【二度目の異世界、三度目の勇者】魔王となった彼女を討つために

南風

文字の大きさ
9 / 27

還章④ 戦士の里Ⅱ

しおりを挟む
 日が昇る。
 姫様が寝付き、それを見守っていた頃、三人が戻ってきた。

「オイラ、話を聞いてみたんだ。さっきの魔竜は、先日じっちゃんを殺した魔竜とは別だったみたいです……その竜は、二本脚で立っていたって……」
「二本脚……」

 二本脚と聞くと、リザードマンを思い起こす。だが、伝承によると、リザードマンは大昔に絶滅したようだが。

「となれば、竜魔四天王か……?」

 まだ、奴らの実態は掴めていない。
ただし、調査団の新たな報告によれば、彼らはと呼ばれる強力な魔物を生み出すらしい。

「メルル……どう思う?」

 オレはまず、予言者であり、賢者の称号を得たメルルに問う。

「そうだな、間違いないだろうね。先日に襲来してきたことは、私の予言にもなかった。もしかしたら、竜魔四天王というのは、予言に映らない……?」

 メルルは勇者を見る。

「分からない……」

 クソ……。この順路を選ばなければ、四天王に関わるリスクを極力減らせたというのに――いや、神託が下りないというのなら、結局はどちらも同じ……。

「もう……なんで予言に映らないんだ……」

 両手でこめかみを揉むメルル。

「ううん……違和感……違和感……」

 傍ら、勇者はゴンザレスに語りかけている間、オレは窓から村を眺めていた。
 住居から出て、仕事を始める村民。外に出て遊び始める子どもたち。
 数時間前に、魔竜の襲撃があったというのに、日常はやってくる。
 ひとつ、大きなため息をついた。

「違和感が……違和感が消えないなぁ……」

 まだぶつぶつと呟いているメルル。違和感――そうだ。違和感だ。
 いま、見えている範囲に、違和感がある。
 オレは窓を開け、村全体を観測する。
 そうだとも。連続で襲撃は無いだろうと、誰もが予想する。
 オレたちもそうだ。

 違う。既に、襲撃は来ていた。
 透明に近い、スライムのような魔物が、子どもたちを取り込み、連れ去っているのが見えた。

「総員、すぐに出るぞ! 襲撃だ!」

 大声を放つ。

「なにっ……?」

 オレは槍を持ち、窓から飛び降りる。

「姫様を起こしてくれッ!」

 着地の衝撃を押し殺し、大声を上げる。

「退避しろ! 襲撃だ!!」

 オレは魔物を追う。向かった先は森か……!?
「ワタシの子どもが居ない!」「おらの家の子も!?」
 混沌だ。慌てふためく村民。
 勇者、メルル、ゴンザレス、そして姫様が追いつく。
 勇者が大声を上げる。

「ゴンザレスは村の防衛と、住民を引っ込めるよう誘導してくれ!」
「オイラは……オイラは……」

 彼は、頭を振っている。どうすればいいのか、迷っている表情だ。

「……頼む。ゴン。魔物が何体居るか分からないんだ。この村の出身なら土地勘もあるだろ。任せたぜ」
「――オイラは……」

 脚を動かしていたゴンザレスは、その走りを止める。
 そうだ。何かを喪ってからでは、遅いのだ。
 オレたちはゴンザレスを置いて、森へと突入していった。

「申し訳ありません、皆さん。遅れました……!」

 姫様は細剣の柄に手を添えながら、謝罪した。

「いや、気にするな。休める時に休まないと。バルムンクが気付かなければ、どうなっていたか……」

 メルルがフォローに回る。

「それで、バルムンク。状況は?」
「……遠目で不確かではあったが、巨大なスライムのようだった。ただ、スライム族の特徴ではない。色は無く、透明に近い――水のようだった。六人の子どもを取り込んで、森へと去って行った」

 勇者は走りながら、ぼそぼそと呟く。

「スライムに近い……水……」

 引き継ぐのはメルル。

「水の眷属だ。予言に映らなかったことを見るに、竜魔四天王の可能性が高い――昨夜の魔竜は、また別の眷属なんだろう」
「早々に魔王軍の幹部か……罠だろうが、行かねばなるまい」
「はい。助けましょう、子どもたちを」

 姫様は決意を込めた眼でそう仰った。強いお方だ。

「――ちょっと待ってください。何かを感じる……こっちです!」

 突如、右に曲がる姫様。
 オレは困惑する。が、メルルと勇者は迷わず付いていく。
 クソ……何も分かっていないのはオレだけか!?

 辿り着くは、拓けた場所だ。
 そこには、先ほどの魔物に飲み込まれていた子どもたちが。

「すぐに助けだすぞ」

 オレは一歩を踏み込んだ。

「待て!」

 叫ぶメルル。同時に、オレの肌が粟立つ。
 なんだ――? 感じるのは恐れ。
 上空から飛来し、地を割るのは巨大な竜。いや、それは二足歩行の竜。
 その身体は濡れたように潤っている。日光が照らし、艶々と輝く。

「こいつが……」

 竜魔四天王。
 オレも、姫様も固まっていた。
『思い出した。その角、前に襲ってきた魔物と同じ……』
 同じだ。
 姫様の表情を見るに、同じ感想を抱いたのだろう。
 だが、聖剣を抜く音で我に返る。オレは姫様の前に立ち、槍を構えた。
 十メートルはある、二足歩行の竜は口を開く。

「アナタたちが勇者一行ですか。ははぁ、虱潰しに探していると、行き当たるものですね」

 言葉遣いは理知的だった。だが、敵だ。

「ワタシは竜魔四天王。竜魔王の水の児――まずは、これを」

 奴は、自らの身体から、先ほどと同系統の眷属を三体召喚する。
 それらは、オレたちの頭上を跳び、森に入っていく。
 行き先はまさか――。

「もう一人は里に残っているのでしょう? 興味は無いのですが……まあ、分散させるには良い手なのでは」

 戦士の里に向かわせやがった。
 すぐにこいつを仕留める――仕留められるのか……? どうすればいい……オレが指示を出さなければ……!

「『土壁よ。守護せよ』」

 土の要塞が、子どもたちを囲った。メルルの土魔術。

「騎士! 戦姫! ここは俺と賢者が引き受ける! 村に戻って戦士を援護しろ!! 子どもたちを優先して助ける!」

 信じられないような勇者の言葉が耳に届く。

「何を考えている!? 尚更、お前の方に人数を割くべきだろう!?」

 そうは言ったものの、オレ自身、吐いた台詞が難しいことを知っていた。
 万能かつ応用力のあるメルルと、魔特攻のある聖剣持ちの勇者を対峙させるのが効率が良い。
 戦力的には、メルルを村に戻らせ、オレと姫様、勇者が残るのが良いだろう。
 しかし、四天王に対して何が有効なのかが分からない現状だ。
 メルルとゴンザレスが戻ってきた頃には全滅していた――なんてことは避けたい。
 そして、姫様と四天王が一緒の空間にいるのは不味いと、オレの勘が告げていた。

 だから、多彩な魔術を行使できるメルルと、聖剣を振るう勇者がセットだ。
 反対に、この場で確定的な役割を持ち合わせていないオレと姫様が、村の援護に行くことが正しい。
 だから、勇者の言っていることが正解だ。

「クソッ……貴様! 彼女には様を付けろ! それと、死ぬな。お前が死ねば結局、村どころか世界まで終わってしまうからな! 賢者、頼むぞ!」

 オレは姫様の手を取って、走り出す。

「……ッ! 頼みます、二人とも! こちらが片付き次第、援護に戻ります!」

 眷属を追いかけるように駆ける。

 鼻で笑うように、四天王は宣言した。

「おやおや、二人だけで私と戦うのですか? 流石にそれは、舐めすぎでは? ……すぐに殺して、追いかけてあげますよ」

 最後に振り返ると、勇者とメルルは、拳をぶつけ合っていた。
 それは、信頼の証だろう。
 オレの胸に付けた、紐飾りが揺れる。
 
 森を突っ切る中、爆発音が聞こえる。戦闘が開始されたようだ。
 前だけを見る。二人を信じるだけだ。そして、託されたからには、成し遂げてみせる。

□ □ □
 戦士の里に戻ると、ゴンザレスが一人で門に立ち、三体の眷属を牽引していた。
 今なら、挟み込める形。
 姫様にアイコンタクトを送る。彼女は意を汲み、頷いた。

「戦士! 左右のは任せろ!」

 オレたちに気がついた戦士。
 こちらから見て右の眷属に向かい、槍を振るう。弾力のある肉体に穂先が埋まり、切り裂いた。
 反対側で、姫様の細剣が光る。刺突が眷属の肉体に穴を空け、脆弱となった箇所を斬る。左右の眷属は両断された。

「ウオオオオオオオ!!」

 ゴンザレスの怒号。
 恵体から繰り出される大斧の一撃は、いとも簡単に眷属を真っ二つにした。

「よくやった! すぐに援護に戻るぞ――」
「待ってください! 眷属の様子が!」

 眷属は倒した。
 倒したはずだった。
 両断した死骸が、蠢く。分かたれた肉体のそれぞれが膨張し、一個体として復活しやがった――!
 水の竜魔四天王の眷属が六体――! 武器での攻撃に意味はない――!

「これでは手が空かんぞ! ゴンザレス! 村人を退避させろ!」

 瞬間、眷属の一つが門を破壊し、村に侵入した。
 沸く悲鳴。
 眷属の突進が、村人に襲いかかる――ゴンザレスがその身を挺して、受け止めた――!
「無事か!? 戦士!!」

 目の前にいる二体の眷属を相手取る。魔物の頭上に跳び、中心に槍を突き刺した。
 これで一体は行動不能にできる――! 姫様の背後を襲う眷属を蹴り飛ばして――腰の短剣を構えた。
 礼を仰られた姫様は、細剣の鞘で眷属の突進を受け流す。

「無ッ事、でッす! 戦士の腕輪が無ければ、終わってた――!」

 ゴンザレスは大斧の斧腹で、眷属を押し込む。
 彼の後ろには、村人たちが立っていた。

「はやく――!」

 前に出たのはヴァルガンと、村の若者たちだ。

「お、オラたちも手伝う!」
「駄目だ! 下がって!」

 オレが蹴飛ばした眷属は、対象を姫様から村人に切り替え、跳ぶ。
 ゴンザレスはそれを掴み、叩き落とした。
 だが、これでゴンザレスの前に居る眷属は三体。
 クソッ、オレたちの前にも一体ずつ。ここで抑えこんでいるのが限界だ。
 三体と対峙するゴンザレスは、村人を護るために、突貫をした。いくら巨体だからといって、無理がある――!
 質量に押しつぶされていくゴンザレスは、気合いを入れるように、叫んだ。

「オイラは、仲間も、村も、ぜんぶ、護るんだ!!」

 オレは無理があると言った。それは失言だった。彼の決意と覚悟を愚弄していた。
 儀を成し遂げた戦士、ゴンザレス。彼は尊敬に値する男だ。
 
 ゴンザレスの後方から、何かがやってくる。
 それはヴァルガンと、村の若者たち――否、老人までもだ。二十数人が、簡易的な盾を構え、眷属に体当たりをした。

「!? 危ねえから下がってくれ!」

 先に啖呵を切るのはヴァルガン。

「ちくしょう! オラだって、『戦士の里』の戦士だ! おめえばっかに良いところ取られてたまるかよ! オイ! 若え野郎を中心に、防御陣営を展開しろ!!」

 雄々しい怒号が響いたあと、陣形が展開される。
 眷属は負けじと、その質量を、盾ごと押しつぶすように押しつける。
 雄叫びを上げ、対抗する者たち。

「みんな……!」

 感嘆の声をあげる彼の腕輪が、強い光を帯びる。

「おめえのじっちゃは、いつもこう言ってたろ! 『ワタシたちは戦う者であり、護る者でもある』ってよぉ!」

 腕輪が、光輝いた。

「――! そうだ、オイラは戦う者であり、護る者なんだ――! 護る人は、オイラ自身が決める――!」

 眩い光は、腕輪に付けられた、『結束の紐飾り』の水晶に吸い込まれた。

「力を、感じるよ――じっちゃん! オイラは戦って、戦って、戦って護る!!」

 腕輪を前に構えたゴンザレス。
 彼の前には、まるで聖光で形作られたような盾が張られていた。
 襲いかかる眷属たち。
 彼は全身の力を込めて、構えたままの盾でぶん殴った。
 その光の盾は、輝きを強く放出して、眷属どもを灼き尽くす。彼の目の前の三体は、消滅した。

 眷属クラスは、聖剣による攻撃でしか消滅しない。
 だが、光の盾は確かに、眷属を灼いたのだ。
 ゴンの腕輪は、神の聖遺物に並ぶモノへと進化した――!
 老人が呟く。

「おお――『戦士ロイヤーの導きは、護る為に』。ロイヤーの、再来じゃ!」

 歓声が沸いた。
 それは良いが――
「戦士! こっちも手伝ってくれ!」
「はい!」

 再び戦士が構える。だが、その光でできた盾は、先程のものより幾分か小さい。

「なんでだぁ!?」
「いいからぶつけてみろ!」

 その光は、眷属を灼くものの、消滅とはいかない。
 だが、やりようはある。

「戦姫! そいつを細切れにしてください!」
「こ、細切れ!?」
「ほら、料理指南でもやったでしょう!?」
「うう……武器と調理器具は違いますよう……でも!」

 素早い身のこなしで、眷属の体勢を崩しながら跳ぶ。そして空中で細剣を振るった。
 眷属の弾力ある身体が、見るも無惨に細切れとなる――これが分裂したら、とんでもないことになるなと、我ながら浅ましい提案に後悔した。

「戦士! すぐに灼き払ってくれ!」
「うす!」

 聖なる盾光が放たれ、肉片を全て灼き尽くすことに成功する。

「次はこちらを!」

 姫様が跳ぶ。閃光のように距離を詰める彼女。
 彼女の細剣捌きに合わせ、短剣を振るい、助太刀をする。
 同じく細切れとなった肉片に対して、戦士を呼ぼうとした。
 既に、戦士は行動を完了していた。
 いつの間にか、オレの口からは笑みが溢れる。

「息が合ってきたな!」

 胸の奥底から炎が噴き出す。柄にもなく、心が奮い立ったのだ!

 最後の一体は、オレの槍によって行動を制限されている。
 五体の仲間が、既にこの世から消滅させられたことに気がついているのか。その身じろぎは、命乞いに見える。

「逃すわけにはいかない」

 俺は一飛びし、槍を引き抜く。空で槍撃を振るう。
 着地した頃には、眷属の肉体を千々に裂いていた。そして、盾光によって消滅された。
「騎士さん、戦姫さん。どうやら、オイラが受け、溜め込んだダメージによって盾の大きさが変わるみたいです」
「そうか。仲間の盾となり、戦うための力とする。まさに戦士を体現した姿となったのか。……そして、オレはまず、謝らなければならない。先程、村人を護るためにあの眷属どもに突貫しただろう。いくらなんでも無理があると、そう思ってしまったのだ。すまない」

 オレは彼に、頭を下げた。

「ちょちょちょっと、やめてください!」
「君は正しく、『戦士』だ」

 一瞬、呆けた表情になる彼は、
「――はい。オイラは、戦士です」

 決意の表情で、決意を持って、言い切った。
 再び笑みが溢れる。オレの中の何かが一つ、収まったようだった。
 ん? 姫様が口を押さえて、驚くような表情を浮かべている。

「バルムンクがここまで褒めるって珍しいですよ!?」

 肩を落とす。オレの評価は、中々低いところからスタートしていたのか。
 もう少し素直になろうと、努力を誓う。少なくとも、仲間の前では。


 束の間、村民がオレたちの元へやってきては、拍手をし、握手をせがまれた。
 姫様を見て泣いていた子どもがいる。

「お姉ちゃん……」

 その言葉で、姫様は身じろぐ。オレは姫様の前に立とうと――。

「――かっこうよかった! 助けてくれてありがとう!」
「……! ――ええ、ええ! 頑張りました!」

 元気に、姫様は返す。オレが前に立つ必要は無かったのだ。
 この方は、強い。
 いや、最初から彼女は強かった。
 十年前、出会った時から。
 そしてオレは――オレのやることは――。
 いかん。浸っている場合ではない。

「それどころではなかった――! 勇者の援護に行きましょう! ゴンザレスは――」
「オイラも行きます!」

 その言葉に頷き、森へと駆けていく。


 激戦の爪痕が、辺り一面に刻み込まれていた。
 会敵した場所から離れた地点まで、木々が無残に薙ぎ倒されている。
 葉を滴る水滴。そして、辺りには焼き焦げたかのような匂いがする。

 ――物音。

 武器を構えたオレたち。
 草陰から現れたのは――水の眷属!

「構えろッ!」

 オレの声に合わせ、二人は構える。
 だが――眷属が飛びかかろうと躰を躍動した瞬間――霧散した。
 何も無かったかのように、消滅したのだ。

 眷属の消滅。
 それは、主である四天王が死亡したということに他ならない。
 だが、安心するにはまだ早い。直ぐにでも確認に向かわねばと、我先に駆け出した。
 頼む。誰も喪わないでいてくれ。

 絶対にこれを口には出さない――出しはしないけれど。
 ――オレはまだ、お前らの馬鹿話を聞きたいと思っているのだ。


 拓けた場所に辿り着く。拓けたとは言っても激戦の痕を見れる程に、原形を留めていなかった。木々は燃え朽ち、薙ぎ倒され、地は割れている。
 まず、目についたのは、中央に刺さっている聖剣だ。
 剣戟の際に弾き飛ばされたのか、斜めに刺さり、光によって煌めいている。

 そして、それはまるで、後世にも継がれていく絵画のような光景だった。
 聖剣の傍ら、メルルの膝の上に頭を乗せ、勇者が倒れている。
 一方の彼女は、慈母の表情で、勇者の頭を撫でていた。
 細長く、磨き上げた陶磁器を想起させる指が、勇者の黒髪を梳いていく。
 最も印象的だったのは、彼女らの周りを、六人の子どもたちが輪となって囲っていることだ。
 子どもたちは、歌を紡いでいて――それは鎮魂歌のようにも聞こえるし、讃歌のようにも聞こえた。
 まるで、一際煌めく星を囲う、小さき祝福の星々。

 ――息を呑んだ姫様とゴンザレス。
 空気に消え失せるほど小さなその音によって、オレは意識を掴まれ、現実へと引き戻される。
 いかん。オレがしっかりとしなければ。ずうっと見ていたいとすら、思ってしまった。 ……咳払いからスタートをしよう。

「……ごほん。ご苦労だった、二人とも」
「おわぁっ!?」
「きゃっ!」

 飛び起きる勇者。狼狽えるメルルを見るのは初めてかもしれない。
 立ち上がった勢いで勇者の腰を蹴るメルル。痛そうに腰を押さえた勇者に、子どもたちが飛びかかった。
 笑い声と、呻き声が流れる。
 静寂と混乱の差が激しすぎるな……。腰に手を当て、ため息をつく。
 真横からの視線に気がついたので、確認をする。
 姫様とゴンザレスが、抗議の目でオレを見ていた。

「じー……」「バルムンクさん……」
「……すまん」


□ □ □
 そうしてオレたちは、子どもたちを連れて『戦士の里』に帰還した。
 村民は騒がしく迎えてくれる。
 どうやら、大仰な宴を催すようだ。

 オレたちは宴の主賓として、招待される。
 ふらふらになっている勇者を肩に担ぐゴンザレス。
 今回ばかりは、奴も飄々とした態度も取れないようだった。後方を歩いているはずのメルルを見ると、姫様の肩を借りている。
 疲労具合がうかがえるその表情を見るに、やはり彼女も、今回の四天王討伐では大層な活躍したようだ。

 すぐさまお互いの戦闘状況を共有したいところだが……今は良いだろう。この宴で彼らの疲労が回復してくれれば良いのだが。
 オレは久しぶりに、肩の力を抜くことができた気がした。


 数時間が経過し、煌めく星々が顔を出す。
 オレは杯をゆっくりと傾けている。中身は、『戦士の里』の酒だ。
 下唇に液体が触れるのを感じたら、舌先ですくうように舐める。
 舌が痺れる感覚の後、芳醇な香りが鼻孔を走る。こうして、人々に囲まれながら酒を飲むのも悪くないと感じた。

 オレは横目で、斜め前の席を見る。
 屈強な漢たちに挟まれ、肩身を狭くしているのは、眉が垂れ下げて、疲労で皺くちゃな表情の勇者。珍しく口を開かず、両側から話しかけられる言葉に頷いているだけだ。
 ……仕方がない。
 オレは杯を持ち、立ち上がる。

「おい、勇者。話がある」
「――? なんだよ突然」

 オレは奴に背を向けて、歩き始める。

「ここで話すことでもない、来い。悪いが勇者を借りるぞ」

 と、勇者を連れてやってきたのは、ゴンザレスの家の裏だ。
 雑多に置かれている椅子に腰を下ろす。

「なんだよ。話って」

 本当に鈍い奴だ。……いや、オレが言葉足らず過ぎるのか?
 姫様から『褒めるのは珍しい』と言われたことを思い出す。
 振り返れば、部下を始めとして、しっかりと人を褒めたことが無かった。だから、オレに近づく人間は少なかったのだろう。
 出来ることから、始めたいと思う。……姫様からの評価も上げたいからな。

「……いいや、お前が窮屈そうにしていたから連れ出しただけだ」
「――――」
「なんだ。迷惑だったか?」
「あ――……いや、助かる。……助かったよ、バルムンク」

 と、勇者は対面の椅子に座り込んだ。

「なんというか……明確な分断作戦ってやったことがないだろ? 慣れていないからか、思っていたより疲弊していたみたいだ」

 勇者の杯が、その喉に傾けられる。負けじとオレも倣った。液体が喉から胃を通るのが感じられる。熱く、火傷しそうな感覚。頭がぼやけていく。
 思わず咽せてしまう。

「ごほ……すまん。――だが、あの状況で最適な指示だった。メンバーの振り分けも間違いがない。オレでは、すぐに対応できなかった」

 ただ、少し違和感のある言い回しだ。分断作戦自体は初めてだ。
 しかし、『戦士の里』に辿り着くまでは、ほとんど勇者だけが剣を振るっていた。一人でもやれる自信がある故の判断かと。

「お前だけの方がやりやすいと言いたいのか? 弱点の分からない四天王相手なら、メルルが居た方が効率は良いだろう?」
「もちろん。結果的には、彼女の『複合魔術・雷撃』が決め手となった。だけど危なっかしいシーンはいくつもあった。オレ一人なら気にすることは無いけど、仲間は護らないといけない。だろ? バルムンクだって、戦闘中も姫様を気にしてばっかじゃんか」
「それはそうだが。……だが、一人で戦うというのは無理がある。もし、お前が死んだらどうする? 聖剣の担い手は居ない――」

 その言葉を口にすると、心の底から何かが軋む音がする。聖剣に否定された、掌の傷が疼く。

「――居ないんだぞ。それこそ魔王軍の思う壺だ。もう、お前の身体はお前だけのモノじゃない」
「まあ、な。でもさ――」

 彼の表情が一変する。
 疲労の表情では無い。奥にある――暗く、沈んだ眼の奥。暗闇だ。
 勇者の頭がだらりと下がって、俯かれる。
 彼の過去に何かがあった。それだけは分かる。分かってしまう。

「喪いたくないんだ。もう、何も喪いたくない」

 ぽつりと、呟く。耳に届くか届かないか、分からないくらいの声量。
 彼が言った、『喪ってからでは遅い』と言う言葉が、脳裏を走った。

「……オレが言えることではないが、もう少し仲間を信頼してくれ」

 勇者の頭が、おもむろに持ち上がる。その目は、オレの胸元を見つめていた。
 ――?
 自身の胸元を見ると、姫様の『結束の紐飾り』と同じ位置に付けられた、オレの紐飾りがあった。オレは無意識に、指先で紐飾りに触れていた。
 それを、こいつは意外に思ったのだろう。

「ああ――そうだ。『結束の紐飾り』を渡してきたのはお前だ。信じて貰わなければ、意味が無い」
「そう……そうだな。ごめん――なかなか、弱音を吐けなくて」
「……だろうな。勇者の責務というのは、重いものだ」

 自分で言って、嫌になる。
 今も心の底が軋む癖に、一丁前に勇者の責務について考えようとするなど。

「もし、誰にも話せないと言うのであれば……オレに相談し――しても構わない。だが、最後の最後の手段だぞ。オレも考えることがたくさんあるからな。……断じて、仲良くしようという訳ではない。お前のパフォーマンスが落ちると、姫様が危険に晒されるからだ」

 相談しろと、言い切ることは出来なかった。まだ、自尊心が邪魔をする。
 勇者の表情は驚愕に満ちている。直後、今にも泣きそうな顔をした。
 大樹の前で出会った時を思い出す。

「……頼りにさせてもらうよ。騎士団長殿」
「――ふん」

 照れくさいという感情が湧き上がる前に、椅子から立ち上がる。
 先ほどのテーブルでは、ゴンザレスの名前を連呼する大声が聞こえる。

「戻るか」
「だな」

 並んで先ほどの道のりを戻って、そう言えば。と、聞きたいことがあったのを思い出した。
 酒を喉に通す勇者に聞いてやる。

「ああ、聞きたかったことがあったのだ。お前、メルルと仲が良いようじゃないか。何処までいっているんだ?」

 口に含んだ酒を目の前に吹き出す勇者。

「な、なんだよ急に! そんなんじゃないって――」

 ははは。初な奴め。突っつける話の種が増えたみたいで、口元の笑みが抑え切れん。

「……バルムンクこそどうなんだよ。姫様と仲が良いだろ」
「オレたちは主従関係だからな。邪な気持ちは抱かんし、彼女もそんなことは思っていない」

 心臓が高鳴ることもある。と、言うわけにはいかなかったし、これからも言うつもりはない。

「ふぅん。じゃ、本人に聞いてみよっかな」
「何を貴様ッ!」

 首根っこを捕まえようとしたオレの右手をぬるりと躱し、大騒ぎしているテーブル――姫様が居る――に走って行く勇者。

「おまっ、本気か!?」
「どうだろうなー!」

 クソッ! やっぱり、あいつは嫌いだ!

□ □ □
 テーブルに戻ると、ゴンザレスが男衆に胴上げをされていた。
 何度も空に浮かされる彼の表情は、笑っている。
 席についたオレと勇者。今度は、隣同士だ。
 姫様をちらりと見ると、彼女はゴンザレスの両親と談笑をしている。すると、オレの右肩が一気に重くなった。
 杯の水面が揺れて、こぼしかける。
 振り返ると、メルルがオレの右肩と勇者の左肩、それぞれに腕を乗せ、体重をかけていた。
 勇者はふっと笑う。

「なんだよ!」
「ん~? 別にぃ? 二人でどんな話をしてたのかなって、気になっただけさ」

 オレはじろりと、メルルの顔を睨んだ。

「重いが?」

 心外だと言うように、彼女は拳を振り上げる。

「なっ!? おいバル、そりゃ失礼だろ!」

 グッ……メルルに頭を殴られた。
 言葉と言うのは難しい。
 ケラケラと笑う勇者。
 そんなオレたちの席に、ゴンザレスの両親を連れて、姫様がやってくる。

「皆さん! お話したいことがあるんですって」
「お話……? どうされました?」

 紳士とご婦人は恭しく頭を下げた。

「この度は、戦士の里を救ってくださり、ありがとうございました」

 オレも、礼儀は礼儀で応える。

「いえ、当然のことをしたまでです。ゴンザレスを褒めてやってください」

 いつの間にか胴上げは終わっていた。ヴァルガンと子どもたちがゴンザレスを連れて来た。
 ゴンザレスの肩に腕を回すヴァルガン。

「なあ、ゴンザレス。おめぇはどうすんだっけ?」
「うん――オイラは、みんなと一緒に行きたいんだ。里を護るのはヴァルガンたちに任せる。オイラは、世界を救いにいくよ」
「いいのか!?」

 勇者が声を出した。その表情は喜びに満ちている。
 自分で選べと言っておいて――。
 だが、里はどうするのだと、問い正したかった。
 ヴァルガンが、オレの思考を読んだかのように返答した。

「ゴンザレスは護る戦士だ。護られる対象がいてこそ、力を発揮する――それが、今回の防衛戦で良く分かったよ。だがな、オラたちも戦士だ。お互いを護り合うから問題ねえ。おめえは勇者様とリリスたちを護ってくれ」
「様をつけろ」

 即座に訂正させ、一唸りするヴァルガン。
 ご婦人が言葉を紡ぐ。

「ゴンザレス……」
「かっちゃん。……ごめんだ、村を護ろうとしなくて。でも、後悔はしない。今は、大事な仲間たちを護りたいんだ」

 ふぅと息を吐いたご婦人は、慈愛の目でゴンザレスを見つめた。

「いいのよ、あなたは大人になったわ。あんなに人に合わせてばかりだったのに……。こちらこそごめんなさい、引き留めてしまった。――おとっさんもきっと、喜んでいるわ」「かっちゃん……オイラ、絶対に世界を救うよ」

 感慨深い空気の中、子どもたちがその静寂を破り出す。

「ぼくね! 勇者様と賢者様みたいになりたいよ! かっこよかったんだから! バーン! ってして、バリバリ~って雷みたいなのが!」
「そんなこと言ったら、あたしはリリス様みたいになりたい! あんなに美しく動けるなんて」
「やっぱぼくぁ騎士様の槍捌きを真似したいなぁ。槍投げがかっこうよかったよぉ」

 オレたちの足下でたむろする子どもたち。
 優しげな眼差しを向け、子どもの頭を撫でる姫様。
 子どもを高く持ち上げる勇者。
 肩に子どもたちを乗せたゴンザレス。
 魔術で、空に光の軌跡を出現させるメルル。
 子どもたちは笑顔だ。
 そんな中、紳士がオレに話しかけてきた。

「戦いが終わったら、良ければまた寄ってください。そのときには、もっと盛大な宴を開きます」
「――ええ、是非」

 ご婦人が、リリスの手を取った。

「リリス。……ずっと言いたかったことがあってね。あなたを拾った夜、そのキラキラとした瞳を見て、ああ――夜空みたいだな――って、そう思った。それで私は、綺麗な星の夜という意味の言葉を、名前として贈ったの。……あなたがどんな選択を取っていくかを、私たちが決めることはできない。それは、あなたの本当の親もそう。でもね、いつでも帰ってきていいんだからね」

 その言葉を聞いて、姫様が眼を見開いた。
 そして、ご婦人の手を両手で包む。

「……名前をくださって、ありがとうございます。――また、帰ってきます!」

 彼女は、その小さなお顔からこぼれるような笑顔を見せた。
 こうして、『戦士の里』で起こった諍いは終わった。



□ □ □
 戦士の里を出立する。
 ゴンのご家族が、ひと月以上は保つであろう物資を持たせてくれた。
 メルルとゴン、勇者が物資のありがたみについて放談する声が聞こえる中、オレは地図と睨み合っていた。
 もう間もなく、『ルーカス砂原』に踏み込む事となる。
 『ルーカス砂原』。昼は灼けるように熱く、夜は凍えるほどに寒い。そんな地域だという。

「ねっ、バルムンク?」

 姫様のお声だ。

「ん? すみません、姫様。なんでしょう?」
「『戦士の里』は、如何でしたか?」

 ふむ。どうだったか、か。

「郷土料理が好みでした。実は、あまり食に関心がないのですが、新鮮だと感じました。オレに酒が飲めれば、なお良かったのでしょうが……」
「ふふ。この戦いが終わったら、お酒の訓練をしましょう! 私も付き合います!」

 確かに。姫様もあまり酒を呑まれない。だが、彼女に失態を見せたくはないのだが……。

「……善処します」
「そういえば……いつの間にか、私に対しても『オレ』って……」

 いかん。油断していた。なんたる不敬!

「申し訳ありません、思わず……」

 姫様はへらりと、少女のような笑顔を見せる。

「ううん! そっちの方が、格好いいですよ! 私にもそうしてください、みんなが羨ましかったんですから」
「かっ――!?」

 頭を振る。
 彼女は、何事かと首を傾げた。
 どくんと跳ねる鼓動。
 ……オレもまだまだだ。

「――失礼。それよりも、まずは砂原を超えねばなりませんね。風に舞う砂がお口に入るといけません。こちらをお巻きください、失礼します」

 オレは懐から一枚のハンカチーフを取り出した。こんなこともあろうかと用意していた、長めのものだ。
 姫様の美しい唇に眼を奪われ――るも、努めて冷静を装い、手早く巻き終える。

「これで大丈夫です。砂原の移動中は、なるべく押さえていてください」

 彼女が無言で、何度か頷く。
 目が泳いでいるのに、オレは気がつかなかった。
 まだ放談を続けている連中にも声をかける。

「すぐに砂原だ! 各々対策を済ませておけよ!」

 ……ここを超えれば、ウェルバインド領に辿り着く。
 無意識に、腰の短剣へと手を伸ばした。
 灼熱の太陽が照りつけ、砂の混ざった乾いた風が肌を灼く。
 視界の果てまで広がる砂丘は、まるで波打つ大海原のように、オレたちを飲み込もうとしていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

処理中です...