38 / 101
第38話:女王のレッスン、後輩の憂鬱
しおりを挟む
あの壮絶なレコーディングから数日が過ぎた。藤堂蓮たちの周りには、一見すると穏やかな日常が戻ってきていた。だが、水面下では、次なる嵐に向けた準備が、着々と進められていた。
橘翔太の指示は、絶対だった。
スターライト・エージェンシーのメインスタジオは、完全に『Starlight Melody』の新曲プロジェクトのために押さえられ、蓮はそのスタジオに毎日通うことになった。彼の役割は、クリエイター兼、ボーカルディレクター。星宮瑠奈が、朝霧陽葵の歌――『陽だまりの光』を、完璧に表現するための、指導役だった。
それは、蓮にとって、苦痛以外の何物でもなかった。
「じゃあ、始めようか」
コントロールルームのディレクター席に座り、蓮はガラスの向こう側に立つ瑠奈に、感情を殺した声で指示を出す。瑠奈もまた、一切の私情を挟まない、プロのアイドルの顔で、マイクの前に立っていた。
二人の間には、会話らしい会話はない。
あるのは、音楽的な指示と、それに対する応答だけ。
「そこのロングトーン、もっと温かみを出して。絶叫じゃない」
「Bメロの入り、少しだけ息継ぎの音を混ぜて。儚さを表現したい」
「今のテイク、悪くない。でも、まだ『陽だまり』には程遠い。もう一度」
瑠奈は、蓮のどんな厳しい要求にも、文句一つ言わずに食らいついてきた。彼女のプライドは、ズタズタに引き裂かれていたはずだ。自分よりも格下の、しかも想い人である男から、恋敵の少女の歌を真似ろと、繰り返し指導されるのだから。
だが、彼女は、決して弱音を吐かなかった。悔しさを、全て歌へのエネルギーに変換しているようだった。
その歌声は、日を追うごとに、凄みを増していった。
最初は、陽葵の歌を、ただ技術的に模倣しているだけだった。だが、持ち前のセンスと表現力で、瑠奈は徐々に『陽だまりの光』の本質を掴み始めていた。
彼女が元々持っていた『絶望の闇』。それに、陽葵が持つ『希望の光』。
相反する二つの要素が、彼女の歌声の中で、奇跡的な融合を果たそうとしていた。
蓮は、クリエイターとして、その才能の進化に戦慄していた。
瑠unaは、天才だった。
このままいけば、彼女は、陽葵の歌を遥かに超える、究極の歌を完成させてしまうだろう。
それは、プロジェクトの成功を意味する。
だが、蓮の心は、複雑だった。瑠奈の歌が完璧に近づくほど、陽葵の存在が、少しずつ霞んでいってしまうような、そんな寂しさを覚えていた。
一方、その頃。
朝霧陽葵は、一人、憂鬱な日々を過ごしていた。
蓮は、毎日事務所のスタジオに通い詰めで、大学で顔を合わせる機会は、ほとんどなくなってしまった。サークル室を覗いても、彼の姿はない。
『レコーディング、順調ですか?』
メッセージを送っても、返ってくるのは『ああ、忙しい』という、短い返信だけ。
彼が、自分の手の届かない場所へ、どんどん行ってしまうような気がして、陽葵は言いようのない不安に駆られていた。
あの日、蓮は言ってくれた。『お前は、勝者だ』と。
その言葉を、陽葵は何度も胸の中で反芻し、心の支えにしていた。
だが、現実は、残酷だった。
結局、あの曲を歌うのは、LUNAさんなのだ。
そして、先輩は今、そのLUNAさんと二人きりで、毎日、音楽を作っている。
(……私、本当に、勝ったのかな)
そんな疑念が、黒い染みのように、心の隅に広がり始めていた。
自分は、ただの『きっかけ』に過ぎなかったのではないか。
二人の天才を、さらに高いステージへと導くための、ただの踏み台。
そう考えると、胸が、きゅっと痛んだ。
その日、陽葵は、声優の養成所のレッスンを終え、とぼとぼと夜道を歩いていた。スマホでネットニュースを見ていると、ある記事が目に留まる。
『LUNA、新曲レコーディング快調! 関係者が語る「神がかった歌声」とは』
記事には、匿名関係者の証言として、LUNAがいかに素晴らしい歌をレコーディングしているかが、絶賛の言葉と共に綴られていた。そして、その楽曲を提供したのが、今話題の謎の天才クリエイター『ren』であることも。
陽葵は、足を止めた。
胸が、ズキリと痛む。
ren。それは、自分の大好きな、藤堂蓮のこと。
LUNAとren。世間は、二人の天才のコラボレーションに、熱狂し始めている。
その物語の中に、自分の名前は、どこにもない。
当たり前のことだ。自分は、ただの仮歌を歌った、名もなき声優の卵なのだから。
分かっている。
分かっているのに、涙が、滲んできた。
悔しい、とか、悲しい、とか、そういう単純な感情ではなかった。
ただ、寂しかった。
自分だけが、仲間外れにされてしまったような、深い孤独感。
陽葵は、スマホの画面を消すと、空を見上げた。
東京の空は、明るすぎて、星は見えない。
(……先輩は、今、何してるんだろう)
きっと、LUNAさんと、笑い合っているのかもしれない。
最高の音楽が生まれる瞬間に、二人で、感動を分かち合っているのかもしれない。
そこには、私の居場所なんて、もうないんだ。
陽葵は、溢れそうになる涙を、必死で堪えた。
そして、自分に言い聞かせるように、小さく、呟いた。
「……私は、大丈夫」
大丈夫。私は、声優になるんだ。
自分の足で、ちゃんと立って、夢を叶えるんだ。
先輩に、頼ってばかりじゃいられない。
それは、自分を奮い立たせるための、精一杯の強がり。
だが、その声は、夜の雑踏の中に、あまりにもか細く、虚しく消えていった。
女王が、新たな光を手に入れようともがくスタジオ。
その後ろで、陽だまりの少女は、一人、静かにその光を失いかけていた。
二人の知らないところで、小さな憂鬱の影が、確実にその濃度を増していた。
橘翔太の指示は、絶対だった。
スターライト・エージェンシーのメインスタジオは、完全に『Starlight Melody』の新曲プロジェクトのために押さえられ、蓮はそのスタジオに毎日通うことになった。彼の役割は、クリエイター兼、ボーカルディレクター。星宮瑠奈が、朝霧陽葵の歌――『陽だまりの光』を、完璧に表現するための、指導役だった。
それは、蓮にとって、苦痛以外の何物でもなかった。
「じゃあ、始めようか」
コントロールルームのディレクター席に座り、蓮はガラスの向こう側に立つ瑠奈に、感情を殺した声で指示を出す。瑠奈もまた、一切の私情を挟まない、プロのアイドルの顔で、マイクの前に立っていた。
二人の間には、会話らしい会話はない。
あるのは、音楽的な指示と、それに対する応答だけ。
「そこのロングトーン、もっと温かみを出して。絶叫じゃない」
「Bメロの入り、少しだけ息継ぎの音を混ぜて。儚さを表現したい」
「今のテイク、悪くない。でも、まだ『陽だまり』には程遠い。もう一度」
瑠奈は、蓮のどんな厳しい要求にも、文句一つ言わずに食らいついてきた。彼女のプライドは、ズタズタに引き裂かれていたはずだ。自分よりも格下の、しかも想い人である男から、恋敵の少女の歌を真似ろと、繰り返し指導されるのだから。
だが、彼女は、決して弱音を吐かなかった。悔しさを、全て歌へのエネルギーに変換しているようだった。
その歌声は、日を追うごとに、凄みを増していった。
最初は、陽葵の歌を、ただ技術的に模倣しているだけだった。だが、持ち前のセンスと表現力で、瑠奈は徐々に『陽だまりの光』の本質を掴み始めていた。
彼女が元々持っていた『絶望の闇』。それに、陽葵が持つ『希望の光』。
相反する二つの要素が、彼女の歌声の中で、奇跡的な融合を果たそうとしていた。
蓮は、クリエイターとして、その才能の進化に戦慄していた。
瑠unaは、天才だった。
このままいけば、彼女は、陽葵の歌を遥かに超える、究極の歌を完成させてしまうだろう。
それは、プロジェクトの成功を意味する。
だが、蓮の心は、複雑だった。瑠奈の歌が完璧に近づくほど、陽葵の存在が、少しずつ霞んでいってしまうような、そんな寂しさを覚えていた。
一方、その頃。
朝霧陽葵は、一人、憂鬱な日々を過ごしていた。
蓮は、毎日事務所のスタジオに通い詰めで、大学で顔を合わせる機会は、ほとんどなくなってしまった。サークル室を覗いても、彼の姿はない。
『レコーディング、順調ですか?』
メッセージを送っても、返ってくるのは『ああ、忙しい』という、短い返信だけ。
彼が、自分の手の届かない場所へ、どんどん行ってしまうような気がして、陽葵は言いようのない不安に駆られていた。
あの日、蓮は言ってくれた。『お前は、勝者だ』と。
その言葉を、陽葵は何度も胸の中で反芻し、心の支えにしていた。
だが、現実は、残酷だった。
結局、あの曲を歌うのは、LUNAさんなのだ。
そして、先輩は今、そのLUNAさんと二人きりで、毎日、音楽を作っている。
(……私、本当に、勝ったのかな)
そんな疑念が、黒い染みのように、心の隅に広がり始めていた。
自分は、ただの『きっかけ』に過ぎなかったのではないか。
二人の天才を、さらに高いステージへと導くための、ただの踏み台。
そう考えると、胸が、きゅっと痛んだ。
その日、陽葵は、声優の養成所のレッスンを終え、とぼとぼと夜道を歩いていた。スマホでネットニュースを見ていると、ある記事が目に留まる。
『LUNA、新曲レコーディング快調! 関係者が語る「神がかった歌声」とは』
記事には、匿名関係者の証言として、LUNAがいかに素晴らしい歌をレコーディングしているかが、絶賛の言葉と共に綴られていた。そして、その楽曲を提供したのが、今話題の謎の天才クリエイター『ren』であることも。
陽葵は、足を止めた。
胸が、ズキリと痛む。
ren。それは、自分の大好きな、藤堂蓮のこと。
LUNAとren。世間は、二人の天才のコラボレーションに、熱狂し始めている。
その物語の中に、自分の名前は、どこにもない。
当たり前のことだ。自分は、ただの仮歌を歌った、名もなき声優の卵なのだから。
分かっている。
分かっているのに、涙が、滲んできた。
悔しい、とか、悲しい、とか、そういう単純な感情ではなかった。
ただ、寂しかった。
自分だけが、仲間外れにされてしまったような、深い孤独感。
陽葵は、スマホの画面を消すと、空を見上げた。
東京の空は、明るすぎて、星は見えない。
(……先輩は、今、何してるんだろう)
きっと、LUNAさんと、笑い合っているのかもしれない。
最高の音楽が生まれる瞬間に、二人で、感動を分かち合っているのかもしれない。
そこには、私の居場所なんて、もうないんだ。
陽葵は、溢れそうになる涙を、必死で堪えた。
そして、自分に言い聞かせるように、小さく、呟いた。
「……私は、大丈夫」
大丈夫。私は、声優になるんだ。
自分の足で、ちゃんと立って、夢を叶えるんだ。
先輩に、頼ってばかりじゃいられない。
それは、自分を奮い立たせるための、精一杯の強がり。
だが、その声は、夜の雑踏の中に、あまりにもか細く、虚しく消えていった。
女王が、新たな光を手に入れようともがくスタジオ。
その後ろで、陽だまりの少女は、一人、静かにその光を失いかけていた。
二人の知らないところで、小さな憂鬱の影が、確実にその濃度を増していた。
0
あなたにおすすめの小説
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
先輩に退部を命じられた僕を励ましてくれたアイドル級美少女の後輩マネージャーを成り行きで家に上げたら、なぜかその後も入り浸るようになった件
桜 偉村
恋愛
みんなと同じようにプレーできなくてもいいんじゃないですか? 先輩には、先輩だけの武器があるんですから——。
後輩マネージャーのその言葉が、彼の人生を変えた。
全国常連の高校サッカー部の三軍に所属していた如月 巧(きさらぎ たくみ)は、自分の能力に限界を感じていた。
練習試合でも敗因となってしまった巧は、三軍キャプテンの武岡(たけおか)に退部を命じられて絶望する。
武岡にとって、巧はチームのお荷物であると同時に、アイドル級美少女マネージャーの白雪 香奈(しらゆき かな)と親しくしている目障りな存在だった。
そのため、自信をなくしている巧を追い込んで退部させ、香奈と距離を置かせようとしたのだ。
そうすれば、香奈は自分のモノになると錯覚していたから。
武岡の思惑通り、巧はサッカー部を辞めようとしていた。そこに現れたのが、香奈だった。
香奈に励まされてサッカーを続ける決意をした巧は、彼女のアドバイスのおかげもあり、だんだんとその才能を開花させていく。
一方、巧が成り行きで香奈を家に招いたのをきっかけに、二人の距離も縮み始める。
しかし、退部するどころか活躍し出した巧にフラストレーションを溜めていた武岡が、それを静観するはずもなく——。
「これは警告だよ」
「勘違いしないんでしょ?」
「僕がサッカーを続けられたのは、君のおかげだから」
「仲が良いだけの先輩に、あんなことまですると思ってたんですか?」
先輩×後輩のじれったくも甘い関係が好きな方、スカッとする展開が好きな方は、ぜひこの物語をお楽しみください!
※基本は一途ですが、メインヒロイン以外との絡みも多少あります。
※本作品は小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
入学初日に告白してきた美少女には、『好き』がないらしい。~欠けた感情を追い求めて~
true177
恋愛
怠惰に流されて底辺校に入った龍太郎(りゅうたろう)は、差出人不明の手紙で屋上に呼び出される。
待っていたのは、見違えるような美少女。
『キミのことが好きです!』
これはもらった、と興奮するのもつかの間、彼女の様子が見るからにおかしいことに気付く。テンプレートしか話さないのだ。
荒ぶる少女と、それに付き合う龍太郎。一緒に行動する間にも、龍太郎の疑問は積み重なっていく。
そして、違和感が耐えきれなくなった日。彼女が告げた言葉。
「『好き』って、なんだろう……」
この言葉をきっかけにして、彼女の『好き』を探す旅が始まる……。
※完結まで毎日連載です。内部では既に完結しています。
※小説家になろう、ハーメルン、pixivにも同一作品を投稿しています。
小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!
竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」
俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。
彼女の名前は下野ルカ。
幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。
俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。
だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている!
堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!
姉と妹に血が繋がっていないことを知られてはいけない
マーラッシュ
恋愛
俺は知ってしまった。
まさか今更こんな真実を知ってしまうとは。
その日は何故かリビングのテーブルの上に戸籍謄本が置いてあり、何気なく目を通して見ると⋯⋯。
養子縁組の文字が目に入った。
そして養子氏名の欄を見てみると【天城リウト】俺の名前がある。
う、嘘だろ。俺が養子⋯⋯だと⋯⋯。
そうなると姉の琴音ことコト姉と妹の柚葉ことユズとは血が繋がっていないことになる。
今までは俺と姉弟、兄妹の関係だったからベタベタしてきても一線を越えることはなかったが、もしこのことがコト姉とユズに知られてしまったら2人の俺に対する愛情が暴走するかもしれない。もしコト姉やユズみたいな美少女に迫られたら⋯⋯俺の理性が崩壊する。
親父から日頃姉妹に手を出したらわかっているよな? と殺意を持って言われていたがまさかこういうことだったのか!
この物語は主人公のリウトが姉妹に血が繋がっていないことがバレると身が持たないと悟り、何とか秘密にしようと奔走するラブコメ物語です。
向日葵と隣同士で咲き誇る。~ツンツンしているクラスメイトの美少女が、可愛い笑顔を僕に見せてくれることが段々と多くなっていく件~
桜庭かなめ
恋愛
高校2年生の加瀬桔梗のクラスには、宝来向日葵という女子生徒がいる。向日葵は男子生徒中心に人気が高く、学校一の美少女と言われることも。
しかし、桔梗はなぜか向日葵に1年生の秋頃から何度も舌打ちされたり、睨まれたりしていた。それでも、桔梗は自分のように花の名前である向日葵にちょっと興味を抱いていた。
ゴールデンウィーク目前のある日。桔梗はバイト中に男達にしつこく絡まれている向日葵を助ける。このことをきっかけに、桔梗は向日葵との関わりが増え、彼女との距離が少しずつ縮まっていく。そんな中で、向日葵は桔梗に可愛らしい笑顔を段々と見せていくように。
桔梗と向日葵。花の名を持つ男女2人が織りなす、温もりと甘味が少しずつ増してゆく学園ラブコメディ!
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想をお待ちしています。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
恋人、はじめました。
桜庭かなめ
恋愛
紙透明斗のクラスには、青山氷織という女子生徒がいる。才色兼備な氷織は男子中心にたくさん告白されているが、全て断っている。クールで笑顔を全然見せないことや銀髪であること。「氷織」という名前から『絶対零嬢』と呼ぶ人も。
明斗は半年ほど前に一目惚れしてから、氷織に恋心を抱き続けている。しかし、フラれるかもしれないと恐れ、告白できずにいた。
ある春の日の放課後。ゴミを散らしてしまう氷織を見つけ、明斗は彼女のことを助ける。その際、明斗は勇気を出して氷織に告白する。
「これまでの告白とは違い、胸がほんのり温かくなりました。好意からかは分かりませんが。断る気にはなれません」
「……それなら、俺とお試しで付き合ってみるのはどうだろう?」
明斗からのそんな提案を氷織が受け入れ、2人のお試しの恋人関係が始まった。
一緒にお昼ご飯を食べたり、放課後デートしたり、氷織が明斗のバイト先に来たり、お互いの家に行ったり。そんな日々を重ねるうちに、距離が縮み、氷織の表情も少しずつ豊かになっていく。告白、そして、お試しの恋人関係から始まる甘くて爽やかな学園青春ラブコメディ!
※夏休み小話編2が完結しました!(2025.10.16)
※小説家になろう(N6867GW)、カクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想などお待ちしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる