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学校に向かうまでと幼馴染の夢の話(2話)
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「今日さ、変な夢だったんだよね」
通学中。制服を着た男女。話しながら徒歩で学校へ向かっているところだ。
「琴音はほぼ毎日見てるじゃん。そういえば、僕も今日夢見たよ」
「どんな?」
「僕が琴音に何か言ってたような気がするんだよな」
私は驚いた。勢いよく暁人を見てしまう。あの夢は彼は幼馴染であったのだろうか。目の色が異なっていたけれど、同じ人物なのだろうか。それとも、見間違いをしているだけなのだろうか。
「ねぇ、夢でさ、水の中にいた?」
「どうして知ってるの? って言いたいところだけど、いたのはたぶん公園。琴音が見てる水の中の誰かの正体は僕だったの?」
恐る恐る尋ねた。キョトンとした暁人の返事に背筋が凍った。ドクンっと心臓がはねる。暁人本人なのかもしれない。そう思ったのだが、続けられた言葉がそれを否定しているっぽいので、ほっとした。
揶揄うにしても時機を見てほしい。惑わすようなことを言われ、ヒヤッとした気持ちが急速に引いていった。一瞬、暁人と関係あることなのかもしれないと思ったが、違う夢だったみたいだ。私は誤魔化そうと口を開いた。
「いや、えーと、私に何か言ってたって言われたからさ。私も夢で誰かに何かを言われた気がして? 暁人も同じものを見たのかもって。違ったみたいだけど」
このままやりすごそうと笑みを浮かべ、暁人の顔色を伺った。そちらに集中し、歩いていたためか、何かに躓いて転ける。「わっ!」と小さな悲鳴が上がった。倒れそうになり、衝撃に備える。温もりを感じた。何かに支えられている。
「気をつけなよ。よそ見して歩いてると危ないって」
「う、うん。ありがとう。助かりました」
怪我はなかった。暁人が支えていてくれたおかげだ。手伝ってもらい、私は体勢を立て直すことができた。
「何事もなくて良かったよ。背負って学校まで運んでいくことになったら困るし」
「え? そういうことなの?」
「さぁね?」
「えー」
曖昧な暁人の返事に不満を抱いた。私は胡乱げな視線を向けたが、飄々とした態度でダメージを受けている様子はなかった。
突然、ガラリッと暁人の雰囲気が重々しいものに変化した。ピタリッと足が止まる。私もそれにつられて立ち止まった。真剣な表情で真っ直ぐに私を見つめてきた。
「琴音はさ、考えすぎなんだって。同じものを見るなんてことをあるわけないよ。あったら不思議だな、面白いなくらいの気持ちでいればいいんだって」
そんな楽観的思考で大丈夫かと思うが、今回のことは暁人の言う通りかもしれない。あの一緒の夢を見ていると思わせるような一言は問題アリだったけど。もし暁人が否定せずに同じ夢を見ていたとしたら、安心できなかった。黒色の目が青色の目なのに、どういうことだと混乱するし、わからないがゆえに怖いし、幼馴染の心配もするだろう。本当に同じ夢を見ていなくて良かった。
「暁人! もうすぐ学校着くよ」
「あれ?」
暁人自身は覚えていないこと。たまに、ボーッとしたかと思うとキョロキョロと辺りを見回すのだ。まるで何かを探しているかのように。この状態の時は大きな声で名前を呼ぶことにしている。いつ、どこで、が決まっているものではない。ふとした時に起こること。暁人自身の問題であり、その症状は本人に自覚はなし。昔聞いてみたらことがあるが、「わからない」と言っていた。
「僕には――がいたはずなのに」
この言葉をぼんやりとしている暁人が呟いていたのは頭に残っている。何について言っているのかは私にはわからなかった。後に、本人にさりげなく尋ねてみたところ、忘れているようだった。
「ほら、早く行くよ」
「引っ張らないでよ。歩けるって」
何も起こらないといいけど。
通学中。制服を着た男女。話しながら徒歩で学校へ向かっているところだ。
「琴音はほぼ毎日見てるじゃん。そういえば、僕も今日夢見たよ」
「どんな?」
「僕が琴音に何か言ってたような気がするんだよな」
私は驚いた。勢いよく暁人を見てしまう。あの夢は彼は幼馴染であったのだろうか。目の色が異なっていたけれど、同じ人物なのだろうか。それとも、見間違いをしているだけなのだろうか。
「ねぇ、夢でさ、水の中にいた?」
「どうして知ってるの? って言いたいところだけど、いたのはたぶん公園。琴音が見てる水の中の誰かの正体は僕だったの?」
恐る恐る尋ねた。キョトンとした暁人の返事に背筋が凍った。ドクンっと心臓がはねる。暁人本人なのかもしれない。そう思ったのだが、続けられた言葉がそれを否定しているっぽいので、ほっとした。
揶揄うにしても時機を見てほしい。惑わすようなことを言われ、ヒヤッとした気持ちが急速に引いていった。一瞬、暁人と関係あることなのかもしれないと思ったが、違う夢だったみたいだ。私は誤魔化そうと口を開いた。
「いや、えーと、私に何か言ってたって言われたからさ。私も夢で誰かに何かを言われた気がして? 暁人も同じものを見たのかもって。違ったみたいだけど」
このままやりすごそうと笑みを浮かべ、暁人の顔色を伺った。そちらに集中し、歩いていたためか、何かに躓いて転ける。「わっ!」と小さな悲鳴が上がった。倒れそうになり、衝撃に備える。温もりを感じた。何かに支えられている。
「気をつけなよ。よそ見して歩いてると危ないって」
「う、うん。ありがとう。助かりました」
怪我はなかった。暁人が支えていてくれたおかげだ。手伝ってもらい、私は体勢を立て直すことができた。
「何事もなくて良かったよ。背負って学校まで運んでいくことになったら困るし」
「え? そういうことなの?」
「さぁね?」
「えー」
曖昧な暁人の返事に不満を抱いた。私は胡乱げな視線を向けたが、飄々とした態度でダメージを受けている様子はなかった。
突然、ガラリッと暁人の雰囲気が重々しいものに変化した。ピタリッと足が止まる。私もそれにつられて立ち止まった。真剣な表情で真っ直ぐに私を見つめてきた。
「琴音はさ、考えすぎなんだって。同じものを見るなんてことをあるわけないよ。あったら不思議だな、面白いなくらいの気持ちでいればいいんだって」
そんな楽観的思考で大丈夫かと思うが、今回のことは暁人の言う通りかもしれない。あの一緒の夢を見ていると思わせるような一言は問題アリだったけど。もし暁人が否定せずに同じ夢を見ていたとしたら、安心できなかった。黒色の目が青色の目なのに、どういうことだと混乱するし、わからないがゆえに怖いし、幼馴染の心配もするだろう。本当に同じ夢を見ていなくて良かった。
「暁人! もうすぐ学校着くよ」
「あれ?」
暁人自身は覚えていないこと。たまに、ボーッとしたかと思うとキョロキョロと辺りを見回すのだ。まるで何かを探しているかのように。この状態の時は大きな声で名前を呼ぶことにしている。いつ、どこで、が決まっているものではない。ふとした時に起こること。暁人自身の問題であり、その症状は本人に自覚はなし。昔聞いてみたらことがあるが、「わからない」と言っていた。
「僕には――がいたはずなのに」
この言葉をぼんやりとしている暁人が呟いていたのは頭に残っている。何について言っているのかは私にはわからなかった。後に、本人にさりげなく尋ねてみたところ、忘れているようだった。
「ほら、早く行くよ」
「引っ張らないでよ。歩けるって」
何も起こらないといいけど。
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