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17.社会ってなに?

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17.社会ってなに?
「さて、さっき言った私の定義だけど、一応、ここからは私の個人的意見なんだけど」
 今度は何を言われるんだろうか。
 碧斗はもう頭がパンパンだった。
「志郎さんと碧斗くんたちは障がい者かしら?」
「?さっき梨奈さんは障がい者だって言った。」
「定義に当てはめればね。」
 どういうことだろうか?
「さっきも言ったけど、障害って社会で暮らしていけるかどうかなのよ。」
「うん。」
「碧斗くんはさっき言ったわね、計算出来なくても、文字が読めなくても生きて行けるって。」
「うん。」
「でも、現状の社会はさっき言った通り、そうじゃない。」
「……うん。」
「でも、現状の社会が、本当に計算出来なくても、文字が読めなくても、生きていける世の中だったら、碧斗くん達は障がい者じゃないわ。」
「……え?」
「計算や読み書きが出来なくてもいい時代は確かにあったし、その時代なら、碧斗くんは障がい者じゃないの。」
「じゃあオレ、勉強しなくて良くなるってこと?」
「……今の社会じゃ、それは無理だから、碧斗くんが分かるような勉強に変わるって事になるかな。」
「えー。勉強はするのかよ。」
 碧斗はがっかりした。
 でも、授業が分かったら、少し楽しそうだ。
「……じゃあ、車椅子で生活できたり、志郎みたいなやつが普通に暮らして行けるようになったら、障がい者は無くなるの?」
「現実は色々難しいけど、理屈上ではそうね。」
 それってすごいことだ!
 碧斗は目の前がぱあっと輝いた。
 碧斗は今日、人生に関わる、凄い話を聞いた気がした。
「どうやったら出来るんすか?」
 梨奈はにっこりと笑って言った。
「碧斗くんが考えた答えを聞いてみたいから、よかったら考えてみて。」

 帰って、母親がもう出勤と言う時、碧斗は自分の母親に聞いてみた。
「なぁ、オレってそんなに勉強出来ねーの?」
 碧斗の母親は気の毒そうな顔をして、碧斗の頭を撫でた。
「最後は私が養ってやるよ。」
 その言葉に碧斗は少しムカついた。
「それでいいわけねーだろーが、ちゃんと考えろよ。」
「そんなこと言ったって、あんた勉強がそんだけ出来なきゃどうしようもないじゃないか」
「それってオレ、障がい者ってことじゃねーのか?」
「……りあちゃんたちも、勉強出来ないから、大丈夫だよ。」
「みんな障がい者だったらどうすんだよ?」
「どうするもこーするも、そん時考えればいいじゃないか。……あんたたちが言ってる店の障がい者だって、ちゃーんと生活出来てるだろ。仕事にもう行かなきゃなんないから、行くよ。」
 いつもなら、碧斗もそんなもんかと納得出来た。
 でもその日は納得出来なくて、碧斗は子ども達と横になりながら、考えた。

 もしかして、大人も知らないことがいっぱいあるのかもしれない。
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