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22章 王様と遺物姉妹の人質えっち
536:姉★
しおりを挟む思考の回路を焼き切るような熱が、脳髄から全身へと駆け巡っていた。セレスを演じるノインの意識は、強制的に起動させられた機械のように、混沌の淵から荒々しく引きずり出された。瞼は灼熱を帯びた鉄のように重く、視界は量子ノイズの走る映像のように乱れている。身体中の水分が沸騰し、分子レベルで蒸発していくかのような、凄まじい渇きと火照り。それは、彼女の体内に投与された、王家秘伝の神経作用薬物が、高次元生命体である彼女の生体防御機構を完全に無力化し、その神経系を原始的なレベルで掌握しつつある証拠であった。
(……クソが……。せーちんの野郎、はじめから言っておけよな……)
高次元の情報生命体であるはずの自分の精神が、原始的な肉の器の反応に完全に支配されている。その事実が、ノインに言いようのない屈辱と、そして、それに反比例するかのように増大していく背徳的な興奮をもたらした。彼女は、必死に意識の焦点(フォーカス)を合わせ、重い瞼をこじ開けた。ぼやけた視界に映ったのは、悪趣味なまでに豪華絢爛な天蓋付きベッドの天井だった。天井画には、古代神話の神々が痴態を繰り広げる様が、けばけばしい極彩色で描かれている。嗅覚が捉えたのは、むせ返るような麝香の香油の匂いと、数世紀もののワインが酸化したような甘く酸っぱい匂い、そして、紛れもない、権力に溺れた老人の、濃厚な加齢臭とが混じり合った、不快な獣の匂いであった。
ここは、国王レオニダス・アルテミスの私室。その事実を認識した瞬間、ノインの脳裏に、晩餐会での記憶が断片的に蘇る。ワイングラスに注がれた、琥珀色の液体。その、僅かに金属質の後味。あれに、何か仕込まれていたのだ。それを飲んだルナとセレスの耐性を、セブンは意図的に常人のそれに変更した。あのクソ弟、あたいに黙って、とんでもない爆弾をしかけていやがった。
身体を起こそうとするが、薬物の影響で四肢の筋肉が弛緩し、力が入らない。かろうじて首だけを動かし、隣に視線を向けた、その瞬間。ノインの思考は、完全に凍り付いた。
そこに、いた。国王レオニダスが。その肉体は、老齢を感じさせないほどに、人体改造と過酷なトレーニングによって不自然に鍛え上げられていた。分厚い胸板と、鋼のように硬質な腹筋は、歴戦の戦士のそれであったが、その肌にはサイバネティック手術の痕跡が走り、無数の老斑と相まって、どこかグロテスクな印象を与える。その醜悪とも言える威容を、王は何の羞恥もなく晒け出していた。そして、その太い両足に挟まれるように、彼の膝の上に、小さな人影が、対面座位で抱かれていた。
姉であるはずの、ルナ。その役を与えられた、シックスだった。
彼女もまた、晩餐会で着ていた、胸元が大きく開き、大胆なスリットの入った豪奢な紫のドレス姿のままだ。しかし、そのドレスは、既にぐっしょりと濡れそぼり、彼女の白い太腿と、レオニダスの鋼鉄の腹に、無様に張り付いている。そして、二人の結合部からは、白く濁った、粘性の高い液体が、だらだらと溢れ出し、高価なはずのビロードのシーツの上に、淫らな染みを作り出していた。それは、レオニダスの「種」であった。
「ん、んんっ……♡は、ぁ……♡」
ルナの小さな口から、苦しげな、それでいてどこか甘い喘ぎ声が漏れる。その黒く染められた瞳は、焦点が合わず、虚ろに宙を彷徨っていた。薬物と、度重なる陵辱によって、彼女の精神は、既に限界を超えているように見えた。その紫のドレスもまた、汗と涙でぐっしょりと濡れ、彼女の肢体の曲線を、あまりにも扇情的に浮かび上がらせている。
「ククク…そうだ、ルナよ。もっと、もっと朕の『寵愛』を受けるがよい」
レオニダスは、下品な笑みを浮かべながら、その鍛え上げられた腰を、ぐ、と突き上げた。その度に、ルナの小さな身体が、びくん、と大きく跳ねる。
「ひ、ぅ……♡あ、あぁ……♡」
「どうした、ルナよ。先ほどの威勢はどこへ消えた? 朕の慈悲を与えられ、もう壊れてしまったか?」
レオニダスは、ルナの耳元で、ねっとりと囁く。その言葉に、ルナの身体が、再び、びくん、と痙攣した。
その、あまりにも背徳的で、醜悪な光景。ノインは、吐き気を催すと同時に、自身の身体の奥深くから、抗いがたい熱が、さらに湧き上がってくるのを感じた。見てはいけない。そう思うのに、目が離せない。その光景が、媚薬の効果をさらに増幅させ、彼女の秘裂を、じゅくじゅくと、さらに濡らしていく。
「……み、ないで……」
不意に、ルナがか細い声で呟いた。その虚ろな瞳が、一瞬だけ、ノインの姿を捉えたようだった。
「……みないで、セレス……♡」
その、懇願とも、絶叫ともつかない言葉。それが、最後の引き金となった。
「あ゛ッッ♡お゛ッ♡あ゛、あ゛いぐ♡いっちゃう♡だめ♡だめぇ、♡あ゛♡、いっちゃ♡♡あ゛♡♡~~~~~~ッッッッ♡♡♡♡♡!、!!!」
ルナの小さな身体が、これまでにないほど激しく、弓なりにしなった。びくん、びくん、と、全身を激しく痙攣させ、その秘裂から、じゅわっ、と熱い奔流がほとばしった。白く濁った液体と、透明な液体が混じり合い、二人の結合部から、だらだらと溢れ出す。そして、その小さな身体から、ふ、と力が抜け、まるで糸が切れた人形のように、レオニダスの鋼鉄の胸板の上へと、ぐったりと崩れ落ちた。完全に、意識を失っていた。
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