぶのか?
こうな醜態を晒してでも、生きたいと思うのか?
しないよな、するわけないよな?
そうだよな、だってお前は俺とは違うもんな。
俺なんかよりもずっと聡明で、かっこよくて、優しくて…
「誰か、助けーー………」
いつか、そんな男になってみたかったな…
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