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第34話 一方その頃、勇者パーティーは迷走の極みに
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カイトたちが、固い決意を胸に魔王領への潜入を開始していた、その頃。
アークライト王国の王都は、未曾有の混乱の渦中にあった。
カイトが投じた「爆弾」によって引き起こされた貴族社会の大粛清は、一応の収束を見せたものの、その爪痕は深く、王国の統治システムは、半ば麻痺状態に陥っていた。
そして、その混乱の中心で、勇者パーティーは、完全な迷走の極みに達していた。
「……だから、なぜだと言っている! なぜ、我々への支援物資が、これほどまでに削減されているのだ!」
王城の一室で、アレクサンダーが、新たに派遣された若い文官に、怒声を浴びせていた。
だが、その声には、かつてのような威圧感はない。商業都市ランドールで、カイトに完膚なきまでに叩きのめされ、プライドを粉砕された彼は、廃人同然の状態から、かろうじて回復はしたものの、その魂には、決して癒えることのない傷が残っていた。
今の彼は、ただ虚勢を張り、己の無力さを隠すために、周囲に当たり散らしているだけの、哀れな存在だった。
「も、申し訳ございません、勇者様……」
若い文官は、怯えながらも、事務的に答えた。
「ですが、バルテルミー子爵の一件以来、王家の財政は、深刻な打撃を受けておりまして……。貴族からの献金も激減し、国家予算の大規模な見直しが……。勇者様方への支援も、例外では……」
「黙れ! 言い訳は聞きたくない! 我々は、世界を魔王から救う勇者だぞ! 我々を支援するのは、国の義務だろうが!」
アレクサンダーの怒りは、もはや、誰にも止められない。
その様子を、部屋の隅で、レオンが冷めた目で見つめていた。
(……もう、終わりだな。この男にも、このパーティーにも、未来はない)
彼は、とうの昔に、アレクサンダーを見限っていた。だが、彼自身もまた、次の一手を打てずにいた。「勇者の仲間」という肩書は、まだ、彼にとって利用価値のあるものだったからだ。彼は、この泥船が沈む、その最後の瞬間まで、利用できるものは全て利用し尽くすつもりでいた。
マリアは、そんなギスギスした空気に耐えきれず、最近では、訓練と称して、一人で城下の酒場に入り浸ることが多くなっていた。
「……ちくしょう。なによ、みんなして……。カイトも、アレクも、みーんな、いなくなっちゃえばいいんだわ……」
彼女は、安酒を呷りながら、誰に聞かせるともなく、悪態をつく。かつての、快活だった彼女の面影は、そこにはなかった。
そして、聖女セシリア。
彼女は、毎日、神殿にこもり、ただ、ひたすらに祈りを捧げていた。
だが、その祈りは、もはや、世界の平和のためでも、魔王討伐のためでもなかった。
(……カイトさん……。ごめんなさい……。私は、なんて、取り返しのつかないことを……)
彼女の祈りは、ただ、一人の男への、届くことのない謝罪と、贖罪のためだけにあった。カイトに、無慈悲に拒絶されたあの夜以来、彼女の心は、罪悪感という重い枷によって、完全に縛り付けられていた。その聖なる力も、心が曇ったせいか、以前ほどの輝きを放つことはなくなっていた。
連携は、崩壊。
信頼は、霧散。
目的は、見失われ。
かつて、華々しく召喚された勇者パーティーは、今や、ただの機能不全に陥った、烏合の衆でしかなかった。
そんなある日、彼らの元に、一つの指令が、王家から下された。
「勇者アレクサンダーよ。貴殿らには、北の国境地帯、『嘆きの森』の、魔王軍前線基地の調査、及び、その破壊を命じる」
それは、騎士団長ベアトリクスが謹慎処分となり、機能不全に陥った騎士団に代わって、彼らに与えられた、初めての、そして極めて重要な軍事任務だった。
「嘆きの森……。ようやく、我々の本当の力を示す時が来たか」
アレクサンダーは、久しぶりに、その瞳に、歪んだ闘志の光を宿した。彼は、この任務を成功させることで、地に落ちた自らの権威を取り戻し、そして、カイトという悪夢を払拭しようと、必死だったのだ。
「待ってください、アレクサンダー様!」
セシリアが、初めて、彼に異を唱えた。
「嘆きの森は、あまりにも危険です! 今の、連携の取れていない私たちでは……!」
「黙れ、セシリア! これは、王からの勅命だ! そして、この俺の決定だ! 貴様は、ただ、俺の命令に従って、回復魔法を使っていればいい!」
アレクサンダーは、彼女の忠告に、耳を貸そうともしない。
レオンも、内心では無謀な作戦だと思っていたが、反対はしなかった。この任務が失敗すれば、いよいよ、このパーティーを見限る、絶好の口実になると考えていたからだ。
マリアも、やけっぱちのように、「分かったわよ! やってやればいいんでしょ!」と、自暴自棄に同意した。
こうして、勇者パーティーは、再起を賭けた、しかし、その内実は、崩壊寸前のままの状態で、北の地へと、旅立っていった。
彼らが、自分たちの向かうその森の奥深くで、かつて自分たちが追放した男が、世界の運命を賭けた、遥かに困難なミッションに挑んでいることなど、知る由もなかった。
数週間後。
嘆きの森の入り口で、勇者パーティーは、早くも、その迷走ぶりを露呈していた。
「くそっ! なんだ、この森は! 魔物が多いだけでなく、道が、まるで生きているかのように、変化している……!?」
アレクサンダーは、苛立ちを隠せない。
彼らは、カイトがいた頃のように、事前に危険を察知することも、効率的なルートを見出すこともできず、ただ、森の中を、無駄に消耗しながら、彷徨い続けていた。
「セシリア! 回復が遅いぞ!」
「マリア! なぜ、僕の魔法の射線を塞ぐ!」
「うるさい! 勝手にやってるあんたたちが悪いのよ!」
仲間内での、醜い罵り合いが、絶え間なく続く。
そして、彼らは、ついに、遭遇してしまった。
森の奥から、静かに、しかし、圧倒的な威圧感を放ちながら、現れた、一体の、魔王軍幹部と。
それは、カイトたちが戦ったカオス・シェイドとは、また別の個体だった。硬質な甲殻に身を包み、巨大な鎌を持つ、昆虫人間のような姿の幹部。
『……ククク。神の犬どもが、わざわざ、死にに来るとはな』
その幹部は、目の前の、仲間割れをしながら、疲弊しきっている勇者パーティーを見て、愉快そうに、嗤った。
勇者パーティーの、本当の地獄は、ここから始まろうとしていた。
彼らが、かつて自分たちが切り捨てたものの、本当の価値を、その身をもって、絶望的に思い知らされるのは、もう少し、先の話である。
アークライト王国の王都は、未曾有の混乱の渦中にあった。
カイトが投じた「爆弾」によって引き起こされた貴族社会の大粛清は、一応の収束を見せたものの、その爪痕は深く、王国の統治システムは、半ば麻痺状態に陥っていた。
そして、その混乱の中心で、勇者パーティーは、完全な迷走の極みに達していた。
「……だから、なぜだと言っている! なぜ、我々への支援物資が、これほどまでに削減されているのだ!」
王城の一室で、アレクサンダーが、新たに派遣された若い文官に、怒声を浴びせていた。
だが、その声には、かつてのような威圧感はない。商業都市ランドールで、カイトに完膚なきまでに叩きのめされ、プライドを粉砕された彼は、廃人同然の状態から、かろうじて回復はしたものの、その魂には、決して癒えることのない傷が残っていた。
今の彼は、ただ虚勢を張り、己の無力さを隠すために、周囲に当たり散らしているだけの、哀れな存在だった。
「も、申し訳ございません、勇者様……」
若い文官は、怯えながらも、事務的に答えた。
「ですが、バルテルミー子爵の一件以来、王家の財政は、深刻な打撃を受けておりまして……。貴族からの献金も激減し、国家予算の大規模な見直しが……。勇者様方への支援も、例外では……」
「黙れ! 言い訳は聞きたくない! 我々は、世界を魔王から救う勇者だぞ! 我々を支援するのは、国の義務だろうが!」
アレクサンダーの怒りは、もはや、誰にも止められない。
その様子を、部屋の隅で、レオンが冷めた目で見つめていた。
(……もう、終わりだな。この男にも、このパーティーにも、未来はない)
彼は、とうの昔に、アレクサンダーを見限っていた。だが、彼自身もまた、次の一手を打てずにいた。「勇者の仲間」という肩書は、まだ、彼にとって利用価値のあるものだったからだ。彼は、この泥船が沈む、その最後の瞬間まで、利用できるものは全て利用し尽くすつもりでいた。
マリアは、そんなギスギスした空気に耐えきれず、最近では、訓練と称して、一人で城下の酒場に入り浸ることが多くなっていた。
「……ちくしょう。なによ、みんなして……。カイトも、アレクも、みーんな、いなくなっちゃえばいいんだわ……」
彼女は、安酒を呷りながら、誰に聞かせるともなく、悪態をつく。かつての、快活だった彼女の面影は、そこにはなかった。
そして、聖女セシリア。
彼女は、毎日、神殿にこもり、ただ、ひたすらに祈りを捧げていた。
だが、その祈りは、もはや、世界の平和のためでも、魔王討伐のためでもなかった。
(……カイトさん……。ごめんなさい……。私は、なんて、取り返しのつかないことを……)
彼女の祈りは、ただ、一人の男への、届くことのない謝罪と、贖罪のためだけにあった。カイトに、無慈悲に拒絶されたあの夜以来、彼女の心は、罪悪感という重い枷によって、完全に縛り付けられていた。その聖なる力も、心が曇ったせいか、以前ほどの輝きを放つことはなくなっていた。
連携は、崩壊。
信頼は、霧散。
目的は、見失われ。
かつて、華々しく召喚された勇者パーティーは、今や、ただの機能不全に陥った、烏合の衆でしかなかった。
そんなある日、彼らの元に、一つの指令が、王家から下された。
「勇者アレクサンダーよ。貴殿らには、北の国境地帯、『嘆きの森』の、魔王軍前線基地の調査、及び、その破壊を命じる」
それは、騎士団長ベアトリクスが謹慎処分となり、機能不全に陥った騎士団に代わって、彼らに与えられた、初めての、そして極めて重要な軍事任務だった。
「嘆きの森……。ようやく、我々の本当の力を示す時が来たか」
アレクサンダーは、久しぶりに、その瞳に、歪んだ闘志の光を宿した。彼は、この任務を成功させることで、地に落ちた自らの権威を取り戻し、そして、カイトという悪夢を払拭しようと、必死だったのだ。
「待ってください、アレクサンダー様!」
セシリアが、初めて、彼に異を唱えた。
「嘆きの森は、あまりにも危険です! 今の、連携の取れていない私たちでは……!」
「黙れ、セシリア! これは、王からの勅命だ! そして、この俺の決定だ! 貴様は、ただ、俺の命令に従って、回復魔法を使っていればいい!」
アレクサンダーは、彼女の忠告に、耳を貸そうともしない。
レオンも、内心では無謀な作戦だと思っていたが、反対はしなかった。この任務が失敗すれば、いよいよ、このパーティーを見限る、絶好の口実になると考えていたからだ。
マリアも、やけっぱちのように、「分かったわよ! やってやればいいんでしょ!」と、自暴自棄に同意した。
こうして、勇者パーティーは、再起を賭けた、しかし、その内実は、崩壊寸前のままの状態で、北の地へと、旅立っていった。
彼らが、自分たちの向かうその森の奥深くで、かつて自分たちが追放した男が、世界の運命を賭けた、遥かに困難なミッションに挑んでいることなど、知る由もなかった。
数週間後。
嘆きの森の入り口で、勇者パーティーは、早くも、その迷走ぶりを露呈していた。
「くそっ! なんだ、この森は! 魔物が多いだけでなく、道が、まるで生きているかのように、変化している……!?」
アレクサンダーは、苛立ちを隠せない。
彼らは、カイトがいた頃のように、事前に危険を察知することも、効率的なルートを見出すこともできず、ただ、森の中を、無駄に消耗しながら、彷徨い続けていた。
「セシリア! 回復が遅いぞ!」
「マリア! なぜ、僕の魔法の射線を塞ぐ!」
「うるさい! 勝手にやってるあんたたちが悪いのよ!」
仲間内での、醜い罵り合いが、絶え間なく続く。
そして、彼らは、ついに、遭遇してしまった。
森の奥から、静かに、しかし、圧倒的な威圧感を放ちながら、現れた、一体の、魔王軍幹部と。
それは、カイトたちが戦ったカオス・シェイドとは、また別の個体だった。硬質な甲殻に身を包み、巨大な鎌を持つ、昆虫人間のような姿の幹部。
『……ククク。神の犬どもが、わざわざ、死にに来るとはな』
その幹部は、目の前の、仲間割れをしながら、疲弊しきっている勇者パーティーを見て、愉快そうに、嗤った。
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