悪役令嬢はBL作家「処刑覚悟で萌えますわ!」~婚約者の王子様ごめんなさい、あなたをネタに小説書いてます~

すえつむ はな

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最終章 BLよ、永遠なれ

139 公爵令嬢のメイド、思い出す

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「お嬢様はご自分一人で責任を取るつもり……すなわち、ご自分だけが死罪になると決意されたようです……」

 シルヴィアは肩を落とし、呆然としていた。
 そこにキンバリーのキンキンとした声が響く。

『冗談じゃないわ! 元はといえば、彼女の小説を出版することを薦めた私のせいよ。しかも脅迫まがいのことをして』

『え? 脅迫まがい?』

 さすがに穏やかでない単語が飛び出したのを、セルマが反応した。

「ご自分を責めないでください。お嬢様本人もノリノリで契約したのですから」

 シルヴィアはあの朝のことを遠い昔のことのように思い出しながら、キンバリーを庇う。

『じゃあ、君はメリーローズ様が死罪になってもいいのか?』

 ウォルターが少し慌てて問いかけると、シルヴィアは脳みそを再起動させてフル回転させ始めた。

「いいわけがございません。とにかく、どうにかしなければ!」

 さっきのメリーローズとの会話を思い出す。
 会話の中に、メリーローズを思い留まらせるヒントがないだろうか。

『わたくしはこの中で一番身分が高いのだから』
 ――だめだ。

『一度死ぬのも、二度死ぬのも同じこと』
 ――だめだ。

『牢に閉じ込められているわたくしたちがいくら相談したところで』

 シルヴィアは、ハッと顔を上げる。
 ――これだ!

「わたくしたちだけでなく、外部と連絡が取れたら、何か活路を開く手立てが見つかるかも知れません」

 シルヴィアの言葉に、セルマが『どうやって?』と反論した。

『この式神は、私たちBL本出版関係者の間でしか持っていなかったわよね?』

 これにウォルターが思い出す。

『アイリス・サワー先生は? 彼女と連絡はつけられないかな』

 しかしキンバリーがこれに難色を示した。

『……多分、無理だと思う』

「そうですね。わたくしから直接使い方をレクチャーしていない相手と、いきなりコンタクトを取ることは、難しいかと思います」

 そう言いながら、他に誰かいないか、他に式神を持っている人物がいないか、シルヴィアは記憶をたどっていく。

「…………あ!」

『いますか?』
『誰? 誰?』

 セルマとキンバリーが勢い込んで聞いてくるのを、「可能性は低いかも知れないですが」と前置きし、シルヴィアが答えた。

「ミュリエル嬢です」

 大司教が視察と称して学院に来たときのこと、ミュリエルに式神を渡して映像と音声を繋いだことを思い出したのだ。

 普通だったら、あんな紙人形をいつまでも持っていることは考えにくい。
 しかし、あの日メリーローズと自分に不審な目を向ける彼女に、途中で捨てないよう「式神が可愛く見える暗示」をかけたことを思い出したのだ。

「もしかしたら……いえ、きっとまだ持っているはず……」
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