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4章 救出部隊もミイラ取りがミイラになってぐちょぐちょえっち
126:脱出
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セブンは、意識を失ったアリーナ・ローゼンバーグをその逞しい腕に抱きかかえ、遺跡の最深部『生命の胎』から続く隠し通路を戻っていた。彼の足取りは、一切の迷いなく、確実であった。彼の視覚センサーは、暗闇の中でも通路の構造を正確に捉え、聴覚センサーは周囲の微細な音の変化から潜在的な危険を察知する。腕の中で眠るアリーナの身体は、見た目よりも軽く、そして驚くほど柔らかかった。ぐったりとした彼女の頭が、セブンの硬質な胸に寄りかかる。彼女の呼吸は浅く、時折「ん゛ぅ…♡♡♡ あなた…さま…♡♡♡」という、うわごとのような甘い嬌声が漏れる。それは、彼女の深層意識が、未だあの肉塊に囚われている証左であった。
螺旋階段を上り、最後の隠し扉を抜けると、そこは教祖エリアスの私室であった。窓の外は既に漆黒の闇に包まれ、部屋には豪奢な調度品が鈍い光を放つランプの明かりに照らし出されている。空気には、依然として甘く危険な媚薬香「モルフォの誘惑」が濃厚に漂っていた。セブンは、その香りが自身の生体金属の身体には何の影響も及ぼさないことを確認しつつ、アリーナを部屋の奥にある、天蓋付きの巨大な寝台へと運んだ。そこは、昨晩教祖がリズ(アリーナ)を蹂躙していた場所であり、シーツにはまだ生々しい染みが残っていたが、今は他に彼女を休ませる場所もなかった。セブンは、アリーナの身体を優しく寝台に横たえると、彼女の乱れたローブを整え、できるだけ肌を隠すように覆った。彼女の秘裂に結合したままの黒い異物…肉塊の残滓…は、今は静かに沈黙しているように見えたが、依然として不気味な存在感を放っている。セブンは、それに触れることなく、アリーナの状態を静かに観察した。
(教祖は、まだ戻っていないか…)
セブンのセンサーは、私室の外、礼拝堂の奥にある「儀式の間」から漏れ聞こえてくる、複数の男女の喘ぎ声と、時折響く教祖の甲高い哄笑を捉えていた。サラとリリスは、まだ彼の慰みものにされているようだ。セブンは、彼女たちのバイタルサインが危険水域に達していないことを確認しつつ、自身の計画を実行に移すことにした。
まず、セブンは教祖の私室にある情報端末にアクセスした。幸い教祖エアリスの端末に強固なアクセス制限は施されていない。次に、彼は教団の内部ネットワークに侵入し、車両管理システムと出入管理システムへとアクセスした。目的は、病人搬送用の大型車両の使用許可と、聖地からの特別出域許可証を、教祖エリアス自身の指示であるかのように偽造することである。書類の内容は、「急病の信徒(リズ、サリア、リリーの偽名を使用)を、治療のため緊急搬送する必要が生じた。従者ミハイルが運転を担当し、第4大陸の指定医療施設へ向かう。全てのゲートは、最優先で通過を許可すること」というものだ。後は教祖の網膜情報があれば、正規の電子署名と認証コードを生成できるだろう。
書類の偽造を終えたセブンは、部屋の隅で静かに息を潜め、教祖の帰りを待った。彼の聴覚センサーは、儀式の間の喧騒が次第に収まり、複数の足音がこちらへ近づいてくるのを捉えていた。やがて、私室の扉が開き、満足げな、しかし疲労の色も隠せない表情の教祖エリアスが、ふらつく足取りで入ってきた。彼の深緑色のローブは乱れ、脂ぎった額には汗が光っている。部屋に満ちる媚薬の香りと、先ほどの激しい「儀式」の影響で、彼の足元はおぼつかない。
『ふぅ…実に、素晴らしい夜であった…あの二人の娘、特に金髪の方は、なかなかの逸材よ…』
教祖は、誰に言うともなく、満足げに呟きながら、寝台に横たわるリズ(アリーナ)の姿に気づいた。
『おお、リズではないか。まだ眠っておったか。ふむ、ちょうど良い。今宵の仕上げに、もう一度お前にも「聖なる力」を注いでやろうぞ…』
教祖は、醜悪な笑みを浮かべ、寝台へと近づこうとした。
その瞬間だった。セブンは、音もなく教祖の背後に回り込み、その首筋に手刀を叩き込んだ。それは、人間の反射速度を遥かに超えた、精密かつ強力な一撃であった。セブンの生体金属の指は、皮膚や筋肉を透過するように、教祖の頸椎神経節に直接衝撃を与えた。
「ぐっ…!?」
教祖は、短い呻き声と共に、白目を剥いてその場に崩れ落ちた。完全に意識を失っている。セブンは、念のため彼のバイタルサインを確認した。生命に別状はないが、数時間は覚醒しないであろう。
セブンは、気絶した教祖の瞼を無理やり開いて生体認証システムを起動して偽造書類に証明を焼きつけた。用のなくなった教祖の身体を、まるで荷物のように軽々と担ぎ上げると、再び隠し通路へと向かった。そして、螺旋階段を下り、地下空洞へと続く通路の入り口付近…遺跡のエネルギーの影響が比較的弱く、かつ人の寄り付かないであろう場所に、彼を無造作に放り投げた。
(ここで、しばらく眠っているがいい。お前の歪んだ楽園は、もう終わりだ)
セブンは、冷徹な眼差しで気絶した教祖を一瞥すると、再び私室へと戻った。
次に、セブンは「儀式の間」へと向かった。扉を開けると、そこには想像を絶する光景が広がっていた。部屋の中央にある巨大な円形の寝台の上には、サラとリリスが、完全に意識を失い、ぐったりと横たわっていた。彼女たちの白い裸身は、汗、涙、唾液、愛液、そしておびただしい量の男たちの精液でぐっしょりと濡れ、汚れていた。肌には、無数の赤い鬱血痕や、引っ掻き傷が生々しく残っている。秘裂は腫れ上がり、赤黒く変色し、内部からは白濁した液体が絶えず溢れ出し、寝台の毛皮を汚している。その姿は、壮絶な輪姦の痕跡を物語っていた。
セブンは、その惨状に苦笑したが、感想を語る時間はない。彼は、まず二人のバイタルサインを確認し、生命に別状はないことを確かめた。セブンは、近くにあった予備の白いローブを二人に着せかけ、その裸身を覆った。
夜の闇に乗じて、セブンは行動を開始した。まず、意識を失ったサラを、その逞しい腕に軽々と抱き上げた。彼女の身体はぐったりと力を失っているが、その寝顔はどこか安らかに見えた。セブンは、音もなく儀式の間を後にし、事前に確保しておいたルートを通って、教団本拠地の外れにある、大型車両用の搬出口へと向かった。彼のセンサーは、夜間の警備体制、巡回ルート、監視カメラの位置などを完全に把握しており、人目を避けて移動することは容易であった。
搬出口には教団の戦闘員搬送用の大型ローバーが停められている。教団の荒事専用なのだろう。それは、サリアたちが聖地へ来る際に使用した全地形対応型ローバーよりもさらに大型で、後部には複数のストレッチャーや医療機器を搭載できる広大なスペースが確保されている。車体は厚い装甲で覆われ、外部からの攻撃にもある程度耐えられる構造になっているようだ。セブンは、サリアをローバー後部のストレッチャーの一つにそっと横たえると、再び儀式の間へと引き返した。
次に、彼は同じようにリリスを抱き上げ、ローバーへと運んだ。リリスの表情は、サリアとは対照的に、どこか恍惚とした、快楽の余韻が残っているかのようだった。セブンは、彼女の身体からも媚薬の効果が抜けきっていないことを確認しつつ、サリアの隣のストレッチャーに寝かせた。
最後に、セブンは教祖の私室へと戻り、寝台で眠り続けるアリーナを抱き上げた。彼女の秘裂に結合したままの黒い異物は、依然として沈黙を保っている。セブンは、それに触れることなく、慎重に彼女をローバーへと運び、三つ目のストレッチャーに横たえた。
三人の女性を安全な場所へと移し終えると、セブンは次なる行動に移った。彼は、先ほど無力化した武器庫へと再び侵入し、そこから携行可能な高性能兵器…プラズマライフル、指向性エネルギーピストル、小型ミサイルランチャー、そして各種弾薬やエネルギーパック…を、自身の能力で運べる限り大量に持ち出した。これらの兵器は、電子的に無力化それらを再起動させ、自身の制御下に置く。彼は、それらの兵器をローバーの後部スペースに手際よく積み込んでいく。万が一、脱出の際に追手がかかった場合に備えての、保険であった。
全ての準備が整ったのは、夜が明け始める直前のことであった。セブンは、ローバーの運転席に座り、システムを起動させた。エンジンの起動は待機させた。計器類のランプが点灯する。後部スペースでは、三人の女性がまだ深い眠りについているが、バイタルサインを見るにもう少しでサラが目を覚ますだろう。セブンは、ナビゲーションシステムに偽造した電子指示書類のデータを表示させた。
***
ローバーが起動してしばらく経った頃、後部スペースのストレッチャーの上で、サリアが微かに身じろぎし、ゆっくりと瞼を開いた。
「ん……♡ ここは…?」
最初に感じたのは、全身を包む気怠さと、そして身体の奥に残る、鈍い疼き。昨夜の記憶が、断片的に蘇る。儀式の間、教祖、神官たち、そして…屈辱と、快楽。
(わたし…♡ あんな、ひどいことを…♡♡♡)
サリアは、自身の身に起こった出来事を思い出し、顔を赤らめた。しかし、同時に、あの時の、身体がどうにかなってしまうほどの快感が忘れられない自分もいる。罪悪感と、背徳的な興奮が、彼女の心を再び掻き乱す。
「…セブン…?」
サリアは、運転席に座る男の背中に気づき、か細い声で呼びかけた。
『気がつきましたか、キャプテン。気分はいかがです?』
セブンは、バックミラー越しにサリアの様子を確認しながら、静かに答えた。
「ええ…なんとか…。ここは? 私たちは、どうなったの?」
サリアは、まだ混乱した様子で尋ねた。
『教団の本拠地から脱出する途中です。あなたとリリスさん、そしてアリーナさんを救出しました。教祖は無力化し、武器庫も制圧済みです。今から聖地のメインゲートへ向かいます』
セブンは、簡潔に状況を説明した。
「そう…あなたが、助けてくれたのね…。ありがとう、セブン」
サリアは、安堵と感謝の息をついた。しかし、すぐに表情を引き締め、ストレッチャーから身を起こした。
「運転、代わるわ。あなたは、後ろで警戒していて。それに、ローバーの運転、私の方が慣れているでしょう?」
サリアは、まだ身体は気怠いが、船長としての責任感が彼女を突き動かした。それに、運転に集中することで、昨夜の忌まわしい記憶を少しでも紛らわせたいという思いもあった。
『…承知しました、キャプテン』
セブンは、サリアの決意を尊重し、運転席を譲った。彼は後部座席へと移り、積み込んだ兵器のチェックを開始しながら、鋭い視線で周囲の状況を監視し始めた。
サラは、慣れた手つきでローバーの操縦桿を握り、アクセルを踏み込んだ。大型ローバーは、力強い駆動音と共に速度を上げていく。窓の外には、霧の中にぼんやりと浮かび上がる、異様な植物群と、教団の建造物が見える。やがて、前方に巨大なゲートが見えてきた。聖地のメインゲートだ。ゲートの前には、武装した数人の守衛が立っており、こちらに停止の合図を送っている。
サラは、深呼吸を一つして、ローバーをゆっくりとゲート前で停止させた。守衛の一人が、警戒した様子で近づいてくる。彼は、分厚いヘルメットのバイザー越しに、鋭い視線を車内へと向けた。
「停止! 所属と目的を述べよ!」
守衛の声は、拡声器を通して、硬く響いた。
「こちら、従者ミハイル。教祖エリアス様の緊急指示により、急病の信徒三名を、第4大陸の指定医療施設へ搬送中。最優先での通過許可を得ている」
サラは、事前に打ち合わせた通り、冷静な、しかし少し切迫したような声色で答えた。同時に、ナビゲーションシステムに表示されている、セブンが偽造した電子指示書類のデータを、守衛の携帯端末へと転送した。
守衛は、自身の端末で受信したデータを確認し始めた。眉間に皺を寄せ、疑わしげに書類の内容を読み込んでいる。サラの心臓が、ドクン、ドクンと高鳴る。もし、偽造が見破られたら…? ここで戦闘になれば、無事に脱出できる保証はない。後部座席のセブンも、いつでもプラズマライフルを発射できるよう、トリガーに指をかけている。車内に、緊張した空気が流れる。
数秒が、永遠のように感じられた。やがて、守衛は顔を上げ、サラに向かって言った。
「…よし、確認した。書類に問題はない。教祖様からの緊急指示、確かに受理されている。ゲートを開ける。速やかに通過せよ」
守衛は、他の守衛たちに合図を送り、巨大なゲートが、重々しい音を立ててゆっくりと開き始めた。
「ありがとう」
サラは、安堵の息を漏らしながら短く礼を言うと、アクセルをゆっくりと踏み込んだ。ローバーは、開かれたゲートを抜け、聖地の外へと走り出す。バックミラーには、ゲートを守る守衛たちの姿と、霧の中に霞んでいく緑の教団の本拠地が映っていた。
(やった…! 脱出できた…!)
サラは、ハンドルを握る手に力を込めた。
螺旋階段を上り、最後の隠し扉を抜けると、そこは教祖エリアスの私室であった。窓の外は既に漆黒の闇に包まれ、部屋には豪奢な調度品が鈍い光を放つランプの明かりに照らし出されている。空気には、依然として甘く危険な媚薬香「モルフォの誘惑」が濃厚に漂っていた。セブンは、その香りが自身の生体金属の身体には何の影響も及ぼさないことを確認しつつ、アリーナを部屋の奥にある、天蓋付きの巨大な寝台へと運んだ。そこは、昨晩教祖がリズ(アリーナ)を蹂躙していた場所であり、シーツにはまだ生々しい染みが残っていたが、今は他に彼女を休ませる場所もなかった。セブンは、アリーナの身体を優しく寝台に横たえると、彼女の乱れたローブを整え、できるだけ肌を隠すように覆った。彼女の秘裂に結合したままの黒い異物…肉塊の残滓…は、今は静かに沈黙しているように見えたが、依然として不気味な存在感を放っている。セブンは、それに触れることなく、アリーナの状態を静かに観察した。
(教祖は、まだ戻っていないか…)
セブンのセンサーは、私室の外、礼拝堂の奥にある「儀式の間」から漏れ聞こえてくる、複数の男女の喘ぎ声と、時折響く教祖の甲高い哄笑を捉えていた。サラとリリスは、まだ彼の慰みものにされているようだ。セブンは、彼女たちのバイタルサインが危険水域に達していないことを確認しつつ、自身の計画を実行に移すことにした。
まず、セブンは教祖の私室にある情報端末にアクセスした。幸い教祖エアリスの端末に強固なアクセス制限は施されていない。次に、彼は教団の内部ネットワークに侵入し、車両管理システムと出入管理システムへとアクセスした。目的は、病人搬送用の大型車両の使用許可と、聖地からの特別出域許可証を、教祖エリアス自身の指示であるかのように偽造することである。書類の内容は、「急病の信徒(リズ、サリア、リリーの偽名を使用)を、治療のため緊急搬送する必要が生じた。従者ミハイルが運転を担当し、第4大陸の指定医療施設へ向かう。全てのゲートは、最優先で通過を許可すること」というものだ。後は教祖の網膜情報があれば、正規の電子署名と認証コードを生成できるだろう。
書類の偽造を終えたセブンは、部屋の隅で静かに息を潜め、教祖の帰りを待った。彼の聴覚センサーは、儀式の間の喧騒が次第に収まり、複数の足音がこちらへ近づいてくるのを捉えていた。やがて、私室の扉が開き、満足げな、しかし疲労の色も隠せない表情の教祖エリアスが、ふらつく足取りで入ってきた。彼の深緑色のローブは乱れ、脂ぎった額には汗が光っている。部屋に満ちる媚薬の香りと、先ほどの激しい「儀式」の影響で、彼の足元はおぼつかない。
『ふぅ…実に、素晴らしい夜であった…あの二人の娘、特に金髪の方は、なかなかの逸材よ…』
教祖は、誰に言うともなく、満足げに呟きながら、寝台に横たわるリズ(アリーナ)の姿に気づいた。
『おお、リズではないか。まだ眠っておったか。ふむ、ちょうど良い。今宵の仕上げに、もう一度お前にも「聖なる力」を注いでやろうぞ…』
教祖は、醜悪な笑みを浮かべ、寝台へと近づこうとした。
その瞬間だった。セブンは、音もなく教祖の背後に回り込み、その首筋に手刀を叩き込んだ。それは、人間の反射速度を遥かに超えた、精密かつ強力な一撃であった。セブンの生体金属の指は、皮膚や筋肉を透過するように、教祖の頸椎神経節に直接衝撃を与えた。
「ぐっ…!?」
教祖は、短い呻き声と共に、白目を剥いてその場に崩れ落ちた。完全に意識を失っている。セブンは、念のため彼のバイタルサインを確認した。生命に別状はないが、数時間は覚醒しないであろう。
セブンは、気絶した教祖の瞼を無理やり開いて生体認証システムを起動して偽造書類に証明を焼きつけた。用のなくなった教祖の身体を、まるで荷物のように軽々と担ぎ上げると、再び隠し通路へと向かった。そして、螺旋階段を下り、地下空洞へと続く通路の入り口付近…遺跡のエネルギーの影響が比較的弱く、かつ人の寄り付かないであろう場所に、彼を無造作に放り投げた。
(ここで、しばらく眠っているがいい。お前の歪んだ楽園は、もう終わりだ)
セブンは、冷徹な眼差しで気絶した教祖を一瞥すると、再び私室へと戻った。
次に、セブンは「儀式の間」へと向かった。扉を開けると、そこには想像を絶する光景が広がっていた。部屋の中央にある巨大な円形の寝台の上には、サラとリリスが、完全に意識を失い、ぐったりと横たわっていた。彼女たちの白い裸身は、汗、涙、唾液、愛液、そしておびただしい量の男たちの精液でぐっしょりと濡れ、汚れていた。肌には、無数の赤い鬱血痕や、引っ掻き傷が生々しく残っている。秘裂は腫れ上がり、赤黒く変色し、内部からは白濁した液体が絶えず溢れ出し、寝台の毛皮を汚している。その姿は、壮絶な輪姦の痕跡を物語っていた。
セブンは、その惨状に苦笑したが、感想を語る時間はない。彼は、まず二人のバイタルサインを確認し、生命に別状はないことを確かめた。セブンは、近くにあった予備の白いローブを二人に着せかけ、その裸身を覆った。
夜の闇に乗じて、セブンは行動を開始した。まず、意識を失ったサラを、その逞しい腕に軽々と抱き上げた。彼女の身体はぐったりと力を失っているが、その寝顔はどこか安らかに見えた。セブンは、音もなく儀式の間を後にし、事前に確保しておいたルートを通って、教団本拠地の外れにある、大型車両用の搬出口へと向かった。彼のセンサーは、夜間の警備体制、巡回ルート、監視カメラの位置などを完全に把握しており、人目を避けて移動することは容易であった。
搬出口には教団の戦闘員搬送用の大型ローバーが停められている。教団の荒事専用なのだろう。それは、サリアたちが聖地へ来る際に使用した全地形対応型ローバーよりもさらに大型で、後部には複数のストレッチャーや医療機器を搭載できる広大なスペースが確保されている。車体は厚い装甲で覆われ、外部からの攻撃にもある程度耐えられる構造になっているようだ。セブンは、サリアをローバー後部のストレッチャーの一つにそっと横たえると、再び儀式の間へと引き返した。
次に、彼は同じようにリリスを抱き上げ、ローバーへと運んだ。リリスの表情は、サリアとは対照的に、どこか恍惚とした、快楽の余韻が残っているかのようだった。セブンは、彼女の身体からも媚薬の効果が抜けきっていないことを確認しつつ、サリアの隣のストレッチャーに寝かせた。
最後に、セブンは教祖の私室へと戻り、寝台で眠り続けるアリーナを抱き上げた。彼女の秘裂に結合したままの黒い異物は、依然として沈黙を保っている。セブンは、それに触れることなく、慎重に彼女をローバーへと運び、三つ目のストレッチャーに横たえた。
三人の女性を安全な場所へと移し終えると、セブンは次なる行動に移った。彼は、先ほど無力化した武器庫へと再び侵入し、そこから携行可能な高性能兵器…プラズマライフル、指向性エネルギーピストル、小型ミサイルランチャー、そして各種弾薬やエネルギーパック…を、自身の能力で運べる限り大量に持ち出した。これらの兵器は、電子的に無力化それらを再起動させ、自身の制御下に置く。彼は、それらの兵器をローバーの後部スペースに手際よく積み込んでいく。万が一、脱出の際に追手がかかった場合に備えての、保険であった。
全ての準備が整ったのは、夜が明け始める直前のことであった。セブンは、ローバーの運転席に座り、システムを起動させた。エンジンの起動は待機させた。計器類のランプが点灯する。後部スペースでは、三人の女性がまだ深い眠りについているが、バイタルサインを見るにもう少しでサラが目を覚ますだろう。セブンは、ナビゲーションシステムに偽造した電子指示書類のデータを表示させた。
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ローバーが起動してしばらく経った頃、後部スペースのストレッチャーの上で、サリアが微かに身じろぎし、ゆっくりと瞼を開いた。
「ん……♡ ここは…?」
最初に感じたのは、全身を包む気怠さと、そして身体の奥に残る、鈍い疼き。昨夜の記憶が、断片的に蘇る。儀式の間、教祖、神官たち、そして…屈辱と、快楽。
(わたし…♡ あんな、ひどいことを…♡♡♡)
サリアは、自身の身に起こった出来事を思い出し、顔を赤らめた。しかし、同時に、あの時の、身体がどうにかなってしまうほどの快感が忘れられない自分もいる。罪悪感と、背徳的な興奮が、彼女の心を再び掻き乱す。
「…セブン…?」
サリアは、運転席に座る男の背中に気づき、か細い声で呼びかけた。
『気がつきましたか、キャプテン。気分はいかがです?』
セブンは、バックミラー越しにサリアの様子を確認しながら、静かに答えた。
「ええ…なんとか…。ここは? 私たちは、どうなったの?」
サリアは、まだ混乱した様子で尋ねた。
『教団の本拠地から脱出する途中です。あなたとリリスさん、そしてアリーナさんを救出しました。教祖は無力化し、武器庫も制圧済みです。今から聖地のメインゲートへ向かいます』
セブンは、簡潔に状況を説明した。
「そう…あなたが、助けてくれたのね…。ありがとう、セブン」
サリアは、安堵と感謝の息をついた。しかし、すぐに表情を引き締め、ストレッチャーから身を起こした。
「運転、代わるわ。あなたは、後ろで警戒していて。それに、ローバーの運転、私の方が慣れているでしょう?」
サリアは、まだ身体は気怠いが、船長としての責任感が彼女を突き動かした。それに、運転に集中することで、昨夜の忌まわしい記憶を少しでも紛らわせたいという思いもあった。
『…承知しました、キャプテン』
セブンは、サリアの決意を尊重し、運転席を譲った。彼は後部座席へと移り、積み込んだ兵器のチェックを開始しながら、鋭い視線で周囲の状況を監視し始めた。
サラは、慣れた手つきでローバーの操縦桿を握り、アクセルを踏み込んだ。大型ローバーは、力強い駆動音と共に速度を上げていく。窓の外には、霧の中にぼんやりと浮かび上がる、異様な植物群と、教団の建造物が見える。やがて、前方に巨大なゲートが見えてきた。聖地のメインゲートだ。ゲートの前には、武装した数人の守衛が立っており、こちらに停止の合図を送っている。
サラは、深呼吸を一つして、ローバーをゆっくりとゲート前で停止させた。守衛の一人が、警戒した様子で近づいてくる。彼は、分厚いヘルメットのバイザー越しに、鋭い視線を車内へと向けた。
「停止! 所属と目的を述べよ!」
守衛の声は、拡声器を通して、硬く響いた。
「こちら、従者ミハイル。教祖エリアス様の緊急指示により、急病の信徒三名を、第4大陸の指定医療施設へ搬送中。最優先での通過許可を得ている」
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「ありがとう」
サラは、安堵の息を漏らしながら短く礼を言うと、アクセルをゆっくりと踏み込んだ。ローバーは、開かれたゲートを抜け、聖地の外へと走り出す。バックミラーには、ゲートを守る守衛たちの姿と、霧の中に霞んでいく緑の教団の本拠地が映っていた。
(やった…! 脱出できた…!)
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