剣と魔法とデスゲーム -転生先の異世界でデスゲーム勃発!?絶対に死にたくねぇ…だったら敵の能力を奪って生き残ってやる!-

泥水すする

文字の大きさ
32 / 78
第2章 ラクスマリア城とラクシャータ王女の剣

16話 暴かれた正体

しおりを挟む



 【固有スキル】心眼によって覗けたアルバート・ジックレイのステータスを見て、俺は確信した。
 

『やはり、この男アルバートは黒だな…』


 それは【称号スキル】暗殺者を見れば容易に分かることであるように、アルバートの本当の顔とは暗殺者としての姿なのだろう。
 
 つまり、今回ラクスマリア城での狼藉を働いたのはアルバートと見て間違いはないということだ。
 ただ何故、アルバートがそんな事を仕出かしたのかは分からない。分からないが、素直に聞くわけにもいかないし…


 どうしたもんかと考えて、俺は決断した。


「…じゃあ、俺は帰ることにします。他の鍛冶屋を回ってみることにしますよ」


 とりあえず退散。
 退散して、今後の対策を練る必要がある。
 犯人としての確固たる証拠はないにしても、アルバートが暗殺者であることは【固有スキル】心眼によって分かっている。つくづく、こんなにも便利なスキルがある事に感謝せざる得ないよ。
 

 対策を練った後にまた来るのもよし、てか一回ラクスマリア城に戻ってグインに相談してみる手もありか?



『それにしても…なんだよこの気持ち…』


 どんな屑野郎かと思ってきてみれば、案外まともそうな奴だった。
 もちろんそれはアルバートの表面の部分でしかないし、てかそれしか見てないから言えることだろうが…アルバートの鍛えた剣は本物だ。
 

 アルバートの鍛えた剣とは、アルバートの歩んできた軌跡そのもの。アルバートが鍛冶職人として努力してきたからこそこれらの剣はこうして生まれたわけで、今は埃被って残念な剣でしかないけど、それでもここにある事実は変わらない。


 本当に感心した。
 感心したからこそ、何だか無性にやるせない気持ちで一杯だった。
 こんな奴暗殺者でも、ちゃんとした人生を歩んできた事実に、体の震えが収まらなかった。


『俺と違ってちゃんとしたもん持ってんないのに…』


 もったいねぇよ、全く。


 俺は足場を確保しながら鍛冶屋の扉へと足を進めた。
 アルバートを横切って、「では、また」と静かにはささやいて、扉へと手にかける。


 そうして鍛冶屋を後にしようとした…その時。


「く、くくく…あははははははは!!」


 それは笑い声。
 背後からの大きな笑い声を聞いて、それは当然としてアルバートのものだ。
 振り返ると、アルバートはゲラゲラと手でお腹を押さえては、狂ったようには笑う。


「どうか、しましたか?」
 何が可笑しい、そんな意味合いを込めて俺は尋ねた。
 

 そんな俺の言葉を受けて、アルバートは笑いを堪えるようには俺の方へと向き直った。


「いやね…あまりにもが下手だなぁと、そう思いまして」


 は?嘘だと?


「…嘘、ですか?それは誰のーー」


「貴方ですよ、アルテマさん…いや、ラクシャータ・ラクスマリア王女の懐刀、と言った方がよろしかったかな?」


「は、はぁ?あんた…何でそれを…」


 はっ、違う違う!何認めっちゃってんだ俺!?


「な、ななななな何を言ってるのかさっぱりだなぁー」


「くくく…もうそんなお芝居やめたらどうですか?見苦しいですよ、たけし」


 アルバートは嘲笑うようには口元を歪めて、また小馬鹿にするような態度では俺の腰に下げられた剣を指した。


「…貴方の腰に下げた銀色の剣[シルバー・ランスロット]はね、実は私がかつて鍛えた珠玉の一振りなんですよ。まぁそれも何年も前になりますがね、いやはや私も鍛冶屋としての性分を未だ捨てきらないわけですよ。だからどこの誰が私の剣を扱っているのか…大体は知っています。ええ知っていますとも…」


 俺は徐に腰に下げた自身の剣[アルテマの剣]の鍔へと視線を移した。
 移して、鍔に刻まれた彫りを指でなぞる。
 それはこの剣の製作者名が刻まれた位置、なぜ分かるかと言えば先程この鍛冶屋で触った剣にも同様な刻銘をあったから。


「おいおい、アルバート・ジックレイ…お前がこの剣を鍛えたというのかよ?」


「ええ…そうですよ。まさか知らないでこの場所にやってきたなんて…くく、あははははは!これが笑わないでいられますか?」


「ち、ちくしょ…」


 やっちまった、まさかそんな所から俺の正体がバレるなんて…


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。 しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。 『ハズレスキルだ!』 同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。 そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ

月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。 こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。 そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。 太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。 テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。 そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。 【カクヨムにも投稿してます】

【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~

こげ丸
ファンタジー
『偶然テイムしたドラゴンは神をも凌駕する邪竜だった』 公開サイト累計1000万pv突破の人気作が改訂版として全編リニューアル! 書籍化作業なみにすべての文章を見直したうえで大幅加筆。 旧版をお読み頂いた方もぜひ改訂版をお楽しみください! ===あらすじ=== 異世界にて前世の記憶を取り戻した主人公は、今まで誰も手にしたことのない【ギフト:竜を従えし者】を授かった。 しかしドラゴンをテイムし従えるのは簡単ではなく、たゆまぬ鍛錬を続けていたにもかかわらず、その命を失いかける。 だが……九死に一生を得たそのすぐあと、偶然が重なり、念願のドラゴンテイマーに! 神をも凌駕する力を持つ最強で最凶のドラゴンに、 双子の猫耳獣人や常識を知らないハイエルフの美幼女。 トラブルメーカーの美少女受付嬢までもが加わって、主人公の波乱万丈の物語が始まる! ※以前公開していた旧版とは一部設定や物語の展開などが異なっておりますので改訂版の続きは更新をお待ち下さい ※改訂版の公開方法、ファンタジーカップのエントリーについては運営様に確認し、問題ないであろう方法で公開しております ※小説家になろう様とカクヨム様でも公開しております

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

処理中です...