7 / 33
投げられたけど再挑戦(7話)
しおりを挟む
行列とまではいかないけれど、人がいた中で僕の番が回ってきた。
「またお前か。通行証は?」
嫌そうな表情で淡々と聞かれた。もう少し愛想が良くならないものかと思う。屈強そうに見える男で顔も怖めだから怖気付いてしまいそうだ。
「僕、小人ノ事務所というところに行きたいのですが……」
通行証はないと言ったらすぐに投げられると思うので、行き先だけを伝えた。これで対応が変わるのだろうか。地面に体を打ちつけるのはもう体験したくないことだ。あれ、受け身取れなかったし、めちゃくちゃ痛いから。門番の表情が一転し、声も優しげなものになる。
「おお、なんだ。お前知らなかっただけか。一応、通行証なしで街に入れるとはいえ、手続きはある。だから、申告は必要だぞ。担当はあっちにいるからそっちでよろしくな!」
それなら行く場所を聞いてくれよと思ったが、痛い目見た後に知った情報だった。僕は一度来た時に目的地を聞かれなくて良かったと安堵する。
「あちらに立っている方に手続きをお願いすればいいんですね?」
「そうだ。行き先はちゃんと伝えろよ」
無愛想で目つきが鋭く、髭が生えていて、怖めのおっさんだったけど、案外悪い人ではないようだ。話せばわかる人ではあるらしい。街を守るために変な人がいたらそれを排除するのも彼の仕事。僕が怪しいやつに見えたか物理的なものになったのだろう。自分で言ってて悲しくなった。
僕の他にも手続きを必要とする人が数人いるようだ。優しげな細身である門番が1人で対応している。現在、話している人とその他待っている人もいるのだから、対応するのも大変だろう。僕は最後尾に並んだ。それからは暇すぎてぼーっとしたり、まだかなと前を確認したりしていた。
日が昇っていたのに、待ち時間と手続きの時間がかかったせいで日が沈んでいる。僕はギリギリで門を通ることができた。あとは『小人ノ事務所』に向かうだけだ。宿泊所を探して休憩してから向かうのもありだと思うが、金銭を所持していない僕が泊まれる場所はないだろう。ここは街に入る前から目指していたところに直行だ。地図のルート案内を頼りに道を進む。歩行のため目的地に着くのに、また時間がかかるみたいだ。乗り物は使えない。先が不安だ。とても不安だ。
できることなら、僕も君たちと一緒にハウスでゆっくりしたいよ。
「またお前か。通行証は?」
嫌そうな表情で淡々と聞かれた。もう少し愛想が良くならないものかと思う。屈強そうに見える男で顔も怖めだから怖気付いてしまいそうだ。
「僕、小人ノ事務所というところに行きたいのですが……」
通行証はないと言ったらすぐに投げられると思うので、行き先だけを伝えた。これで対応が変わるのだろうか。地面に体を打ちつけるのはもう体験したくないことだ。あれ、受け身取れなかったし、めちゃくちゃ痛いから。門番の表情が一転し、声も優しげなものになる。
「おお、なんだ。お前知らなかっただけか。一応、通行証なしで街に入れるとはいえ、手続きはある。だから、申告は必要だぞ。担当はあっちにいるからそっちでよろしくな!」
それなら行く場所を聞いてくれよと思ったが、痛い目見た後に知った情報だった。僕は一度来た時に目的地を聞かれなくて良かったと安堵する。
「あちらに立っている方に手続きをお願いすればいいんですね?」
「そうだ。行き先はちゃんと伝えろよ」
無愛想で目つきが鋭く、髭が生えていて、怖めのおっさんだったけど、案外悪い人ではないようだ。話せばわかる人ではあるらしい。街を守るために変な人がいたらそれを排除するのも彼の仕事。僕が怪しいやつに見えたか物理的なものになったのだろう。自分で言ってて悲しくなった。
僕の他にも手続きを必要とする人が数人いるようだ。優しげな細身である門番が1人で対応している。現在、話している人とその他待っている人もいるのだから、対応するのも大変だろう。僕は最後尾に並んだ。それからは暇すぎてぼーっとしたり、まだかなと前を確認したりしていた。
日が昇っていたのに、待ち時間と手続きの時間がかかったせいで日が沈んでいる。僕はギリギリで門を通ることができた。あとは『小人ノ事務所』に向かうだけだ。宿泊所を探して休憩してから向かうのもありだと思うが、金銭を所持していない僕が泊まれる場所はないだろう。ここは街に入る前から目指していたところに直行だ。地図のルート案内を頼りに道を進む。歩行のため目的地に着くのに、また時間がかかるみたいだ。乗り物は使えない。先が不安だ。とても不安だ。
できることなら、僕も君たちと一緒にハウスでゆっくりしたいよ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。
しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。
彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。
一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる