鑑定スキルで万物を見抜く俺、実は女の子の好感度も丸見えです

夏見ナイ

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第78話:それぞれの見せ場

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俺の総攻撃の号令は、戦意を失いかけていたラトナの防衛部隊に再び炎を灯した。

「「「オオオオオオ!!!」」」

地鳴りのような雄叫びと共に、街の全ての門が開け放たれる。そこから、これまで城壁の上で耐え忍んでいた兵士や冒険者たちが怒涛の如く逆襲へと転じたのだ。

指揮官を失い統率をなくした魔物の群れは、もはやただの烏合の衆だった。彼らは勢いに乗るラトナの連合軍の前に、なすすべもなく蹂躙されていく。

空中の俺は、なおも戦場全体を俯瞰し的確な指示を送り続けていた。

「右翼部隊、敵の側面を突け! 敵は完全に混乱している!」
「中央部隊、怯むな! 一気に押し込め!」

そして、この逆襲劇の主役となったのは言うまでもなく、俺の仲間たちだった。

まず戦場を疾風のように駆け抜けたのは、ルナだった。

「行きます!」

彼女は誰よりも早く城壁から飛び出すと、その小さな体を影のように躍らせ敵陣のまっただ中へと切り込んでいった。

彼女の動きはもはや神速の域を超えていた。敵が彼女の姿を捉えようとした時には、すでにその喉元は銀のダガーによって切り裂かれている。彼女が通り過ぎた後には、まるで草が薙ぎ払われたかのように魔物たちの死体の道ができていた。

【ルナの敏捷性(AGI)が S- から S に上昇しました】
【スキル:縮地(Lv.1)を獲得しました】

俺の脳裏に、彼女の覚醒を告げる通知が浮かぶ。ついに彼女はその内に秘めた最大の才能を開花させたのだ。『縮地』。それはもはや移動ではなく、瞬間移動に近い超高速戦闘術。

彼女は敵陣を縦横無尽に駆け巡り、混乱をさらに拡大させていく。その姿は、まるで戦場を舞う銀色の死神のようだった。

そのルナが切り開いた道を、堂々と突き進むのはシルフィだった。

「邪魔だ! どけ!」

彼女が振るう魔剣『ソウルセイバー』は、圧倒的な破壊力そのものだった。大型の熊型魔物が、その巨体で彼女の前に立ち塞がる。だがシルフィは怯まない。

「月光の刃(ムーンライト・エッジ)!」

彼女の剣が聖なる青白い光を放つ。その一閃は、熊の硬い毛皮もその下の骨も、全てをまとめて両断した。

彼女は一人で一個師団にも匹敵するほどの突破力で、敵陣の中央をこじ開けていく。その周囲には、彼女の強さに惹きつけられたベテラン冒険者たちが自然と集まり、一つの強力な突撃部隊を形成していた。彼女はもはやただの一剣士ではない。仲間を鼓舞し率いる、戦場の華となっていた。

そして、その全てを後方から支援するのがフィオナだった。

「先生、お任せください!」

俺と共に地上へ降り立った彼女は、もはやトラウマに怯えるか弱い令嬢ではなかった。その瞳には、仲間と街を守るという強い意志と自信が満ち溢れている。

「【ヘイスト・フィールド】! 皆さんの足に風の祝福を!」
「【シールド・ウォール】! 決して通しはしませんわ!」

彼女の杖から放たれるのは破壊の魔法だけではない。味方の能力を増幅させる支援魔法、敵の攻撃を防ぐ防御魔法。その全てが、戦場の流れを決定づける重要な一手となっていた。

彼女は戦場全体を見渡し、どこで誰がどんな助けを必要としているかを瞬時に判断する。その戦術眼は、俺の指導によって飛躍的に向上していたのだ。

彼女はまさに戦場の女神。その魔法の輝きは、味方にとっては希望の光であり、敵にとっては絶望の闇だった。

ルナが敵を攪乱し、
シルフィが敵を粉砕し、
フィオナが仲間を守り、支える。

そして、その全てを俺が空から導く。

俺たち『アルカディア』の四人がそれぞれの持ち場でその能力を最大限に発揮した時、戦いの趨勢はもはや誰の目にも明らかだった。

邪教徒たちはこの圧倒的な力の前に完全に戦意を喪失した。彼らは残った魔物たちを見捨て、蜘蛛の子を散らすように闇の中へと逃げ去っていった。

魔物の群れもやがてその数を減らし、最後の一体がラトナの兵士の槍によって貫かれた時。

戦場に勝利を告げる鬨の声が上がった。

「「「うおおおおおおおお!!!」」」

それはラトナの街の全ての民の叫びだった。

俺たちは勝ったのだ。圧倒的な物量で押し寄せてきた邪悪な軍勢に、俺たちは街の皆と力を合わせ、完全なる勝利を収めた。

俺は仲間たちの元へと駆け寄った。返り血と土埃にまみれながらも、その顔には達成感に満ちた晴れやかな笑顔が浮かんでいる。

「……やったな、みんな」

俺が言うと、三人は力強く頷いた。

この勝利は、俺たち『アルカディア』の伝説を不動のものにするだろう。

だが、俺たちの戦いはまだ終わってはいない。逃げ延びた邪教徒たち。そして、その背後にいるまだ見ぬ本当の敵。

俺は闇が広がる森の奥を、鋭い目つきで見つめていた。

この勝利はあくまで前哨戦に過ぎない。

本当の戦いは、ここから始まるのだ。
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