鑑定スキルで万物を見抜く俺、実は女の子の好感度も丸見えです

夏見ナイ

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第41話:辺境の超新星

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フィオナが正式に仲間に加わってから一月が過ぎた。俺たちのパーティーは、ラトナの冒険者ギルドでもはや知らぬ者はいない存在となっていた。

四人という完璧な布陣を手に入れた俺たちは、次々と高難易度の依頼を達成していった。その攻略速度は異常であり、他のベテランパーティーが匙を投げたような案件でさえ、俺たちは半日もかからずに片付けてしまう。

いつしか、俺たちはこう呼ばれるようになっていた。『辺境の超新星』と。

その日、俺たちはCランク依頼『ミノタウロスの迷宮』の攻略に挑んでいた。入り組んだ地下迷宮に潜む、凶暴な牛頭の魔物ミノタウロスを討伐する依頼だ。これまで何組ものパーティーが挑み、返り討ちにあってきたという。
「アレンさん、前方十字路。右通路に三体、左通路に二体のミノタウロスが潜んでいます。直進ルートには落とし穴の罠があります」
斥候として先行していたルナが、音もなく俺の隣に戻り報告する。彼女の気配察知能力は、もはや達人の域に達していた。
「了解だ。シルフィは右、ルナは左を頼む。フィオナは俺の後ろで待機。詠唱準備を」
俺は冷静に指示を出す。シルフィとルナは、アイコンタクトだけで互いの意思を確認し、同時に十字路から飛び出した。
「オオオオ!」
ミノタウロスの咆哮と金属音が響き渡る。シルフィは正面から三体のミノタウロスの猛攻を、生まれ変わった魔剣ソウルセイバー一本で完璧に受け止めていた。呪いから解放された彼女の剣技は、以前の荒々しさに加えて洗練されたしなやかさをも身につけている。
一方のルナは影のように舞い、二体のミノタウロスの攻撃をいなしながら、その急所である首筋や関節を的確に切り裂いていく。彼女の動きは、もはや目で追うことすら困難な神速の域にあった。
だが、ミノタウロスは体力が自慢の魔物だ。数も多い。二人がいくら強くとも、いずれは消耗戦に持ち込まれてしまう。
「フィオナ、今だ! 右通路の奥、シルフィの背後に【アイスランス】を三発!」
俺は戦況の全てを見通し、最適なタイミングで指示を出す。
「はい、先生!」
フィオナはもはや微塵の迷いも見せず、杖を構えて短く詠唱する。彼女の手から放たれた三本の氷の槍は、シルフィを寸分違わず避け、ミノタウロスたちの足元を正確に凍りつかせた。
動きを封じられたミノタウロスは、もはやただの的だ。シルフィが魔剣を振るい、三体の首をまとめて刎ね飛ばした。
「ルナ、合流してシルフィを援護しろ!」
「了解です!」
ルナも残りの二体をシルフィと共に片付け、戦闘はあっという間に終わった。

これが、俺たちの新しい戦い方だ。
アレンが【万物解析】で戦場を完全に把握し、未来予知にも等しい指揮を執る『頭脳』。
シルフィが敵の猛攻を受け止める、揺るぎない『盾』であり、圧倒的な破壊力を持つ『矛』。
ルナが神速で敵陣を駆け抜け、急所を的確に突く『刃』。
そして、フィオナが後方から戦況を一変させる絶大な威力の大魔法を放つ、最強の『切り札』。
この四つの要素が完璧に噛み合った時、俺たちのパーティーは無敵となる。
迷宮の最深部で待ち構えていたミノタウロスロードも、例外ではなかった。フィオナの牽制魔法で動きを鈍らせ、ルナが注意を引きつけ、その隙にシルフィが渾身の一撃を叩き込む。完璧な連携で俺たちは難なくボスを討伐した。

ギルドに戻り依頼達成を報告すると、もはや驚きの声は上がらなかった。代わりに畏敬と称賛の眼差しが、俺たち四人に注がれる。
「……またやったのか。あいつら」
「『超新星』の名は伊達じゃないな」
「俺たちが一週間かかっても無理だった迷宮を、たった半日で……次元が違うぜ」
ミリーは、嬉しそうに、そして少し寂しそうに微笑んだ。
「あなたたち、もうこのラトナの街には収まりきらないくらい大きくなっちゃったわね」
彼女の言葉は、俺たちの活躍がすでにこの辺境都市だけの話ではなくなっていることを示唆していた。

その夜、俺たちは祝杯をあげるため馴染みの食堂を訪れた。
「アレン様、あーん」
ルナが当然のように俺の隣の席を陣取り、焼きたての肉を俺の口元へ運んでくる。俺がそれを少し照れながら受け取ると、向かいの席に座るシルフィとフィオナから鋭い視線が飛んできた。
「アレン先生、喉が渇いたでしょう。私が先生のために特別にブレンドした、疲労回復効果のあるハーブティーですわ。どうぞ」
フィオナが優雅な仕草でティーカップを俺の前に置く。その瞳は、俺への純粋な好意と尊敬で輝いていた。桜色のオーラがキラキラと舞っている。
「……フン。子供っぽいことばかりするな」
シルフィはそっぽを向きながらも、自分の皿にあった一番大きな肉の塊を、俺の皿に無造作に乗せた。
「い、いらないのか?」
俺が尋ねると、彼女は顔を赤らめながら小さな声で答えた。
「……別に。あんたは司令塔なんだから、一番栄養を摂るべきだろう。勘違いするなよ」
ツンデレは相変わらずだが、その薄紫色のオーラは以前よりもずっと温かい色合いをしていた。

三人の少女たちの三者三様の好意。俺はそれに少し戸惑いながらも、この騒がしくて温かい日常がたまらなく愛おしいと感じていた。追放されたあの頃には、想像もできなかった光景だ。
俺たちの活躍は、すでにラトナの領主の耳にも届いていた。彼からは直々に感謝状と金一封が贈られ、街の防衛に関して、俺たち『アルカディア』――俺たちが名乗るようになったパーティー名だ――に、特別な権限が与えられることになった。
もはや、俺たちはただの冒険者パーティーではない。この辺境都市ラトナを守る重要な柱の一つとして、誰もが認める存在となっていた。
だが、俺たちの物語はまだ始まったばかりだ。
この辺境の街で生まれた小さな超新星の輝きは、やがて王国全土を、そして俺を追放した者たちをも照らし出すことになる。
その輝きが、新たな出会いと、そして避けることのできない過去との再会を引き寄せることを、俺はまだ知らなかった。
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