悪役令嬢はBL作家「処刑覚悟で萌えますわ!」~婚約者の王子様ごめんなさい、あなたをネタに小説書いてます~

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第三章 BL小説の存在、世に知られる

102 公爵令嬢、『魅了』に克つ

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 シルヴィアはケーキを食べ終わって一息ついた後、改めてミュリエルの式神で学長室に映像をつなぎ、チェックする。

 鏡に映った映像からすると、ミュリエルは俯いているようだ。
 鏡に学長の足元とカーペットが映し出されている。
 シルヴィアが観察している間も、学長が大司教をお迎えするための心得的なことをクドクドと話し続けていた。
 ミュリエルでなくとも、これでは俯きたくなると、シルヴィアは思った。

(でもまあ、交信は大丈夫そうだな)

 認めたくないが、メルヴィンの差し入れで英気が養われたような気がする。
 折よく、校門前の三人から、音声が繋がった。

『シルヴィアさん? 大司教一行の馬車が来たよ。今、校門を入っていったところだ』

 フェリクスの声が聞こえる。
 返事をしようとしたら、アデレイドとランドルフの声に代わった。

『シルヴィアさん、エナガがエサを食べています!』

『ロングハースト君、もうバード・ウォッチングのフリはいいから』

(カオスだ……。アデレイド様が入っているだけで)

『了解です。皆さんは生徒会室に戻ってください』

 脱力しながら、交信を切る。

 馬車で今校門を入ったとなると、学長室までは五分もかからないだろう。
 生徒会室の中も、緊張感に包まれた。

 ミュリエルが聞いているのと同じ音声が生徒会室に流れ、見ているものが鏡に映る。

 ドアをノックする音と、『大司教様ご一行が到着なさいました』という、案内人の声が聞こえた。

『お通ししなさい』

 学長の声がして、鏡に映る景色がドアの方に動く。
 ミュリエルが顔をドアの方に向けたのだろう。

 ドアが開いて、四人の人物が入室した。
 大司教だけでなく、今日は他の三人も『大精霊教』の司教である印の付いたフードを被っている。

『これはこれは、ようこそお越しくださいました。リントン大司教猊下げいか

『そんなにかしこまらないでいただけますかな、ウォーキンショー学長殿』

 大司教はさすがに国教のトップなだけあって、人の心を包み込むような、柔和な雰囲気を醸し出す。

 メリーローズは、その魅力の多くが彼の声にある、と分析した。

(声ってバカに出来ないのよねー。声質がいいだけで、三割くらいイケメン度が上るもの)

 前世で初めて『レジェンダリー・ローズ』をプレイしたとき、アルフレッド役を推し声優が担当しているのを知って、飛び上がって喜んだものだ。

(いいわー、大司教様の声。声優さんでいったら誰かしら。渋くて、柔らかくて、深みがあって。もっと聞いていたい!)

 すっかり大司教の声に酔いしれていると、シルヴィアがひじでつついてくる。

 シルヴィアは、大司教の声をもっと聞きたそうなメリーローズの服の裾を引っ張り、囁いた。

「大司教の声に、耳を傾けてはいけません」

「どうして?」

「……『魅了』の魔法の力を持っています」

「……みりょう……?」
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