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第二十九話 禁忌の力、黒き太陽
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ギルベルトの全身から溢れ出した黒い魔力は、まるで生きているかのように、彼の体を蝕んでいった。
パキ、パキ、と音を立てて、彼の誇りであった白銀の鎧に亀裂が走り、砕け散る。その下から現れたのは、聖騎士のそれとは似ても似つかぬ、黒い紋様が刻まれた、禍々しいアンダースーツだった。
彼のプラチナブロンドの髪は、その輝きを失い、墨のような黒に染まっていく。青く澄んでいた瞳は、憎悪と狂気に満ちた、血のような赤色に変貌した。
「……あれは……」
空中のカケルは、その異常な変化に、全身のセンサーが最大級の警報を発するのを感じていた。
(魔力じゃない……これは、もっと異質で、根源的な……まるで、世界の法則そのものを捻じ曲げるような、歪んだエネルギー……!)
ギルベルトが手にしていた聖剣もまた、黒い魔力に呼応し、その刀身から、闇そのものを凝縮したかのような、黒い炎を立ち上らせていた。
「ギルベルト様……! いけません、その力は……!」
遠くで、ソレイユの騎士の一人が、悲痛な声を上げた。彼らは知っているのだ。その力が、決して使ってはならない、王家に伝わる禁忌の古代魔法であることを。一度使えば、術者の魂を代償に、破壊の限りを尽くす、呪われた力であることを。
だが、その声は、もはやギルベルトには届いていなかった。
「……コロシテヤル」
彼の口から漏れたのは、もはや人間の声ではなかった。憎悪と、殺意だけが込められた、獣の咆哮。
次の瞬間、ギルベルトの体が、地面から消えた。
いや、違う。
地面を蹴った彼の動きが、カケルのセンサーの追尾速度を、わずかに上回ったのだ。
ドゴォッ!
カケルの背中に、凄まじい衝撃。
「ぐっ……!?」
空中で完璧に静止していたはずの機体が、まるで巨大なハンマーで殴られたかのように、大きく体勢を崩した。
見ると、ギルベルトが、カケルの背後にいた。彼は、自らの魔力で空を飛び、凄まじい速度でカケルに肉薄していたのだ。その動きは、以前の洗練された剣士のそれではない。ただ、最短距離を、最大の速度で移動する、獣のそれだった。
「速い……!」
カケルは、全方位スラスターを噴射し、体勢を立て直そうとする。
だが、ギルベルトは、その隙を見逃さなかった。
黒い炎を纏った剣が、カケルの体を、縦横無尽に切り裂いていく。
ガキン! ギャン! ギィン!
凄まじい金属音が、空に響き渡る。
カケルの対魔法障壁は、黒い炎の前に、紙のように無力だった。星辰鋼と黒鉄で作られた、最強の装甲ですら、その斬撃を防ぎきれず、次々と深い傷が刻まれていく。
「クソが……!」
カケルは、必死に回避行動を取るが、ギルベルトは、まるで彼の思考を先読みしているかのように、執拗に食らいついてくる。その動きは、予測不能。以前の彼が持っていた「美しさ」という枷が外れ、純粋な破壊衝動だけが、彼を動かしていた。
「カケル!」
地上から、ティリアの悲鳴が聞こえる。彼女は、矢を番えるが、空中で目まぐるしく動き回る二人を、射抜くことができない。下手に射れば、カケルに当たってしまうかもしれない。
(どうする……どうする!)
カケルは、激しい攻撃を受けながら、必死に活路を探った。
パイルバンカーは、再装填が間に合わない。右腕の機関砲は、至近距離では使えない。
このままでは、ジリ貧だ。機体の損傷が、限界を超える。
(……待てよ。奴の動き、確かに速い。だが……)
カケルは、攻撃を受け流しながら、冷静にギルベルトを分析していた。
(……無駄が、多すぎる)
以前のギルベルトの剣筋には、一切の無駄がなかった。だが、今の彼の攻撃は、怒りと憎悪に任せた、ただのがむしゃらな連撃だ。威力は絶大だが、その分、一撃一撃の合間に、コンマ数秒の、しかし致命的な「隙」が生まれている。
そして、何より。
(……奴、消耗している……!)
ギルベルトの体から溢れ出す黒い魔力は、彼の生命力そのものを、燃料としている。その証拠に、彼の顔色は、見る見るうちに土気色に変わり、その体は、内側から崩壊を始めているようだった。
(……賭けるしか、ねえ)
カケルは、覚悟を決めた。
「ティリア! 聞こえるか!」
カケルは、通信機に向かって叫んだ。
「奴の、右目を狙え! 一瞬でいい! 奴の意識を、俺から逸らせ!」
「で、でも……!」
「やれ! 俺を信じろ!」
カケルの、鬼気迫る声に、ティリアは迷いを振り払った。
「……分かったわ!」
彼女は、弓を満月のように引き絞った。その矢の先端に、彼女の全魔力が、緑色の輝きとなって集中していく。
エルフの動体視力が、暴れ回るギルベルトの動きを、必死に追う。
そして、カケルが、意図的に、巨大な隙を見せた。わざとギルベルトの剣を、左腕のパイルバンカーで受け止め、その場に一瞬、動きを止めたのだ。
ガシャアアン!
パイルバンカーの装甲が、大きくひしゃげる。だが、その一瞬の静止が、ティリアに、絶好の機会を与えた。
(今!)
ティリアの指から、矢が放たれる。
緑色の閃光が、ギルベルトの顔面へと、吸い込まれるように飛んでいった。
「小賢しい!」
ギルベルトは、矢の軌道に気づき、顔を逸らそうとする。
だが、矢は、彼の右目を、紙一重で掠めた。
「ぐ……っ!」
致命傷ではない。だが、その一瞬、彼の意識は、確かに、カケルから逸れた。
カケルは、その千載一遇の好機を、逃さなかった。
「――もらったああああ!」
彼は、ギルベルトをパイルバンカーで拘束したまま、背中の主ブースターと、全身の小型スラスターの出力を、オーバーロード寸前の、120パーセントまで引き上げた。
機体が、悲鳴を上げる。制御コンピューターから、警告音が鳴り響く。
「システム全機能、推力に転換! 目標、前方、ただ一点!」
カケルの体が、もはや機動兵器ではなかった。
それは、彼自身を弾頭とした、一発きりの、巨大な「槍」。
ジェットブースターの推進力、彼の機体の全質量、その全てを、ギルベルトただ一人に叩き込むための、究極の特攻。
ゴオオオオオオオオオオオオッ!
凄まじい轟音と共に、青白い炎の尾を引いて、鋼鉄の流星が、大地へと突き進んだ。
「な……に……!?」
ギルベルトは、カケルに拘束されたまま、なすすべもなく、引きずられていく。
彼の目に映ったのは、急速に近づいてくる、平原の大地。
そして、カケルの、燃えるような瞳だった。
「お前の理ごと、その幻想を、ぶち壊してやる!」
次の瞬間。
カケルの体が、ギルベルトを道連れに、大地へと、激突した。
―――閃光。
―――そして、轟音。
平原の真ん中に、巨大なキノコ雲が立ち上った。
凄まじい衝撃波が、周囲の全てを薙ぎ払い、ソレイユの兵士たちを、木の葉のように吹き飛ばす。
大地が、まるで生きているかのように、大きく、長く、揺れた。
やがて、衝撃が収まった時。
そこには、直径百メートルを超える、巨大なクレーターが、ぽっかりと口を開けていた。
その中心で。
カケルの、半壊した体が、倒れていた。
ジェットブースターは砕け散り、キャタピラはねじ切れ、全身の装甲は、ほとんどが剥がれ落ちている。
そして、彼の体の下には。
黒い魔力が霧散し、元の白銀の鎧に戻った、ギルベルトが、血の海に沈んでいた。
その胸には、カケルの、砕けた腕のフレームが、深々と突き刺さっている。
「……はぁ……はぁ……」
カケルは、薄れゆく意識の中で、勝利を、確信した。
だが、代償は、あまりに大きかった。
エネルギー、完全枯渇。
機体損壊率、90パーセント以上。
もはや、指一本、動かすこともできない。
(……約束……したのにな……)
リゼットと、ティリアの顔が、脳裏に浮かぶ。
生きて帰る、と。
(……すまねえ……)
彼の意識が、深い、深い闇に、沈んでいこうとした、その時。
「……見事……だ」
彼の体の下から、か細い、しかし、確かな声が聞こえた。
ギルベルトだった。彼は、まだ、生きていた。
「……俺の、完敗だ……技師よ……」
彼は、血を吐きながら、続けた。
「……だが、これで……終わりではない……。お前が、本当に戦うべきは……私ではない……」
「……何……を……」
「王家が背負う……世界の……呪い……。魔法とは……システム……。そして、お前のような……機械技術は……世界を崩壊させる……バグ……」
ギルベルトは、最後の力を振り絞り、世界の真実の、断片を語った。
「……スキル、【自己魔改造】……それは……管理者……権限……」
彼の言葉は、そこで途切れた。
その瞳から、光が、完全に消え失せた。
王国最強の聖騎士団長、ギルベルト・ヴァイスマンは、その宿敵の腕の中で、静かに、息絶えた。
カケルは、彼の最後の言葉の意味を、理解することができなかった。
ただ、その言葉が、これから始まる、さらに巨大な戦いを、予感させていることだけは、分かった。
(……まだ、終われない……か)
彼は、自嘲するように、心の中で呟いた。
そして、彼の意識もまた、ついに、限界を迎え、闇の中へと、沈んでいった。
---
パキ、パキ、と音を立てて、彼の誇りであった白銀の鎧に亀裂が走り、砕け散る。その下から現れたのは、聖騎士のそれとは似ても似つかぬ、黒い紋様が刻まれた、禍々しいアンダースーツだった。
彼のプラチナブロンドの髪は、その輝きを失い、墨のような黒に染まっていく。青く澄んでいた瞳は、憎悪と狂気に満ちた、血のような赤色に変貌した。
「……あれは……」
空中のカケルは、その異常な変化に、全身のセンサーが最大級の警報を発するのを感じていた。
(魔力じゃない……これは、もっと異質で、根源的な……まるで、世界の法則そのものを捻じ曲げるような、歪んだエネルギー……!)
ギルベルトが手にしていた聖剣もまた、黒い魔力に呼応し、その刀身から、闇そのものを凝縮したかのような、黒い炎を立ち上らせていた。
「ギルベルト様……! いけません、その力は……!」
遠くで、ソレイユの騎士の一人が、悲痛な声を上げた。彼らは知っているのだ。その力が、決して使ってはならない、王家に伝わる禁忌の古代魔法であることを。一度使えば、術者の魂を代償に、破壊の限りを尽くす、呪われた力であることを。
だが、その声は、もはやギルベルトには届いていなかった。
「……コロシテヤル」
彼の口から漏れたのは、もはや人間の声ではなかった。憎悪と、殺意だけが込められた、獣の咆哮。
次の瞬間、ギルベルトの体が、地面から消えた。
いや、違う。
地面を蹴った彼の動きが、カケルのセンサーの追尾速度を、わずかに上回ったのだ。
ドゴォッ!
カケルの背中に、凄まじい衝撃。
「ぐっ……!?」
空中で完璧に静止していたはずの機体が、まるで巨大なハンマーで殴られたかのように、大きく体勢を崩した。
見ると、ギルベルトが、カケルの背後にいた。彼は、自らの魔力で空を飛び、凄まじい速度でカケルに肉薄していたのだ。その動きは、以前の洗練された剣士のそれではない。ただ、最短距離を、最大の速度で移動する、獣のそれだった。
「速い……!」
カケルは、全方位スラスターを噴射し、体勢を立て直そうとする。
だが、ギルベルトは、その隙を見逃さなかった。
黒い炎を纏った剣が、カケルの体を、縦横無尽に切り裂いていく。
ガキン! ギャン! ギィン!
凄まじい金属音が、空に響き渡る。
カケルの対魔法障壁は、黒い炎の前に、紙のように無力だった。星辰鋼と黒鉄で作られた、最強の装甲ですら、その斬撃を防ぎきれず、次々と深い傷が刻まれていく。
「クソが……!」
カケルは、必死に回避行動を取るが、ギルベルトは、まるで彼の思考を先読みしているかのように、執拗に食らいついてくる。その動きは、予測不能。以前の彼が持っていた「美しさ」という枷が外れ、純粋な破壊衝動だけが、彼を動かしていた。
「カケル!」
地上から、ティリアの悲鳴が聞こえる。彼女は、矢を番えるが、空中で目まぐるしく動き回る二人を、射抜くことができない。下手に射れば、カケルに当たってしまうかもしれない。
(どうする……どうする!)
カケルは、激しい攻撃を受けながら、必死に活路を探った。
パイルバンカーは、再装填が間に合わない。右腕の機関砲は、至近距離では使えない。
このままでは、ジリ貧だ。機体の損傷が、限界を超える。
(……待てよ。奴の動き、確かに速い。だが……)
カケルは、攻撃を受け流しながら、冷静にギルベルトを分析していた。
(……無駄が、多すぎる)
以前のギルベルトの剣筋には、一切の無駄がなかった。だが、今の彼の攻撃は、怒りと憎悪に任せた、ただのがむしゃらな連撃だ。威力は絶大だが、その分、一撃一撃の合間に、コンマ数秒の、しかし致命的な「隙」が生まれている。
そして、何より。
(……奴、消耗している……!)
ギルベルトの体から溢れ出す黒い魔力は、彼の生命力そのものを、燃料としている。その証拠に、彼の顔色は、見る見るうちに土気色に変わり、その体は、内側から崩壊を始めているようだった。
(……賭けるしか、ねえ)
カケルは、覚悟を決めた。
「ティリア! 聞こえるか!」
カケルは、通信機に向かって叫んだ。
「奴の、右目を狙え! 一瞬でいい! 奴の意識を、俺から逸らせ!」
「で、でも……!」
「やれ! 俺を信じろ!」
カケルの、鬼気迫る声に、ティリアは迷いを振り払った。
「……分かったわ!」
彼女は、弓を満月のように引き絞った。その矢の先端に、彼女の全魔力が、緑色の輝きとなって集中していく。
エルフの動体視力が、暴れ回るギルベルトの動きを、必死に追う。
そして、カケルが、意図的に、巨大な隙を見せた。わざとギルベルトの剣を、左腕のパイルバンカーで受け止め、その場に一瞬、動きを止めたのだ。
ガシャアアン!
パイルバンカーの装甲が、大きくひしゃげる。だが、その一瞬の静止が、ティリアに、絶好の機会を与えた。
(今!)
ティリアの指から、矢が放たれる。
緑色の閃光が、ギルベルトの顔面へと、吸い込まれるように飛んでいった。
「小賢しい!」
ギルベルトは、矢の軌道に気づき、顔を逸らそうとする。
だが、矢は、彼の右目を、紙一重で掠めた。
「ぐ……っ!」
致命傷ではない。だが、その一瞬、彼の意識は、確かに、カケルから逸れた。
カケルは、その千載一遇の好機を、逃さなかった。
「――もらったああああ!」
彼は、ギルベルトをパイルバンカーで拘束したまま、背中の主ブースターと、全身の小型スラスターの出力を、オーバーロード寸前の、120パーセントまで引き上げた。
機体が、悲鳴を上げる。制御コンピューターから、警告音が鳴り響く。
「システム全機能、推力に転換! 目標、前方、ただ一点!」
カケルの体が、もはや機動兵器ではなかった。
それは、彼自身を弾頭とした、一発きりの、巨大な「槍」。
ジェットブースターの推進力、彼の機体の全質量、その全てを、ギルベルトただ一人に叩き込むための、究極の特攻。
ゴオオオオオオオオオオオオッ!
凄まじい轟音と共に、青白い炎の尾を引いて、鋼鉄の流星が、大地へと突き進んだ。
「な……に……!?」
ギルベルトは、カケルに拘束されたまま、なすすべもなく、引きずられていく。
彼の目に映ったのは、急速に近づいてくる、平原の大地。
そして、カケルの、燃えるような瞳だった。
「お前の理ごと、その幻想を、ぶち壊してやる!」
次の瞬間。
カケルの体が、ギルベルトを道連れに、大地へと、激突した。
―――閃光。
―――そして、轟音。
平原の真ん中に、巨大なキノコ雲が立ち上った。
凄まじい衝撃波が、周囲の全てを薙ぎ払い、ソレイユの兵士たちを、木の葉のように吹き飛ばす。
大地が、まるで生きているかのように、大きく、長く、揺れた。
やがて、衝撃が収まった時。
そこには、直径百メートルを超える、巨大なクレーターが、ぽっかりと口を開けていた。
その中心で。
カケルの、半壊した体が、倒れていた。
ジェットブースターは砕け散り、キャタピラはねじ切れ、全身の装甲は、ほとんどが剥がれ落ちている。
そして、彼の体の下には。
黒い魔力が霧散し、元の白銀の鎧に戻った、ギルベルトが、血の海に沈んでいた。
その胸には、カケルの、砕けた腕のフレームが、深々と突き刺さっている。
「……はぁ……はぁ……」
カケルは、薄れゆく意識の中で、勝利を、確信した。
だが、代償は、あまりに大きかった。
エネルギー、完全枯渇。
機体損壊率、90パーセント以上。
もはや、指一本、動かすこともできない。
(……約束……したのにな……)
リゼットと、ティリアの顔が、脳裏に浮かぶ。
生きて帰る、と。
(……すまねえ……)
彼の意識が、深い、深い闇に、沈んでいこうとした、その時。
「……見事……だ」
彼の体の下から、か細い、しかし、確かな声が聞こえた。
ギルベルトだった。彼は、まだ、生きていた。
「……俺の、完敗だ……技師よ……」
彼は、血を吐きながら、続けた。
「……だが、これで……終わりではない……。お前が、本当に戦うべきは……私ではない……」
「……何……を……」
「王家が背負う……世界の……呪い……。魔法とは……システム……。そして、お前のような……機械技術は……世界を崩壊させる……バグ……」
ギルベルトは、最後の力を振り絞り、世界の真実の、断片を語った。
「……スキル、【自己魔改造】……それは……管理者……権限……」
彼の言葉は、そこで途切れた。
その瞳から、光が、完全に消え失せた。
王国最強の聖騎士団長、ギルベルト・ヴァイスマンは、その宿敵の腕の中で、静かに、息絶えた。
カケルは、彼の最後の言葉の意味を、理解することができなかった。
ただ、その言葉が、これから始まる、さらに巨大な戦いを、予感させていることだけは、分かった。
(……まだ、終われない……か)
彼は、自嘲するように、心の中で呟いた。
そして、彼の意識もまた、ついに、限界を迎え、闇の中へと、沈んでいった。
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