孤独な船長、AIと異星存在と海賊と教団と偉い人といろいろに巻き込まれて仲間ともども大変えっちなことになりました

アレ

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1章 孤独な艦長と遺物の産物ではちゃめちゃえっち

3:遭遇★

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サラはキャプテンシートを離れ、ブリッジ後方のハッチへと向かった。その先には、ヘルメスVIの巨大な船体にくっつくように格納されている、小型の作業艇「ピグマリオン」がある。全長15メートルほどの、ずんぐりとした船体を持つこの小型船は、本来、船外活動や貨物の微調整などに使われるものだ。
「ピグマリオンの準備を。救出作業に必要な装備を。急ぐぞ」
コックピットに滑り込んだサラはパイロットスーツの上から羽織っていたジャケットを脱ぎ捨て、ヘルメットを装着しながら指示を出す。ヘルメットのバイザーが下り、内部ディスプレイに情報が表示される。
『ピグマリオン、スタンバイ完了。ハッチ、オープンします』
セブンの声とともに、格納庫の床の一部が開き、ピグマリオンがリフトで上昇してくる。サラは素早く乗り込み、操縦席に座ると、慣れた手つきでシステムを起動させた。
『外部ハッチ、クリア。発進シークエンス開始』
鈍い音を立てて、ヘルメスVIの側面ハッチが開き、宇宙空間の真空が広がる。ピグマリオンは、小型スラスターを噴射し、ゆっくりと母船から離れていった。眼前に広がるのは、無数のデブリが漂う、危険な宙域だ。サラは慎重に操縦桿を握り、未知の船が潜むポイントへとピグマリオンを進める。

近づくにつれて、謎の宇宙船の異様さがより鮮明になってきた。表面は、まるで黒曜石のように滑らかで、光を吸収するような質感を持っている。人類の船に見られるような、アンテナやセンサー、スラスターノズルといった外部構造物は一切見当たらない。ただ、規則的に並んだ微細なスリットのようなものが、船体の一部に確認できるだけだ。それは、まるで巨大な昆虫の外骨格のようでもあり、あるいは古代遺跡から発掘されたアーティファクトのようでもあった。機能性を追求した結果というよりは、何か別の、理解不能な法則に基づいて設計されたかのような印象を受ける。
『キャプテン、対象からの生命信号、依然として継続中です。やはり、ヒト種のパターンを強く示しています』
ピグマリオンのセンサーも、ヘルメスVIと同様の反応を捉えていた。この異様な船の中に、確かに人間がいる。サラは意を決し、ピグマリオンの外部マニピュレーターアームを伸ばし、曳航用ケーブルを謎の船に取り付けようと試みた。しかし、船体表面にはケーブルを固定できるような箇所が見当たらない。
「セブン、何か引っ掛けられそうな場所はないか?」
『…船体下部に、わずかな窪みを確認。強度は不明ですが、試してみる価値はあるかもしれません』
サラは慎重にピグマリオンを操作し、セブンが示した窪みにケーブルのフックを引っ掛けた。幸い、フックはしっかりと固定されたようだ。
「よし、曳航を開始する。ヘルメスVI、受け入れ準備を」
『了解。カーゴベイのハッチを開放します。…キャプテン、重ねて警告しますが、未知の船体を母船内部に収容するのは極めて危険です。予測不能な事態が発生する可能性があります』
「分かっている。だが、選択肢はないだろう? 宇宙航行法をもう一度読み上げてやろうか?」
サラは、AIの心配性を半ば面白がりながら答えた。
『…結構です。その人間らしい“ヒロイズム”には、論理を超えた何かを感じます。後で後悔という“感情”を経験なさらないことを祈りますよ』
セブンの皮肉には、人間への複雑な感情が滲んでいた。

ピグマリオンは、小型ながらも強力なエンジンを吹かし、謎の船をゆっくりと引っ張り始めた。ヘルメスVIの巨大なカーゴベイハッチが、漆黒の宇宙に向かって口を開けている。サラは慎重にピグマリオンを誘導し、謎の船をヘルメスVIの内部へと収容した。巨大なハッチが再び閉じられ、カーゴベイ内の気圧が回復していく。

ヘルメスVIの広大なカーゴベイの中央に、謎の黒い船は静かに鎮座していた。周囲の無機質な金属壁や、積み上げられたコンテナと比較すると、その異質さは際立っている。まるで、周囲の空間から切り離されたかのように、それは絶対的な静寂を保っていた。船内照明の光も、そのマットブラックの表面に吸い込まれるように消えていく。
「セブン、カーゴベイの状況は?」
サラはピグマリオンから降り立ち、ヘルメットを脱ぎながらブリッジへと戻る通路を歩いていた。
『カーゴベイ内の環境は安定しています。収容した船体からのエネルギー放出や、構造的な異常は確認されていません。ただし、依然としてヒト種の生命反応は継続中です』
「そうか…」
サラはブリッジに戻り、キャプテンシートに再び腰を下ろした。どっと疲れが押し寄せてくる。
『キャプテン、生体反応に顕著な疲労の兆候が見られます。アドレナリンの分泌量も低下。これが人間の“疲れ”という状態ですね。コーヒーでも淹れましょうか? 合成ですが、カフェインは摂取できます』
セブンの声は、相変わらず平坦だが、人間の生理現象への分析的な興味が混じっているようにサラには聞こえた。
「ああ、頼む。ブラックで」
サラは小さく笑った。この皮肉屋のAIとの奇妙な関係も、長い孤独な航海の中では、数少ない慰めの一つだった。
『了解しました。ところでキャプテン、あの船をどうするおつもりですか? 中を調査するにしても、どうやって入るのかすら不明ですが』
「そうだな…まずは、ヘファイストス・プライムの宇宙港管理局に連絡して、指示を仰ぐのが筋だろう。だが、通信が届くまでにはまだ時間がかかる。それまでは、現状維持だ。下手に手を出さない方がいい」
サラは、配給ユニットから出てきた合成コーヒーのカップを手に取り、ぬるい液体を一口飲んだ。味は、やはり酷いものだった。
『論理的で賢明な判断です。…時には、人間も合理的に思考できるのですね。感心しました』
「…お前、少し黙ってろ」
サラは苦笑しながら、セブンのどこか人間を観察するような軽口をいなした。


一仕事終えた安堵感と、未知の存在を抱え込んだことによる緊張感が入り混じり、サラの心は落ち着かなかった。彼女はブリッジの照明を落とし、居住区画へと戻った。狭い部屋は、相変わらず船体の振動で揺れている。シャワーを浴び、パイロットスーツを脱いで、少しゆったりとした船内着に着替える。薄い生地越しに、彼女自身の肌の温もりが感じられた。硬い寝台に横たわり、目を閉じる。しかし、すぐに眠りに落ちることはできなかった。カーゴベイに鎮座する、あの黒い船のイメージが頭から離れない。あの船は何なのか? なぜ人間が乗っているのか? そして、それはヘルメスVIとサラ自身に、何をもたらすのだろうか? 答えの出ない問いが、彼女の心を巡る。
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