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一章
繁盛
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「こ、ここは」
長崎は目を覚ますと見知らぬベッドの上にいた。
「あれ、俺どうしてベッドの上に」
「おおっ、気が付いたか武」
ベッドの隣から声がする。
長崎は首だけ動かし、声のする方を振り向く。
「確か王女様?」
「わらわのことはユイカと呼べ」
「お、おうじゃあユイカでいいか?」
「う、うむ」
満足げに首を縦に振る王女。
「俺どうしてここに?」
「倒れたのだ。まったくなさけない」
ベッドから離れたところ、ちょうどドアのある位置でやれやれといった表情のユステル。
「そうか………………倒れたのか」
これまでのことを思い出そうとする長崎。
ああ、確かユイカに唐揚げを献上したんだっけな。
「おい、武。一つ聞いてもよいか」
「ああ、なんでもいいぜ」
「あのカラアゲとやらにつかわれていたタレじゃ。あのタレはなんじゃ?」
「あああれか。あれはコチュジャンダレっていって、甘辛いタレでカラアゲにかけるとマッチングが最高なんだよな。さらにあれは少し俺のアレンジがかかっていてだな」
「あ、ああそのへんでいいぞ。なんとなくその秘蔵のタレのすごさがなんとなくわかったぞ」
長崎のいつ終わるかもわからない話に、途中で割って入るユイカ。
ユイカとかユステルにとっては理解しがたい話であったのだ。
「そうじゃ、おぬしはこの国の人間ではないのだろう? どこから来たのじゃ?」
「日本だよ。日本」
「日本? はて聞いたことないの?」
おぬしはどうじゃ? とユステルにアイサインを送るユイカ。
当然ユステルは首を横に振る。
「それはどこにある国なのじゃ?」
「うーん、こういう時ははるか東と言えばいいのかな?」
「ほう、つまりこれははるか東方の地にある珍味ということか。いい体験をさせてもらったものじゃ」
「私は認めません。あんな異端な代物など」
腕を組み頑なな態度をとるユステル。
「ほうユステルわらわは見ていたのじゃよ。おぬしが手についたコチュジャンダレをなめているところを」
くっ、見ていたのですか、と顔を紅潮させるユステル。
それを見てユイカはニヤニヤと笑みをこぼす。
「あ、あれは確かに美々でしたが………………」
ユステルはなめた瞬間のあの最高にしびれる瞬間を思い出した。あの体感したこともないような、電撃。甘さと同時にくる辛さにすっかりメロメロになっていたのだ。
だがユステルの高いプライドが純粋においしいと言うことを許さない。
「うまいものをうまいと言えないなんて悲しいやつだな」
「殺すっ!」
ユステルは壁に立てかけてある槍を即座に手に取り、今すぐにでも斬りつけんばかりの勢いだ。
「貴様の最後の言葉を聞いてやる」
「こら、どうしてお前らはもう少し仲良くできんのだ」
「それはこいつが悪いのです。このゴミ虫が」
「ゴミ虫とはたいそうひどいですぁ。そのゴミ虫の特製ダレをうまいと感じたのはどこのだれでござんしょうねえ」
「こいつ、本当に生かしておけん!!」
「そこらへんにせい」
ユイカの言葉に、くそ命拾いしたなと吐くユステル。
「今回は本当にすまなかった武よ」
「どうしてユイカが謝るんだ?」
「おぬしが大変疲弊していることはノスから聞いた。それなのにここに呼びつけて」
「悪いことをしたのは俺たちだ。気にすんな」
長崎はぽんぽんとユイカの頭をたたく。
まったくおぬしは…………。と小さくつぶやくユイカだが当然長崎の耳には届かない。
そしてこの様子をはらわたが煮えたぎる思いでユステルが見てることは言うまでもない。
「気にしないわけにはいかぬぞ。それにおぬしの店に大勢で押しかけてしまったせいで、きっと評判も悪くなっていることじゃし」
そう言いユイカは顎に手を当て、何かを考える。
「そうじゃ、こうしよう」
~店内~
「長崎君オーダー入ったよ」
「あいよ」
すっとどんぶりに飯を入れ、その上に牛肉を乗っける。
「よし上がったぜ」
「もっていくっす」
なめらかな動きで出来上がった商品をおぼんにのせお客様に届けるノス。
それからも客足は途絶えることはなく、どんどんお客さんが入れ替わっていく。
「ふう今日はいつにもまして混んでるっすね」
客足が途絶えてようやく落ち着いてきたころ、麦茶を飲みながらノスが長崎に話しかける。
「そうだな、これも全部ユイカのおかげだな」
「そうっすね」
ユイカの気をつかった起点。
あの大人数での押しかけはユイカの注文。そして王室のお墨付きの店ということを公衆の面前で発表をした。その影響もあってか店はいつも大忙しである。
「さあノス! 今日も明日も忙しいぜ」
「どこまでもついていくっす」
長崎は目を覚ますと見知らぬベッドの上にいた。
「あれ、俺どうしてベッドの上に」
「おおっ、気が付いたか武」
ベッドの隣から声がする。
長崎は首だけ動かし、声のする方を振り向く。
「確か王女様?」
「わらわのことはユイカと呼べ」
「お、おうじゃあユイカでいいか?」
「う、うむ」
満足げに首を縦に振る王女。
「俺どうしてここに?」
「倒れたのだ。まったくなさけない」
ベッドから離れたところ、ちょうどドアのある位置でやれやれといった表情のユステル。
「そうか………………倒れたのか」
これまでのことを思い出そうとする長崎。
ああ、確かユイカに唐揚げを献上したんだっけな。
「おい、武。一つ聞いてもよいか」
「ああ、なんでもいいぜ」
「あのカラアゲとやらにつかわれていたタレじゃ。あのタレはなんじゃ?」
「あああれか。あれはコチュジャンダレっていって、甘辛いタレでカラアゲにかけるとマッチングが最高なんだよな。さらにあれは少し俺のアレンジがかかっていてだな」
「あ、ああそのへんでいいぞ。なんとなくその秘蔵のタレのすごさがなんとなくわかったぞ」
長崎のいつ終わるかもわからない話に、途中で割って入るユイカ。
ユイカとかユステルにとっては理解しがたい話であったのだ。
「そうじゃ、おぬしはこの国の人間ではないのだろう? どこから来たのじゃ?」
「日本だよ。日本」
「日本? はて聞いたことないの?」
おぬしはどうじゃ? とユステルにアイサインを送るユイカ。
当然ユステルは首を横に振る。
「それはどこにある国なのじゃ?」
「うーん、こういう時ははるか東と言えばいいのかな?」
「ほう、つまりこれははるか東方の地にある珍味ということか。いい体験をさせてもらったものじゃ」
「私は認めません。あんな異端な代物など」
腕を組み頑なな態度をとるユステル。
「ほうユステルわらわは見ていたのじゃよ。おぬしが手についたコチュジャンダレをなめているところを」
くっ、見ていたのですか、と顔を紅潮させるユステル。
それを見てユイカはニヤニヤと笑みをこぼす。
「あ、あれは確かに美々でしたが………………」
ユステルはなめた瞬間のあの最高にしびれる瞬間を思い出した。あの体感したこともないような、電撃。甘さと同時にくる辛さにすっかりメロメロになっていたのだ。
だがユステルの高いプライドが純粋においしいと言うことを許さない。
「うまいものをうまいと言えないなんて悲しいやつだな」
「殺すっ!」
ユステルは壁に立てかけてある槍を即座に手に取り、今すぐにでも斬りつけんばかりの勢いだ。
「貴様の最後の言葉を聞いてやる」
「こら、どうしてお前らはもう少し仲良くできんのだ」
「それはこいつが悪いのです。このゴミ虫が」
「ゴミ虫とはたいそうひどいですぁ。そのゴミ虫の特製ダレをうまいと感じたのはどこのだれでござんしょうねえ」
「こいつ、本当に生かしておけん!!」
「そこらへんにせい」
ユイカの言葉に、くそ命拾いしたなと吐くユステル。
「今回は本当にすまなかった武よ」
「どうしてユイカが謝るんだ?」
「おぬしが大変疲弊していることはノスから聞いた。それなのにここに呼びつけて」
「悪いことをしたのは俺たちだ。気にすんな」
長崎はぽんぽんとユイカの頭をたたく。
まったくおぬしは…………。と小さくつぶやくユイカだが当然長崎の耳には届かない。
そしてこの様子をはらわたが煮えたぎる思いでユステルが見てることは言うまでもない。
「気にしないわけにはいかぬぞ。それにおぬしの店に大勢で押しかけてしまったせいで、きっと評判も悪くなっていることじゃし」
そう言いユイカは顎に手を当て、何かを考える。
「そうじゃ、こうしよう」
~店内~
「長崎君オーダー入ったよ」
「あいよ」
すっとどんぶりに飯を入れ、その上に牛肉を乗っける。
「よし上がったぜ」
「もっていくっす」
なめらかな動きで出来上がった商品をおぼんにのせお客様に届けるノス。
それからも客足は途絶えることはなく、どんどんお客さんが入れ替わっていく。
「ふう今日はいつにもまして混んでるっすね」
客足が途絶えてようやく落ち着いてきたころ、麦茶を飲みながらノスが長崎に話しかける。
「そうだな、これも全部ユイカのおかげだな」
「そうっすね」
ユイカの気をつかった起点。
あの大人数での押しかけはユイカの注文。そして王室のお墨付きの店ということを公衆の面前で発表をした。その影響もあってか店はいつも大忙しである。
「さあノス! 今日も明日も忙しいぜ」
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