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一章 元戦闘員と元奴隷少女
元戦闘員と元奴隷少女
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書き置きを読んだ途端、俺は家から飛び出していた。なんで追いかけようと思ったのかはわからない。ただ、追いかけなきゃという思いだけがあった。
「はぁ……はぁ……」
走る、走る、走る。どこへ向かったのかも分からない。何時に家から出たのかもわからない。何も分からないはずなのに、なぜだか、俺の足は東へと向かっていた。
「なんで……いきなり……!」
やはり何かを間違えてしまったのだろうか。
あの影のある笑みが、さっきから何度も何度も脳裏を過る。あの時、彼女は何を思っていたのだろうか。いや、あの時だけじゃない。彼女のことを理解出来たことなど、一度もなかった。
面倒くさがりのくせに、毎朝早くから起きて朝食を作ることも、ここから出ていくチャンスはいくらでもあったはずなのに、今は無理だと言い訳をして、ここに住み続けていたことも、何一つ分からなかっていなかった。否、分かろうともしなかった。
きっと、もう少し理解しようとすれば、分かり合おうとさえしていれば、何かが変わってたのかもしれない。突然、いなくなることはなかったかもしれない。
何度も何度もタラレバだけが頭に浮かんでは消え浮かんでは消えていく。
「くそったりゃああああああああああぁぁぁ!!」
本当に嫌気がさす。肝心なことは、何一つとして気づけない、己の鈍感さが。何度も何度も後悔したくせに、また失敗しそうになっている。
「おいテメェ、何してんだァ。こんな時間に」
走っていると、赤い髪の男が姿を現した。
「ちょっとな。急いでんだ、どけ!」
「おいおい、なんか人間の騎士が囲んでんぞ。今はこっから出るのはやめとけ」
髪の隙間から垣間見える鋭い瞳が、俺を突き刺す。
「なんだよ、心配してくれてんのか?」
「ああ、そうだな。上から言われてんのは、『容疑者の身柄を連行して来い』だからなァ。死なれちゃ困るんだよ」
鎌を俺の方へ突き出してくる。ぐっと睨みつけてみるが、シモンには通じていない。仕方ないとひとつため息を吐き、覚悟を決める。諦めるのではなく、どんな手を使ってもここから抜け出し、追いかける覚悟だ。
仕方ない、こうなったら……!
☆ ☆ ☆
遠くに一瞬だけ、薄く青みがかった黒髪がちらりと見えた。
「やっと……見つけた……!」
息も絶え絶えになりながらも、なんとか声を絞り出す。その声でも聞こえたのか、レイが後ろを確認したような気がした。そして、彼女は突然走り出した。
「……まだ追いかけっこ続くのか……!」
奥歯をかみ締めて、足を前へ前へと進める。と、一瞬の浮遊感。地面から蔦で作られた網に捕らえられてしまう。
「罠かっ!」
即座に小刀を取り出して、蔦で作られた網を切り脱出する。そして一歩踏み出し前へ進もうとするとまたもや浮遊感に襲われた。
「まだあんのかよ……!!」
足に蔦が絡まって、体を上へ引っ張られ吊るされてしまった。それもすぐに切って、地面へ着地する。前を見ると、走って俺と距離をとるレイの姿があった。
「本気で逃げるのなら……俺だって本気で追いかけてやらぁ!!」
気合と根性と愛と勇気となんかこう……すごい力で突き進む。
「うおおおおぉぉぉぉぉ!!」
全ての罠に突撃していく。皮膚は腫れ、いたるところから出血して、服は砂や泥に塗れた。だが、そのおかげで追いつくことが出来た。
「やっと……やっと追いついた……っ!」
息をゼーハーと吐き出しながら、彼女の腕を掴む。すると、彼女はこちらを振り向いた。体温が顔に集中しているかのように朱に染っていて、瞳は潤んでいた。
「なんで来ちゃうのかなぁ……」
荒い呼吸を吐き出しながら、絞り出すかのように発した声は、今にも泣き出してしまいそうな、そんな儚い印象だった。
「……突然出ていかれたら、心配するだろうが」
なんとか理由を絞り出す。今でも、なぜ追いかけたのかは分かっていない。だけど、今何か言わないと、何かが壊れてしまいそうな気がした。
「そっか……。別にいいのに」
「いいって……、仮にも半年近く一緒過ごした仲だろうが」
「うーん……。私的には、そこまでの仲だとはおもってないんだけどなぁ」
「ええ……、割とショックなんだけど……」
さめざめとなく素振りを見せる。けれど、彼女は困ったように笑うだけだ。それを見て、俺は茶化して有耶無耶にしようという選択肢を潰した。逃げるのは無理だ、ここで逃げたら全てが終わる。
「……じゃあ、なんで俺を庇ったんだよ」
真剣な眼差しで、そう問いかける。たとえ誤魔化そうが、茶化してこようが、逃げ出そうが、全てを受け止める覚悟でここにいる。知りたいと、理解し合いたいと思ったからこそ、ここにいるのだ。
レイは、俺のいつもと違う雰囲気に、意外そうに目を丸くして、それから一度何かを吐き出すように息を吐くと、最後にこちらと目を合わせる。
「……私が奴隷だった……いや、奴隷だってこと、知ってるよね?」
「ああ……」
ぽつりぽつりと話し出してくれた。俺はそれに軽く頷きだけを返す。
「奴隷になったのは、親が小さい頃に死んで、それで少し前に、私を唯一引き取ってくれたお爺ちゃんも死んじゃったんだ」
その言葉に、またしても頷きだけを返す。何かを言うのさえ野暮だと感じてしまったから。
「まあそれで、その時は住んでた村の方でも色々あって、それで行き場がなくなったところを、奴隷商に捕まったんだ」
確か、人間の国では奴隷とは罪人などに対する罰としていたはずだ。つまり、彼女を奴隷とするのは違法なはず。けれど、実際彼女はこうして奴隷として運ばれてた。
「それから、まあ、酷かったよ。私の場合、身代わりとしての役割の奴隷として作られていた。主人の身に危険が及んだ時、咄嗟に盾となる肉壁として」
肩を抱いて小さくなるレイ。瞳は虚空を見つめるかのように虚ろで、唇は小さく震えていた。
「そのために、何度も何度も訓練を受けさせられた。失敗する度に鞭を打ち付けられて、皮膚がボロボロになって痛くて眠れない日もあった」
普段の様子からは想像もつかないほどの恐怖に染り、浅く呼吸を繰り返す表情は苦しそうだった。
俺はそっと彼女の肩に触れると、ビクッと小さく肩が跳ねた。そして、恐る恐るとこちらに顔を向けてくる。
「……もういい」
首を横に振って、そこで止める。これ以上は聞かなくても、わざわざ言わなくてもいい。
「深く息を吸って……吐いて」
大きく息を吸って、吐くと、レイの呼吸は幾分か安定したようだ。先程よりかは少しは顔色が良くなり、話の続きを口にする。
「その繰り返しで、ようやく売り物になると判断された時、奴隷紋をつけられて、運ばれた。その時に出会ったのが、サトウさんなんだよ」
「そうか……」
なんて言うべきか悩み、結局無難な言葉に落ち着いた。
「……にしては、あの時は割と元気そうだったが……」
言葉を選びながら、慎重に伝える。すると、彼女は頭を振って「違うよ」と小さな声で否定した。
「それは君が、君の目が、腐ってたおかげだよ……」
「そうか……。……ん?」
ぽつりと伝えられた言葉に、一瞬納得しかけたが、少し遅れて正確に意味を捉えた。……え、腐ってる? 誰の目が? 俺の目が?
「私と一緒で空っぽで、何も映ってなかったから。この人なら、一緒に堕ちていけるんじゃないかって、思ったんだよ」
「お、おう……」
一応頷きを返すが、なんだか納得がいかない。つまり、俺が何も無いクズだから元気だったと。……めちゃ複雑なんだが……。
「君との日々は、ちょっと楽しくて、嫌だったことも苦しかったことも忘れられそうだった」
でも、と続ける彼女の顔はまるで泣いてるかのようにも、笑っているかのようにも見えた。
「でもね、今日、いや昨日か。昨日わかったんだ。あの日々は、あの思いは、消えることはないって」
そこでようやく納得がいった。なぜ逃げだしたのかが。カノジョは、きっと――、
「――怖かった。あの日々は消えないってことに気づいて、そして、自分が自分の意思とは関係なく動いたことに、さ」
自分が自分ではなくなる、その事に気づいた時、人は計り知れない恐怖を味わう。もう戻れないと、そう気づいて、どうにでもなってしまえと、もう嫌だと、全てから逃げ出したくなる。
「どうしようもなくて、でもどうにかしたくて。それで、逃げ出したの。それしか、思いつかなかったから」
人は追い詰められた時、一人では立ち直ることがなかなかできにくい。視野が狭まるから、諦めてしまうから。だからこそ、誰かが、自分が、手を差し伸べるべきなのだ。
いつかの、誰かの言葉が頭に浮かんだ。
「なあ、レイ。俺は、お前の前の性格とかそういうの、全然知らない」
――ねえ。私は、貴方がどんなふうに生きてきたか知らないわ。
「でもな、お前のいつもの姿は、なんの違和感もなかった。あの姿も、お前にとっては前とは違った姿なのか……?」
「……違うよ。あれは、私の素だよ」
俺の問いに、首を横に振って答える。ならば、俺が彼女のために出来ることは、なんだ。
全てから逃げ出したくなった時、周りから出来ること、それはなんだ。俺が、出来ることは――。
「……なら、俺と一緒に旅をしないか?」
「はい……?」
これは彼女の問題であるのだから、俺が直接かかわれるものでは無い。だが、だからこそ、外から支えることができるのではないだろうか。
「話聞いてた? 昨日のあれがきっかけで、私、逃げ出したんだよ?」
「聞いてたぞ。だけど、それは俺が危険だとお前がそう思ったからだろ? 俺じゃなくても、お前は動いていた。違うか?」
「違わないけど……」
にぃっと笑みを作って、ピンっと人差し指を立てる。
「なら俺がいても問題ないだろ。それに、俺がいると便利だぞ。こき使える労働力が付いてくるんだ。しかも無料で」
ただ、近くにいないとなんの力にもなれそうになかったから。だから、そう提案したのだ。さすがにこれをそのまんま言うのは気恥しいので言葉を変えてしまったけれども。
彼女はしばらくポカンと口を半開きにして少々間抜け面を晒していたが、少しするとふふっと笑い始めた。
「何その言い方……意味わかんない……ふふっ」
「そうか? できるだけ正直に言うようにしたつもりだったが……」
「これで? それは無理があるでしょ」
レイは少しの間笑い続けた。そして、笑いが収まると、少しだけ揺れた、不安げな眼差しでこちらを見てくる。
「いいの? 正直に言って、君にはなんの関係もないはずでしょ」
「半年も関わったんだ。それで無関係なんて、そんな事思うわけないだろ」
「……本当にいいの? 私、すっごい面倒くさい立場だよ。元奴隷で、しかもそのトラウマ持ってるって……」
「奇遇だな。俺も扱いづらさに定評があるんだ。しかも絶賛追われている身ときた」
「そっかー……君も大概面倒くさい立場だね」
ふぅっと安堵の息を漏らすと、今度は真剣な視線を向けてきた。
「……私と一緒に旅をしませんか?」
「……トラウマは、大丈夫か?」
「全然大丈夫じゃないよ。……でも、少しずつ向き合おうという気にはなった、かな」
俺が頼んだことを、あちら側から申し込まれてしまった。どうやら、少しは役に立つことが出来たみたいだ。
「……なあ、それ、最初は俺が言ったんだけど」
「今回の件は、私の家出から始まったことだし、私が言うべきかなって」
「何その謎理論……」
超展開過ぎない? いやまあ、突然家出したこと自体が割と超展開な気もするけど。
「……返事は、どうでしょうか?」
片手をこちらへ差し出したまま、頭を下げていたレイが、ちらりと不安そうに顔を上げる。
それを見て、ふっと笑むと。
「もちろん、よろしくお願いします」
――握手を交わした。
☆ ☆ ☆
「話は終わったかァ?」
いい感じの雰囲気になったところで、低い声が横から入ってきた。
「ああ、まあな」
「そうか」
シモンは俺とレイを交互に見やると、ひとつため息を吐いて、ガリガリと乱暴に頭をかいた。
「アー、行くならさっさとしろ。今ァ、オレの部下が人間の騎士共の足止めしてるが、そろそろ突破なりなんなりしてきてもおかしくねェぞ」
その言葉に、俺は思わず目を見開いた。
「え、お前見逃してくれんの?」
「オレァ言われてんのは、『容疑者を身柄を連行して来い』だ。容疑者じゃねェと主張すんなら、違うだろうよ」
「お前……割も良い奴なんだな」
「あん? オレは指示された通りに動いてるだけだ、お前のためじゃねェーよ」
かっこいい……。さすがはお兄ちゃん。俺、今度からこいつのことお兄ちゃんって呼んでやろうか……。いや、怒られそうだしやめとこ。
ほわほわと和んでいると、クイクイっと服の裾を引っ張られた。どうしたと思い振り向いてみると、レイが頭にはてなマークを浮かべていた。
「え、なんであの人の部下が騎士様の足止めしてくれてるの? というか、人間って……」
どうやら相当困惑しているようだ。というか、こいつらが人間じゃないの、気づいてなかったのね……。
俺が元魔王軍のものであることを言うべきか一瞬悩んだが、すぐに言うことを決意する。この状況で嘘つく訳にはいかないよね。
「こいつが土下座して頼み込んで来たからだよ」
「俺、実は昔魔王軍に所属していて、そしてこいつは今の魔王軍の騎士団分隊長」
ほぼ同時に口にする。シモンが言った内容が気にかかり、思わずシモンの方を見る。
「おい、なんで言うんだよ」
「いや、口止めされてなかったからなァ」
前言撤回。絶対にお兄ちゃんと呼ぶのはやめよう。呼ぶとしても鬼いちゃんだな。
「なんか一気に情報が入ってきた……」
「まあ難しく考えんでも、元魔王軍の相方と、その相方を連れ戻しに来たこいつが、逃げるのを手伝ってくれているという認識でいい」
「はあ……」
というか、あんまり深く考えないで欲しい。土下座云々を深く掘り下げられると、多分俺は死ぬ。恥ずか死ぬ。土下座することは別にいい。だが、周りの人に吹聴されるのは無理。
「よし、じゃあさっさと戻って旅に出る支度して逃げるか! シモン、サンキューな」
「貸し一つだからな」
「わかったわかった。踏み倒さんように気をつけるわ」
「おい」
ジト目で睨んでくるシモンを無視して、レイの手を引きさっさと家へ向かう。……汚れたし、傷だらけだし、お互いに応急処置して風呂入ってから旅に出るか……。などと、緊張感のないことを考えていると、目の前にニヤニヤとした表情のレイが、顔を覗きこんできた。
「それで……土下座するのも厭わないほど、私を探してくれてたの?」
「うっ……。なんでそこ掘り下げるんだよ、やめろよ……」
いつもの調子では会話しながら、家へ向かって歩いていく。
――そんなこんなで、俺たちの旅は始まったのだった。
――――――――――――
「よかったんですか? 隊長」
「大丈夫だ。爆破の犯人ではない可能性が高く、また、オレ達の存在に気づいたその日のうちに逃げ出したって伝えておくからよォ」
「それ、隊長の立場は大丈夫なんですか?」
「安心しろ、土下座までならしてやる。だから立場が悪くなることはない、はずだ」
「ええ……。なんか隊長って、さっきの人と結構似てますよね……」
「はぁ……はぁ……」
走る、走る、走る。どこへ向かったのかも分からない。何時に家から出たのかもわからない。何も分からないはずなのに、なぜだか、俺の足は東へと向かっていた。
「なんで……いきなり……!」
やはり何かを間違えてしまったのだろうか。
あの影のある笑みが、さっきから何度も何度も脳裏を過る。あの時、彼女は何を思っていたのだろうか。いや、あの時だけじゃない。彼女のことを理解出来たことなど、一度もなかった。
面倒くさがりのくせに、毎朝早くから起きて朝食を作ることも、ここから出ていくチャンスはいくらでもあったはずなのに、今は無理だと言い訳をして、ここに住み続けていたことも、何一つ分からなかっていなかった。否、分かろうともしなかった。
きっと、もう少し理解しようとすれば、分かり合おうとさえしていれば、何かが変わってたのかもしれない。突然、いなくなることはなかったかもしれない。
何度も何度もタラレバだけが頭に浮かんでは消え浮かんでは消えていく。
「くそったりゃああああああああああぁぁぁ!!」
本当に嫌気がさす。肝心なことは、何一つとして気づけない、己の鈍感さが。何度も何度も後悔したくせに、また失敗しそうになっている。
「おいテメェ、何してんだァ。こんな時間に」
走っていると、赤い髪の男が姿を現した。
「ちょっとな。急いでんだ、どけ!」
「おいおい、なんか人間の騎士が囲んでんぞ。今はこっから出るのはやめとけ」
髪の隙間から垣間見える鋭い瞳が、俺を突き刺す。
「なんだよ、心配してくれてんのか?」
「ああ、そうだな。上から言われてんのは、『容疑者の身柄を連行して来い』だからなァ。死なれちゃ困るんだよ」
鎌を俺の方へ突き出してくる。ぐっと睨みつけてみるが、シモンには通じていない。仕方ないとひとつため息を吐き、覚悟を決める。諦めるのではなく、どんな手を使ってもここから抜け出し、追いかける覚悟だ。
仕方ない、こうなったら……!
☆ ☆ ☆
遠くに一瞬だけ、薄く青みがかった黒髪がちらりと見えた。
「やっと……見つけた……!」
息も絶え絶えになりながらも、なんとか声を絞り出す。その声でも聞こえたのか、レイが後ろを確認したような気がした。そして、彼女は突然走り出した。
「……まだ追いかけっこ続くのか……!」
奥歯をかみ締めて、足を前へ前へと進める。と、一瞬の浮遊感。地面から蔦で作られた網に捕らえられてしまう。
「罠かっ!」
即座に小刀を取り出して、蔦で作られた網を切り脱出する。そして一歩踏み出し前へ進もうとするとまたもや浮遊感に襲われた。
「まだあんのかよ……!!」
足に蔦が絡まって、体を上へ引っ張られ吊るされてしまった。それもすぐに切って、地面へ着地する。前を見ると、走って俺と距離をとるレイの姿があった。
「本気で逃げるのなら……俺だって本気で追いかけてやらぁ!!」
気合と根性と愛と勇気となんかこう……すごい力で突き進む。
「うおおおおぉぉぉぉぉ!!」
全ての罠に突撃していく。皮膚は腫れ、いたるところから出血して、服は砂や泥に塗れた。だが、そのおかげで追いつくことが出来た。
「やっと……やっと追いついた……っ!」
息をゼーハーと吐き出しながら、彼女の腕を掴む。すると、彼女はこちらを振り向いた。体温が顔に集中しているかのように朱に染っていて、瞳は潤んでいた。
「なんで来ちゃうのかなぁ……」
荒い呼吸を吐き出しながら、絞り出すかのように発した声は、今にも泣き出してしまいそうな、そんな儚い印象だった。
「……突然出ていかれたら、心配するだろうが」
なんとか理由を絞り出す。今でも、なぜ追いかけたのかは分かっていない。だけど、今何か言わないと、何かが壊れてしまいそうな気がした。
「そっか……。別にいいのに」
「いいって……、仮にも半年近く一緒過ごした仲だろうが」
「うーん……。私的には、そこまでの仲だとはおもってないんだけどなぁ」
「ええ……、割とショックなんだけど……」
さめざめとなく素振りを見せる。けれど、彼女は困ったように笑うだけだ。それを見て、俺は茶化して有耶無耶にしようという選択肢を潰した。逃げるのは無理だ、ここで逃げたら全てが終わる。
「……じゃあ、なんで俺を庇ったんだよ」
真剣な眼差しで、そう問いかける。たとえ誤魔化そうが、茶化してこようが、逃げ出そうが、全てを受け止める覚悟でここにいる。知りたいと、理解し合いたいと思ったからこそ、ここにいるのだ。
レイは、俺のいつもと違う雰囲気に、意外そうに目を丸くして、それから一度何かを吐き出すように息を吐くと、最後にこちらと目を合わせる。
「……私が奴隷だった……いや、奴隷だってこと、知ってるよね?」
「ああ……」
ぽつりぽつりと話し出してくれた。俺はそれに軽く頷きだけを返す。
「奴隷になったのは、親が小さい頃に死んで、それで少し前に、私を唯一引き取ってくれたお爺ちゃんも死んじゃったんだ」
その言葉に、またしても頷きだけを返す。何かを言うのさえ野暮だと感じてしまったから。
「まあそれで、その時は住んでた村の方でも色々あって、それで行き場がなくなったところを、奴隷商に捕まったんだ」
確か、人間の国では奴隷とは罪人などに対する罰としていたはずだ。つまり、彼女を奴隷とするのは違法なはず。けれど、実際彼女はこうして奴隷として運ばれてた。
「それから、まあ、酷かったよ。私の場合、身代わりとしての役割の奴隷として作られていた。主人の身に危険が及んだ時、咄嗟に盾となる肉壁として」
肩を抱いて小さくなるレイ。瞳は虚空を見つめるかのように虚ろで、唇は小さく震えていた。
「そのために、何度も何度も訓練を受けさせられた。失敗する度に鞭を打ち付けられて、皮膚がボロボロになって痛くて眠れない日もあった」
普段の様子からは想像もつかないほどの恐怖に染り、浅く呼吸を繰り返す表情は苦しそうだった。
俺はそっと彼女の肩に触れると、ビクッと小さく肩が跳ねた。そして、恐る恐るとこちらに顔を向けてくる。
「……もういい」
首を横に振って、そこで止める。これ以上は聞かなくても、わざわざ言わなくてもいい。
「深く息を吸って……吐いて」
大きく息を吸って、吐くと、レイの呼吸は幾分か安定したようだ。先程よりかは少しは顔色が良くなり、話の続きを口にする。
「その繰り返しで、ようやく売り物になると判断された時、奴隷紋をつけられて、運ばれた。その時に出会ったのが、サトウさんなんだよ」
「そうか……」
なんて言うべきか悩み、結局無難な言葉に落ち着いた。
「……にしては、あの時は割と元気そうだったが……」
言葉を選びながら、慎重に伝える。すると、彼女は頭を振って「違うよ」と小さな声で否定した。
「それは君が、君の目が、腐ってたおかげだよ……」
「そうか……。……ん?」
ぽつりと伝えられた言葉に、一瞬納得しかけたが、少し遅れて正確に意味を捉えた。……え、腐ってる? 誰の目が? 俺の目が?
「私と一緒で空っぽで、何も映ってなかったから。この人なら、一緒に堕ちていけるんじゃないかって、思ったんだよ」
「お、おう……」
一応頷きを返すが、なんだか納得がいかない。つまり、俺が何も無いクズだから元気だったと。……めちゃ複雑なんだが……。
「君との日々は、ちょっと楽しくて、嫌だったことも苦しかったことも忘れられそうだった」
でも、と続ける彼女の顔はまるで泣いてるかのようにも、笑っているかのようにも見えた。
「でもね、今日、いや昨日か。昨日わかったんだ。あの日々は、あの思いは、消えることはないって」
そこでようやく納得がいった。なぜ逃げだしたのかが。カノジョは、きっと――、
「――怖かった。あの日々は消えないってことに気づいて、そして、自分が自分の意思とは関係なく動いたことに、さ」
自分が自分ではなくなる、その事に気づいた時、人は計り知れない恐怖を味わう。もう戻れないと、そう気づいて、どうにでもなってしまえと、もう嫌だと、全てから逃げ出したくなる。
「どうしようもなくて、でもどうにかしたくて。それで、逃げ出したの。それしか、思いつかなかったから」
人は追い詰められた時、一人では立ち直ることがなかなかできにくい。視野が狭まるから、諦めてしまうから。だからこそ、誰かが、自分が、手を差し伸べるべきなのだ。
いつかの、誰かの言葉が頭に浮かんだ。
「なあ、レイ。俺は、お前の前の性格とかそういうの、全然知らない」
――ねえ。私は、貴方がどんなふうに生きてきたか知らないわ。
「でもな、お前のいつもの姿は、なんの違和感もなかった。あの姿も、お前にとっては前とは違った姿なのか……?」
「……違うよ。あれは、私の素だよ」
俺の問いに、首を横に振って答える。ならば、俺が彼女のために出来ることは、なんだ。
全てから逃げ出したくなった時、周りから出来ること、それはなんだ。俺が、出来ることは――。
「……なら、俺と一緒に旅をしないか?」
「はい……?」
これは彼女の問題であるのだから、俺が直接かかわれるものでは無い。だが、だからこそ、外から支えることができるのではないだろうか。
「話聞いてた? 昨日のあれがきっかけで、私、逃げ出したんだよ?」
「聞いてたぞ。だけど、それは俺が危険だとお前がそう思ったからだろ? 俺じゃなくても、お前は動いていた。違うか?」
「違わないけど……」
にぃっと笑みを作って、ピンっと人差し指を立てる。
「なら俺がいても問題ないだろ。それに、俺がいると便利だぞ。こき使える労働力が付いてくるんだ。しかも無料で」
ただ、近くにいないとなんの力にもなれそうになかったから。だから、そう提案したのだ。さすがにこれをそのまんま言うのは気恥しいので言葉を変えてしまったけれども。
彼女はしばらくポカンと口を半開きにして少々間抜け面を晒していたが、少しするとふふっと笑い始めた。
「何その言い方……意味わかんない……ふふっ」
「そうか? できるだけ正直に言うようにしたつもりだったが……」
「これで? それは無理があるでしょ」
レイは少しの間笑い続けた。そして、笑いが収まると、少しだけ揺れた、不安げな眼差しでこちらを見てくる。
「いいの? 正直に言って、君にはなんの関係もないはずでしょ」
「半年も関わったんだ。それで無関係なんて、そんな事思うわけないだろ」
「……本当にいいの? 私、すっごい面倒くさい立場だよ。元奴隷で、しかもそのトラウマ持ってるって……」
「奇遇だな。俺も扱いづらさに定評があるんだ。しかも絶賛追われている身ときた」
「そっかー……君も大概面倒くさい立場だね」
ふぅっと安堵の息を漏らすと、今度は真剣な視線を向けてきた。
「……私と一緒に旅をしませんか?」
「……トラウマは、大丈夫か?」
「全然大丈夫じゃないよ。……でも、少しずつ向き合おうという気にはなった、かな」
俺が頼んだことを、あちら側から申し込まれてしまった。どうやら、少しは役に立つことが出来たみたいだ。
「……なあ、それ、最初は俺が言ったんだけど」
「今回の件は、私の家出から始まったことだし、私が言うべきかなって」
「何その謎理論……」
超展開過ぎない? いやまあ、突然家出したこと自体が割と超展開な気もするけど。
「……返事は、どうでしょうか?」
片手をこちらへ差し出したまま、頭を下げていたレイが、ちらりと不安そうに顔を上げる。
それを見て、ふっと笑むと。
「もちろん、よろしくお願いします」
――握手を交わした。
☆ ☆ ☆
「話は終わったかァ?」
いい感じの雰囲気になったところで、低い声が横から入ってきた。
「ああ、まあな」
「そうか」
シモンは俺とレイを交互に見やると、ひとつため息を吐いて、ガリガリと乱暴に頭をかいた。
「アー、行くならさっさとしろ。今ァ、オレの部下が人間の騎士共の足止めしてるが、そろそろ突破なりなんなりしてきてもおかしくねェぞ」
その言葉に、俺は思わず目を見開いた。
「え、お前見逃してくれんの?」
「オレァ言われてんのは、『容疑者を身柄を連行して来い』だ。容疑者じゃねェと主張すんなら、違うだろうよ」
「お前……割も良い奴なんだな」
「あん? オレは指示された通りに動いてるだけだ、お前のためじゃねェーよ」
かっこいい……。さすがはお兄ちゃん。俺、今度からこいつのことお兄ちゃんって呼んでやろうか……。いや、怒られそうだしやめとこ。
ほわほわと和んでいると、クイクイっと服の裾を引っ張られた。どうしたと思い振り向いてみると、レイが頭にはてなマークを浮かべていた。
「え、なんであの人の部下が騎士様の足止めしてくれてるの? というか、人間って……」
どうやら相当困惑しているようだ。というか、こいつらが人間じゃないの、気づいてなかったのね……。
俺が元魔王軍のものであることを言うべきか一瞬悩んだが、すぐに言うことを決意する。この状況で嘘つく訳にはいかないよね。
「こいつが土下座して頼み込んで来たからだよ」
「俺、実は昔魔王軍に所属していて、そしてこいつは今の魔王軍の騎士団分隊長」
ほぼ同時に口にする。シモンが言った内容が気にかかり、思わずシモンの方を見る。
「おい、なんで言うんだよ」
「いや、口止めされてなかったからなァ」
前言撤回。絶対にお兄ちゃんと呼ぶのはやめよう。呼ぶとしても鬼いちゃんだな。
「なんか一気に情報が入ってきた……」
「まあ難しく考えんでも、元魔王軍の相方と、その相方を連れ戻しに来たこいつが、逃げるのを手伝ってくれているという認識でいい」
「はあ……」
というか、あんまり深く考えないで欲しい。土下座云々を深く掘り下げられると、多分俺は死ぬ。恥ずか死ぬ。土下座することは別にいい。だが、周りの人に吹聴されるのは無理。
「よし、じゃあさっさと戻って旅に出る支度して逃げるか! シモン、サンキューな」
「貸し一つだからな」
「わかったわかった。踏み倒さんように気をつけるわ」
「おい」
ジト目で睨んでくるシモンを無視して、レイの手を引きさっさと家へ向かう。……汚れたし、傷だらけだし、お互いに応急処置して風呂入ってから旅に出るか……。などと、緊張感のないことを考えていると、目の前にニヤニヤとした表情のレイが、顔を覗きこんできた。
「それで……土下座するのも厭わないほど、私を探してくれてたの?」
「うっ……。なんでそこ掘り下げるんだよ、やめろよ……」
いつもの調子では会話しながら、家へ向かって歩いていく。
――そんなこんなで、俺たちの旅は始まったのだった。
――――――――――――
「よかったんですか? 隊長」
「大丈夫だ。爆破の犯人ではない可能性が高く、また、オレ達の存在に気づいたその日のうちに逃げ出したって伝えておくからよォ」
「それ、隊長の立場は大丈夫なんですか?」
「安心しろ、土下座までならしてやる。だから立場が悪くなることはない、はずだ」
「ええ……。なんか隊長って、さっきの人と結構似てますよね……」
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同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。
Sランクパーティを追放されたヒーラーの俺、禁忌スキル【完全蘇生】に覚醒する。俺を捨てたパーティがボスに全滅させられ泣きついてきたが、もう遅い
夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティ【熾天の剣】で《ヒール》しか使えないアレンは、「無能」と蔑まれ追放された。絶望の淵で彼が覚醒したのは、死者さえ完全に蘇らせる禁忌のユニークスキル【完全蘇生】だった。
故郷の辺境で、心に傷を負ったエルフの少女や元女騎士といった“真の仲間”と出会ったアレンは、新パーティ【黎明の翼】を結成。回復魔法の常識を覆す戦術で「死なないパーティ」として名を馳せていく。
一方、アレンを失った元パーティは急速に凋落し、高難易度ダンジョンで全滅。泣きながら戻ってきてくれと懇願する彼らに、アレンは冷たく言い放つ。
「もう遅い」と。
これは、無能と蔑まれたヒーラーが最強の英雄となる、痛快な逆転ファンタジー!
チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?
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「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」
その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。
影響するステータスは『運』。
聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。
第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。
すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。
より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!
真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。
【簡単な流れ】
勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ
【原題】
『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
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クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
Sランクパーティーを追放された鑑定士の俺、実は『神の眼』を持ってました〜最神神獣と最強になったので、今さら戻ってこいと言われてももう遅い〜
夏見ナイ
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Sランクパーティーで地味な【鑑定】スキルを使い、仲間を支えてきたカイン。しかしある日、リーダーの勇者から「お前はもういらない」と理不尽に追放されてしまう。
絶望の淵で流れ着いた辺境の街。そこで偶然発見した古代ダンジョンが、彼の運命を変える。絶体絶命の危機に陥ったその時、彼のスキルは万物を見通す【神の眼】へと覚醒。さらに、ダンジョンの奥で伝説のもふもふ神獣「フェン」と出会い、最強の相棒を得る。
一方、カインを失った元パーティーは鑑定ミスを連発し、崩壊の一途を辿っていた。「今さら戻ってこい」と懇願されても、もう遅い。
無能と蔑まれた鑑定士の、痛快な成り上がり冒険譚が今、始まる!
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
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「パーティーを抜けてほしい」
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私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
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