Sランクパーティを追放されたヒーラーの俺、禁忌スキル【完全蘇生】に覚醒する。俺を捨てたパーティがボスに全滅させられ泣きついてきたが、もう遅い

夏見ナイ

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第92話 Sランクへの特例昇格

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「その任務、我々【黎明の翼】がお受けします」

アレンの静かだが揺るぎない決意の言葉が、作戦会議室に響き渡った。その場にいたギルドマスターたち、そしてAランクの冒険者たちは、安堵と新たな希望に満ちた表情でアレンたちを見つめていた。

「おお……! 受けてくれるか、アレン殿!」
ダリウスは感極まった様子で立ち上がった。
「恩に着る。君たちがいなければ、我々はただ滅びを待つだけだった」

「ですが、条件があります」
アレンは話を続けた。その瞳は冷静に、そして鋭くダリウスを見据えている。

「我々だけであの竜を討伐できるとは考えていません。必要なのはギルドの総力を挙げた完璧な支援体制です」
「うむ、それはもちろん約束しよう」

「具体的に申し上げます」
アレンはテーブルの上の大陸地図を指し示した。
「まず、討伐部隊を二つに分けます。一つは我々【黎明の翼】からなる、竜への直接攻撃を担う『突入部隊』。そしてもう一つは、ここにいるAランクの皆さんを中心とした『支援および陽動部隊』です」

その提案にゴードンたちがわずかに眉をひそめた。自分たちが支援に回れというのか。
だがアレンは構わずに続けた。

「支援部隊の役目は、我々が最深部に到達するまでの全ての障害を排除することです。ダンジョン内のモンスターを掃討し安全なルートを確保する。そして我々が竜と交戦を開始したら、最深部の入り口を固め、万が一にも竜が地上へ出るのを阻止する。地上への最後の防衛線となってもらいます」

それは各パーティの能力を最大限に活かす、極めて合理的な作戦だった。プライドの高いAランク冒険者たちも、ドラゴンゾンビ戦でアレンの指揮能力を目の当たりにしている。誰も異論を唱える者はいなかった。

「そして我々突入部隊には、最高の装備と必要なだけの消耗品を、ギルドの全財産を投げ打ってでもご用意いただきたい。特に聖属性を付与された武具や魔力回復の秘薬は可能な限り」

「分かった。全て用意させよう」
ダリウスは力強く頷いた。

「最後に、もう一つ」
アレンはそこで一度言葉を切り、最も重要な要求を口にした。
「今回の任務を遂行するにあたり、我々【黎明の翼】を本日付でSランクパーティへと昇格させていただきたい」

その言葉に会議室が再びどよめいた。
特例でのSランクへの昇格。それは前代未聞のことだった。

「……その心は?」
ダリウスが真意を問うように尋ねた。

「指揮系統の明確化です」
アレンはきっぱりと言った。
「今回の作戦は複数のパーティが連携する大規模なものです。現場での判断には一瞬の迷いも許されません。最高ランクであるSランクのパーティが指揮を執る。その絶対的な権限がなければ、土壇場で連携が乱れ作戦は失敗します」

彼はゴードンたちAランクのリーダーたちをまっすぐに見つめた。
「これは俺たちの力を誇示するためではありません。作戦を確実に成功させ、そしてここにいる全員が生きて帰るために必要な措置です」

その私心のない、ただ勝利だけを見据えた言葉に、ゴードンたちは何も言えなかった。
彼らは互いに顔を見合わせると、やがてリーダーであるゴードンが代表して立ち上がった。
そしてアレンに向かって深く頭を下げた。

「……異論ない。我々はSランクパーティ【黎明の翼】の指揮下に入ることを、ここに誓おう」
その言葉に続き、シルフィもゼノンも静かに立ち上がり、アレンに敬意を示した。

ダリウスはその光景を満足げな笑みを浮かべて見つめていた。
彼は最初からそのつもりだったのだ。

「……よかろう」
ダリウスは威厳に満ちた声で宣言した。
「ギルドマスターの権限において、本日この瞬間より、【黎明の翼】をSランクパーティとして正式に認定する!」

それは昇格試験などという回りくどいものではなかった。
大陸の危機を救うという最大の功績を約束された、英雄の戴冠式だった。

アレン、ソフィア、カイの三人はその場で立ち上がり、深く頭を下げた。
Dランクのゴブリン退治から始まった彼らの旅。
嘲笑の中から出発した、落ちこぼれの寄せ集め。
それが今、名実ともに大陸の頂点へと上り詰めたのだ。

だが、彼らの顔に喜びや驕りの色はない。
その肩にのしかかる世界の運命というあまりにも重い責任を、ただ静かに、そして覚悟を持って受け止めているだけだった。

会議が終わり、彼らはギルドからSランクパーティだけが使用を許される特別な紋章が刻まれた、真新しいギルドカードを授与された。
それは黒を基調とし、金色の翼が夜明けの太陽を抱くように描かれた荘厳なデザインだった。

そのカードを手に、アレンは仲間たちに向き直った。
「……とんでもないことになったな」
彼は自嘲気味に笑った。

「上等じゃねえか」
ソフィアは獰猛な笑みを浮かべた。
「Sランクパーティ【黎明の翼】。悪くない響きだ。これでようやく本物の大物と戦えるってもんだ」

カイも静かに頷いた。
「……お前がリーダーなら、どんな敵が相手でも負ける気はしない」

三人の間には、これまでで最も強く揺るぎない絆が確かに存在していた。
彼らの前には、人類の存亡を懸けた最後の戦いが待っている。
Sランクパーティ【黎明の翼】。
その伝説は今、まさに始まろうとしていた。
そしてその最初の任務が、大陸を救うこと。
これほど彼らにふさわしい舞台はなかった。
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