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第七十話 第一防衛線
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「ジン様!?」
リリアナの制止の声が背後で遠のいていく。
だが、俺は止まらない。
千を超える軍勢の中を、俺はただ一人、一直線に敵本陣めがけて突き進んでいた。
それは常人から見れば自殺行為以外の何物でもない。
だが、俺には確信があった。
この絶oporakuな戦況を覆すには、常識的な戦い方をしていては駄目だ。
敵の思考の、さらにその先を行く。
敵が最も警戒していない一点を雷光の如く穿つ。
「何だ、あの人間は!?」
「馬鹿め、一人で突っ込んでくるとは!」
教団の兵士たちが俺の存在に気づき、次々と襲いかかってくる。
だが、遅い。
俺の動きは彼らの認識速度を遥かに超えていた。
俺は敵の隙間を縫うように、人波を駆け抜ける。
行く手を阻む者は殴るまでもない。
ただ、すれ違い様に肩をぶつけ、あるいは足を踏みつける。
それだけで彼らはバランスを崩し、将棋倒しになっていく。
俺が通り過ぎた後には、混乱と悲鳴だけが残った。
「雑魚が、道を空けろ」
俺の目標はただ一点。
後方で悠然と構える三人の幹部『三将星』と、三体の神話級魔獣。
だが、奴らもただ黙って見ているわけではなかった。
「……面白い。その度胸、褒めてやりましょう」
三将星の一人、妖艶な魔女がくすりと笑った。
彼女が杖を軽く振ると、俺の進路上に巨大な茨の壁が瞬時に出現した。
その茨には、触れるもの全てを麻痺させる呪いが込められている。
だが、俺はその壁の前で足を緩めない。
俺は闘気を両拳に集中させ、回転しながらその壁に突っ込んだ。
大神流体術「螺旋貫」。
俺の体はドリルのように回転し、呪いの茨の壁を木っ端微塵に粉砕しながら突き抜けた。
「まあ!」
魔女が初めて驚きの声を上げる。
次に動いたのは鎧の巨漢だった。
彼は何も語らない。
ただ、その巨大な戦斧を俺めがけて投げつけてきた。
戦斧は凄まじい回転と共に、空間そのものを抉り取りながら迫ってくる。
回避不能の必殺の一投。
だが、俺はそれを避けない。
真正面からその回転する刃を、右手で掴んだ。
バチバチッ!と俺の手の平で火花が散る。皮膚が裂け、血が噴き出す。
だが、俺の握力はその凶悪な回転を力ずくでねじ伏せた。
「……なっ」
鎧の巨漢の兜の奥の目が、信じられないものを見るように見開かれた。
俺は掴んだ戦斧を、そのまま奴めがけて投げ返した。
投げた時以上の、凄まじい速度で。
鎧の巨漢は咄嗟にそれを避けようとしたが、間に合わない。
戦斧は彼の鎧の肩口に深々と突き刺さり、その巨体を数メートル後方まで吹き飛ばした。
「……やるな」
リーダー格の男が初めて感心したような声を漏らした。
「だが、お前の相手は我々ではない」
その言葉と同時に、俺の目の前に巨大な影が立ちはだかった。
鋼鉄の甲殻を持つ蠍の怪物。
その巨大な鋏が、俺の体を両断せんと凄まじい速度で迫ってくる。
俺はバックステップでそれをかわす。
だが、蠍の怪物の攻撃はそれだけではなかった。
その尻尾の先にある旧神の呪いが込められた毒針が、予測不能な軌道で俺の心臓を狙っていた。
速い。
そして鋭い。
俺は、その一撃を完全に回避することはできなかった。
毒針が俺の左肩を深く抉った。
「ぐっ……!」
激痛。
そして、それ以上に禍々しい呪いの力が俺の体の中を駆け巡る。
全身の力が急速に失われていくのが分かった。
体が鉛のように重くなる。
「ククク……かかったな」
リーダー格の男が嘲笑う。
「それは旧神様より賜りし、魂を腐らせる呪い。もはや貴様に抵抗する力は残っておるまい」
確かに体が言うことを聞かない。
スキル【闘神】を発動させようとしても、呪いの力がそれを阻害する。
蠍の怪物がとどめを刺さんと、再びその巨大な鋏を振り上げた。
絶体絶命。
だが、俺は笑っていた。
「……面白い」
俺は掠れた声で呟いた。
「魂を腐らせる呪い、か。上等じゃねえか」
俺は呪いの力に抵抗するのをやめた。
逆にその力を受け入れた。
俺の闘気と、旧神の呪い。
二つの相反する力が、俺の体の中で激しくぶつかり合う。
「ジン!?」
遠くでガロウの叫び声が聞こえた。
俺の体は赤黒い闘気と紫色の呪いのオーラに包まれ、まるで爆発寸前の恒星のように激しく明滅していた。
「あいつ、何を……!?」
リーダー格の男が狼狽の声を上げる。
俺がやろうとしていることが、彼らの理解を超えていたからだ。
俺は二つの巨大な力を、俺自身の魂を炉として融合させていた。
破壊と再生。
混沌と闘争。
その二つが一つになった時、何が生まれるのか。
「あああああああああああっ!」
俺の口から咆哮が迸った。
それはもはや人の声ではなかった。
神でもなく魔でもない、全く新しい何かが産声を上げた瞬間だった。
俺の左肩の傷が瞬時に塞がる。
そしてその傷跡から、禍々しい紫色の紋様が全身へと広がっていった。
俺の瞳が赤く、そして金色に輝く。
俺は生まれ変わった。
呪いを克服し、その力すらも自らのものとした新たな存在へと。
俺は目の前の蠍の怪物を、見据えた。
その目に絶対的な捕食者の光を宿して。
「……さて、第二ラウンドと行こうか」
俺の新たな戦いが、今、始まる。
リリアナの制止の声が背後で遠のいていく。
だが、俺は止まらない。
千を超える軍勢の中を、俺はただ一人、一直線に敵本陣めがけて突き進んでいた。
それは常人から見れば自殺行為以外の何物でもない。
だが、俺には確信があった。
この絶oporakuな戦況を覆すには、常識的な戦い方をしていては駄目だ。
敵の思考の、さらにその先を行く。
敵が最も警戒していない一点を雷光の如く穿つ。
「何だ、あの人間は!?」
「馬鹿め、一人で突っ込んでくるとは!」
教団の兵士たちが俺の存在に気づき、次々と襲いかかってくる。
だが、遅い。
俺の動きは彼らの認識速度を遥かに超えていた。
俺は敵の隙間を縫うように、人波を駆け抜ける。
行く手を阻む者は殴るまでもない。
ただ、すれ違い様に肩をぶつけ、あるいは足を踏みつける。
それだけで彼らはバランスを崩し、将棋倒しになっていく。
俺が通り過ぎた後には、混乱と悲鳴だけが残った。
「雑魚が、道を空けろ」
俺の目標はただ一点。
後方で悠然と構える三人の幹部『三将星』と、三体の神話級魔獣。
だが、奴らもただ黙って見ているわけではなかった。
「……面白い。その度胸、褒めてやりましょう」
三将星の一人、妖艶な魔女がくすりと笑った。
彼女が杖を軽く振ると、俺の進路上に巨大な茨の壁が瞬時に出現した。
その茨には、触れるもの全てを麻痺させる呪いが込められている。
だが、俺はその壁の前で足を緩めない。
俺は闘気を両拳に集中させ、回転しながらその壁に突っ込んだ。
大神流体術「螺旋貫」。
俺の体はドリルのように回転し、呪いの茨の壁を木っ端微塵に粉砕しながら突き抜けた。
「まあ!」
魔女が初めて驚きの声を上げる。
次に動いたのは鎧の巨漢だった。
彼は何も語らない。
ただ、その巨大な戦斧を俺めがけて投げつけてきた。
戦斧は凄まじい回転と共に、空間そのものを抉り取りながら迫ってくる。
回避不能の必殺の一投。
だが、俺はそれを避けない。
真正面からその回転する刃を、右手で掴んだ。
バチバチッ!と俺の手の平で火花が散る。皮膚が裂け、血が噴き出す。
だが、俺の握力はその凶悪な回転を力ずくでねじ伏せた。
「……なっ」
鎧の巨漢の兜の奥の目が、信じられないものを見るように見開かれた。
俺は掴んだ戦斧を、そのまま奴めがけて投げ返した。
投げた時以上の、凄まじい速度で。
鎧の巨漢は咄嗟にそれを避けようとしたが、間に合わない。
戦斧は彼の鎧の肩口に深々と突き刺さり、その巨体を数メートル後方まで吹き飛ばした。
「……やるな」
リーダー格の男が初めて感心したような声を漏らした。
「だが、お前の相手は我々ではない」
その言葉と同時に、俺の目の前に巨大な影が立ちはだかった。
鋼鉄の甲殻を持つ蠍の怪物。
その巨大な鋏が、俺の体を両断せんと凄まじい速度で迫ってくる。
俺はバックステップでそれをかわす。
だが、蠍の怪物の攻撃はそれだけではなかった。
その尻尾の先にある旧神の呪いが込められた毒針が、予測不能な軌道で俺の心臓を狙っていた。
速い。
そして鋭い。
俺は、その一撃を完全に回避することはできなかった。
毒針が俺の左肩を深く抉った。
「ぐっ……!」
激痛。
そして、それ以上に禍々しい呪いの力が俺の体の中を駆け巡る。
全身の力が急速に失われていくのが分かった。
体が鉛のように重くなる。
「ククク……かかったな」
リーダー格の男が嘲笑う。
「それは旧神様より賜りし、魂を腐らせる呪い。もはや貴様に抵抗する力は残っておるまい」
確かに体が言うことを聞かない。
スキル【闘神】を発動させようとしても、呪いの力がそれを阻害する。
蠍の怪物がとどめを刺さんと、再びその巨大な鋏を振り上げた。
絶体絶命。
だが、俺は笑っていた。
「……面白い」
俺は掠れた声で呟いた。
「魂を腐らせる呪い、か。上等じゃねえか」
俺は呪いの力に抵抗するのをやめた。
逆にその力を受け入れた。
俺の闘気と、旧神の呪い。
二つの相反する力が、俺の体の中で激しくぶつかり合う。
「ジン!?」
遠くでガロウの叫び声が聞こえた。
俺の体は赤黒い闘気と紫色の呪いのオーラに包まれ、まるで爆発寸前の恒星のように激しく明滅していた。
「あいつ、何を……!?」
リーダー格の男が狼狽の声を上げる。
俺がやろうとしていることが、彼らの理解を超えていたからだ。
俺は二つの巨大な力を、俺自身の魂を炉として融合させていた。
破壊と再生。
混沌と闘争。
その二つが一つになった時、何が生まれるのか。
「あああああああああああっ!」
俺の口から咆哮が迸った。
それはもはや人の声ではなかった。
神でもなく魔でもない、全く新しい何かが産声を上げた瞬間だった。
俺の左肩の傷が瞬時に塞がる。
そしてその傷跡から、禍々しい紫色の紋様が全身へと広がっていった。
俺の瞳が赤く、そして金色に輝く。
俺は生まれ変わった。
呪いを克服し、その力すらも自らのものとした新たな存在へと。
俺は目の前の蠍の怪物を、見据えた。
その目に絶対的な捕食者の光を宿して。
「……さて、第二ラウンドと行こうか」
俺の新たな戦いが、今、始まる。
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