ゾンビを作り出した天才科学者がゾンビだらけの異世界を救う

たろたろぬ

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序章 

プロローグ 

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 十代の若き天才科学者。俺赤城兵馬は世界中でそう呼ばれてきた。
 飛び級でアメリカの大学を十歳で卒業し、それから実験漬けの毎日が俺を待っていた。

 
 実験漬けでつまらなくないか、だって?
 そんなことはない。確かに俺と同じ研究チームのメンバーの中に数人ストレスで死んだやつがいたが、俺は幸運(もしかしたら不幸かも)にも体を壊すことはなかった。



 俺たちが作ろうとしたのは人造人間。完全に人間の制御下に置き、人々の暮らしをよりよくするためのものだ。だが最初は順調だった計画は徐々に勢いを失っていった。 



 そして俺が十八になった時、実験は完全に頓挫した。ついには実験の打ち切りさえも検討されるようになった。そのころからだ、全ての歯車が壊れだしたのは。



 同じ日本人科学者である成田はある日みんなを呼び出してこう言った。


「人体実験を行おう」


 当然否定意見が出た。だが成田の提案を肯定する者も複数いたのだ。その中の一人は俺だ。俺はここまで来てすべてが無になるのが怖かった。だから成田の意見を受け入れ研究に没頭した。

 
 それから俺達はゴールを見失っていった。
 最終的に俺達が生みだしたものは、人間をベースにして作られるゾンビだった。そしてそれは映画にでてくるものと同じように、かみつかれたり、ひっかかれたりするだけで高確率で感染してゾンビ化してしまう。

 そんな代物を俺達で管理できるなんてことは到底無理だった。実験体001号は多くのものを感染させ逃亡。世界は滅亡へのカウントダウンを開始してしまった。


 本当に済まないと思っている。謝って済む問題じゃないのはわかってる。だが俺には何もできない。……………………何も。本当に申し訳ない。


 プチッ。
 俺はここまで喋ると、ビデオカメラの録音を切った。
 そして俺の人生に終止符を打つことを決めた。


 もしも来世があったなら、人のためになることをなす。
 俺はそう心の中で強く決心した。
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