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第27話 暗殺者の影
『魔導浄水装置』の成功は、工房に大きな自信と、そして莫大な予算をもたらした。国王陛下は、流行病の撲滅という偉業を高く評価し、王立魔道具工房の予算を倍増させることを決定したのだ。
工房は今、活気に満ち溢れている。技師たちは、俺が提示する次なる課題――火事の危険がない安全な調理器具『魔導コンロ』の開発に、目を輝かせながら取り組んでいた。
「アレン先生、ここの熱伝導プレートの素材ですが、銅と銀の合金ではどうでしょう?」
「アレン君、安全装置として、一定以上の温度になると自動で魔力供給を遮断する回路を組み込みたいのだが、意見を聞かせてくれんか」
俺の周りには、常に技師たちの輪ができていた。彼らとの技術的な議論は、俺にとっても大きな刺激となり、新たなアイデアが次々と湧き出してくる。
それは、かつて公爵家で孤独だった俺が、夢にも見なかった光景だった。自分の知識と才能が、誰かと共有され、高め合っていく。その喜びに、俺は満たされていた。
だが、シルバニアで俺の名声が高まる一方で、その噂は国境を越え、俺が捨てた故郷エルドラド王国にも届き始めていた。
特に、シルバニアの急速な技術発展と、その中心にいる『アレン』という謎の天才技師の存在は、一部の貴族たちの耳に、無視できない情報として入っていた。
エルドラド王国、オルブライト侯爵邸。
クラインフェルト公爵家と勢力を二分する、野心的な大貴族であるオルブライト侯爵は、執事から上がってきた報告書を読み、忌々しげに眉をひそめていた。
「『リリアーナの灯火』……『命の水』、か。シルバニアのあの小娘、どこでこれほどの技術者を拾ってきたのだ」
彼は、ゲオルグ公爵の魔力至上主義を時代遅れだと見なし、技術による国力増強こそが覇権を握る鍵だと考えていた。それだけに、シルバニアに先を越されたことへの焦りは大きい。
「報告によれば、そのアレンという技師は、一介の平民。どこからか流れ着いたのを、リリアーナ姫が拾い上げたとか」
「平民が、これほどの革新的な技術を次々と? 信じられんな。何か裏があるはずだ。……いずれにせよ、このまま放置しておけば、シルバニアの国力は我々を凌駕する。あの国の技術発展の心臓は、そのアレンという男だ。ならば、その心臓を止めるまで」
オルブライト侯爵の目に、冷酷な光が宿る。
彼は、金で雇った影の組織に、一枚の指令書を送った。
『シルバニア王国王立魔道具工房の技師アレンを、秘密裏に抹殺せよ』と。
そんな邪悪な意図が自分に向けられていることなど、俺は知る由もなかった。
だが、その影は、確実に俺の日常に忍び寄っていた。
数日前から、奇妙な視線を感じるようになっていた。
工房からの帰り道、街の雑踏の中、あるいは一人で資料室にこもっている時。ふと顔を上げると、誰かに見られているような、肌が粟立つような感覚に襲われるのだ。
振り返っても、そこには誰もいない。気のせいか、と自分に言い聞かせるが、その感覚は日に日に強くなっていた。
「……どうかしたのか、アレン。顔色が悪いぞ」
ある日の夕食時、リリアーナ様が心配そうに俺の顔を覗き込んだ。王宮の一室で、俺と彼女は二人きりで食事を取ることが習慣になっていた。
「いえ、少し考え事をしていただけです」
彼女に余計な心配をかけたくなくて、俺は曖昧に笑って誤魔化した。
その夜、俺は開発中の『魔導コンロ』の設計に行き詰まり、一人で工房の資料室に残っていた。膨大な資料の山と格闘しているうちに、いつの間にか窓の外は深い闇に包まれ、時計の針は深夜を指していた。
「……そろそろ、戻るか」
俺が大きく伸びをして立ち上がった、その瞬間だった。
カタン、と。
資料室の奥、書庫の暗がりから、何かが床に落ちるような、ごく微かな音が聞こえた。
俺は、動きを止めた。
この時間、工房にいるのは俺一人のはずだ。衛兵は入り口にいる。この資料室に、誰かがいるはずはない。
ネズミか、あるいは風のせいか。
そう思おうとしたが、数日前から感じていた、あの不気味な視線の感覚が、背筋を駆け上がった。
心臓が、ドクン、と大きく跳ねる。
俺は音を立てないよう、ゆっくりと机の陰に身を屈めた。そして、息を殺して、暗がりの方を凝視する。
静寂。
聞こえるのは、自分の心臓の音だけだ。
やはり、気のせいだったのか。俺が安堵のため息をつこうとした、その時。
スッ、と。
書庫の棚の影から、黒い人影が音もなく滑り出てきた。
全身を黒装束で包み、顔も黒い布で覆っている。その手には、月明かりを鈍く反射する、一本の短剣が握られていた。
暗殺者。
その単語が、脳内に雷のように響き渡った。
男は、まるで闇に溶け込むかのように、一切の気配を殺して俺が隠れている机へと近づいてくる。その動きは、尋常ではない。訓練を積んだ、プロのそれだった。
なぜ、俺が。誰が、何のために。
思考が追いつかない。ただ、圧倒的な死の気配が、俺の全身を縛り付けていた。
もう、ダメだ。
男が机のすぐそばまで来た。俺の心臓は、破裂しそうなほど激しく脈打っている。
男が、短剣を振り上げた。その刃の先端が、紫色に怪しく光っている。毒だ。
絶望が、俺の視界を覆い尽くした。
その、刹那。
ガキンッ!
甲高い金属音が、静寂を切り裂いた。
暗殺者の短剣が、何かに弾かれたのだ。
「――!?」
暗殺者が、驚愕の声を漏らす。
見れば、俺と暗殺者の間に、いつの間にか二つの影が立ちはだかっていた。
屈強な体躯の騎士、クラウス。そして、しなやかな剣を構える女性騎士、セラ。
リリアーナ様の護衛だ。
「……間に合ったか」
クラウスが、低い声で呟いた。その手には、巨大な盾が構えられている。先ほどの短剣を弾いたのは、この盾だった。
「姫様の言った通りだな。やはり、お前たちのような輩が嗅ぎつけてきたか」
セラが、切っ先を暗殺者に向けたまま、冷たく言い放つ。
暗殺者は、一瞬の動揺の後、すぐに体勢を立て直した。そして、無言のまま、二人の騎士に襲いかかった。
速い。
暗殺者の動きは、目で追うのがやっとだった。短剣が、残像を描きながらクラウスとセラを襲う。だが、二人の騎士もまた、シルバニア王国が誇る精鋭だった。
クラウスの巨大な盾が、嵐のような短剣の連撃を完璧に防ぎきる。その隙を突き、セラの細身の剣が、毒蛇のように暗殺者の急所を狙う。
火花が散り、金属音が鳴り響く。それは、俺の知らない、命のやり取りの世界だった。俺は、ただ机の陰で震えていることしかできない。
やがて、戦況が動いた。
暗殺者は、二人がかりでは分が悪いと判断したのだろう。懐から黒い球を取り出すと、それを床に叩きつけた。
パンッ、という音と共に、強烈な閃光と煙が部屋中に広がる。目くらましだ。
「くっ……!」
騎士たちが一瞬怯んだ隙に、暗殺者は窓へと駆けた。
「逃がすか!」
クラウスが盾を構えたまま突進し、セラが後を追う。
だが、暗殺者は窓枠を蹴ると、人間離れした跳躍力で闇夜へと消えていった。
煙が晴れ、静寂が戻る。
残されたのは、床に落ちた一本の短剣だけだった。セラの剣が、暗殺者の腕をかすめていたらしい。
リリアーナ様が、衛兵たちを引き連れて資料室に駆け込んできたのは、その直後だった。
「アレン! 無事ですか!?」
彼女は、俺が机の陰で無傷でいるのを確認すると、安堵のあまりその場にへたり込んだ。
「……申し訳ありません、姫様。取り逃がしました」
クラウスが、悔しそうに報告する。
セラは、床に落ちた短剣を布で慎重に拾い上げた。
「この紋様……エルドラドの影部隊が使うものに酷似しています」
彼女の言葉に、俺とリリアーナ様は息を呑んだ。
エルドラド。俺の、故郷。
俺は、ようやく理解した。
自分の立場が、もはや一介の魔道具技師ではないということを。
俺の存在そのものが、国の未来を左右し、そして、他国から命を狙われるほどの『脅威』になっているのだということを。
リリアーナ様は、立ち上がると、俺の前に立った。その顔には、安堵と、そして強い怒りが浮かんでいる。
「……もう、あなたを一人にはしておけません」
彼女は、固い決意を込めて言った。
「これより、アレンの身辺警護を最高レベルに引き上げます。クラウス、セラ。二六時中、彼の側を離れないで」
平穏な日々は、終わった。
俺は、自分の意志とは関係なく、国家間のパワーゲームの渦中へと、否応なく引きずり込まれてしまったのだ。
その事実が、重い鎖のように、俺の心にのしかかっていた。
工房は今、活気に満ち溢れている。技師たちは、俺が提示する次なる課題――火事の危険がない安全な調理器具『魔導コンロ』の開発に、目を輝かせながら取り組んでいた。
「アレン先生、ここの熱伝導プレートの素材ですが、銅と銀の合金ではどうでしょう?」
「アレン君、安全装置として、一定以上の温度になると自動で魔力供給を遮断する回路を組み込みたいのだが、意見を聞かせてくれんか」
俺の周りには、常に技師たちの輪ができていた。彼らとの技術的な議論は、俺にとっても大きな刺激となり、新たなアイデアが次々と湧き出してくる。
それは、かつて公爵家で孤独だった俺が、夢にも見なかった光景だった。自分の知識と才能が、誰かと共有され、高め合っていく。その喜びに、俺は満たされていた。
だが、シルバニアで俺の名声が高まる一方で、その噂は国境を越え、俺が捨てた故郷エルドラド王国にも届き始めていた。
特に、シルバニアの急速な技術発展と、その中心にいる『アレン』という謎の天才技師の存在は、一部の貴族たちの耳に、無視できない情報として入っていた。
エルドラド王国、オルブライト侯爵邸。
クラインフェルト公爵家と勢力を二分する、野心的な大貴族であるオルブライト侯爵は、執事から上がってきた報告書を読み、忌々しげに眉をひそめていた。
「『リリアーナの灯火』……『命の水』、か。シルバニアのあの小娘、どこでこれほどの技術者を拾ってきたのだ」
彼は、ゲオルグ公爵の魔力至上主義を時代遅れだと見なし、技術による国力増強こそが覇権を握る鍵だと考えていた。それだけに、シルバニアに先を越されたことへの焦りは大きい。
「報告によれば、そのアレンという技師は、一介の平民。どこからか流れ着いたのを、リリアーナ姫が拾い上げたとか」
「平民が、これほどの革新的な技術を次々と? 信じられんな。何か裏があるはずだ。……いずれにせよ、このまま放置しておけば、シルバニアの国力は我々を凌駕する。あの国の技術発展の心臓は、そのアレンという男だ。ならば、その心臓を止めるまで」
オルブライト侯爵の目に、冷酷な光が宿る。
彼は、金で雇った影の組織に、一枚の指令書を送った。
『シルバニア王国王立魔道具工房の技師アレンを、秘密裏に抹殺せよ』と。
そんな邪悪な意図が自分に向けられていることなど、俺は知る由もなかった。
だが、その影は、確実に俺の日常に忍び寄っていた。
数日前から、奇妙な視線を感じるようになっていた。
工房からの帰り道、街の雑踏の中、あるいは一人で資料室にこもっている時。ふと顔を上げると、誰かに見られているような、肌が粟立つような感覚に襲われるのだ。
振り返っても、そこには誰もいない。気のせいか、と自分に言い聞かせるが、その感覚は日に日に強くなっていた。
「……どうかしたのか、アレン。顔色が悪いぞ」
ある日の夕食時、リリアーナ様が心配そうに俺の顔を覗き込んだ。王宮の一室で、俺と彼女は二人きりで食事を取ることが習慣になっていた。
「いえ、少し考え事をしていただけです」
彼女に余計な心配をかけたくなくて、俺は曖昧に笑って誤魔化した。
その夜、俺は開発中の『魔導コンロ』の設計に行き詰まり、一人で工房の資料室に残っていた。膨大な資料の山と格闘しているうちに、いつの間にか窓の外は深い闇に包まれ、時計の針は深夜を指していた。
「……そろそろ、戻るか」
俺が大きく伸びをして立ち上がった、その瞬間だった。
カタン、と。
資料室の奥、書庫の暗がりから、何かが床に落ちるような、ごく微かな音が聞こえた。
俺は、動きを止めた。
この時間、工房にいるのは俺一人のはずだ。衛兵は入り口にいる。この資料室に、誰かがいるはずはない。
ネズミか、あるいは風のせいか。
そう思おうとしたが、数日前から感じていた、あの不気味な視線の感覚が、背筋を駆け上がった。
心臓が、ドクン、と大きく跳ねる。
俺は音を立てないよう、ゆっくりと机の陰に身を屈めた。そして、息を殺して、暗がりの方を凝視する。
静寂。
聞こえるのは、自分の心臓の音だけだ。
やはり、気のせいだったのか。俺が安堵のため息をつこうとした、その時。
スッ、と。
書庫の棚の影から、黒い人影が音もなく滑り出てきた。
全身を黒装束で包み、顔も黒い布で覆っている。その手には、月明かりを鈍く反射する、一本の短剣が握られていた。
暗殺者。
その単語が、脳内に雷のように響き渡った。
男は、まるで闇に溶け込むかのように、一切の気配を殺して俺が隠れている机へと近づいてくる。その動きは、尋常ではない。訓練を積んだ、プロのそれだった。
なぜ、俺が。誰が、何のために。
思考が追いつかない。ただ、圧倒的な死の気配が、俺の全身を縛り付けていた。
もう、ダメだ。
男が机のすぐそばまで来た。俺の心臓は、破裂しそうなほど激しく脈打っている。
男が、短剣を振り上げた。その刃の先端が、紫色に怪しく光っている。毒だ。
絶望が、俺の視界を覆い尽くした。
その、刹那。
ガキンッ!
甲高い金属音が、静寂を切り裂いた。
暗殺者の短剣が、何かに弾かれたのだ。
「――!?」
暗殺者が、驚愕の声を漏らす。
見れば、俺と暗殺者の間に、いつの間にか二つの影が立ちはだかっていた。
屈強な体躯の騎士、クラウス。そして、しなやかな剣を構える女性騎士、セラ。
リリアーナ様の護衛だ。
「……間に合ったか」
クラウスが、低い声で呟いた。その手には、巨大な盾が構えられている。先ほどの短剣を弾いたのは、この盾だった。
「姫様の言った通りだな。やはり、お前たちのような輩が嗅ぎつけてきたか」
セラが、切っ先を暗殺者に向けたまま、冷たく言い放つ。
暗殺者は、一瞬の動揺の後、すぐに体勢を立て直した。そして、無言のまま、二人の騎士に襲いかかった。
速い。
暗殺者の動きは、目で追うのがやっとだった。短剣が、残像を描きながらクラウスとセラを襲う。だが、二人の騎士もまた、シルバニア王国が誇る精鋭だった。
クラウスの巨大な盾が、嵐のような短剣の連撃を完璧に防ぎきる。その隙を突き、セラの細身の剣が、毒蛇のように暗殺者の急所を狙う。
火花が散り、金属音が鳴り響く。それは、俺の知らない、命のやり取りの世界だった。俺は、ただ机の陰で震えていることしかできない。
やがて、戦況が動いた。
暗殺者は、二人がかりでは分が悪いと判断したのだろう。懐から黒い球を取り出すと、それを床に叩きつけた。
パンッ、という音と共に、強烈な閃光と煙が部屋中に広がる。目くらましだ。
「くっ……!」
騎士たちが一瞬怯んだ隙に、暗殺者は窓へと駆けた。
「逃がすか!」
クラウスが盾を構えたまま突進し、セラが後を追う。
だが、暗殺者は窓枠を蹴ると、人間離れした跳躍力で闇夜へと消えていった。
煙が晴れ、静寂が戻る。
残されたのは、床に落ちた一本の短剣だけだった。セラの剣が、暗殺者の腕をかすめていたらしい。
リリアーナ様が、衛兵たちを引き連れて資料室に駆け込んできたのは、その直後だった。
「アレン! 無事ですか!?」
彼女は、俺が机の陰で無傷でいるのを確認すると、安堵のあまりその場にへたり込んだ。
「……申し訳ありません、姫様。取り逃がしました」
クラウスが、悔しそうに報告する。
セラは、床に落ちた短剣を布で慎重に拾い上げた。
「この紋様……エルドラドの影部隊が使うものに酷似しています」
彼女の言葉に、俺とリリアーナ様は息を呑んだ。
エルドラド。俺の、故郷。
俺は、ようやく理解した。
自分の立場が、もはや一介の魔道具技師ではないということを。
俺の存在そのものが、国の未来を左右し、そして、他国から命を狙われるほどの『脅威』になっているのだということを。
リリアーナ様は、立ち上がると、俺の前に立った。その顔には、安堵と、そして強い怒りが浮かんでいる。
「……もう、あなたを一人にはしておけません」
彼女は、固い決意を込めて言った。
「これより、アレンの身辺警護を最高レベルに引き上げます。クラウス、セラ。二六時中、彼の側を離れないで」
平穏な日々は、終わった。
俺は、自分の意志とは関係なく、国家間のパワーゲームの渦中へと、否応なく引きずり込まれてしまったのだ。
その事実が、重い鎖のように、俺の心にのしかかっていた。
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