悪役令嬢はBL作家「処刑覚悟で萌えますわ!」~婚約者の王子様ごめんなさい、あなたをネタに小説書いてます~

すえつむ はな

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最終章 BLよ、永遠なれ

151-2

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 一方ランズダウン公爵邸にも、裁判所に向かう馬車が迎えに来ていた。

 聖堂治安維持隊に軟禁されてから、外に出たのは何日ぶりか。
 ランズダウン公爵は思い出そうとするが、もう何十年以上も経っているかのような感覚に陥る。

 今公爵たちは、聖堂治安維持隊に手配された馬車に乗せられ、メリーローズの裁判の傍聴席へと連れていかれるところであった。
 少なくともランズダウン公爵には、出席を拒否する権限は与えられていない。

「お前は、家で待っていてもいいのだぞ」

 一緒に馬車に乗り込もうとする妻に、そう声を掛ける。

「いいえ。わたくしも参ります」

(普段はフワフワしている印象の女だが……)

 公爵は妻の手を取り、馬車に乗り込むのを支えながら彼女の顔を見た。

(こうと決めたら梃子てこでも動こうといない。……メリーもジェラルディンに似たのか)

 妻の方が肝が据わっているのかも知れない。
 自分の方こそ、娘の判決や処刑に対し、何の覚悟も持てなかった。

 ゆうべもそうだ。
 宰相にして、長年の盟友キャスパー・ヒューストンが尋ねてきたときのことを思い返す……

 * * *

「夜分に済まない」

「いや、来てくれてありがとう」

「単刀直入に言う。私が明日の裁判官に決まった」

「……えっ?」

 ローデイル王国では、裁判官という専門職は存在しない。
 裁判で判事を務めるための資格はあるが、その資格保持者が持ち回りで判事を務めることになっている。

 ヒューストン宰相もまた、裁判官としての資格保持者であった。

「君が娘の裁判を受け持つとはな」

「リントンの嫌がらせだ。いや、ブロムリーかな」

 ブロムリー公爵邸では、出来うる限りの慇懃な態度を取っていたヒューストン宰相だったが、今その仮面を完全に外していた。

「しかし、同じ判決内容になったとしても、他の者が言い渡すよりましだろうと思い、引き受けた」

「ヒューストン……」

 ランズダウン公爵が応接室に招き入れようとしても、ヒューストン宰相は玄関ロビーから動こうとしない。

「ひとこと、『君の娘だからと言って、手心を加えることはしない』。そう、言いに来た」

「しかし……」

「なぜだ、ランズダウン。私は君の娘には期待していた。品行方正で誇り高く頭脳明晰、貴婦人のかがみとさえ言われていた彼女が、なぜこのようなことをしでかしたのだ。場合によっては、ヴィセント王太子殿下の妃にとも考えていたのに……」

「確かに、娘がみすみす禁忌に染まるのを止められなかった、親としての責任は痛感している。だが……」

「明日の裁判は、あまり期待しないで欲しい」

「待ってくれ! 話を聞いてくれ! あれにはあれの事情があったんだ! 実は、ぜ……前世? の記憶が蘇って……」

「わけのわからないことを私に言って、引き留めようとしないでくれ。では、失礼する」

 それだけ言い放つと、ヒューストン宰相はランズダウン邸を辞去した。

 * * *
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